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  • 人魚は空に還る

    人魚は空に還る

    三木笙子

    創元推理文庫

    美しい謎解き

    明治時代を舞台にした推理短編小説です。本作品には5本入っています。 1つ1つが丁度いい長さなので通勤・通学に向いていますね。 普段たくさん本を読まない自分でも読了することができました。 登場人物は、腰が低い弱小雑誌の記者と 高飛車な人気絵師という社会では力関係がはっきりしている中でも 互いが互いを好いてるところがいいですね。 記者の里見高広が絵師の有村礼に陶酔しているので読み始めは「里見ナヨナヨしいな!」イメージでしたが、 読み進めていくと中身がしっかりした好青年でした。 彼の目から見る綺麗なもの、大事にしたいものが美しいことばで綴られていて素敵です。 腰が低い里見が探偵役で高飛車の有村が助手役(聞き手)という設定も面白いと感じました。 また、メイン2名以外の登場人物も個性的で面白い。 謎解き方法は切れ者の里見が難事件をズバズバ解決していくのではなく、 答えが自分から里見のところに歩いてやってくる印象でした。 私のおすすめは、二話「真珠生成」三話「人魚は空に還る」です。 タイトルからして美しいですね。中身も大変美しいお話でしたよ。

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    投稿日: 2015.02.22