
総合評価
(7件)| 2 | ||
| 2 | ||
| 1 | ||
| 0 | ||
| 0 |
powered by ブクログスポーツ科学、なかでもスポーツ心理学を紹介する一冊。 プレッシャーに立ち向かい、自分をコントロールして対処するにはどうすればよいのか。そも対処できるのか? これをPK戦を素材に解き明かす。ワールドカップでは1974年から採用された。かつてはロシアンルーレットとも言われたPK戦だけど、今では対処法や準備の仕方が確立されつつある。 けど、サッカーの歴史とともにPK戦の変遷を見ていくと、サッカーっておよそみみっちい競技なんだなぁと思っちゃう。まったく紳士的なスポーツではない。相手を失敗させるためには何だってやっちゃうんだから。ラグビーでは考えられないよね。だからこそ大衆に愛されているのだけど。
0投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログ書名は「なぜ超一流選手がPKを外すのか」となっていますが、本書は”PKの成功率を向上させるには、どのようなメンタルのマネジメントが必要か”という点にフォーカスした内容になっています。 1章 PKがいかにプレッシャーのかかる状況であるか、W杯やEUROなどの主要大会決勝トーナメントなど具体的な試合を挙げています。かなり数多くのケースが例として紹介されていますが、私が最も印象的だったのは1994年W杯アメリカ大会決勝で、PKを外したロベルト・バッジオのケースでした。 2章 PKキッカーが自分が主導権を握るために取り組む工夫について、キック前のルーティンなどの例を挙げて解説しています。この章では日本の遠藤選手が世界一流のPKキッカーの一例として紹介されています。有名な”コロコロPK”ではなく、キック前の間合いを長く確保していることについて、遠藤選手本人の証言なども紹介されています。 3章 PKキッカーの集中力をそぐ努力を重ねるゴールキーパーの実例が紹介されています。わざと遅くゴール前に歩いたり、ボールをなかなか手渡さない、キッカーにしゃべりかけるetc…等々の数多くの心理戦の実例が挙げられています。 4章 ゴールキーパーだけではなく、キッカーの相手チームの選手がキッカーに話しかけたり、威嚇したりするなどの手段でキッカーのメンタルを乱そうとする一方、それを防ぐためにキッカーのチームメイトがキッカーを囲んで文字通り”守る”役割を担うなど、チームとしてPKキッカーをいかに”守る”のか、その実例などを紹介しています。 5,6章 PKを蹴る順番を監督がいかに決定するのか、その需要性を実例をもとに解説しています。2022カタールW杯で実施されたPK戦において、選手の立候補で決めた監督(日本、フランス)と、予めPKを蹴る選手とその順番を決めていた監督(アルゼンチン、モロッコ、クロアチア)とでは、明らかに後者の勝率が高いというデータを示し、”PKを蹴る”という重責を負うことを表明する事へのプレッシャーを選手に負わせない重要性を述べています。 デシャン、アンチェロッティ、クライフやなど一流の選手でさえ”PKはくじ引きみたいなもので、練習しても無駄だ”との証言がある一方、”PK戦はチームとして取り組むべきであり、成功率を向上させるやり方がある”とする著者の考えが数多くの実例をもとに解説されていて、非常に興味深く読むことができました。 私はサッカーは競技としては未経験なので、PK戦の経験はありません。著者によると、センターサークルから一人で歩いてPKスポットに向かう時、凄まじい孤独感を感じるとか。また失敗してセンターサークルへ戻る時の心境は経験した人にしか分からないそうです。そういうプレッシャーをチームとして一緒に共有する手法として著者の数々の提案について、もし次のW杯の中継でPK戦を視聴する機会があったら、是非キッカーだけではなくベンチのスタッフや、チームメイトの動きまで映像で観てみたいと思いました。
0投稿日: 2025.07.22
powered by ブクログPKは運試しではなく、状況をコントロールできているという実感で成功確率を上げられるものなんだそうだ。また個人の問題だけでなくチームの連帯感、ムードでも変わってくると。…職場もサッカーの世界も一緒なんだなぁと思った
0投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログプレッシャーをどうマネジメントするかと言う研究を、PKを通じて進めてきた。 ワールドカップの決勝で、バッジョが思いっきりふかして敗退したのを鮮明に覚えている。ジダンが吐くほどのプレッシャーらしい。 PKはくじ引きみたいなもんだと言う監督が結構多かったそうだ。事前に練習しようにも、あの狂気のプレッシャーは再現できないからと言う声もあったようだ。だが、軽いプレッシャーの元でも準備しておけば、さらに強いプレッシャーにも対応できるよにうになるという研究結果があると。 要は、環境をどれだけコントロールできるかと言うことなのかな。 主審のホイッスルから短すぎても長すぎても上手くいかない。 ルーティンもそう。 コミュニケーションも大事。 いずれにしろ、PK対応は技術として十分に準備できると言うことだ。 本筋とはちょっと違うが、GKがキッカーの平常心を失わせようとあらゆる手段をとることへの対応、みたいなのがあるが、そもそもそんなことを認めてしまうところが野蛮人のスポーツだなと思ったわ。 PKは個人戦だが、団体戦でもある。 例えば剣道の試合で、相手、観客が「礼」をかく行動をすることなんか想像もできない。 そう言う考えだから勝てないのかもしれないが、最近のサッカーが面白くないのはそう言うところかもしれない。 と思った。
0投稿日: 2025.06.05
powered by ブクログ「遠藤保仁 6.4秒」この意味が知りたくなった人は今すぐ本書を手に取るべし。2022年のカタールW杯で日本代表が4人中3人止められて敗退したのもまだまだ記憶に新しいPK戦。歴史上でも様々な名選手が勝負のかかった場面でPKを外してきた。その現象をスポーツ心理学の視点から徹底分析した一冊。個人のプレッシャー対策やキッカーとGKの駆け引き、チーム組織で出来ることまで話題は多岐に渡る。めちゃくちゃ面白かった。どこか特定のチームを勝たせるミッションを背負った立場ではない研究者がここまだやるのはもはや変態であるw
0投稿日: 2025.05.31
powered by ブクログPK戦のプレッシャー心理学:なぜ超一流選手も失敗するのか 本書は、サッカーのPK戦における極度のプレッシャーが、いかにして超一流選手でさえパフォーマンスを低下させるのかという問いを探求する書です。著者の個人的な経験とインタビュー調査に基づき、PK戦が選手にかける心理的負荷、その影響、そしてプレッシャーをコントロールするための戦略や、チームとしての向き合い方について、脳科学や心理学の知見を交えながら詳細に分析しています。 プレッシャーの脅威と脳科学的解明:パフォーマンスを阻害する要因 第1章では、PK戦が選手にもたらす強烈なプレッシャーと、それによって引き起こされる「チョーキング」現象について解説します。プレッシャー下の生理学的反応が、状況認識や判断力、微細運動能力を低下させる可能性を指摘し、脳科学の研究から、不安を感じながらPKを蹴る選手の脳活動の特徴や、プレッシャーによって視線が不安定になる様子を明らかにします。また、試合中のフィールド選手の行動や、PKを蹴るまでの時間の分析を通じて、PK戦におけるプレッシャーの多角的な影響を示唆します。 プレッシャーの制御と心理戦術:成功への道筋を探る 第2章では、プレッシャーへの対処法として、不安を受け入れることの重要性や、PKは練習によってコントロール可能なスキルであるという認識を持つことの有効性を強調します。元イングランド代表コーチの事例を挙げ、徹底的な分析と準備による心理的な優位性の構築を紹介します。さらに、アルゼンチンのGKエミリアーノ・マルティネスの例を詳細に分析し、心理戦術の具体的な応用や、PK成功後のセレブレーションが相手チームに与える影響について考察します。神経科学を活用したトレーニング法も紹介され、プレッシャー下でも最適な心理状態を維持するためのアプローチが提示されます。 チームとしてプレッシャーに立ち向かう:監督の役割と選手選定 第4章では、チームとしてPK戦のプレッシャーにどう立ち向かうかに焦点が当てられ、PKは練習で改善可能であるという筆者の強い主張が展開されます。ストレスに対する「反脆弱性」の概念を紹介し、プレッシャー状況に慣れるためのシミュレーショントレーニングの有効性を述べます。特に、PK戦における監督の役割の重要性を強調し、選手に安心感を与えるリーダーシップのあり方、そして選手の能力や心理状態を事前に把握した上での科学的なキッカー選定の必要性を提言します。 監督の決断と選手の人間性:PK戦における心理的サポート 監督は、PK戦を単なる技術的な問題として捉えるのではなく、心理的な問題として認識し、PK前の貴重な時間を選手の精神面をサポートするために使うべきであると筆者は主張します。選手に過度な責任を負わせるようなキッカーの募り方ではなく、事前の個別面談などを通じて選手の意向や能力を把握し、データに基づいたキッカーリストを作成しておくことが推奨されます。そして、運命のかかった状況で一人ボールの前に立つ選手の姿は、彼らが「しょせん人間なのだ」ということを示し、観客の心を打つと結びます。 データ革命とPK戦の不確実性:依然として残る重圧 謝辞では、本書の完成に協力した多くの関係者への感謝が述べられています。最終セクションでは、データ革命によりPK戦の戦術やトレーニングが進んでいるものの、依然として大きなプレッシャーがかかる状況であり、何が起こるか分からない側面も持ち合わせていることが改めて強調されています。 究極の心理戦:PK戦におけるプレッシャーとの闘い 本書は、PK戦という極限の状況下における人間の心理状態を深く掘り下げ、一流選手でさえ失敗してしまうプレッシャーのメカニズムを解明しようと試みます。プレッシャーをコントロールするための具体的な方法論や、チームとしてプレッシャーに立ち向かうための戦略が提示されており、読者はPK戦の奥深さと、人間の心理がパフォーマンスに与える絶大な影響について理解を深めることができるでしょう。
0投稿日: 2025.05.14
powered by ブクログ【W杯を前にかつてないサッカー×実用本爆誕】極限のプレッシャーが最も簡単なキックを困難にするワケとは。スポーツ心理学者が無数のPKの研究から万人の重圧対処法を指南する。
0投稿日: 2025.03.13
