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サンセット・パーク(新潮文庫)
サンセット・パーク(新潮文庫)
ポール・オースター、柴田元幸/新潮社
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総合評価

11件)
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    舞台はリーマンショック後のアメリカ ブルックリンの廃屋に不法居住する若者三人を描いた群像劇。 大不況の中で、もがき苦しみ懸命に生きる若者達のリアルな心理描写が心に沁みる。 慣れない海外文学で苦労したが、この作品を読めて良かった。

    13
    投稿日: 2026.02.02
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    これもやっぱり「この世はままならない」(『ザ・ドロップ』)という話だ。幾つかの「この世界のあまりに多きものとあまりに少なきものとによってバラバラに壊された人生を」小説のかたちに繋ぎ合わせることで、ままならないこの世、「壊れた世界」を描こうとする。そこに表れる人々の数えきれないほどの「傷とは人生の本質的な要素であって」描くべきものだ。LIFE IS PAIN(MERAUDER)。この小説も痛みだ。 図書館で借りたハードカバーではじめて読んだ、数年前の夏のことを思い出す。あのときはもう少し明るい気持ちで読んで、ずいぶんと軽い感想を持っていた気がする。そこから今までの期間を振り返ってみれば、そこにある変化も納得出来る、出来てしまう気がする。ああ、まさしく「この世はままならない」。LIFE IS PAIN。落ち込んでくる気持ちと裏腹に、それでもこの小説を以前よりもずっと素晴らしいと思っている。その素晴らしさもそこにあった感動も、まだうまく言葉に出来ないけれど、たしかに感動している。 今わたしはなにを感じているのか?「不可避の滅びと、持続する生の可能性との境目にまたがっている。全体として、状況は寒々としているが、希望を持たせてくれる徴候もいくつかある。希望とまでは言わずとも、諦めと絶望に屈してしまうには早すぎるという感覚」なのかもしれない。この小説で感動できたことは希望。そう思ってみれば、幾つも立てた付箋の一つひとつもその徴候なのかもしれない。この小説を読んだことももちろんそうだし、この文庫本がある日唐突にポストに届けられたことも、こんな感想を話してみたい人たちがいることも、きっと希望だ。まだ「諦めと絶望に屈してしまうには早すぎる」。わたしもそう思うことにした。今回もまた小説に救われた、そんな風にも思っておきたい。 - 同じくブルックリンを舞台にした「群像劇」『ブルックリン・フォリーズ』もまた「この世はままならない」ことを書いた小説だと思っている。あれはトーンも明るいし、ユーモラスだし、わかりやすい希望もあるけれど、最後に世界に起こる出来事で完全に落としにくる。振られた日付で予想は出来る、というか、そこに向かっていく(少なくとも時間軸的には)物語なわけだけれど、それでも唐突に思い知らされる。この世はままならない。

    4
    投稿日: 2026.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    劇的な出来事はあまり起きない。停滞した時代の停滞した若者による苦悩や辛さ、小さな幸せが感じられた。マイルズの言葉に元気を貰ったシーンがあった。

    0
    投稿日: 2026.01.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ピラールに惹かれるのはわかる気がする。マセガキが一番魅力的だと思う。やはりオースターらしい孤独を感じるが、ストーリーに凡庸さを少し感じてしまった。ムーンパレスや偶然の音楽のような、どこか劇的な要素に欠ける。特にラストはプツッと終わりすぎかなと思う。オースターってそういうものだろうけど、何かしらの変化というのはもっとあるべきだと思う。ポールとリンダが出てきた。オースターも好きなのか。

    0
    投稿日: 2026.01.17
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    リーマンショック後のニューヨーク。 空き家に不法居住する4人の若者の群像劇。 不確かな未来の中、お互いなんとか寄り添って、 歩きだそうとした彼らに突きつけられた現実は…。 今だけのため、この瞬間、このつかのまの瞬間の ために生きるんだ。マイルズの言葉の重みをひしと 感じながら、今日も夕日が沈んでいった。 家族の優しさがいい。

    13
    投稿日: 2026.01.03
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    アメリカの話なんだけど、なぜかこの国の話のような気もしたのは何故なんだろうか。 そして村上春樹的な匂いも。喪失感。

    0
    投稿日: 2026.01.03
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    P・オースター作品の中では少々異色の現在進行形(既に15年前となる2010年に刊行されたことを踏まえても)の空気が流れる群像劇。登場人物はそれぞれ問題を抱えているしすっきりとした解決などはない。そんな先の見えない不穏で憂鬱ムードの中に時折現れるきらめくような人生の輝きに、この時代を生きてゆく希望を感じる。

    0
    投稿日: 2026.01.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リーマンショック後の冷え込んだ景気のアメリカで、4人の若者がサンセットパークの廃屋に不法滞在してシェアハウスする物語。 金融危機で起こった不景気による先行きの見えない不安と未来に対する絶望感は今の日本の感覚とも通じるものがあり、解説でも語られている通りの「いま・ここ」にしかない切迫感が凄まじい。それは立ち退き期限の迫った廃屋の不法滞在という腰の座らなさがそのまま若者たちの「寄る辺なさ」へと繋がっており、夢や目標のために節約しているというより本当に行き場がなくて迷い込んだような感じなのがたまらなく切ない。群像劇視点ながら主人公含む4人ではなく、主人公マイルスの父親であるモリス・ヘラーの視点も混じっているのがこの手の青春群像にしては珍しく、社会的には成功していながらも、息子の失踪によって負った傷や妻との不和が描かれており、その孤独感と喪失感に年齢は関係ないことが伝わってくる。個人的に自身の年齢もあってか刺さったのは父親視点のページであり、息子を心配する立派な父親であると同時に、死の匂いを振り払えない一人の人間としての孤独が痛烈に胸に刺さった。 それぞれの視点で描かれてるのは高学歴の貧困であったり、性的に満たされていない行き詰まった芸術家であったり、自身のセクシャリティに悩みつつもパンクな反抗心を捨てられない青い若者であったりと、どの視点も内省的であり物語はあるようでない印象である。そう劇的なことは起こらないのが逆にリアリティがあり、オースターらしいと思うと同時に幕切れは悲劇的で、突然の立ち退き勧告から積み上げたものが壊れるものは儚くも一瞬であり、若い恋人ピラールや父や母との再会で持ち直したかに見えたマイルスが、警官へのパンチ一発で文字通り全てを失ってしまうラストは衝撃的でありながらも、小説全体を通して伝わってくる喪失感に一貫性はあったように思う。

    0
    投稿日: 2025.12.14
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    リーマンショック後のアメリカを舞台に、野球、映画、家族(と家族の死)などオースターが一貫して書いてきたテーマに加えてちょっとセックスの要素が多く他の作品ほど感情移入はできなかったけれどもサンセット・パークの住人4人のそれぞれの視点から構成される各章は面白かったです。 The Best Year of My Life(オフコースじゃない方)観てみたいな。

    18
    投稿日: 2025.12.11
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    リーマンショック後のニューヨーク。朽ち果てた建物に不法居住しつつ毎日を懸命に生きる若者たち。それぞれ苦悩もありつつ若者らしい恋の悩みもあったり、閉塞感のある世界の中でささやかな楽しみも垣間見える。 国は違えど、就職氷河期をどうにか生き抜いた日本の若者たちに重なる色を感じる。 この後、4人+αはどんな人生を歩んだのだろうか。

    2
    投稿日: 2025.12.08
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    期待に違わぬ素晴らしい作品でした。リーマンショック後の先の見えない時代を背景に、心が損なわれた主人公と取り巻く人達が、傷ついた心や厳しい生活を抱えながらも互いをいたわりながら日々を懸命に生きていく様は、強い共感を覚え心が癒されます。

    19
    投稿日: 2025.12.08