悲しみよ こんにちは(新潮文庫)
フランソワーズ・サガン(著)
,河野万里子(著)
/新潮文庫
作品情報
セシルはもうすぐ18歳。プレイボーイ肌の父レイモン、その恋人エルザと、南仏の海辺の別荘でヴァカンスを過ごすことになる。そこで大学生のシリルとの恋も芽生えるが、父のもうひとりのガールフレンドであるアンヌが合流。父が彼女との再婚に走りはじめたことを察知したセシルは、葛藤の末にある計画を思い立つ・・・・・・。20世紀仏文学界が生んだ少女小説の聖典、半世紀を経て新訳成る。(解説・小池真理子)
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商品情報
- シリーズ
- 悲しみよ こんにちは(新潮文庫)
- 著者
- フランソワーズ・サガン, 河野万里子
- 出版社
- 新潮社
- 掲載誌・レーベル
- 新潮文庫
- 書籍発売日
- 2008.12.22
- Reader Store発売日
- 2024.06.21
- ファイルサイズ
- 0.6MB
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この作品のレビュー
平均 4.0 (337件のレビュー)
-
ひとりの女性の純心な気持ちを傷つけておいて、それがきっかけで彼女が亡くなったかもしれないのに、その事を思い出して「悲しみよ、こんにちは」って言われてもなあ。飾りじゃないのよ、涙は。
主人公セシルの…パパは、良い人なんだけれど、付ける薬が無いほどの女好き。ママが15年前に亡くなってから、美人でちょっとバカな愛人が絶えない。セシルはパパと同じように放蕩な性格で、そんなパパを愛し、気楽に暮らしていたのだが、セシルが17歳のある日、とうとうちゃんと再婚することを決意した。
相手の女性はアンヌ。美人で聡明で、40代とは思えないほどの引き締まったスタイルと肌艶が物語るくらい自己管理の行き届いた女性。放蕩者のセシルのパパとは価値観が正反対のはずだが、何処に出しても恥ずかしくない女性であり、娘の教育係としてもこれ以上ないアンヌと結婚したいパパ。そして、社会的な成功や女性としての称賛は既に得ていて、あと欲しいのはカッコいい男性の愛と家庭だけというアンヌもパパと結婚したかった。
アンヌがパパの友達であったころ、セシルはアンヌのことが好きであったが、アンヌが“母親“として家の中に入ってくると鬱陶しかった。「恋人とイチャイチャしてないで勉強しなさい」とかパパの友人たちの事を「下品」と言ったりする。アンヌは仕事や自分自身の生活を思い通りにしてきたのと同じように、セシルたちの家庭も“思い通り“の“上品な“家庭にしたかったのだ。
セシルはアンヌを追い出すために、巧妙な計画を練る。パパの直前の恋人エルザとセシルの恋人シリルにカップルのフリをさせ、パパの前にチラつかせて、パパの気持ちを若いエルザにもう一度向けさせるのだ。
計画は…成功。いや、成功を通り越してアンヌ自身が亡くなってしまった。事故なのだが、セシルは自殺だと思っている。
セシルはアンヌのことを素敵な女性だったと思う気持ちに変わりないし、好きだったし、パリで一緒に暮らす家の間取りを考えるのもワクワクしたというのも嘘ではなかった。だけど、本質的にセシルもパパも縛られるのが嫌いということを理解してほしかった。
ウーン、うっとうしい!!わたしがセシルなら、“グレる“か““家出“か“アンヌと正面対決“だよ!太陽燦々、海キラキラの南フランスの別荘地でなんとインケンな!
「朝起きたばかりの時にオレンジを食べながら、火傷しそうなコーヒーを口に入れるのが好き」だとかなんだとか、贅沢すぎてヒマなのか。
汗を拭くだけで忙しいこの日本で暮らしていては人の心がジワジワ傷ついていくのを楽しんでいる心の余裕などない。
眩しいくらい美しい中では“傷“や“悲しみ“や“苦さ“も美学であるようだ。セシルはアンヌが亡くなって初めて自分が夢中になっていた恋人“シリル“のことを全然愛していなかったことに気づく。“支配者“に見えたアンヌも実は“愛“や“夢“を持ってセシルたちの家族になろうとしてくれていたことを知り、そういうちゃんとした愛や夢がセシル親子には無かったということに気づく。それでも、セシルもパパも依然として刹那主義で人生楽しむ生活をやっぱり愛していた。
だけど、本当にセシル親子と家族になろうと思ってくれたアンヌの悲しい結末を思い出すとき「悲しみよ、こんにちは」なのだ。
続きを読む投稿日:2023.07.15
凄く良かった。自分とは国も、家庭環境も全く違う人生を生きているはずの主人公と、どこか重なる心情を感じるのは何故だろうか、と考えさせられる。結局、目の前の人間が感受性のある生き物だ、ということを忘れがち…な社会への虚無感は現代にかけてより強まっていて、だからこその本は今でも鮮明に輝いているのかもしれない。私と同い年の18歳がこれを書いたと思うと笑えてくる。続きを読む
投稿日:2024.06.15
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