小説
イデアの影 The shadow of Ideas
あらすじ
この世は、すべて幻なのです。
現実なんてものはない。
ただ、映っている影だけが見える。
そうではありませんか?
薔薇のパーゴラのある家で、「彼女」は支配的な夫と家政婦と静かな三人暮らしの日々を送っていた。
夫が紹介する英語の家庭教師として、下宿人として、彼女の庭を、彼女の夢を、訪れては去ってゆく男たち。
彼らの死という現実を手放し、幻想とのあわいに生きるうちに、
彼女の心はゆっくりと静かに、躰から離れていく。
比類なき幻想恋愛小説。