
ロスジェネの逆襲
池井戸潤
ダイヤモンド社
ドラマを見てファンになった方は必読
半沢直樹の爽快感がたくさん詰まっていて、満足度の高い作品です。 個人的には、半沢直樹の中で一番良かった作品で、皆さんの期待も裏切らないでしょう! 子会社に出向した半沢直樹が、理不尽でなんともし難い組織である銀行に対して、信念を持って戦ってくれます。 私達が普段、上司や組織に対して、言葉にせずとも常に心の底で感じている事を、半沢がズバッと言ってくれるので、思わず「よく言った!」と心の中で叫んでしまいます。 また中小企業のような、リアルな現代に生きる人の姿と人間関係が描かれており、読者に対して、”会社とは何か”、”働くとはどういうことか”、 最終的には、”どう生きるのか”を問いかけているように思えます。 これが、ただ半沢がぶった斬る爽快さだけじゃない奥深さを 作品に加えているからこそ、これだけ多くの人に愛されるのではないしょうか。 最後は、ちょっと涙腺が緩くなって、涙してしまいました。 しかし、このシリーズを読んで本当に関心するのが、主人公・半沢直樹の描かれ方。 あまりやり過ぎれば、独善的で嫌なやつとも受け取られかねない、志が高くぶれない半沢を、ここまで素直に読者に受け入れさせ、完全に味方にしてしまうのは、キャラクター設定が秀逸なのだとしか言いようがありません。 その生きる姿がかっこ良く、 自分に置き換えてみて、ちょっと溜息をついたり・・・。 「まぁ、こうありたいけど、実際には絶対に無理だよね」、 結局はそう思ってしまいますけどね。 テレビドラマの続編が制作されるかは、現時点ではわかりませんが、 そうなることを願って、それまでの繋ぎとして読んではみては如何でしょうか? 半沢ワールド、最高です!
67投稿日: 2013.12.20
微睡みのセフィロト
冲方丁
ハヤカワ文庫JA
映像作品を見終わったような満足感
比較的、短い作品なのですが、中身は非常に濃密です。 冲方さんの初期作品ということもあって、少々荒削りの部分は見受けられるものの、その後の作品にも共通する緻密な世界観やキャラクターで物語を盛り上げてくれます。 この短さで、アイデアをこれだけぎっしりと詰め込めて、最後でよく纏められたなぁと感心します。 読み終わった後は、映画のような映像作品を見終わったような満足感がありました。 この作品は、その後に出版されることになるマルドゥックや天地明察へとつながる原点的な作品なので、SFハードボイルドが好きな方はもちろんのこと、それらを読んで冲方丁ファンになった方には特にオススメだと思います。
4投稿日: 2013.11.17
軍医が見た戦艦大和 一期一会の奇跡
祖父江逸郎
角川書店単行本
自分の弱さ、小ささを恥ずかしく思わざるを得ませんでした
現代の平和な時代に生まれ育った自分には想像も出来ないような環境の中で、大変な使命感を持って医療に従事しておられた事を考えると、敬服するしかありません。 戦時の中、辛い、悲しい思いなど数えられない程されたと思いますが、それらを体全体で受け止めて、前を向き、自分の使命にする強い意志を感じ取り、自分の弱さ、小ささを恥ずかしく思わざるを得ませんでした。
1投稿日: 2013.11.14
光圀伝 電子特別版 (上)
冲方丁
角川書店単行本
義を重んじ、熱く逞しく生きた光圀の全生涯
私の中で水戸光圀といえば、ドラマ水戸黄門の穏やかなイメージがあまりにも強かったので、冒頭からの光圀の激しさに度肝を抜かれてしまいました・・・。 主人公の光圀が活き活きと魅力的に描かれているのは当然ですが、他の登場人物も大変魅力的に描かれていて、物語を豊かなものにしています。 長い作品ですが、登場人物の魅力でグイグイ引っ張っていく、そんな印象です。 光圀は長く生きたため、何度も別れを経験しなければならなかったのですが、特に妻である泰姫との別れのシーンには、涙をしてしまいました。 義に生きる、という光圀の変わらない生き方は、そんな辛い別れがあるからこそ、更に意味のあるものとして読者に印象付けられます。 変わり行く時代の中で、数々の出会い・別れ、葛藤を経験しつつも、変わらず最期まで熱く逞しく生きた光圀の全生涯。 読み応え十分の大作です。
14投稿日: 2013.11.11
天地明察 上
冲方丁
角川文庫
自分の信じた道を、真っ直ぐに、最後まで、進んだ晴海を尊敬します
主人公の渋川晴海は実に謙虚で傲った所が全くないです。 実直で、真面目人間そのもの。 本職である碁打ちをしながら、算学を独学で学び、改暦の事業にも乗り出す。 しかも、凄いのがどれも手を抜く事なくちゃんとこなしていること。 何度か大きな失敗や挫折、悲しみを迎えても、必ずそれを乗り越え、更に大きく成長していく姿は頼もしいです。 晴海の親しみやすいキャラクターもあって、読者は応援せざるをえません。 話の登場人物として随分色を加えている部分はあるのでしょうが、このような人物が実際に日本に存在したのだと知って驚くと同時に、日本人として少し誇らしげな気持ちにもなりました。 自分の信じた道を、真っ直ぐに、最後まで、進んだ晴海を尊敬します。
35投稿日: 2013.11.11
清須会議
三谷幸喜
幻冬舎
こういう世界を描かせたら三谷さんの右に出る者はいないです
歴史を題材にしていますが、現代風のタッチでコミカルに描かれるので、全く堅苦しくなく凄く読みやすいです。 歴史好きならもちろんの事、そうでない人でも存分に楽しめる、万人向けの時代劇エンターテイメントになっています。 話は、歴史上の人物が胸の内を独白するという形で進み、それぞれの本音を読者にさらけ出していきます。 欲望や嫌悪、後悔といった様々な感情が、バラエティ豊かな登場人物達によって包み隠さず吐露されるので、”抜け目ないな~”とか”コイツは本当にお馬鹿だなぁ”と読んでいて楽しくなります。 その描き方やバランスが本当にうまく、どんどん物語に惹き込まれていきます。 こういう世界を描かせたら三谷さんの右に出る者はいないです。面白かった~。
63投稿日: 2013.11.11
限界集落株式会社
黒野伸一
小学館
やっぱり日本の農業には頑張って欲しい!
少子高齢化で過疎化が進む集落を再生していくお話です。 登場人物のキャラ設定がはっきりしているので、ドラマを見ているかのように、彼らのやり取りに違和感なく入り込めます。 過疎化の進む村での問題点も知ることができたので良かったです。 話はテンポよく進み、最後はハッピーエンドなので、読み終えた後が気持ち良かったです。 確かに、「現実はこんなにうまくいくかなぁ」と思う部分もあるのですが、 そうであって欲しいと願わずにはいれません。 最近、政府は、日本の農業を強くすると声高に言いますが、 産業として農業を発展させようとし過ぎて、この本で描かれているような、純粋な人々の優しさや暖かさ、繋がりを絶対に損なわないで欲しいと心から思いました。 日本の農業頑張れ。
23投稿日: 2013.11.11
はなとゆめ
冲方丁
角川文庫
国語の授業ぶりの清少納言は大変魅力的だった
清少納言といえば、どうしても国語で習ったイメージがあって、少し取っ付きにくいかな、と心配だったのですが、それは全くの杞憂でした。 物語は、清少納言が語りかけるようにして展開していくので大変読みやすく、テンポも良いので、さっと読めます。 世界観も、あまりにも込み入って説明がましくならないように、丁寧に無駄をそぎ落とした印象です。 冲方丁さんの描く清少納言は、凛としていて、美しく、大変魅力的です。彼女の内に秘めた強い思いは、心打つものがありました。
13投稿日: 2013.11.10
