自分が大人になったからなのでしょうか。 吉田戦車といえば不条理マンガの第一人者で、｢感染るんです｣｢ぷりぷり県｣が好きだった私としては、まさか吉田戦車で泣く日がくるとは思わなかった... もちろん泣かせようというマンガではなくて、相変わらず不条理に展開される日常で笑わせてくれるマンガなのですが、そのエピソードや行動に人や動物や物や、とにかく登場するすべてに対する愛情が感じられるのです。 やっぱり自分が大人になったのだと信じて、明日の朝はおかゆにします。

登場人物のひとりひとりが魅力的です。 将棋の世界を中心に話は展開されますが、将棋を知らなくても大丈夫。棋士という人間の魅力がひしひしと伝わってくる作品です。愛すべきキャラも多く登場します。 読んだあとは実在の棋士について知りたくなり、その次には将棋とは何かを知りたくなる。子供のころはただの雨の日の遊びだったのに、こんなにも奥深いものとは。 やることないなー、と思っている方は一度読んでみて下さい。老後までの趣味を手に入れるきっかけになるかも知れません。

あのころ感じていたはずのワクワクを呼び起こしてくれました。 あきらめて当然だと思っていた将来の夢を、今からでも遅くないと応援してくれる作品です。 もう一歩先の目標を目指してみよう、そんな方々には特にお勧めします。