shizukiさんのレビュー
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ずうのめ人形
澤村伊智 / 角川ホラー文庫
一作目に劣る
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不条理で全くもって理不尽な怪異に襲われる、という点では一作目も二作目であるこちらの話も共通しているが、今作品はただ訳も分からず不幸な境遇の少女の日記めいた話を延々と読まされるので、退屈な上に苦痛でしか…なかった。物語が動き出すのは中盤を超えてからなので冗長極まりない。怪異自体はパワーがあるが、理由付けのしっかりしていた前作に比べ、今作品はモヤモヤとした謎だけ残った。都市伝説が主体の話なので、結局はそれで良いのかもしれないが・・。 続きを読む
投稿日:2020.09.06
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百鬼一歌 都大路の首なし武者
瀬川貴次 / 講談社タイガ
シリーズ物の第2弾
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この作者の別シリーズ「ばけもの好む中将」の大ファンでこちらの作品も読んでみたのですが、前回の第1作目は正直面白いと思えませんでした。歌人を主人公にした点に物珍しさはあっても随所に挿入される本人による歌…の解説に(話中の人物同様)げんなりさせられ、主人公の歌人希家のキャラクターがどうにもボンヤリして、魅力を感じる事ができなかったのです。「ばけもの~」はどこか可笑しみを感じさせる軽妙洒脱な文章が気に入ってるのですが、こちらは至って真面目な文章の運びです。こちらのお話の方が史実の流れををより意識させるような作りになっていると感じます。ただどうにも凡庸感が否めず、これが何故2作3作と続く事になったのか…と失礼ながら首を捻ったものでした。
が、2作目になって俄然面白くなりました!実はこのシリーズの(隠れ)主人公は歌人その人ではなく、いつも彼の周りをちょろちょろしている陽羽という少女だったのです。そうした目線で見ると、作中誰よりも生き生きとキャラが立っていて動きのある人物で、彼女の熱意ある行動が物語を広げて行きます。
今回は首なし武者出現という、おどろおどろしい話ですが前回よりずっと緊迫感・ミステリー感があって楽しめました。そしてこのシリーズは、最後の最後に「えっ?!」と驚くようなタネ明かしをぽんと投げかけて次回に引っ張る、という特徴があるようです。じわじわと面白さが増して来ました、次回作が楽しみです。 続きを読む投稿日:2021.05.06
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怪談実話傑作選 弔
黒木あるじ / 竹書房怪談文庫
読後感が最悪
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実話怪談集は好んで色々よく読んできたが、この著者の作品は初めてだった。数話読んだ時点で「これは…」と感じた事それは、単にゾクリとする怖いお話というのではなく、この著者の集めてきた話は、どれも読後に嫌ぁ…な気分になるものが殆どなのだ。
不快という意味での嫌らしさ。これは個人の感情に基づく意見なので著者のファンには申し訳ないが、私は購入した事を酷く後悔してしまった。
ただ逆に言えば、世にある数多い怪談集はどれも似たり寄ったりで、1度読めば頭からサッと消えていってしまうものが多い。それに引き換えこの著者の怪談集はなんとも後味の悪い嫌な気分にさせられる事で、強く印象に残る結果となっているので、そういう意味では素晴らしいと褒めるべきか…。
続きを読む投稿日:2021.09.03
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豆腐尽くし 居酒屋お夏 春夏秋冬
岡本さとる / 幻冬舎時代小説文庫
胸に染みる
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居酒屋を舞台にした江戸の人情ドラマが繰り広げられるこのシリーズは大好きです。
前回のシリーズは親の仇を探して打つというサスペンスが土台にあり、やや事件性があって緊迫感が楽しめました。今の新章はそうい…う緊迫感が抜けた分、安心して人の心の機微を存分に味わえる感じでしょうか。
特に今回の作品は一つ一つのドラマが濃いなと感じました。胸にじんわりと染み込む・・この感覚が誠に宜しい。このシリーズの醍醐味です。
続きを読む投稿日:2021.09.07