文学
巌流島
あらすじ
宮本武蔵と佐々木小次郎、ふたりの剣豪の巌流島伝説を小説化したもの。時間にわざと遅れて小次郎を苛立たせたり、鞘を捨ててしまった小次郎に「勝つつもりなら鞘は捨てぬものぞ」と言い放ったり。どこかで聞いたことのあるエピソードは、この小説の中で語られたもの。実は武蔵の自著には巌流島について語られた物はなく、周囲の証言を元に伝説のように作り上げられた。映画監督でもあった直木三十五にとっては、まるで眼に浮かぶような題材であったのだろう。兵法について「私が武蔵に代わって答えると」など、自身の考えを随所に挟んでいるところに、読書の面白さが宿っている。