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遺伝子は不滅である
遺伝子は不滅である
リチャード・ドーキンス、ジャナ・レンゾヴァー、大田直子/早川書房
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総合評価

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    どうしよう。本気で感想書いてたら指もげる。 短く不恰好でここでは書けないようなものしか触らない指ですが、私にとっては大事なかわいい指ちゃんなのでそこそこに書いていきます。 言いたいことは表題のまま。てかドーキンスの時点で表題すら要らないかも知れない。が、私も含めて今回はどんな表現方法で彼の主張を筆圧高くなぞってくれるのかニヤニヤしながら読んでいきます。正直1割、いや2割くらいは日本語で書いてあっても理解不能ではありますが、残り8割も理解してるつもりであって正しく理解してるわけでも記憶してるわけでもないので気にしません。 1動物を読みとる いきなり「あなたは遺伝子版死者の書」ですよ。また「パリンプセスト」であるとして赤と青のインクで美しく書かれた葉書を挿絵としている。 外人プレゼンの基本形を感じさせますね。まず冒頭に結論、そっから色々展開していって最後にまた結論。ダイヤモンド型。薄い本ではないですが、ここから始まる話は全てこれが言いたいのだと心の準備が出来ますし、13章ではここに(もしくは同意の別比喩に)戻ってくるのねと期待させてくれます。親切なのよ。 2絵画と彫像 死者の書の分かりやすい例として擬態を紹介。 楽しいけれど正直ここはなくても本筋通るのでは?とか思ったけど遺伝子が死者の書であることを一瞬で体感させる(擬態生物は環境変わったら目立ってしゃーない。喰われて絶滅。)ためにはこれが1番分かりやすいか。 3パリンプセストの深層で 進化の途中で海陸海陸と行き来した生き物たち。こういうのも創造論の人達は無視するのかねぇ。 「人のパリンプセストは太字で四足歩行と書かれ、その後二足歩行、成り上がりで新参者の二足歩行とうっすら上書きされている。」腰痛のたびに思い出すとあるけれどまさに。原罪があるとするならこっちじゃない? パリンプセスト論では盲点、反回神経、骨を紹介。(巻末では精巣と陰茎をつなぐ管も紹介) 4リバースエンジニアリング これとこれをするために設計されたものは、おそらく似たように見えるだろうってなことを言いたいようで。心臓とポンプ、食事が同じながら種が全く異なる生き物の骨の比較など。私としては「犬歯というけれど原生肉食ではネコ科の方が長い犬歯に頼っている。なぜならイヌ科は追跡ハンターで獲物は疲れ切っている。ネコ科は不意打ちだから犬歯必要。」ってのが1番おもろかった。にしても犬歯という名称を使ってること自体現代には(というか1万年前からでも)そぐわないのでは?猫歯でいいじゃん? 5共通の問題、共通の解決策 コウモリは色を聞くと推論する。そもそも我々が見ているものは脳独自の着色であり異なる波長の光のコード化されたラベルとしての脳による内部調合物である。恣意的なラベルであるという同じ考え。なるほどね。てか本当そうですよね。我々が見ているものが世界なわけない。紫外線すら見えてないとかそういうレベルじゃなくて、赤とか青とか勝手にほざいてるだけなのよな。 何度も進化をし収斂していったホンソメワケベラや掃除エビと床屋が同じ縞模様であるという小話も好き。 6主題の変形 一見あまりにも違って見えるカニの甲羅も数学的法則の変形だったりする。ここでは甲殻類が取り上げられてますがあいつら確かに無茶してますよね。特に石川秀美(幼生時代)。フジツボ、君には別室で話がある。 7生きているあいだの記憶 「何が報酬、罰になるか。脳による選択は確定していない。遺伝子の自然淘汰によって決まる。」 8不滅の遺伝子 物理的なDNA分子自体は一時的でもヌクレオチド配列に記された情報は潜在的に永遠だ。 「わたしは体をたくさん見てきた あなたは自分が賢いと思っているが わたしは永遠に生きながらえる あはたは生存機器にすぎない」 まず乗り込み、育て、そして捨てる。 そうなのよ。 9体壁の向こうへ 延長された表現?てのかしら。ミノムシ、トビケラ、トックリバチアナバチ、カマドムシクイ、ニワシドリなど。 10振り返る遺伝子の視点 ここのカッコウ、おもろかったわー。 てかホトトギスってウグイスに托卵するのね。 あとジュウイチの動画がYouTubeであった。最初本当に口に見えた(羽の内側が)。ありゃすごい。 てか繰り返すけどこの辺の生き物も神が作ったと思ってる人達がいるんだよね?創造論って一部の犯罪者にとって都合いいんだろうなぁ。(ごく一部のね。ほとんどの信者は真面目だとは思いますが) 11バックミラーをもう少し見る あんましピンとこなかった。 12良い時間、悪い仲間 「種の遺伝子プールはほかの全ての区画と隔離された独自の密閉された区画のなかでバシャバシャと水飛沫をあげる」 それよね。種ってのは。もういい加減「人種」って言うのやめようよ。あと「白人」も。ピンク人でいいじゃん。有色ってなんだよ。てめぇら内蔵透けてんのかよ。ねぇ。 「遺伝子は他の遺伝子と協力しあっていかなければならない。それは現在の体の中の仲間とだけではなく、次世代で共通プールから排出される異なる仲間のサンプルとも協力しなくてはならない」 なーるーほーどー。私達は遺伝子レベルでも個人レベルでも同じなのね。 「種にアイデンティティを与えるのは有性生殖なのだ」 蛾の顕性遺伝子が消えた話もおもろかった。 そんな程度って言ったら乱暴だけど、それくらい偶然というか、たまたまなんだよなぁ。人間はバラエティが少なすぎてこういうことも起きないんだろうけど。 13未来への共通の出口 我々自身の細胞が40兆として、腸内には40-100兆の細菌がいて、更に数千兆のミトコンドリアがいますと。細胞ベースだと私は私のマイノリティなのね。こないだ読んだ本でも「自分自身をもっと広義に捉える」というのがありましたが、そもそもこれが私の体!と思ってるものが細胞ベースでは全然少数派なわけですから狭義も広義もへったくれもないですよね。そうなると手入れして長く使うよりは70年で乗り捨てた方が手軽なただの乗り物としての自覚も生まれやすくなります。 指ってか首が痛いからもう書くのやめるわ。 解説にも「本書はドーキンスの集大成」とありましたがほんとそんな感じ。脇に逸れるおかげでどのトピックも内容は分厚く、写真や挿絵もたくさんでカラフル。楽しい。ジャレドダイヤモンドもそうですが元気で長生きして欲しいなぁ。でも年齢的にそろそろ執筆は難しくなるでしょうね。これが最後の本とかなのかなぁ。 私がパッパラパーなりにこざっぱりと生きてこれたのはドーキンスの本によるところもあると思う。いや、ある。こんな偏食のパーにも食べやすいように知識を飴でくるんで与えてくれたドーキンスにまた感謝。利己的な遺伝子はいつもベッド横にありますよ先生。

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    投稿日: 2025.10.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『利己的な遺伝子』で一世を風靡したドーキンスの最新作。 6章までは色々な生物を例に自然淘汰の家庭/結果を語ってくれて、ドーキンス自身の比喩も分かりやすく楽しかった。ナショナルジオグラフィックを見てるような、あの感じだ(笑)。 しかし7章は特に面白いな。遺伝子とは個体の振る舞いだけでなく、個体がどれだけ行動の裕度を持つか(元から鳴き声を決めるか学習するか)まで決めてしまう。それをこそドーキンスは「延長された表現型」と語るのだけど、なるほど奥深い…。 昔の生物学では「個体発生は系統発生を繰り返す」と語られ、それは後に間違いとなったらしいけれど、「個体発生は系統発生を内包する」くらいだったら意外と間違ってないのかな、なんて思ったり。 自分なりの解釈だけど、遺伝子が不滅であるのは一種の比喩表現であって、実情を正しく表現しているわけでは無いと受け取ったかな。 実際はこういった遺伝子の働きこそが、自然淘汰というシステムを前に生き残ったのであって、主題は自然淘汰なんだと思う。まぁ同じところにたどり着くんだけどね。

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    投稿日: 2025.09.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    リチャード・ドーキンスの最新刊。内容はドーキンスの総決算的なものとなっており著者の過去の著書のエッセンスが凝縮されている。現在ではまだ実現できていない内容も予想の形で結構入っている。 動物は『遺伝子版死者の書』でありその『パリンプセスト』を読むことで過去に生きていた環境が分かる、というもの。 序盤は擬態・絵画などの偽装を自然淘汰によって遺伝子プールに彫刻していくことの例をあげる。その後海から陸に上がりさらに海に戻りまた上陸したリクガメの紹介、歯の形から草食・肉食が分かること、異なる種の機能が同じような形になる収斂進化、その逆に同一の種からそれぞれの環境にあうように進化していく適応放散、と続く。 そして動物に芸を仕込む反応形成は何を報酬・罰にするかは遺伝子で決められていること、遺伝子が能動的であり原因であこと、表現型は爪・体を超えてそれらが作り出す巣の形状さらには相手を魅了し操作しようととする求愛行動にも延長できること、カッコウの紹介、ハーレムを形成するゾウアザラシのオスは過去を振り返ると隆々とした立派なオスとごく少数の忍び寄り戦略のオスのみがいること、遺伝子が仲間を作り伝わっていくこと、最後に垂直性細菌・水平制細菌を紹介し私達は垂直性ウイルスの巨大なコロニーの一部であり壮大な生活共同体なのだ、として終わる。

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    投稿日: 2025.09.10