
真月譚 月姫(4)
佐々木少年,TYPE-MOON,「真月譚月姫」製作委員会
電撃G'sマガジン
シエル先輩大活躍
調査がメインの前巻から、いよいよ始まる後半戦。 序盤からあの人が自分の能力をこれでもかと使っての戦闘回です。 これ原作では使われてたっけという設定も含んだ、愛のこめられた描写が盛りだくさん。 檻髪は格好いいなぁ…! そんな恰好いい戦闘描写に目がいっていまいますが、伏線も依然としてばらまかれています。 たとえば志貴が見る夢。 よく見てみると……ね? そして原作組もびっくり、かつ大歓喜間違いなしの最後の戦闘。 何一つ無駄がない、完璧な仕上がり。 すごい…感動しました…。 この引きで終わりだなんて、次巻を読むのを止められるはずがない…! 最後に、表紙こそ翡翠と琥珀ですが、この巻はシエル先輩の魅力で溢れまくりでした。
1投稿日: 2016.06.27
冴えない彼女の育てかた
丸戸史明,深崎暮人
富士見ファンタジア文庫
完全に作者買いでした。
ーーー有り体に言えば。 エスティは、丸戸史明の文章がどうしようもなく好きなのだと自覚させられたのだった。 この作品を読もうとしたきっかけは、AnimeJapan2016でソニーが「加藤恵Project」なるものを出展したことです。 なんかソニーが面白いことをやって…あれ…この作者の名前どこかで見たような…。 こ、こんにゃくの人だー! (※この青空に約束を というゲームの愛称。VITA版をプレイしました) こんにゃくで泣かされたからには、読まねばなるまい。 そしてやはり面白かった。 主人公の周りに複数の美少女がいるというのはラブコメの定番ですが、最も大事なことはその環境に納得できるか否かだと思います。 この作品も例に漏れず美少女が出てきますし、普通に考えたら「おかしくない?」と思える内容が違和感なく構築されている。 すごいぜ丸戸先生。 1巻として、綺麗に終わってはいます。 ですが、この作品…というかこの作者の魅力はキャラが個性を主張しだしてから。 そう、まだまだ導入部でしかないのだよ…! 新刊が待ちきれないから丸戸氏が関わった他のゲームを買い漁ろうと思います。 VITAっていいハードだなぁ。 そうそう、イラストの深崎さんも丸戸先生主戦場で活躍されてる方でして。 この透明感のある瑞々しさはとても魅力的です。 1巻の注目ポイントは太もも。
0投稿日: 2016.06.21
終末なにしてますか? 忙しいですか? 救ってもらっていいですか?
枯野瑛,ue
角川スニーカー文庫
世界の終末にむけて
タイトルで手に取るか止めるかを悩みましたが、いざ読んでみたら好きな作品でした。 そのあたり、タイトルで損をしているような気がしないでもない。 さて、本作は書籍説明にもあるように、数百年の眠りから覚めた青年が主人公です。 世界が終末に向かっていく、少女が終末に向かっていく、そんな終末に青年が目を覚ました。 言ってしまえば、それだけの物語。 それでもこの作品に惹かれたのは、豊富な心情描写。 そしてその背景がしっかりと書かれていて、納得できる、感情移入できる。 圧倒的な絶望、それでも希望を信じたくなってしまう、それほどの物語。 綺麗な締め方だったので、この1冊で終わってもおかしくはない作品です。 まずは読んでみて、複雑な余韻を味わえたなら続きを手にしましょう。
2投稿日: 2016.03.28
亜人(1)
三浦追儺,桜井画門
good!アフタヌーン
亜人と、亜人の認識と、主人公と。
死んでも死なない「亜人」。 亜人と認識された瞬間から人間というカテゴリから外されて、実験動物としか思われない世界。 1巻では亜人の謎はそのままに、主人公の逃避行をメインに描かれています。 伏線は数多く張られていますし、主人公の思考が人間離れしていくのも見どころですが…。 一番の魅力は「絵」。 迫力、スピード感、背景、表情、全ての要素がその場の空気をこれでもかと伝えてくる。 夢中になって読み終わっちゃいますが、情報量が多くて何回も読んでしまう。 今後の展開に期待できる1冊です。
2投稿日: 2015.11.06
四月は君の嘘(3)
新川直司
月刊少年マガジン
旅の準備と、旅の第一歩
コンクールに向けての公生の苦悩と、その周りの人物たちにスポットがあたる3巻。 今までに登場した現在に加え、新しく登場した人物のなんと魅力的なことか。 彼らの様々な想いが、公生に影響を与えてくれていたらいいな、と思いました。 さて、悩める主人公である公生ですが。 そんな彼に言ったかをりの台詞が3巻での一番のお気に入りです。 具体的には131ページの、たった8文字。 このたった8文字の破壊力。 苦しい時にはときどき思い出して、自分自身も救われています。
6投稿日: 2014.12.13
コンプレックス・エイジ(1)
佐久間結衣
モーニング
コスプレという世界を如実に表す
コスプレイヤーと呼ばれる方たちがいます。 その目的は人それぞれ、千差万別ではありますが。 この物語は、アニメのキャラに成りきろうとする女性が主人公です。 タイトル通り、コンプレックスが主題。 どうしようもならない葛藤、焦燥、砕け散る価値観。 コミカルな描写も多いだけに、そういった感情が際立ちます。 個人的には、布に消える給料とか突発作業とかスタジオ撮影代とか、 レイヤーあるあるネタが大変面白かったです。 実際のレイヤーさんほど共感できるんじゃないでしょうか。 なお、巻末の用語集はコスプレ初心者に向けて。 巻末には、読み切り版コンプレックス・エイジ。 コンプレックス・エイジという名前に相応しい内容ですが。 こっちのほうがキツかった…です…。
2投稿日: 2014.11.29
四月は君の嘘(2)
新川直司
月刊少年マガジン
さあ、旅に出よう
自由なヴァイオリニストに引きずられる形でコンクールへ参加することになった公生。 2巻はコンクールが終わって、その余韻までを丁寧に描いています。 何と表現したものか非常に悩ましいのですが、皆さまにも経験はあるでしょうか。 とある境界を超えると、視点が変わって急に世界が広く感じられる独特の感覚を。 勉学であったり、スポーツであったりと人それぞれだとは思うのですが、それと同じものを感じました。 特に最後のシーンは、その葛藤や高揚をとてもよく表現しているシーンだと思います。 読んでいるこちらまで心情が使わってくる、素晴らしい描写でした。 こうして旅への一歩を踏み出した公生。 垣間見た景色を胸に抱き、3巻へと続きます。
10投稿日: 2014.10.13
ダブルアーツ 1
古味直志
週刊少年ジャンプ
巻末の短編こそ読んでほしい
ニセコイがヒットした古味先生の初連載作品。 だがしかし、打ち切りによって何もかもが中途半端な状態で終了。 面白かったし連載時は続きが気になっていた作品の一つなので、すごく残念です。 けれど、この1巻の本当の魅力は、受賞作品である短編の「island」が収録されていることです。 短編ゆえの凝縮された無駄のない構成、希望と絶望の入れ替わりと感情移入しやすい描写。 そして心を揺さぶる、温かい言葉。 この漫画の終わりは始まりでもあり、続きを読めない寂しさと彼女らの希望に満ちた未来がとても心地よい。 読後は、子供の頃の夢ってなんだったかなぁ…と昔を思い出して懐かしむのもまた楽しみの一つです。
1投稿日: 2014.06.26
魔人探偵脳噛ネウロ モノクロ版 1
松井優征
週刊少年ジャンプ
謎と、謎を生み出す人間と。
美味しい謎を求めて地上へと舞い降りた魔人と、利用された女子高生の探偵物語…探偵? この漫画の魅力を一言でまとめると、意外性だと思います。 被害者が殺される描写、犯人の本性などは誇張されているのですが、そのレベルが。 トカゲを誇張してワニがくるかなーと思ったらゴミ回収車が来た、くらいの斜め上。 ドーピングコンソメスープは連載時にネットでちょっとした話題にもなりました。 表立った魅力はその意外性と随所に混ざっているさりげないネタの数々。 けれど23巻も続いた理由としては、芯に人間の感情が入ったキャラの存在ではないかと。 犯人を含めて誰もが芯を持っているし、それを軸に物語は進んでいく。 そして謎にしか興味が無かった魔人も徐々に…。 1巻は序盤ながら魅力が詰まっているので、興味があったらとりあえず手に取って頂ければ。
0投稿日: 2014.05.27
透明人間の作り方
増田英二
週刊少年チャンピオン
(他人の認識から)透明になるということ
作者の他の作品が好きになったので、完全に作者買い。 そして本作も当たりでした。 余韻を残す作品ばかりで本当にありがたい。 今作では物理的にではなく、他人からの認識が透明といった意味での透明人間の物語。 けれどテーマは気持ちの持ち方になります。 他人から自己が消えていく恐怖。 自分から何かが消えていく喪失感。 何もかもを失っていく中で気付いた一つの想い、けれどもう伝えることができなくて。 158ページの表情が、切ないけれど暖かくてお気に入りです。 結末は読んで確かめてもらうとして、やっぱりこの作者さんはいい表情を描くなぁと。 心の中にすんなりと感情が落ちてきます。 あ、最後まで読んだらぜひ違う視点から読んでください。 それにより最後のおまけ2ページがより色づきます。
2投稿日: 2014.05.27
