
神様の裏の顔
藤崎翔
角川文庫
ほんとうの裏の顔は・・・?
横溝正史ミステリ大賞を取ったという事で購読したが、 大変面白く作品に引き込まれ一気に読んでしまった。 物語は、生前神様のような人だと言われていた人の通夜があり、 そこに参列した人々の各々の回想・心情が一人称による手法で 書かれており、新鮮味さを感じた。 そして、時が進むに従い題名にあるよう故人の裏の顔が次々と 暴かれていくのだが、はたしてそれは真実なのか・・・それとも そして、驚愕のラストへとほんとうの裏の顔が・・・。 アッ・・そういう事なのかと思う瞬間であり、 そして、もう一度読み返そうと思ってしまう。 当作家の作品を又、読みたいものである。
0投稿日: 2018.09.04
あなた
赤川次郎
角川文庫
「男の悲哀」を感じる短編
ある事件を起こし、女の「あなた」と呼びとめる声を振り切り、 故郷を後にした男。そして40年という歳月が過ぎ、ホテルのオーナとして再び故郷に戻ってくる。 生きる活力を失いつつあったが、過去に女と別れた場所(吊橋)で とある少女と出会う。いつしか愛するようになり、新たな希望・ 活力を得、生きる喜びを感じる。しかし、再び「あなた」という声を聴き、過去との因縁をはたと前にする。 はたして、少女との愛の行方は過去とのつながりは・・・ 過去に葛藤を抱えた男の心情が、田舎町の描写と共に見事によみがえった短編小説である。印象に残る書であり一気に読み切った。
1投稿日: 2016.05.09
神と野獣の日
松本清張
角川文庫
運命の時、人は野獣と化すのか?
「同盟国である亡国より東京に向かって、核弾頭ミサイル5発が誤射 されたとの情報が政府官邸に届く」との冒頭シーンから物語が始まる。 威力は広島原爆の500倍・残された時間はあと1時間余り 政府の対応は、国民に知らせるのか否か・・・ 5発のミサイルは、洋上にて全て撃破されるのかそれとも・・・ 東京都民1千万人の運命は・・・ 極限状態に置かれた時、人はどのような行動をとるのか・・・ 理性は愛は存立するのか、それとも野獣と化すのか・・・ そして、運命の時が刻一刻と迫ってくる・・・ はたして、生き延びる事が出来るのか。 ハラハラ・ドキドキ、展開の面白さに、一気に読みきった。 清張といえば社会派小説ばかりかと思いきや、SF小説も執筆して いたとは意外であった。秀作である。 1973年初版発行されたのだが、昨今の時世に於いては、 現実味を帯び、ひょとすればとの危惧が頭をかすめる。 貴方なら、その時どう行動するのかと問われている様である。
1投稿日: 2015.11.10
鉄道員(ぽっぽや)
浅田次郎
集英社文庫
泪がとまらない
映画化された表題作『鉄道員』を読みたくて購入した。 もちろん感動的でうるうるで泪が止まりません。 その他、特に印象深かったのが『ラブ・レター』であった。 異国の地で働く売春婦の話であるが、死期がせまりある男性に ラブレターを送るのであるが、はたしてその男性とは・・・ 読むほどに、泪が止まりません。 感動のラストシーン、心が洗われる思いです。 その他の作品もどれも感動的で、泣きたい方にはうってつけ!!
0投稿日: 2015.04.09
夜の床屋
沢村浩輔
東京創元社
異次元ミステリー・意外なる結末
大変、おもしろかった・短編全7編の推理小説かと思いきや、 異次元のミステリー小説であるというべきか、 どの短編もメルヘン的で、おとぎの国のミステリーの様である。 そして、一瞬唖然とする結末が待ち受けている。 これは短編小説では無かったのか・・・驚愕の瞬間である。 各々、関連性の無い短編が見事に融合し、長編に変わったのである。 次回作に期待したい。
3投稿日: 2015.02.17
