この書籍「最強のチキンカレー」は、読者それぞれが「自分にとっての最高においしいカレー」を発見することを目的とした包括的なガイドブックです。著者は「万人にとって最高のおいしいカレーというものはない」という哲学に基づき、画一的なレシピを提示するのではなく、**「味と香り」「手法」「国」という3つの切り口**から体系的にアプローチしています。チキンカレーは材料の入手しやすさ、調理時間の短さ、クセのない味わいから初心者に最適な選択として位置づけられており、読者が自らの好みを探求するための出発点として推奨されています。 第1章では、カレー作りの基礎となる2つの基本レシピ（オーソドックスなチキンカレーと著者が30年かけてたどり着いた理想のカレー）を詳細な16ステップの写真付きで解説しています。特に重要なのは、カレーの「おいしさ」を構成する**12の味覚要素**の体系的な分析です。これには「しっかりした味」「こってり」「まったり」「ふんわり」「じんわり」「ぴりひり」「こっくり」「風味」「酸味」「濃い味」「こんがり」「スパイスの香り」が含まれ、それぞれについて具体的な材料や調理法との関連が専門的に説明されています。この分析により、読者は自分の味覚の傾向を客観的に把握できるようになっています。 第2章では、12の味覚要素を基に4つの主要カテゴリー（A: こってり〜奥深い、B: こってり〜さわやか、C: あっさり〜奥深い、D: あっさり〜さわやか）に分類された36種類のチキンカレーレシピが紹介されています。各カテゴリーには6つのレシピが含まれており、例えばAカテゴリーでは「奥深い香りのスパイシーチキンカレー」から「パンチの中に甘さのあるワインチキンカレー」まで、濃厚で複雑な味わいのレシピが揃っています。一方、Dカテゴリーでは「なめらか＆スッキリレモンチキンカレー」や「さわやかな辛さ炸裂！ミントチキンカレー」など、軽やかで爽やかな風味のレシピが提示されています。 第3章と第4章では、それぞれ調理法と地域性に基づくアプローチが展開されています。調理法による分類（Eカテゴリー）では、「短時間でできる」「少ない材料で作れる」「炒めるだけ」「煮るだけ」「煮てから炒める」「手間をかけて作る」という6つの手法別レシピが紹介されています。国別分類（Fカテゴリー）では、北インド、南インド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュの各地域の特徴的なチキンカレーが取り上げられ、それぞれの食文化や使用するスパイスの違いが専門的に解説されています。さらに同章では、これまでの枠組みを拡張した**113種類の追加レシピ**が一覧形式で提供されています。 書籍全体を通じて、専門的な知識を深めるための充実したコラムが配置されています。鶏肉の部位別特徴と適性、鶏ガラ出汁の作り方、スパイスに関するQ&A、そして詳細な**スパイス＆ハーブ図鑑**などが含まれています。特にスパイス図鑑では、ホールスパイス（コリアンダーシード、クミンシード、グリーンカルダモンなど）、パウダースパイス（ターメリック、パプリカ、ガラムマサラなど）、ハーブ（カレーリーフ、レモングラス、ミントなど）について、写真付きで香りや味の特徴、カレーでの役割が詳しく解説されています。これらの技術的な情報により、読者はスパイスの特性を理解し、より創造的なカレー作りが可能になります。 本書は単なるレシピ集を超えて、カレー作りの科学的・文化的背景を理解し、個人の味覚を分析・発展させるための教育的なリソースとして機能しています。3つの選択軸（味・手法・国）と詳細な味覚分析、そして100を超える豊富なレシピバリエーションにより、読者は段階的に自分だけの「最強のチキンカレー」を発見し、創造していくことができる構成となっています。この体系的で包括的なアプローチにより、初心者から上級者まで、あらゆるレベルの料理愛好家が活用できる実用的かつ専門的なガイドブックとなっています。

「最強」の名に偽りなし。 番長の作品はただ眺めているだけでも楽しくなって、週末はこれを作ろう、塩麹？これも作ろうカレーリーフを植えてみようとズボラな私を動かしてくれます。オーソドックスなチキンカレーから始めてみましたが、毎回新しい発見や出会いがあります。スパイスもかなり揃ってきました。 今週末は2日お休みがあったので「手間をかけて作るバターチキンカレー」を作りました。 結構な分量が出来上がりますが、今回のどおかな?と分かち合える存在の有り難さにも気付かされ改めてまして感謝。 青唐辛子も作ってみようかな。