
舟を編む
三浦しをん
光文社文庫
辞書に対する熱い情熱と、言葉に対する深い愛情の物語
辞書、それも紙の辞書って、最近使う機会がめっきり減りました 昔は英語や古典の授業で、ボロボロになるまで辞書を引き、 その汚れやシミに愛着まで感じたものですが、電子辞書にとってかわり、 今ではインターネットが辞書代わりになっています そんなご時世にあって、アナログな辞書作りに情熱を注ぐ人たちの物語です 辞書作りがどのように行われるのか、という点も非常に興味深いですが、 言語の意味を一つ一つ追求し、取捨選択しながら辞書という一つの製品を作る 辞書作りはまさに「編む」という表現がぴったりです 紆余曲折はありますが、淡々と進行する感じです 無駄にドラマチックにしていないのはある意味好感が持てますが、 もう少し深い話の方が個人的には好みです
2投稿日: 2014.09.25
レベルE 上
冨樫義博
週刊少年ジャンプ
作者がのびのびと描いている様子が目に浮かぶようです
ハンターハンターや幽遊白書の冨樫先生の作品です。 悪魔の頭脳を持つバカ王子が、地球人や宇宙人を巻き込んで、 ドタバタ劇を繰り広げる話…というと何とも下らない話みたいですが、 フィクションでありながらリアリティを感じさせる描き方は流石です。 自由奔放でやりたい放題の王子の存在は、 漫画の中で出来ることをやり尽くしたいという作者とダブるような気がして、 とてものびのびと描いているんではなかろうかと、想像してしまいます。 一つ一つの話もうまくまとまってますし、読みやすいです。
3投稿日: 2014.09.25
アルスラーン戦記(1)
荒川弘,田中芳樹
別冊少年マガジン
期待膨らむ作品
銀英伝の田中芳樹原作を、ハガレンの荒川弘が漫画化する、 そのことだけでも買わずにはいられませんでした 内容はというと、1巻から早くも物語は動き始めます 田中芳樹のキャラはそれぞれ個性が際立っていて、 敵も味方も魅力的に書き上げますが、漫画になってもその長所は生かされているように感じます 今後の展開が楽しみです 面白ければ、ぜひ小説も読みたい
0投稿日: 2014.05.09
森山大道 路上スナップのススメ
森山大道,仲本剛
光文社新書
写真とは何か
路上スナップに同行しながら、質問形式で森山大道の写真に対する心構えを読み解く本です 写真も交えて進んでいきますが、意外とすぐ読み終わっちゃいます 心構えというと堅苦しいですが、恐らくカメラを手にした多くの人が、 「何を撮ったらいいのか」「いい写真がなかなか撮れない」との悩みに直面するのではないでしょうか かく言う私も趣味としてカメラを始めて3年ですが、 露出や構図など、基本的な技術をひと通り理解したつもりですが、 それだけではなかなかいい写真が撮れません 自分が撮りたいもの、見せたいものを研ぎ澄ませた上でシャッターを切る、 この「研ぎ澄ませる」という作業が極めて重要なのだと思います 技術は表現するための手段であって、表現したいものがはっきりしなければ、 どれだけ優れた技術を発揮したとしても、それはただの「上手な写真」でしかありません 自分の感覚にいかに素直になることが大切か、そんなことを教わった気がします
0投稿日: 2014.05.09
イムリ 1
三宅乱丈
月刊コミックビーム
独特な世界の入り口です
独特な世界観と独特な絵、没入するには少し時間がかかりました しかし、読み進めるにつれ、圧倒的なパワーでその世界に引きずり込まれました 1巻はまだまだ序章に過ぎず、今後の展開がどう進むのか、期待に満ちています 綿密に設計された斬新な世界の入り口です、ご堪能下さい
0投稿日: 2014.05.09
銀河英雄伝説1 黎明篇
田中芳樹
らいとすたっふ文庫
私にとってただのSFにあらず、人生を変える一冊
レンタルビデオ店でキャラの絵を見た印象が強かったので、 ラノベ的なノリかなぁと、勝手に敬遠していましたが、 会社の先輩に勧められて読みました 最後まで読了して、私の人生を変える作品に出会えたと感じています 大きく二陣営に分けての展開となるのですが、 政治体制のしがらみに悶えながらも理想を追求するヤンと、 姉を取り戻すために戦うラインハルト 2人の戦いを軸に話は展開していきます 政治思想や組織論など、今の社会を生きる上で重要な事を、 この話は内包しています 多種多様で魅力的なキャラクターの中に、こんな生き様がカッコイイ!と思える人物が、 必ず見つかるんじゃないでしょうか 1巻はほんの序章ですが、これからの話の広がりを予感させる、 まさに銀河を駆けるような期待感に溢れています
3投稿日: 2014.05.08
MIX(1)
あだち充
ゲッサン
何故か読みたくなるあだち充
親父が読んでいたので何気なく手にとって以降、 熱心に読み返したというわけでも無いのですが、 こうして新しい彼の著書を読んでみると、どこか懐かしく感じてスイスイ読めました タッチの続編的に言われますが、読んでいなくても全く問題ありません
2投稿日: 2013.09.27
グラゼニ(1)
森高夕次,アダチケイジ
モーニング
プロの世界の切なく厳しい現実
プロ野球の世界に関わる様々な登場人物達の、リアルで厳しい部分を描いた漫画です 主人公は左の中継ぎという、地味な設定 この巻には他にも、引退して解説者になった元プロ投手や、 引退間近のベテランスラッガーなど、人生の岐路に立たされている人間が出てきます プロ野球を新しい切り口から描く、非常に興味深い作品です
1投稿日: 2013.09.27
