冷血 赤と白の悲劇 分冊版(2)
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あらすじ
毎朝、用意された染みひとつないシャツの白さに、今の僕は息苦しさしか感じない。真紅の赤い血が床にこぼれる。1滴、そして数滴。血塗れの包丁が床に落ちて乾いた音を立てる。「・・・行かないで・・・」両手と腹部を自らの血で赤く染めた妻が、涙を流しながら言う。「・・・百合子・・・」家を出ようとしていた僕は茫然としながら呟く。「・・・あなたがいないと・・・生きていけない・・・お願い、行かな・・・い・・・で」椅子にぶつかると立っていられずに座り込む。「お願い・・・あなた・・・」血塗れの手を必死に僕の方に伸ばす。僕は黙って無表情に彼女を見下ろしている・・・。「・・・あなた・・・!!」妻の悲鳴のような声を聞きながら、僕はしばらく前に出会ったスナックの若い女を思い出していた。彼女が倒したグラスから血のような赤いカクテルがこぼれた。いつも同じカクテルを飲んでいた。「ブラディ・マリーだっけ? それ」と聞くと「ブラディ・マリーじゃなくてレッド・アイよ。血塗れのマリーだなんて縁起が悪くて」と答える。「縁起ねえ、そんな真っ赤な服着てて言われてもなあ」ほどなく彼女と関係を持った。資産家の娘だった妻との結婚は地位と豪華な生活を与えてくれた。だが望んだはずの生活に僕は何の興味も持つ事が出来なかった。僕はスナックの女との情事に溺れた。彼女は僕のシャツにわざと赤いシミを着ける。妻に分かる様に。そして妻は、その度にシャツを真っ白にする。歪んだ関係が破綻した時、全てが壊れていく・・・!?
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