
ハサミ男
殊能将之
講談社文庫
第13回メフィスト賞 連続殺人犯が探偵
美少女連続殺人者「ハサミ男」が、犯行を計画し調査中であった3人目の犠牲者が、美少女連続殺人者「ハサミ男」の手口(ひもで絞殺しノドにはさみを突き立てる)により殺害され、その死体発見者になってしまった。 ハサミ男は模倣犯を突き止めるべく調査を開始する。 ハサミ男は、出版社に勤めるバイト君だが、何度も自殺未遂を行う自殺癖のある死にたい君で、そのたびに現れる厭味ったらしい医者に意見をされている。 そのハサミ男や刑事が本編の読者ミステリーマニア(私のこと)をミスリードしながら、最後に模倣犯である意外な真犯人にたどりつき、美少女連続殺人者「ハサミ男」は大どんでん返しの結末に・・・・ 最後まで読んであっと言って、この結末を前提に改めてもう一度読まなければ気が済まない今の状態です。
3投稿日: 2015.07.11
ナモナキラクエン
小路幸也
角川文庫
父が最後に言ったラクエン、父の目指したラクエンは
大学生の山(サン)、高校生の紫(ユカリ)、中学生の水(スイ)、小学生の明(メイ)、母の違う4人の兄弟姉妹、夏休み前長兄のサンに「楽園の話を、聞いてくれないか」といって亡くなった父、そしてその家族を取り巻く父の友人などの人達がおりなす、人を想う気持ちというものに暖かく感じることができました。すべての登場人物に悪い人がいなくて、いい人ばかりで・・・・こんな父もいないだろうし、その友人も・・と思うのは私だけかナ。 父の遺言から4人の母の所在を知り、夏休みの間にそれぞれ生みの母に会いに行くが、子供を捨てて家を出た理由はいずれの母の語らない。それはなぜか・・・ サンの恋人はるかさんのスタンスがよりいいですねえ。 ミステリーじゃないけれど、読み終わってこの本好きになりました。
4投稿日: 2015.01.15
推定脅威
未須本有生
文藝春秋
第21回(2014年)松本清張賞受賞作
自衛隊戦闘機の開発をめぐるサスペンス 領空侵犯した航空機を、スクランブル発進し追跡する自衛隊機が墜落した原因に不審を抱いた製作メーカーの沢本由佳技術員が、上司や当時の開発技術メンバー、自衛隊航空パイロットらの協力を得ながら、開発を巡る闇の部分を明かしていく。 航空機メーカーで戦闘機開発にも携わった経験があるという作者が、その専門的知識をいかんなく発揮した細かい描写に「ふーんさすがにネ」と感心してしましました。 素直に読み終える作品だと思います。
3投稿日: 2015.01.09
ビブリア古書堂の事件手帖5 ~栞子さんと繋がりの時~
三上延
メディアワークス文庫
五浦大輔くんに栞子さんの返事はいかに
前作で大輔くんが告白して完結したと思っていたが、新たな展開に次回作がまちどおしい これまでと同様持ち込まれた古書に関する謎解きを中心にに話は進んでいく。 ただ違うところは、その持ち込まれるなぞには栞子さんの母親篠川智恵子が裏で演出しているような影が見え隠れする。栞子さんは大輔くんに返事をするために、母親と話をする決意をする。 母親との話の内容は、そして大輔君への返事は・・・・ 最後には母親のひとこととともに、天敵との対決を予感させる展開に次作への期待が増す。 今回も古書の謎ときには感心する。古書店の人で本の虫という設定ではあるが、何でもかんでもすぐに知識が出てくる、記憶しているのが信じられない。特に母親の智恵子は、本の内容まですらすらと・・・あまりにも超人。 しかしよく読んだブラックジャックの話には引き込まれ、ただふーんとうなるだけだった。
1投稿日: 2015.01.09
硝子のハンマー
貴志祐介
角川文庫
完全密室となった社長室での犯行方法は
第58回日本推理作家協会賞長編や2004年のミこのミスや本格ミステリーなどに高順位となった防犯探偵シリーズの第1作の密室殺人は、登場人物によっていろいろな推理が示されてはいたが、途中から犯人の視点で話が進められており犯人や動機、犯行方法に及んで話が完結していく。それまでトリックは私にはわからなかった。 犯人や探偵役の防犯コンサルタント榎本径、弁護士青砥純子の心理等にもひきこまれ、とても読みごたえがあるいい作品だと思います。 シリーズ次作も読んでみたい感じです。
1投稿日: 2015.01.06
殺しへの招待
天藤真
創元推理文庫
妻からの殺人予告状、受け取った5人の男のうちの誰の妻なのか。
週刊文春ミステリー 20世紀ベストテン1、天藤真の「大誘拐」が非常に面白かったので、電子図書で出ていた小説を次々読みました。天藤真の小説は(読んだものだけだけれど)、時代が少し古いですがシ、リアスなんだけれどユーモラスでウィットに富んだもので楽しく読めます。 この本は設定やストーリーが当時としては斬新で、時代の状況は私的には想定の範囲内ですが、二転三転する話の進展に面白く読み終えました。 最後の最後にある思いもしなかった展開に結局納得したのかな。
0投稿日: 2014.12.09
螺旋階段のアリス
加納朋子
文春文庫
日常ミステリーの連作短編小説
2001年のこのミス12位で、すんなり読んでしまえる7話からなる連作短編小説 大手企業に勤める仁木順平が退職優遇制度を活用して知るつ探偵に転職、その事務所に最初に猫を抱いて旋螺階段を上がってきた美少女安梨沙が探偵助手として居座る。『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』にかけて、二人で推理をめぐらす過程がほのぼのとほほえましい。特に推理の鋭い安梨沙がかわいいですね。 「ななつのこ」や「ガラスの麒麟」など加納朋子の小説好きです。
0投稿日: 2014.12.09
万能鑑定士Qの謎解き
松岡圭祐
角川文庫
今度は日本と中国の関係やいかに
中国のコピー製品にまつわる、大規模な製造組織と、日本中国それぞれが所有権を主張する隋、唐時代の仏像、唐三彩の鑑定とその謎、コピアのかかわりは、そして最後に大団円。 ストーリーや謎ときなど小説としてスイスイと読んでしまいました。悠斗君と莉子ちゃんの今後はかなりハッピーかな?特等添乗員αの浅倉絢奈と壱条那沖はすでにゴールインしてるし~ 設定については大きくなりすぎて無理があるようなな気がするのは私だけかな・・・特に最後の大団円は・・・ そんな展開になればいいんだけれど
0投稿日: 2014.11.29
カラスの親指 by rule of CROW’s thumb
道尾秀介
講談社文庫
盗賊仲間の隠語で詐欺師をカラスですが、騙されたあ!
第62回日本推理作家協会賞 最後の最後でテツさんにやられました!!! 闇金に人生を破たんさせられ、詐欺師として生活しているタケさんを中心に集まってきたテツさん、まひろにやひろ、そして貫太郎。 それぞれが抱える闇金業者に対する過去が(タケさんはさらに別の問題も抱えているが)、同じ闇金業者と解ったことから、詐欺を仕掛けることにより復讐を遂げ、過去を清算し新たな再出発をしようと奮闘する。結果は・・・・・・ 闇金業者との駆け引き場面はウーンとうなり、でもそんな結論ってのあり、簡単に、と思ったが、最後の最後でのテツさんのオオガラスにやられましたなあ・・・!
1投稿日: 2014.09.29
僕と『彼女』の首なし死体
白石かおる
角川文庫
第29回(2009年)横溝正史ミステリ大賞優秀賞
冒頭、探偵役の主人公白石かおるが彼女の切断した冷凍首を渋谷駅ハチ公前に置く、というとんでもない展開から始まる。 白石かおるは総合商社に勤めるいわゆるいいとこに就職したエリートではあるが、唯我独尊的な性格でお友達は同級生の野田だけみたい。 そして倉庫を改造した自宅の大型冷蔵庫には、首なし彼女の死体・・・・彼は犯罪者?? 大学の先輩である上司の矢部副課長とその婚約者冴草秘書室長さんなどの登場人物が絡んでなぜ彼女の死体があり、その生首を白石君がハチ公前に置いたのかその謎が解かれていく。 しかし白石君の性格はイヤミなかんじで他者を見下しているようにみえる。 しかしその発想力は群を抜いており仕事においては抜群の評価を得て取引先の社長に、「面白い人で大物になることは間違いないが、大企業でない会社では大物すぎるあなたを受け入れる度量がない」と言われる。 そんな設定の白石かおる君を主人公にしたミステリー小説、結構楽しめるものでした。
2投稿日: 2014.08.14
