
総合評価
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- Kazuko Ohta"powered by"
このタイトルにこのジャケットで約280頁となれば軽めでスイスイ読めるだろうと思っていました。それでも、「グレーゾーン」という語から発達障害を持つ医師を勝手にイメージしていたので、センシティブな話ではあるのかなと。 そうしたら、そっちのグレーゾーンではなくて、医師が患者に提示する治療方法というのか解決方法がグレーゾーンそのものでした。 毒親の介護に絶望したり、不祥事を起こした家族のせいで体を壊したり、「死ぬ」あるいは「殺す」ことしか考えられなくなっている人を目の前にして贈る言葉。 本橋先生は素晴らしい人だけど、コーラは飲み過ぎじゃないですか(笑)。
0投稿日: 2025.07.04 - pa-yan"powered by"
---------------------------------- 患者の願いは 非常識 医者の答えは 想定外 ワケありな人生を 診てくれる 小さな診療所の物語 ---------------------------------- 最近仕事で余裕がなく、 落ち着いて読書ができないから、 短編なら読めるかもと思い手に取りました。 錦糸町の雑居ビルの一室にあるPMC。 紹介制で一見さんはお断り。 訪れる患者さんは様々な悩みを抱えている。 別人になれたら… 寿命が延びれば… あいつが死んでくれれば… 完全にフィクションかと言われると、 ありそうかも、という話ばかり。 人は見た目じゃわからないし、 人には言えないドロドロした気持ちを抱えていたり。 そこに違法ではないけれど、 普通では考えられない診察やアドバイスを行う。 週末にサッと読めて気分転換になりました!
7投稿日: 2025.06.29 - ことぶきジロー"powered by"
藤山素心『Dr.グレーゾーン』双葉文庫。 5話収録の連作短編集。 医師の本橋桂と看護師の福留千麻莉の2人だけが働く雑居ビルの2階にある完全紹介制のクリニック。そこを訪れるのは、中学校教師、議員、内科医、作家、法人理事長と『センセイ』と呼ばれる人物ばかり。 そんな『センセイ』たちの悩みや人生の迷いに対して現代医療のグレーゾーンを巧みに使い、クリニックを訪れる人たちに救いを与える型破りな医師の活躍を描く。 なかなか面白かった。 『相談1 あいつさえいなくなれば 中学校教諭』。 作中に登場する愛玩子と搾取子という言葉は初めて聞いた。作中の説明で、ある可哀想な男の子のことを思い出した。その子供は6歳の時に両親が離婚し、4歳上の姉と共に母親に引き取られ、祖父母の家で暮らすことになる。祖父母と一緒に暮らしてみると、姉は可愛がられているのに、その子供はちょっとしたことで直ぐに五月蝿いと怒鳴られ、仮面を被り、息を潜めて暮らしていたという。そんな可哀想な男の子は自力で大学を卒業し、社会人になった瞬間、家族に16年間抱いていた家族が嫌いだという気持ちをまとめた手紙を投函し、縁を切ったという。 ある日、看護師の福留が駅のホームで電車に引き込まれようとする顔色の悪い女性の中学校教師を救い、クリニックに連れて行く。中学校教師は、自分の母親がアル中で糖尿病の毒親で、母親と一緒に暮らす妹から毎日のように助けを求める連絡が来ることで苦しんでいると話す。そんな女性教師に本橋がアドバイスしたこととは…… 『相談2 新しい自分になりたいです 区議会議員』。 家族の中の1人が事件を起こせば、たちまち家族構成や住所や勤務先が特定され、ネットに曝されたり、SNSで誹謗中傷を浴びるという嫌な時代になったものだ。利便性と背反するネット社会の負の一面であろう。 本作。子連れのバツイチ男性と結婚した普通の女性が区議会議員になり、2選を果たし、波に乗っている時に事件が起きる。大学生になった夫の連れ子が違法薬物に手を出し、逮捕されたのだ。ネットやマスコミの批難は逮捕された当人よりも区議会議員を務める女性へと集まり、女性は疲弊し、身体の不調を訴える。それでも、子供を護ろうとする女性は驚きの行動に出る。 『相談3 医者に向いてないんだね 内科医』。 医療法人の乗っ取り詐欺は、たまに耳にするが、現実に起きていることなのか、小説などの架空の出来事だったのか今ひとつ判然としない。医者の多くはまともだと思うが、たまに個性的というか普通でない医者がかなり居ることも確かである。 自分が以前通っていた病院は男の院長が診察していた頃はまともだったのに、院長が引退し、奥さんの医師が診察するようになってから、ダメになった。朝8時半から受付をしているのに、昼になっても病院に来ないのだ。そして、受付の女性も先生は何時に来るか全く分かりませんと言う始末。2時間も待たされた挙げ句の発言に頭に来たので、直ぐに違う病院に変えたら、余裕で午前中で診察が終わった。以来、その病院がかかりつけ医となった。 ある日、本橋のクリニックに本橋が学生時代に助けてもらい、恩義のある同級生の内科医が訪ねて来た。内科医は医療コンサルタントの関係で、本橋に名前を貸して欲しいと頼む。本橋は名前は貸すが内科医に開業状況を見せて欲しいと交換条件を提示する。早速、福留と内科医の病院を訪れた本橋は客の少なさに愕然とする。 『相談4 認知症ってことにできませんか 作家』。 認知症の判定や介護認定は何とも曖昧なものだと思う。自分の父親は大腿骨骨折で手術してから要介護3に認定され、様々な介護サービスを受けることが出来るようになった。その後、胆石を患い、入院が長引いたことで体力が落ち、自宅介護は無理という判断から特別養護老人ホームに入所した。 一方、妻方の義父は軽い脳梗塞を患い、一部の記憶を失ったが、運動機能に障害は無かった。しかし、歯が悪く、少し前に歯の大半を失ったことから、言動が聞き取りにくい感じだった。医師の勧めでケアマネジャーが付けられ、介護認定してもらうと要介護4とかなり重い介護度となり、デイサービスを利用するようになった。これには妻も自分も介護認定がおかしいのでと思っていた。さすがにデイサービスで通う施設の方から介護の必要が無いのではと意見があり、再度、介護度を判定してもらうと介護の必要無しと判定されたのだ。 獣医の父親に支配されるままに8浪しても獣医大学に合格出来ずに、予備校の帰りに姿をくらまし、作家となった息子が20年振りに父親の元に現れる。父親は足を悪くし、日常生活もままならぬ状況で、息子は父親を何とか介護施設に入れようとする。本橋の元を訪ねた息子は何とか父親を介護施設に入所させたいので認知症と診断して欲しいと頼む。 『相談5 寿命を延ばしていただきたい 法人理事長』。 人間は知らぬ間に老いていく。無論、自覚もある。50歳まではかなりの無理が効き、多少の身体の不調もどうにかなった。50歳を超えた50代も自分は40代と変わらぬと思っていたが、還暦を過ぎてからは身体の無理が効かなくなった。毎日が疲れ、身体のあちこちが痛む。一晩寝れば身体の疲れは回復するが、肩は痛いし、腰も不安な上に足や膝も疲れる。歳は取りたくないものだ。 ある日、能力開発セミナーで成功を収めている女性法人理事長が本橋のクリニックを訪ね、寿命を延ばして欲しいと依頼する。 本体価格700円 ★★★★★
63投稿日: 2025.06.18