
天平の甍(新潮文庫)
井上靖
新潮文庫
唐招提寺に行く前に読むべき本
高僧鑒真を唐から艱難辛苦の末日本に連れて来るという話だが、遠い昔、日本人が国の為に命を懸けてまでやりたかった事、また高僧である鑒真自ら日本に来るという(無事に海を渡れる保証もないのに)物語が美しい文章で淡々と書かれています。最後に小説のタイトルにある甍がでてきた時には感動して泣けます。今中国との関係が悪いけれども、こんなすばらしい話もある事を知ってほしいです。そして当時の人達に感謝をして、全て大切にしたいと思いました。日本人皆に読んでほしいです。
1投稿日: 2015.08.29
ロスト・ケア
葉真中 顕
光文社文庫
色々な意味で怖かった。
介護の会社で事務の仕事をしている為、非常にこの業界の事がよく書かれている事がわかります。ほぼ間違いないと思って大丈夫です。介護関係の事にあまり詳しくない方に是非読んで頂きたいです。 犯人は誰かと考える点ではミステリーですが、同時に社会の問題に踏み込んで書かれている読み応えのある小説でした。
0投稿日: 2015.08.29
64(ロクヨン)(上)
横山秀夫
文春文庫
地道に生きている人
この作品にはものすごいヒーローみたいな人はで出来ません。だからこそ、感情移入しやすく、登場人物と一緒の気持ちになって時には疲れてしまうこともありました。 主人公はどんなに努力して行動しても結果として報われることは少ないけれど、それでも少しずつ前進していき、事件解決への道や、組織での在り方や気持ちの持ちように変化がでていく様子に引き込まれます。長編ですが、警察とマスコミとの関係や、家庭の問題など色々な要素が含まれていて、もちろんミステリーとしても読み応えがある為、あっという間に読めました。
1投稿日: 2015.04.11
天地明察 上
冲方丁
角川文庫
天地明察というタイトルも好き
繊細で気が弱い主人公渋川春海が成し遂げた事は改暦というとても大きな事。才能はあるけれど未熟だった青年が周りに助けられながら、時には大失敗をしながらも最終的にはやり遂げる過程をわくわくしながら読み進めました。時代背景やその当時の人物もわかりやすく描かれているので時代小説としても楽しめました。
0投稿日: 2014.10.25
クライマーズ・ハイ
横山秀夫
文春文庫
組織の呪縛 どう生きるか
日航機墜落事故の当時の新聞記者の様々な葛藤と平行して、家族の問題が描かれています。普段何気なく読んでいる新聞も実は戦いの末(他社だけではなく自社とも)に記事になっている事がわかります。 空前絶後の航空機事故で全編を通して重い気持ちで読み進めました。だからこそ余計に、生きている人々のがひたむきで前向きな姿に明るい未来を感じたり、輝きを感じました。
3投稿日: 2014.10.12
半落ち
横山秀夫
講談社文庫
白黒はつけられない話
非常に重いテーマが題材の小説ですが、割と短い章に分かれているので読みやすいと思います。 梶が妻を殺害したことは法的にはもちろん犯罪だけど、心情的には理解できるという人も多いのではないでしょうか。(やるかやらないかの違いで。) ただ単にミステリーではない、松本清張の『砂の器』に近い印象を受けました。 とても考えさせられる作品でした。
0投稿日: 2014.10.09
神去なあなあ日常
三浦しをん
読楽
山での暮らしは厳しいけど優しい
昔きこりになって山で暮らしてみたいと思っていたことがあったので興味津々で読みました。 やっぱりきこりにはなれなかったな〜というのが読後の感想です。 無気力だった青年の成長以外にも、林業、村社会、伝統など神去村の日常が楽しく描かれています。この本をきっかけに林業大人気!にはならないでしょうが、興味を持つ事は間違いないと思います。
2投稿日: 2014.10.08
いとしのムーコ(1)
みずしな孝之
イブニング
ほのぼのします
犬が大好きな私は純情可憐なムーコちゃんに参りました。 ムーコの思惑に気づいていないこまつさんとのかけあいが絶妙で面白いです。 ゆるい笑いを求めている人には絶対お勧めです。 私は仕事の帰りの疲れた時によく読んでいます。
1投稿日: 2014.10.05
舟を編む
三浦しをん
光文社文庫
言葉への愛を感じます
こんなにも長い年月をかけて辞書が作られているとは知りませんでした。そしてそれに携わる人たちの様々な人間模様はユーモアもあり楽しく読めました。 幼い時に辞書を引いていた時の事を思い出しました。たった数行で一つの言葉を説明する難しさ、大切さを知り、辞書を作っている方達に感謝せずにはいられません。
2投稿日: 2014.10.05
