等伯(下)
安部龍太郎
日本経済新聞出版
等伯の生涯(上下巻を通して)
波乱の生涯だった等伯。戦国時代の武士の気風をもった絵師として、男として絵に生きた生涯。 水際で周囲の協力や自身の天性の才能に身を助けられながら狩野派との確執を乗り越えて最高の絵師として認められていく。 何かに打ち込み情熱を燃やして生きる様は、平凡なサラリーマンにも何か語りかけるものはある。 等伯の成長とともにあった絵を見たくなる。
0投稿日: 2014.08.02等伯(上)
安部龍太郎
日本経済新聞出版
絵師の出世物語(上巻の感想)
上巻を読んでの感想です。 長谷川信春が既に絵を職業としていた頃からさまざまな困難を乗り越えて世間に名を広めていく活躍の物語。 絵の才能がもともとあった信春が経験とともに人物の心の中まで読みとった深みのある絵を描いていくことで評価されていく。 戦国時代の死ととなり合わせの中で必死に絵師として生きていく姿は読む者を引きつける。長編だが読みやすく一気に行きそう。 欲を言えば絵との出会いから絵師への階段を上る少年期も書いてほしかった。 凡人としては、凡人から大成への飛躍感がもっと見えると読み手の勇気を誘うのだが。
1投稿日: 2014.07.21世の中を良くして自分も幸福になれる「寄付」のすすめ
近藤由美
東洋経済新報社
寄付にはいろいろ
いろんな寄付の形態があり、具体的な事例・実際に寄付している人を紹介している。 寄付や社会貢献に興味のある人は読んでみると幅が広がるかも。 寄付は心(気持ち)だと思うので何にいくら寄付するか、それをすることで何かが変わる実感が湧けば遣り甲斐(幸福感)は得られる。 体を使ったボランティアでなくても、はじめの一歩としての寄付はありだと思う。
1投稿日: 2014.07.09春を背負って
笹本稜平
文春文庫
年齢関係ない青春を生きる人たち
山小屋(山)を舞台にした人間模様をいくつかのストーリー仕立てにしている。 読みやすくストーリーごとに人の心の暖みを感じることができる。 辛いことが多い下界だが山ならではの非日常の中での物語。主人公の成長とともに自分も少し成長できるたような気がする。 読み終わってすがすがしい感じのする一冊。 映画も鑑賞は少し内容が違うがこれは映像として山を感じ本とは違った気持ちいい後味が残った。 是非本と映画の両方を味わってほしい。
1投稿日: 2014.07.09樅ノ木は残った(上)
山本周五郎
新潮社
日本人ならでは自己犠牲的満足感か
3巻読み応えはあったが一気に読め愉しめる良書。歴史の事実はさておき、原田甲斐の伊達62万石を守るための忠義、そしてもう一つ自分の内側にある守るべき思い、それは自己犠牲を払ってでも自分の志を遂げようという日本人の強い心模様に感じた。 守るべきもののために周囲の犠牲、自分自身の犠牲も省みずに誰に評価されるわけでもない自己満足と藩を守るという思い。幕末の志士もそうであったようなドラマを見た。 日本人の凄さと志のためにそこまで自己犠牲を払う危うさをも感じる。
3投稿日: 2014.07.02あした死ぬかもよ?
ひすいこたろう
ディスカヴァー・トゥエンティワン
「今を生きる」理想の生き方
いつ死んでも悔いのない人生だったと言えるために今やるべきことは? 所詮この世で起きることはすべて些事と思えば気は軽くなる。 だったら冒険して後悔しない生き方をしたほうがいい。共感できる内容ばかりで前向きにさせてくれる。 ここまで楽天的に考え実践できれば素晴らしい。 さて実際こんなふうにできるか・・・
3投稿日: 2014.06.03働きながら、社会を変える。 ― ビジネスパーソン「子どもの貧困」に挑む
慎泰俊
英治出版
社会を変えるのは小さな一歩から
社会貢献に関心を持ち読んでみました。著者の社会貢献へ踏み出すきっかけから一歩を踏み出した後までが読みやすく書かれている。 経済大国、最先進国の日本にあってもこのような劣悪な環境で暮らす子供がいるのか、それを支える善意の大人も心と体を削って厳しい環境で生きている。 普通に生活していると気付かないでもすぐ身近にある現実を考えさせられる。 日本にも世界各地にも公平に生まれ生活できる世界はない。多くの不幸も小さな一歩から何かが変えられるかも知れないと思った。
1投稿日: 2014.05.31冬の鷹
吉村昭
新潮社
解体新書の制作過程と対照的な2人
解体新書と言えば杉田玄白が思い浮かぶが、実際の翻訳はほぼ前野良沢だった。 医学と自信の発展を望む杉田玄白、対照的に出世欲は無く完璧主義で蘭学研究に没頭する前野良沢。 西洋医学を日本に紹介した当時は革新的な医学書の制作過程と2人のその後の生涯を通し、その時代、生き方を見せてもらった。 教科書での1行程度の知識がこの本を読むことでその背景が伝わってきた。
0投稿日: 2014.03.27嫌われる勇気
岸見一郎,古賀史健
ダイヤモンド社
生き方を考えさせられる一冊
嫌われることを恐れない勇気、すべての悩みは対人関係の悩みである、他者の欲求を満たすために生きているのではない、など今までぼんやり思っていたようなことをクリアに気付きを与えてくれる。 アドラーのことは全く知りませんでしたが、読みやすいので一気に読めてしまう。振り返りいくつもの「哲人」が放つKeyワードをスマホにメモしました。 すべてを自分のものとして実践するのは難しいですが、理解という枠組みを超えて納得できる哲学です。 これからKeyワードを反芻して自分なりに幸せになるための「導きの星」を実践したいと思います。 読めば必ず考えさせられる損のない一冊です。
32投稿日: 2014.03.10この命、義に捧ぐ 台湾を救った陸軍中将根本博の奇跡
門田隆将
角川文庫
歴史認識を変えた一冊
中国と台湾の関係 そこに日本人がどうかかわっていたのか読むまでは分からなかった歴史を知ることができた。 台湾人が親日であることの一面であるのか。 日本人は過去の歴史を以外に知らない。 現代では失われつつある忠義に生き貫いた男のドラマ。
5投稿日: 2014.03.08