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教養としての「中国史」の読み方(PHP文庫)
教養としての「中国史」の読み方(PHP文庫)
岡本隆司/PHP研究所
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総合評価

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    日本人と中国人の考え方の違いを指摘しながら、中国の歴史を紐解く。中央集権の制度、単位、儒教について、民族と文化の変遷など。特に面白かったのは科挙の徹底化(初期は登用の目的だけだったが、次第に官吏になるためには全員科挙に合格しなければならなくなったこと)が結果として貴族がいなくなって、皇帝の権力が増す結果を招いた事とか、清の時代になって民衆に命じたことは辮髪になることくらいだったけれど、それは満州人の少なさを目立たせないためだったとか、満州人が漢人化していって漢語をしゃべるようになったこととかだ。

    6
    投稿日: 2025.11.20
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     とてもわかりやすくて、専門外の人に中国という国を知ってもらうにはいい本だと思います。なにしろこの本は中国史を 1. 中国のはじまり というところでは、中国という国は時代によってその範囲も主体も変化しており、バラバラだからこそいつも一つの中国を目指していることを明らかにしています。そして皇帝というのは天子と同じことなので二人いては困ること、そして儒教抜きに中国史は語れないことを丁寧に説明しています。 2.交わる胡漢、変わる王朝、動く社会 では、5胡といわれる遊牧民族と漢民族の関係、ほとんどの時代に遊牧民によって建国されてきた経緯をわかりやすく説明してくれます。中国史のわからないところはここいら辺がモヤモヤしているのですが、唐宋変革についてもわかりやすい。 3.現代中国はどのようにして生まれたのか 明と清はなぜ長く続いた理由だとか、アヘン戦争までの経緯とかとてもgoodです。現代でも変わらない二元構造であり、毛沢東はこの2元構造を破壊しようとし、鄧小平はこの2元構造を利用して経済発展させようとしたこと。そんなことを通して現代の中国を説明しています。 全体として秀逸なのは、論点の区分です。中国全体をわかりやすく説明してくれてます。

    97
    投稿日: 2025.11.01
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    この本は、歴史の本質を知れるものだった。人物や戦いの名は必要最低に抑え、どうして、なぜの真髄にページを割いている。 中国は中国である限り、儒教に縛られている限り変わることはない。西側の、日本の尺度では、分かり合うことはできないようだ。「士と庶」「官民乖離」「コミュニティへの強い帰属意識」「一つの中国の本当の意味」などがキーワードだが、著者は中国と付き合うには「荘子」の「君子之交淡如水、小人之交甘如禮」で行くのが望ましいと締める。実際、鎖国時代はもっとも上手くいっていたと。それは裏を返せば、日本にいる彼らの横暴を止めるには……

    74
    投稿日: 2025.10.26
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    470ページあるがやや大きめの文字でスラスラ読め、著者の伝えたいことがわかりやすい。 歴史の細かい事件ではなく、中国人の考え方・行動に影響を与えている事象(中華思想、儒教、エリートと非エリート、等)を説明している。 特に以下の記述は、中国人の行動理解に有益。 ・中国の賄賂は必要悪 ・中国には、合法、非合法、善悪の境界はない ・中国の主権は国民にはない 例えば、中国では法律は人民の上、共産党の下。 つまり日本では当然視される法治主義は、西洋で生まれた思想であり、日本では適合し当然視されるが、政治システムの歴史の異なる中国では日本と違っても当然との主張は新鮮で、考えさせる。民主主義等の思想も同様である。 中国人の考え方とその成り立ちをざっくり知りたい人にお勧め。事象のさらに詳しいことは、興味に応じて読後にそれぞれの専門書に当たるのが良いと思います。

    2
    投稿日: 2025.10.12