
東アジアの軍事情勢はこれからどうなるのか
能勢伸之
PHP新書
全ては繋がっている
特別センセーショナルなことが書かれている事もなく、いうならば、80年代からの米ソの動きが、現在どのような変化をもたらしたのかという事を知るための一冊と言えます。 最近の安保法制や集団的自衛権については色々とニュースに出ていますが、なんというか1945年から2015年までの間を飛ばしているので、いろいろと飛躍しすぎでわけがわからなくなっています。 本書は、アメリカの核の傘の下に守られた1980年代と核軍縮、冷戦終結後の核・ミサイル技術の拡散について最初に語られているので、冷戦期からの対立構造の変化というのを理解しつつ現在の東アジアの安全保障について理解しやすいのではないかと思います。 また、サブタイトルにもある通り、技術の変化がもたらした多国間のネットワークが安全保障をどのように変化させたなど、わかりやすく説明されています。 報道などで細切れに伝えられる内容ではなく、全ては繋がっているというのを知るには良い一冊であるともいます。
2投稿日: 2015.10.12
ダンジョン飯 1巻
九井諒子
HARTA COMIX
ある意味日本人らしい発想?
馬鹿なくらい真面目に食材としてのモンスターと向き合う。 「あるある」と思いつつも「ここまで考察して」という良い意味での馬鹿馬鹿しさで笑ってしまう作品。 なんか、日本人と海産物の向き合い方を考えれば、こういうネタは考えるよなぁ。 フグを食らい海藻から寒天を作り、そうやっても食えない魚から唯一最適解の調理法を生み出す。 うん、モンスターどのように食材とするかってのと通ずるものがあるかも。
0投稿日: 2015.04.02
火星鉄道一九
谷甲州
中公文庫
日本ハードSFの名作。しかし…
すでにハヤカワ文庫版で何度も読んでいる名作です。 惑星間の距離と時間、限りある推進剤に相対速度。そこに派手な盛り上がりはないが、あまりにも過酷でシビアな状況だからこそ淡々と進められていく戦闘シーンは、谷甲州の真骨頂といえます。 本作は連作であるために気を張らずに読むことが出来るので、航空宇宙軍史シリーズの入門編としても良いでしょう。 しかし、電子書籍版については致命的な欠点があります。 それは図面などが読めないという事。 軌道や惑星の位置、宇宙船の行程など文だけではわかり難い所を図にしているので、本来は「こういうことなのか」と理解しながら読むことが出来たのですが、この解像度があまりにも低く図に書いている内容が潰れて全く読めないという事です。 また挿絵もサムネイルレベルで全く意味がない状態。 本来なら胸を張って人に薦められる作品ですが、この欠点があまりにも大きすぎるので、ちゃんと読みたいなら文庫版を探せと言わせていただきます。 出版社側には、この箇所の修正を切望するかぎりです。 *追記 イラストや図版のサイズが小さいことについて、お聞きする機会があったのですが、電子書籍版が出た頃は、現在のような高解像度のタブレットではなく携帯電話のため、現在のレベルで見ると解像度の低いものになっているとの事でした。
3投稿日: 2014.12.21
