
疫病神(新潮文庫)
黒川博行
新潮文庫
浪速版「ダイハード&24」
金の匂いに群がってくる人間は恐ろしいですね。軽快な大阪弁やテンポと明るさで救われますが、ろくな人間が出てきません。完全なピカレスク小説ですね。映画化すると面白そう!
1投稿日: 2015.04.14
羆嵐
吉村昭
新潮社
吉村さんの傑作です。
巨大な熊が集落を襲うとどうなるか?その恐ろしさ、人間の無力さが抑制された筆致を積み重ねて、恐怖が伝わってくるほどの迫力がありました。傑作です。
0投稿日: 2015.02.13
資本主義の終焉と歴史の危機
水野和夫
集英社新書
そもそも、資本主義はやめたり、始めたりできるのでしょうか?
資本主義は行き詰まっていると思って本書を読みましたが、少し考えが変わりました。資本主義は民主主義と生活の向上を導くものという考えが、変質しているのです。国家を使用人としてしまった強欲な資本主義は、シェール革命により交易条件を改善し、したたかに延命しているのではないでしょうか。気になったことがあります。従来、資本主義が終焉する状況として、筆者は資源価格が規定する交易条件の悪化を重視していましたが、本書では殆ど触れていません。それはどういう理由でしょう。
0投稿日: 2015.01.25
女子高生の裏社会~「関係性の貧困」に生きる少女たち~
仁藤夢乃
光文社新書
ハートの熱いルポです。
女子高生が裏社会に取り込まれている実態が、現場に入り込んだルポによって、リアルに明かされます。貧困や関係性の欠如など問題点が述べらますが、ごく普通の女子高生が巧みに性産業に取り込まれる実態はショックです。本論ではありませんが、危険ドラッグの流通経路や消費に関わる対象が一般人化しているそうです。格差社会の進行とともに、裏社会に取り込まれる一般人が増え、日本社会が不穏になっていく兆しを感じます。
1投稿日: 2015.01.15
僕だけがいない街(5)
三部けい
ヤングエース
子供たちの世界が活き活きしています。
小学生仲間の交流シーンが多く、心癒されました。加代ちゃんとの会話は、宝箱のように煌めいています。物語は大詰めですね。あの鋭い母親が、第1巻で犯人の顔を中々思い出せなかったので、このエンディングはミスリードでしょうか?とすると他に誰?なまら、ここで終わりはないっしょ!したっけ、次巻をすぐに出してください!
4投稿日: 2015.01.05
3月のライオン 2巻
羽海野チカ
ヤングアニマル
いい作品に出会えた予感
2巻に入って物語としての流れが見え、いい作品に出会えた予感が持てました。プロ将棋の厳しさも描かれましたね。丁寧で繊細な運びにリアリティーがあります。でも、零は、まだ高校生というのに孤独が深いですねぇ。これだけ繊細なので、あかり姉さんやひなたちゃん、親友(?)の二海堂くんが登場するシーンでは心が救われます。
1投稿日: 2014.12.10
3月のライオン 1巻
羽海野チカ
ヤングアニマル
これからの展開に惹き込まれていきます。
登場人物には家族を失ったことによる喪失感と飢餓があります。親戚の嫌な部分を知ってしまったことや他人の家で育てられる居心地の悪さ、三姉妹と猫の家に受け入れられる居心地の良さとか、心の部分を丁寧に描いています。お姉さんが玲を受け入れるくだりは唐突で不自然です。でも、明るく優しいお姉さんの心にも傷があるからでしょうね。作者はなぜこのテーマを描いたのでしょう?繊細な感受性に痛みすら感じます。
1投稿日: 2014.12.09
空飛ぶタイヤ(下)
池井戸潤
講談社文庫
ベストセラーの方程式!
突如襲いかかる困難。切り抜けたと思ったら、輪をかけた災難。ピンチをチャンスに変えて攻め込むと、鬼のような逆襲にあう。このパターン展開から目が離せません。小が大を制し、雑草がエリートをやり込める。正義は最後に勝つ!構図は決まっていますが、読後の爽快感はいつも新鮮です。登場人物のリアルさにも感心しました。ベストセラーの方程式は、この作品で既に完成しています。
1投稿日: 2014.08.27
空飛ぶタイヤ(上)
池井戸潤
講談社文庫
池井戸潤さんの初期作品
感想は下巻にて。ただ、ストーリーテラーとして、既に一流です。
2投稿日: 2014.08.27
