
総合評価
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powered by ブクログ楽しい、楽しい、楽しいー、と、ニヤニヤしながらページをめくり、そして、昔読んだ「イリアム(ダン・シモンズ)」を再読するぞ、心に決めたのでした。
0投稿日: 2025.11.03
powered by ブクログ大昔読んだオデュッセイアは当たり前にオデュッセウスの冒険が描かれていて、ペネロペイアはひたすら夫の帰りを待っているだけの存在だった。 正直、12人の女中が殺されたくだりがあったかどうかも覚えていない。 英雄の物語の裏で、女たちにはこういうことがあったのかもしれない。新しい視点でおもしろかった。
15投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログ初めてアウトウッドの著作を読んだ。 英雄譚というものは古来より男性視点で語られており、英雄譚の中の女性は戦利品で、家の財産で、奴隷で弱者で声なき者である。ペネロペイアは『賢く貞淑なオデュッセウスの妻』という評判だからこそリアルな女性として声を上げる様を私は想像したことすらなかった。彼女らの生き生きとした姿がよみがえる。 話が進むに従って、互いの言い分が食い違うペネロペイアと12人の女中たちのコーラスにゾッとした。ペネロペイアも嘘をついたり素知らぬ顔をできるこの仕掛けが気に入った。
8投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログオデュッセウス王の冒険を妻ペネロペイアの目線から描く物語。ペネロペイアの語りに12人の女中たちがコーラスを添えるが、コーラスは次第に語りを裏切っていく。 『オデュッセイア』についてはもちろん皆さまご存知、という前提で書かれているため、事前に読んでおく、少なくとも把握しておく必要がある。そしてそれをどう読んだかで、本書の感想は大きく異なってくると思われる。10歳からのオデュッセウス推し、と言う立場で読んでみた。 読み始めるなりいろいろ悟らざるを得ない。かの英雄譚がどこまでも男性目線で美化されたものであること。女性の目線のない物語がどこかおめでたさをはらむこと。そして自分が、まるで無批判に読んできたこと‥。神殿が目の前で廃墟と化していくような気持ちになった。 その廃墟から立ち上がってくるのは、「なぜ12人の女中たちは殺されたのか」という問いである。相矛盾する主張や憶測、暴露に考察が入り乱れ、一見、真相は藪の中。しかしその経緯はどうあれ、オデュッセウスが彼女たちを殺した理由はたった一つであるし、それはきわめて不当な理由だった。それが数千年見過ごされてきたということは、現代に至るまでその不当さがある程度当たり前とされてきたということだ。女中たちは死後の世界で、苛烈にオデュッセウスを告発する。圧殺されてきた声によるその告発、普遍的な不当性に対する告発こそが、本書を特別なものにしているのだと思う。 マーガレット・アトウッドを読むのはこれが初めてだが、他の著作を読んだらまた違う感想が出てきそうな気がする。あときわめて個人的な感想であるが、オデュッセウスの生まれ変わりリストに真田昌幸も加えられるべきだろう。
1投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログp.165〜170が出色。 家父長制やら父権制やらの生皮をベリベリ引っぺがす爽快感が素晴らしい。 これが四半世紀前に書かれた作品だとは。 アトウッドの炯眼に驚くばかり。 巻末に古典劇や神話のなかで沈黙させられてきた女性たちが語る作品群が列挙されていて、そちらも興味深い。ぜひ、読んでみたい。
1投稿日: 2025.08.16
powered by ブクログ『オデュッセイア』を、夫を20年待ち続けた賢妻ペネロペイアの視点で⁉なんて、アトウッドにしかできまいよ。死後の世界で前世を振り返るペネロペイアの独白、不実と殺された12人の奴隷女たちによる恨みのコロス(ブロードウェイ風になっていたりしてオモシロ)から、衣食住の詳細も豊かに浮かび上がる現代の女性像との対比。いや~本質はそんなに変わっていないのかも…。 たまたま飛行機で見た映画が、レイフ・ファインズ&ジュリエット・ビノシュがこの夫妻を演じる『The Return』だったりして、それぞれの解釈の違いも楽しく、薄い本なのに実に読みごたえがありました。
0投稿日: 2025.08.03
powered by ブクログホメロスのギイシャ神話「オデュッセイア」を、女性登場人物の視点で描く。 オデュッセイアに20年放置された妻ペネロペイアと、オデュッセイアが帰還した際になぜか殺された12人の女中たちが、 神話では語られなかったオデュッセイアが冒険に出かけていた間の20年を語る。 ジェイムズ・ジョイス の「ユリシーズ」を読む前にこれを読んでいたら、「ユリシーズ」の感想は違ったものになっていた気がする。 「オデュッセイア」を知らなくても楽しく読めるが、「オデュセイア」を知ってから読むと、パロディもの(?)二次創作もの(?)としても楽しめるんじゃないかな。
0投稿日: 2025.07.17
powered by ブクログ面白かった。アトウッド自身SF = Speculative Fictionと呼びたいと言われているのも納得。でもやはり自分にはまだまだ歴史的・文学的教養は全然足りないことも思い知らされる。 タイトルがイリアス(イリアド)に絡めてペネロペイア→ペネロピアドになっているという点や、古典の舞台を思わせる幕間などやはり自分自身がもっと古典を知っていればもっと面白さも伝わるのだろうなともどかしくも思った。
14投稿日: 2025.06.22
