
ナモナキラクエン
小路幸也
角川文庫
楽園とは
「楽園の話を聞いてくれないか」そう言い残して他界してしまった父。母親が全員違う4兄弟、山、紫、水、明に、父はそれぞれが母親と会えるように連絡先を残していた。離婚についても母親についても詳しく話すことのなかった父。4人はそれぞれの意思で母親に会いにいく決意をする。同じような境遇で育ってきた者達の絆・信頼、傷を負ったからこその優しさ、立ち上がる強さという、静かな中にあるエネルギーや温かさに触れられたように感じた。恨むエネルギーを前に進む為のものとして使え。印象深い父;向井志郎の教えだった。
0投稿日: 2017.05.16
キサトア
小路幸也
文春文庫
表か裏か
風を操る力を持つ父フウガ、主人公アーチは色がわからないアーティスト。妹のキサは陽が上っている間だけ、トアは陽が沈んでいる間しか起きていられない。そんな不思議な家族たちが海辺の町で過ごす物語。個性的な登場人物に囲まれながら過ごす日常に起こる、ちょっとした事件。優しい物語の中に、本質を突くようなことがスッと差し出されるような運びが面白い。色がわからないとか、陽によって起きていられないのは、一見なにかを失っているようだが、逆になにか得ているものがあるとも言える。表(だと思ってる)だけを見ても、そのものの価値は決められない。色々な角度からそれを教えてくれた物語だった。
0投稿日: 2017.05.16
東京ピーターパン
小路幸也
角川文庫
人と関わることは悪くない
日付と時間で進んでいく、一見関係のない人達の日常。全員に共通しているのは、「音楽」に関わっている・いたこと。それぞれがそれぞれに悩みを抱えたり、日常になにかつまらなさを感じている。思いがけずお互いの日常が交差したときに起こる科学反応。『全力』でなにかに取り組むことが感覚に残すものはなにか、登場人物がそれぞれに感じる様子が心地いい。
0投稿日: 2017.04.22
幻獣少年キマイラ
夢枕獏
角川文庫
じわじわはまる感じ
容姿端麗だけれど、それがかえってコンプレックスになり、力もない自分に自信が持てない主人公;大鳳(おおとり)が、高校生活で出会う変わったキャラクター達によって、徐々に自分の中にあったものを覚醒していきます。自分の中に眠る、抑えられない衝動の正体とは。そして、同じ雰囲気を持つ久鬼への興味と深まる溝。物語はまだ始まったばかりですが、登場人物の動作や心の動きの描写が巧みで、スピード感があるので、はまると読みやすいです。
0投稿日: 2017.04.22
なにかのご縁 ゆかりくん、白いうさぎと縁を見る
野崎まど
メディアワークス文庫
これも"なにかのご縁"
偶然(?)”縁”が見えてしまった主人公は、縁を司る白いうさぎと行動を共にすることに。恋だけでなく、友情など、”なにかのご縁”で繋がっている人達の為に、駆けずり回ることになります。 うさぎの登場から説明あたりはちょっと文章がもっさりしていますが、中盤いこうはスピード感もでるし、主人公と「かわいいのは見た目だけ」のうさぎさんやサイクル部の面々との掛け合いがクスッと笑えて楽しいです。自分の縁はいつ光るのかなーなんて、妄想してしまいます。
1投稿日: 2017.04.09
花咲家の休日
村山早紀
徳間文庫
登場人物が皆優しい
植物に縁のある花咲家の家族それぞれの休日に起こった、非現実的な不思議な物語。振り返ると、すべてが"死"とか"別れ"に関連しているのですが、出てくる登場人物全てが優しくて、悲しさや不快感ではなく、ほっこりする読後感です。中でも私は特に、木太郎さんの話が好きです。 "花咲家"のお話はシリーズらしいですが、読んだことなくても話に影響ありませんでした。他のシリーズも読んでみようと思います!
0投稿日: 2017.04.04
屋上で縁結び
岡篠名桜
集英社文庫
さらっと読めるけど、続きも読みたくなる1冊
自分に自信がない主人公が再就職した先はビルの受付。自分では気づけなかった長所で、周囲の人々の色々なストーリーに触れていきます。彼女のストリーはこれから!?というところで終わってしまい、続きが気になってしまいます。。。 長所って、人から言ってもらえて初めて気づくこともありますよね。自信に繋がるようになるのも、すべて人との繋がりから来るのかもしれないと、ちょっと考えた物語でした。
1投稿日: 2017.03.30
旅屋おかえり
原田マハ
集英社文庫
元気がもらえる
アイドルを目指して上京してきたのに、すっかり理想とは縁遠い状況で仕事をこなす主人公”おかえり”に、人生最大のピンチが。事務所倒産・実入りなしになるかもという逆境でも、いつも明るくパワフルな彼女が織り成す爽快な物語で、読んだ人は、自分の”価値観”や”感情”を大事に動きまわる”おかえり”からエネルギーを沢山もらえるはずです。みんな何か抱えているけど、みんな前に進もうとしてる、読後感爽やかな作品です。
1投稿日: 2017.03.30
壇蜜日記 0(ゼロ)【文春e-Books】
壇蜜
文春e-Books
壇密ワールド
その日思ったこと、感じたことを3、4行にまとめて書いた日記と、阿川佐和子さんと桜木紫乃さんとの対談。 壇さんがどんなことを考えているのか、落ち着いて言葉を選んで話している彼女の背景がちょっとずつ見えてきます。 短い区切りでさらっと読めるので、隙間時間にオススメです。
0投稿日: 2016.11.14
