
終着駅(ターミナル)殺人事件~ミリオンセラー・シリーズ~
西村京太郎
光文社文庫
あなたの親友は、本当の親友ですか?
作者本人も以降これほどの規模の作品は書いていないんじゃないか、と思われるくらいの壮大なストーリー、読み応えありまくりの作品です。 青森から上京し、東京で生きる高卒・元同級生七人組の同窓旅行中に起きる仲間内での不可解な連続殺人、人探しに上京して来た郷里青森の旧友との再会を喜ぶ亀井刑事、青森という土地以外に全く接点がないと思われた二つの出来事が、実は意外なところでクロスオーバーし、最後にはそれが壮絶な結末を招く! ちなみにこの作品のテーマを自分なりに表現するならば「親友の真の顔」といったところでしょうか。 読者諸賢、あなたの友人の「真の顔」を知っていますか?
2投稿日: 2016.08.12
ふらいんぐうぃっち(4)
石塚千尋
別冊少年マガジン
魔女養成のプロセス、本格始動!?
魔女協会・真琴の担当「指導員(?)」アキラ氏なる人物登場。夜中に真琴を呼び出し面談を行います。 魔女の養成ってこんなふうに…というほどには現段階では詳しく描かれていませんが、次の5巻以降では、徐々に魔女養成のプロセスなんかも描かれていくのでしょうね。期待大ですっ! 今回は「浜辺兎」という異世界生物(?)新登場。海の安全やマナーに強いこだわりを持ち、夜中に浜辺で遊んでいる真琴と犬養を叱ったり、倉本家で千夏としょーもない対決ごっこを、けっこうムキになってしたり。ある意味愛嬌のある、一家に一匹ペットとして飼ってみたい珍生物です。 今回は夜中に人間体に戻っている「美人の犬養さん」の運転シーンが見られます。ちなみに、次の運転免許の更新手続きまでに、きちんと人間に戻れているのでしょうか?(手続きは昼間しかできないヨ!)
2投稿日: 2016.08.03
にっぽん怪盗伝 新装版
池波正太郎
角川文庫
池波流「ヤラレ役」の美学!
犯行の一部始終が現在進行形でドキュメント感たっぷりに描かれているもの、過去に犯した犯罪の「業」や「報い」が思わぬ形で自分に巡り戻ってきた盗賊の苦悩を描いたもの、盗賊としてのプロ意識を忘れてしまったために自滅に追い込まれた盗人の悲哀を描いたものなど、世に出ている一般的な捕物帳作品にはみられない、「ヤラレ役」である盗賊たちの姿が赤裸々に描かれている作品集です。 ちなみに、この作品には一般的な捕物帳作品で主役としてえがかれるような「警吏」の活躍シーンは、各エピソードのラストシーンで主役の盗賊たちの「末路」にかかわるシーンを除いてほとんど出てきませんので、もしかしたらビギナーさまには物足りなく感じることがあるかもしれませんが、普段ヤラレ役に甘んじている彼らの生々しい姿が感じられると思います。
1投稿日: 2016.08.03
ふらいんぐうぃっち(3)
石塚千尋
別冊少年マガジン
ぜひ行ってみたい!魔女の喫茶店!
東北魔女参戦第二弾!不思議な喫茶店「コンクルシオ」経営者・椎名母子、そしてキュートな幽霊店員・ひなちゃんの登場です! コンクルシオの不思議な風習に、魔女のくせに一人うろたえまくる真琴に対しクールに応対する杏子。しかし、クールな態度ながらも決してイヤミさや生意気さを感じさせない彼女にはすごく好感が持てました。 ちなみに他作品などでは、杏子や石渡なおのようなキャストは真琴のような主人公に対し、嫌悪したり見下したり「対立関係」で描かれる場合がありますが、この作品シリーズではまったくそんなこともなく、各エピソード通して安心して読み進めることができます。 最後にツッコミ。 圭クンよ、確かに相手は幽霊とはいえ、あんなにキュートなひなちゃんのどこが怖いんだい? 茜ねえさんよ、あなたコンクルシオでどんだけ飲み食い(しかもツケで)してるんだ!
3投稿日: 2016.08.02
ふらいんぐうぃっち(2)
石塚千尋
別冊少年マガジン
犬養さん、おいしすぎるキャラです!
木幡姉妹以外の東北の魔女、本格参戦!第一弾は茜の親友・獣人魔女の犬養さんです。その素顔は、のんき者の男子高校生を萌えさせるほどの美人でありながら、茜を凌駕するほどの大酒飲み(悪酔い)!そして、ファーストコンタクトからちょいちょいかましてくれるギャグ(?)の数々。自分的にもぜひお友達になってほしい一人(一匹?)です。
1投稿日: 2016.07.15
ふらいんぐうぃっち(1)
石塚千尋
別冊少年マガジン
ごく自然なファンタジー
最近「ウィッチ」「魔女・魔法」系の作品が氾濫しているようですが、たいていはどぎついバトル系か異世界系のものばかりで、テレビアニメ作品では観るとしても、それ以上に没入する気にはならない。 それどころか、そんな作品にそろそろ飽きが来ている今日このごろですが、そんな中、自分の中では唯一「お金を払ってでも読みたい」作品です。 どこでどうやって縁付いたのか、魔女の家庭と親戚となり、そして普通に付き合っている倉本一家の寛容さ。初手からあれだけ驚かされ、振り回されても普通に親友になってしまった石渡なお。 この世界観は、かの有名な国民的ファミリー漫画など足元にも及ばないほどの秀逸ささえ感じます。既刊すべて購読済みですが、早く続編が読みたい!
1投稿日: 2016.07.07
八丁堀お助け同心秘聞 不義密通編
笹沢左保
祥伝社文庫
八丁堀お助け同心秘聞不義密通編
当時の法制や民政についてのリアルな解説や、物語結末の判決内容の詳細な描写は、数ある捕物帖に比べ優れている作品です。
1投稿日: 2015.09.21
