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うまれたての星
うまれたての星
大島真寿美/集英社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    漫画が当たり前にあって、女性も男性も老若男女問わずに書いて、読んでいる時代に育ちました。何事も新しく初めてくれた人がいて、そこから発展していく。物事の黎明期に立ち会える機会はほとんどない。そんな機会を知ることができる素敵な作品だと思いました。ガラスの仮面や王家の紋章など、ずっと少女漫画を読み続けてきた人にぜひ読んでほしい作品だと思います。

    1
    投稿日: 2025.11.04
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    突然のことだけど、今出来上がったもの、存在するものは一人一人が紡いできたもので、この場合は、少女漫画はもう50年ほど前のことで。 それらに、真摯に向き合う彼ら彼女らが凛々しく格好良い。

    0
    投稿日: 2025.11.01
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    このレビューはネタバレを含みます。

     当たり前のことだけど、いまこの世界に存在する物はすべて最初にそれを作った人がいて、そしてそれを作り続ける人たちがいる。 途中で無くなってしまうものもあれば、形を変えて続くものもある。だからこそ、いまでも私たちはそれを手に取ることができるのだ、という至極当たり前のことに改めて気付かされた。  コミック誌という、気付けば身近にあり、誰でも好きなときに手に取って読むことのできるマンガ雑誌はあまりにも身近すぎてそれを作り続けている人たちの存在を普段は気にすることもなかった。  かつて、女の子たちは「りぼん」でコミック誌と出会い「マーガレット」へと成長していったらしい。 「らしい」というのには理由があって、実は自分は子どもの頃からコミックをほとんど読まずに育ってきてしまったのだ。コミック誌というのは病気で学校を休んでいるときに退屈しのぎのために母親が買ってきてくれるもの、という認識だった。病気の時だけ読むものなので、連載物はまったくストーリーがわからない。どうせなら「読み切り雑誌」を選んでくれればよいものを。とはいえ当時は「連載」と「読み切り」の区別さえつかなかったのだけれど。 「マンガを読んでいると頭が悪くなる」とか「マンガより外で遊びなさい」とか親も学校も同じ注意をし続けていた頃の、それでもこのマンガたちを少女たちの手に届けようと悪戦苦闘する人たちの姿に「働くこと」の意味と意義を感じた。少女漫画誌を100万部超えに!という野望にむけて質より部数、子ども相手の仕事、と割り切って手を抜くこともできる。そこを割り切って切り捨てるか、どこまでもこだわり続けるか、自分一人では作り上げることのできないものだからこそ、真剣に向き合う。その熱さが自分の中の何かを刺激してくれる。編集部にいる男性社員たちのそれぞれの失敗や成功、思惑や葛藤と、女性社員たちの、それ+αの「女だから」という壁。同じ仕事をしているのになぜ待遇が違うのか。同じ力があるはずなのになぜ「補助」しか任されないのか。  この小説のもう一つ大切な柱でもある「女性が働く」ということ。多くの障害とそれを乗り越えてきた先達たちの姿に勇気づけられる人も多いはず。  高校卒業後編集部の経理補助として働き始めた牧子。名前さえ覚えてもらえない、言われたことを言われたとおりにこなすのが仕事。そのすっとこどっこいだけど天真爛漫で好奇心のかたまりのような彼女が周りの大人たちに与えていったもの。  キュートな牧子に夢中になりながら読み終わった後に残る、不思議な力。明日元気に仕事に行こう!そう思わずにはいられない。

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    投稿日: 2025.10.24