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powered by ブクログすぐ役に立つものは すぐ役に立たなくなる 目先の効率や即効性に振り回されがちな日常に、一石を投じる一冊。荒俣宏の提唱する「0点主義」は、失敗や遠回りを恐れず、むしろそれを学びの深化と捉える哲学である。特に印象的なのは「偶然の縁」や「曖昧さ」を活かした思考法で、AIには真似できない人間の創造性を鋭く際立たせている。読み進めるうちに、競争を超えた自己充足の道が見えてくる。
36投稿日: 2025.11.11
powered by ブクログ(知的)好奇心を燃やせ! という本。若い人に向けての人生指南的な本だけど、荒俣宏みたいな特殊な才能持ち合わせてないよなぁ。 サラリーマン時代の話や、学生時代の話が面白かった。ふてぶてしくも見える大胆さを身につけるための考え方なんか参加になるような、ならないような。w。でもやっぱこの人素敵よね。
9投稿日: 2025.11.06
powered by ブクログ人生を前向きに考えられるおまじないがあります。 (内田康之先生) 日本大学図書館生産工学部分館OPAC https://citlib.nihon-u.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000297891&opkey=B176187315354967&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=20&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0
0投稿日: 2025.10.31
powered by ブクログ自分にとって荒俣さんといえば「テレビでたまに見かける物知りなおじさん」というイメージでしたが、なんとも「好きこそものの上手なれ」をトコトンまで突き詰めた存在だと、あらためて圧倒されっぱなしでした。 昔に比べて今の若者の方が、学校で測れるような頭の良さを持つ人は増えているのかも知れませんが、荒俣さんやタモリさんのような、清濁全てを飲み込む「底知れない知の巨人」のような人はもう出てこないのかも知れません。 「バランス良く生きる」を是とする世の中では、こんなに突き抜けた存在は出てこないよなぁ、というのを読んでいてずっと感じました。
2投稿日: 2025.10.29
powered by ブクログ楽しみながら学ぶ、誰もやっていないことを深める。 偉い人に手紙を出してみる。荒俣氏の歩みを見せていただいた。
0投稿日: 2025.10.28
powered by ブクログ勉強や知識に対する固定観念を揺さぶってくれた一冊。「勉強して知識を蓄え続けて、良い成績や成果を達成できたとしても、それが幸福に至る唯一の道では無い」ということを知れば、学業や仕事のプレッシャーが多少は軽くなれそうです。 与えられた勉強だけでなく、自身の好きな事やニッチな領域を勉強する楽しさを再発見できました。
7投稿日: 2025.10.24
powered by ブクログAudibleで聞きました。世の中の役に立たない知識を持つ人が今よりずっと変人扱いされていた時代を生き抜いた著者の生き方の薦めが読み取れた。広く深く知見を、視野を広げることが人生を豊かにすること、劣等感を抱える自分を諦めて(心が朽ちると書かれていた)受け入れることで見えてくる世界があること、勇気を持って知らない世界に飛び込んで自分なりに面白いと感じる部分を探してみることなど、心に響くメッセージが散りばめられていた。
0投稿日: 2025.10.06
powered by ブクログ荒俣さん好きなのとタイトルが気になって読んでみる。AIからは得られない重みと偶然性を楽しめる行動。アナログな知識と経験の良さと活かすヒントが書いてあって、長期的視点だったり生き方のヒントにもなりそう。ムダなことなんてないのかもね。
1投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログいつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。 タイトルをみて食指が動いたのですが、内容は「荒俣流勉強術」の紹介が中心です。 期待どおり興味深い指摘や示唆もありましたが、正直なところ、荒俣さんの体験にもとづく “昭和の人生訓” といった感じの小文が大半だったように思います。
0投稿日: 2025.09.30
powered by ブクログ帝都物語やイベントなどでよく知っているものの、著書を読んだ記憶はなかった。好きこそ物の上手なれという、物事を楽しみながら学んでいく考え方が言語化されており、参考になった。 定期的に興味がないジャンルの本を読むようにしているが、それによって得た経験をうまく咀嚼できたと思う。 仕事や勉強が楽しくない人など、自己啓発書よりも本書をオススメする。
0投稿日: 2025.09.18
powered by ブクログ博覧強記の知の怪人・アラマタ」が、今も実践し続ける独自の勉強の技術。 「狂気」の収集癖と圧倒的蔵書量、溢れ出る知の洪水。 「無理」「無茶」「無駄」が人生を面白くする。 勉強に取り組む際、「これがすぐに役立つからやる」と考えたことがない。いつも念頭にあるのは「勉強しておもしろいかどうか」だけだ。 はじめから勉強と実践をつなげようとすると、意外に労多くして功少ないものになりかねない。それに役に立てることばかり考えて勉強するのでは、志が低くなる。逆に必死に実践を目標に勉強したのに役に立たなかったら、それこそやる気がなくなるだろう。 だから、まずは学ぶことを当面楽しむこと。遊ぶことである。 ー 222ページ 日本人には子どもっぽさやかわいらしさを好む傾向があり、「老いる」ということはただひたすらマイナスでしかないと見る風潮がある。これでは、老いることに積極的な意味を見いだすことがますますむずかしくなってしまう。 しかし、老いとは「経験を積んで賢くなる」ことで もある。老いに対するあまりにも偏った見方は、結局自分たちの首を絞めることになると思う。 「老いること」について、三島由紀夫の発言を紹介したい。 学生運動が盛んだった1960年代、東大の学生たちと討論した際、三島は次のように述べて学生をやりこめたという。 ー 235ページ 「若者にはエネルギーを持って社会を批判する情熱と権利があるかもしれないが、老人には何もしない勇気があるのだ」 「長く生きてきた分だけ存在感を提示できるので、賢く、また洗練されている。その点だけは若者が老人に敵わないところだ」 ー 236ページ
0投稿日: 2025.09.05
powered by ブクログタイトルの「すぐ役に立つものはすぐ役に立たなくなる」って言葉、すごく好きです。 コスパとかタイパやらが幅を利かせている昨今、とにかくすぐに答えに辿り着こうとする風潮には違和感を覚えます。 情報が氾濫する世の中にあって、すぐに役立つものは確かに便利な反面、すぐに陳腐化してしまいます。 しかしながら、すぐに役立たないものこそが人生を豊かにし、人としての深みを増してくれると常々思うのです。 好奇心は、日常のあらゆる場面から生まれるもの。 荒俣先生は変人だと思うのですが、好奇心を追求し人生を楽しくする姿勢を見習いたいものです。
0投稿日: 2025.09.02
powered by ブクログ変なタイトル。 この本は2012年刊行の「0点主義 新しい知的生産の技術57」 に大幅加筆したものということだが、 元のタイトルの方が本の内容にふさわしい。 新タイトルでもいわんとすることはわからないでもないが、、 知的生産の技術だ、これは。 あるいは、今回の帯にある「AIに負けない勉強法」が 言いえて妙かもしれない。 「もてない」を自認する荒俣さん、 独自路線でいろんなことに興味を持たれたようだ。 その姿勢、好きだな。 冒頭の「『好き』とは一線を超えること」 こりゃまたいい。 これはおそらく人間にだけできてAIにはできない分野。 情熱。パッションともいえるかな。 これを失ったらおしまいよ。 生まれた時からスマホがある若い人は、 全ての解がスマホにあると思ったりしやしないか心配だ。 そうならないためにもこの本読んで、 ある意味いい加減に? 惜しげもなくコラムタイトルをテキスト化してくれている。 これを読むだけでも教えがありそう。 詳しくは本を読んで。 魚が好きでニチロに入ったのに、 IBM360導入時に、適性検査でコンピュータ部門の配属になった、 というのも親近感が持てる。 好きなタイプの本、著者。 はじめに AIに勝てる知的生活を見つけるために 好きなら何でも許される……わけではない話 一生とは「自分の物語」をつくっていくこと 「バカ」も叡智の一種、人間にしか発揮できない力 「無知からの脱出」と「未知への進出」 みんなが退屈する数学だって、学べばおもしろい 超むずかしい数学でも、お化け映画と思えば興味津々 ソーカル事件も、ソウカと思える 歴史に見る「叡智」の実例 第1章 脳にかかったクモの巣を払う──0点主義のすすめ 0点には2種類ある 0点法で苦悩を救えることもある まずアマチュアになれ 見えない利益が存在すること 第2章 日本語という化け物を問い詰める バカになればニッチが見える バカになるには、勇気とリスクが必要 混沌を解消する切り札、起源のことば 日本語を疑うことに始まる 勉強法の究極は、偉い師匠に弟子入りすること 師匠発見のあとは、勉強を「工学化」する 日本語の起源にさかのぼる大冒険 第3章 AIに勝てる勉強法 AIも気づかない分野は無限にある あきらめれば何でも得られる 人生の宝を見つける勉強 福澤先生がススメた真の勉強法 あみだくじと「結合術」 「冷たい勉強法」を超えるWHYの原理 勉強は「修業」であってはいけない 飛車角落ちの勝負をしてみる―「おしっこ」の発想力 じつは受験勉強は1週間で足りる 第4章 偶然がおとずれてくれる勉強法 幸福感をともなう勉強は忘れない 目の前に来たバスに飛び乗れ! 「縁」は異なもの、すごいモノ バタフライ効果も「縁」のうち わたしが最初の参加者? 電子マネー実験元年の話 結論は、自分で体験すること、自分で考えること 偶然が起こす愉快な奇跡―セレンディピティ 不人気なものにこそ、宝が眠っている ABC分析とガマガエルの胃袋 「物語」という名の森羅万象結合力 「バナナ神話」と究極の二択問題 脳に「ONの世界」を持つと、強力なONラインができる 渋滞学が教えてくれるもの 「わからない」ことは埋蔵金になる 第5章 やっぱり情報整理なんていらない? 勉強とは模倣である 一夜漬け勉強はコピーと同じ 情報整理術は不要である 違和感を磨けば機械を超えられる 復習はアウトプットに迫られてからすればいい アウトプットの考え方で知識のつき方も変わる アウトプットは恥をかくほど堅固になる 教科書なしでも学校の勉強はできる メモとノートはまったく違う メモにからんで、こんなエピソードを思いだす ライブ感を持って授業のメモを取る 自分の持ち時間に制約をかける 情報を「視覚化する」 第6章 勉強を高尚なものにしない 西洋絵画が日本画を見て「ダイエット」した? 下世話なほうが発想に「握力」がつく 「……といわれている」がおもしろい! 恋心を勉強に感じると奇跡が起きる 人類美術史三万年展の大企画 背伸びをすると世界が広がる 競争不要の「隙間」をたくさん見つけていく チャンスが来たら流れを止めない 人生、途中下車も悪くない 自分をペテンにかける 第7章 苦手な勉強を楽しくする「魔法の力」 いちばんやりたくない仕事が最高におもしろい勉強になった 大得意なものを見つけ、人生を長期戦で捉える おもしろくない勉強も必ず楽しくなるコツ 第8章 自己承認欲求に負けない「あきらめる力」 自信のなさは、フロイト理論を脱出することで癒やす 夢分析を「カウンセリング」に変える方法 あきらめることも、勉強においては非常に重要である 共同体感覚とは、はだかの自分を見せる勇気を持つこと 団塊世代の得意技、貧乏自慢にモテない自慢 幸福をゼロ円で買うマンガ家の教え もっとも叶えたい希い「ベスト3」を、人生から外してみる 自分を低い評価にとどめると、学べるものが多くなる 短所を克服すると、かけ算で伸びる 第9章 最強の「勉強法」は読書、場所はトイレと風呂と喫茶店 あなたは最強の勉強空間を知っているか? 座右の書は死ぬまでに見つかればいい いい本は第一印象で見抜ける 廃棄処分の本からお宝を見つける 人の話をよく聞き、二つ以上の職を持つ秘術 第10章 「人生丸儲け」と、「間違える権利」 「批判的に本を読む」ことは意義があるか? 天下の名言、「人は間違える権利がある」 「人生丸儲け」の感覚をやしなうコツ 賢くなければバカにはなれない 定年退職後に「勉強しよう」では遅い あとがきに代えて だまされることで創造的批判力が身につく
6投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログシンギュラリティが2030年にくると言われているが著者は心配していない。 2章 いなバカなこといってんじゃねえよという悪口は、おまえの提案は新鮮だと言っているのと同じ。バカなことが好きな人にこそ、ほんとうのチャンスがめぐってくる。 3章 冷たい手段の勉強ではなく、大河のように太く流れる勉強は本来楽しいもの。 10章 60過ぎてから海外でレンタカーで旅行を楽しむようになった。
17投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログ学び方、勉強法について荒俣流がよく分かった。西洋で尊敬されるのは純粋に学問を愛するアマチュアの方、知識製造機、セレンディピティ、勉強を高尚なものにしない、あきらめる力、無駄なところに有益なものがある、という事に改めて気づいた。
0投稿日: 2025.07.30
powered by ブクログ著者はちょっと前なら立花隆、今だったら佐藤優にも劣るとも勝らないレベルの知の巨匠だと強く感じた。 ただ立花氏や佐藤氏と異なるのは実体験から得た経験値の蓄積が半端ないこと。 すごい人がいるもんだと改めて感じた一冊。
1投稿日: 2025.07.09
powered by ブクログ荒俣先生の著作で読み通した最初の1冊になりました。 共感の嵐でした。 自分自身、やはり王道よりマイオウンロードの学びを実践したいといつも思っている。 勉強するにあたって一番大切なのはモチベーションであり、いかにしてモチベーションを維持するのか?と考えながら工夫することこそが、勉強における努力だと思う。 また、間違える権利についての話があったが、学校とは取り返しのつく範囲での間違える権利を行使できる場であってほしいとも考えた。 新しい事にチャレンジするための勇気は、基本的に加齢とともに衰えていくものらしいが、いくつになっても新しいことに新鮮さを感じられる若い感性を持ちたいものだと感じた。
1投稿日: 2025.06.30
powered by ブクログ<目次> はじめに 第1章 脳にかかったクモの巣を払う~0点主義のすすめ 第2章 日本語という化け物を問い詰める 第3章 AIに勝てる勉強法 第4章 偶然がおとずれてくれる勉強法 第5章 やっぱり情報整理なんていらない 第6章 勉強を高尚なのにしない 第7章 苦手な勉強を楽しくする「魔法の力」 第8章 自己承認欲求に負けない「あきらめる力」 第9章 最強の「勉強法」は読書、場所はトイレと風呂と喫茶店 第10章 「人生丸儲け」と「間違える権利」 <内容> 2012年刊の『0点主義~新しい知的生産の技術57』を底本に、大幅な加筆、改編をして再編集したもの。元本が「知的生産法」なので、必ずしも”勉強法”が書かれているわけでもない。また荒俣氏の伝記的要素も濃い。ちょっと古い感じもするし、まったく新しいことが書かれているわけでもない。荒俣氏は結婚していたんだ…。
0投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ荒俣さんは文系寄りの方だとばかり思っていたが、プログラム(それもカードの時代とは!)を作っていたとは初めて知った。 何でもに興味がもてるその享受の姿勢が羨ましい。 好きなことが仕事になる。仕事に楽しみを見つける。 同感と思える時代もあったが、難しい時もあり・・・ そのうち、なにかまた見つかると思えるかも!と少しだけプラス思考になったかも!?
11投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ・日々変化せよ ・点数主義に走るな ・とりあえずやってみろ ・楽しむに如くは無し ・ニッチを深掘りして掛け算 などがエッセンスな気がする。少し迂遠で分かりにくいけど面白かった。
0投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ博識な老人の人生論でありながら、「辛いときにはタコの頭をなでたりしていれば、どうにか定年まで我慢できるのではと考えてマルハニチロに入社した」「(プログラムの仕事を)これは言語哲学の実戦だ、文学なのだと気づいた」などの笑ってしまうエピソードもあり、緩急に富んだ面白い本であった。 食わず嫌いをせずに巡ってきたものは何でもやってみて、そこでの「気づき」が面白さに繋がるんだな、と。荒俣さんほど、何事にも興味を持てる自信はないが、とても勉強になった。
0投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログ高校生の頃からずっと荒俣先生のファンでしたが さすがとしかいいようのない 確かに先生はモテとは 無縁だとご自身がおっしゃってたましたが 7歳にして朽ちていたって 一カ月も風呂に入らず 老人が友達の子供…。幼少期からただものじゃない。確かに世間が良しとするものを求めるのをやめたらずっと楽に楽しく生活できる わくわくする様なお話でした。 帝都物語の印税散々されたんですね…古書に。 ますますファンになりました。
0投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログ1. はじめに:「すぐ役に立つ」ことへの警鐘と学びの再定義 本書は、「すぐ役に立つものは、すぐ役に立たなくなる」という挑発的な命題を基軸に据え、現代社会における学びや生き方に対して長期的な視点を持つことの重要性を説きます。目先の効率や実用性ばかりを追求するのではなく、自分自身の内なる興味関心に従い、主体的に「物語」を紡いでいくプロセスそのものに価値を見出します。知的活動や学問は、本来退屈なものではなく、著者自身の経験を引き合いに出しながら、例えば数学のような分野でさえも、取り組み方次第で文学や映画のように知的好奇心を刺激するエンターテイメントになり得ると提示しています。 2. 常識への挑戦:「0点主義」と失敗から生まれる価値 第1章「脳にかかったクモの巣を払う」では、固定観念や無自覚な「無知」という「クモの巣」を取り払い、物事の本質を見抜く「啓蒙」の必要性が語られます。そのためには、他者の意見に流されず自ら思考する「理性」が不可欠です。ここで提唱されるのが「0点主義」というユニークな発想で、これは世間的な評価が低く競争相手の少ないニッチな分野にこそ、独自の価値や将来的な大きな可能性が眠っているという逆説的な戦略です。また、一見ネガティブな「バカ」であることや「失敗」も肯定的に捉え直し、特に失敗はAIには模倣できない人間固有の貴重な経験であり、時間をかけて熟成することで新たな発想を生む化学変化の触媒となると強調。若いうちはリスクを恐れず挑戦し、学びや仕事を「遊び」として楽しむ姿勢を推奨しています。 3. 言葉の深層へ:日本語探求に見る本質への眼差し 第2章「日本語という化け物を問い詰める」では、私たちが日常的に使用する「日本語」の奥深さや複雑さに焦点を当てます。著者は、かつて日本語を完成度の高い言語と捉えていましたが、社会で「ビジネス語」のような極端に省略された言葉遣いに触れた経験から、言葉の表面的な「内容」だけでなく、その「起源」や「成り立ち」を批判的に問い直すことの重要性を痛感します。例えば、漢字の象形文字に秘められた意味(「法」と神獣ヘテの関係など)や、「くすり」「うつくし」といった言葉の語源を探ることで、言葉の背後にある古代の思想や文化的世界観への理解が深まると説きます。日本語処理技術の歴史的困難さにも触れ、言葉への探求が、白川静氏の漢字研究や松岡正剛氏の編集工学的手法を援用しながら、より本質的な理解へと繋がる道筋を示しています。 4. AI時代の学び:「好き」を原点とする知的冒険 第3章「AIに勝てる勉強法」は、AI技術が進化し続ける現代において、人間ならではの知的活動のあり方を模索します。従来の学歴偏重や実利主義的な勉強観(「冷たい勉強法」の一形態)に対し、著者は、自分自身が心から「好き」だと感じられる対象を見つけ、その探求に没頭することこそが真に重要だと主張します。他者が見過ごしているニッチな分野に自身の関心を重ね合わせ、そこで独自性を追求する勉強法(これもまた「冷たい勉強法」と呼称)は、競争を避けつつオリジナリティを獲得する道です。「材木」のような即効的な有用性ではなく、「神木」のような未知の可能性を秘めた存在を目指すこと、そして「ワンダー」(不思議な情報)に積極的に向き合い、その本質を明らかにしようとする姿勢が、新たなアイデアや対処法に繋がると説きます。梅棹忠夫氏の知的生産術やコンピュータとの「一人称的な会話」といった経験から、苦手な分野にも面白さを見出し、主体的に取り組むことの価値を強調しています。 5. 偶然性の受容と古代知の再発見:「縁」が拓く学びの地平 第4章「偶然がおとずれてくれる勉強法」では、予期せぬ出来事や出会い、すなわち「縁」が学びや発見に果たす役割の大きさを探ります。仏教由来の「縁」は、物事の「きっかけ」や結びつきを生む引力のようなものであり、バタフライ効果やセレンディピティといった概念とも通じます。情報過多の現代では、情報を「覚える」ことよりも、キーワード(アドレス)を設定して「取り出せる力」や情報間の繋がりを「視覚化」する技術が重要となります。また、NTTの電子マネー「スーパーキャッシュ」の失敗事例は、新技術が必ずしも円滑に普及しない現実を示唆します。この章ではさらに、「古代知」の復権を提唱し、神話や古代の物語に隠された現代科学では捉えきれない深い洞察や「警告」を読み解くことの意義を強調。失敗、特に「だまされる」経験は創造的批判力を養う糧となり、誰もが「間違える権利」を持つと述べています。 6. 「あきらめる力」:執着を手放し、日常に潜む豊かさを見出す 第5章(推測される章)「なんにもいらない」では、世間的な評価や承認欲求といった外的要因への執着を「あきらめる」こと、すなわち手放すことの重要性が説かれます。自分自身への過度な期待や他者の目を気にすることをやめることで、精神的な自由が得られ、多様な生き方や可能性が開けます。最も叶えたいと願う「ベスト3」をあえて人生の目標から外してみるという提案や、水木しげる氏の「幸福論」(幸福は高価なものではなく、身近に存在する)の紹介は、物質的成功に依存しない幸福観を示唆します。自身の短所やマイナス評価を逆手に取って強みに変える発想や、トイレのような意外な場所を集中空間として活用する例、世評に惑わされず自身の感性に合う本を選ぶ姿勢、さらには廃棄本の中に「お宝」を見出す視点など、日常のあらゆる場面や見過ごされがちなものの中に学びや価値を発見する柔軟な思考法が提示されます。 7. 学びを日常に溶かし、「間違える権利」で自己を肯定する生き方 終盤の第6章「勉強を高尚なものにしない」と第7章「承認欲求に負けない『あきらめる力』」では、学びが特別なものではなく日常の中に溶け込んでいること、そして人間的な弱さを受け入れることの重要性が強調されます。絵画鑑賞(日本画と西洋画の魚の描写の違いに見る文化習慣の影響)や人物画制作(対象への情熱とアマチュア精神)、大規模企画への参画といった経験からも学びは得られます。アドラー心理学に触れながら、劣等感が自己成長の原動力になり得ること、そして仕事・友人・家族関係という「ライフタスク」への取り組みが心理的問題解決に繋がることを示します。繰り返し「あきらめる力」の重要性を説き、自己評価を低く設定することで得られる気楽さや挑戦への自由を語ります。最後に、人生は「恥のかき通し」であり、誰もが「間違える権利」を有していると力説し、失敗を恐れず、自分自身のユニークな物語を創造していくことの価値を訴えかけています。
0投稿日: 2025.05.17
powered by ブクログ学者の荒俣さんの言葉は本全体を通じて重みがある。 「人生なんて死ぬまで恥のかき通し。失敗を気にしていても始まらない」「どんなジャンルでも、2〜3日やればその仕事は面白くなる」「学んだ知識をアウトプットする機会を日常の中に作ってしまえばいい」などなど。 それらを荒俣さんの経験を基に語っているのだから決して間違いはないだろう。 ためになります。
26投稿日: 2025.05.15
powered by ブクログなんとなく世界の本質がわかってきたぞ、、笑 答えや方法論は存在しないということが。 プロフェッショナルではなくアマチュアでいろ、というのはジョブスのstay hungry, stay foolishに通じる。 答えや方法論、意味を求めすぎる現代において、ニッチを見つけるには良くわからんけど好きなものを突き詰めるしかない。 方法論や意味にすがっていてはニッチは見つけられないのだから。 そして好きなものは、変わったもの、人が興味を持たないものであればあるほどよい。 意味はないし方法論ともいえないのだから答えに辿り着かない可能性のほうが高い。でもそんなことにたくさん足を突っ込んでいくことが大事だ。 「来たバスには乗れ」 これがこの本に教えてもらったこと。
0投稿日: 2025.04.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
p2 来たバスにはのってみろ p5 人生なんて、結局は自分の物語を一生かけてつくっていくようなもの p80 紀田順一郎 一太郎の改良計画に座長として参加 p83 富 うかんむりの福 祖先の霊廟や神聖な建造物を表す 冨 酒の容器を表した象形文字 p96 それがよかったかどうかは、多分の死ぬ直前まではっきりしないし、人生の決算期になったとき振り返って、自分の一生が相撲の星取りに例えて7勝8敗ならば、誇るべき結果だと思うべきだ。星1つの負け越しは、誰かにその星を譲ったとことを意味するからだ とくに若い時期では、自分の決断が正しいかなんてわかるはずもない。だから、静かに、絶え間なく、自分を磨き続けるのがいい 荘子「櫟社の散木(れきしゃのさんぼく)」の話は良かったです。とある神木の話で、「散木」というのは曲がったりして使いにくい役に立たない木の事なんですが、役に立たないからこそ誰からも切り落とされずに神木として祭られるようになった、というもの。 使える木はすぐに伐られるが、使えないと判断されて放置された散木は、巨木になるまで育って、神木と呼ばれるようになった 材にならなくても、そのおかげで神木になれる可能性があって、運命はどちらに転ぶかわからない p116 勝負は今でなくていい。今を勝負するのは、せいぜい受験勉強と資格試験のための勉強くらいでいい。遠い未来、あるいは想定外の事態に対応するための勉強のほうが、ながい実人生の中ではいっそう大切となる。 p130 我々の世界は因と縁の結果からできあがっているから、因縁のよであり、この因縁を取り除いたら、我と呼ばれる確かな存在は無に帰するから無我となる 縁もゆかりもなかった男女が縁の力によって夫婦になることから縁談なのだ p142 自分の体験は台本なしでもどこでもしゃべれる。ということは、その知識情報があなたの身になり、肉になったことの証拠だ p173 わからないことは、そのままにすればいい p195 人生なんで、死ぬまで恥のかき通し。失敗を気にしていても始まらない p236 三島由紀夫 若者にはエネルギーをもって社会を批判する情熱と権利があるかもしれないが、老人にはなにもしない勇気があるのだ 長く生きてきた分だけ存在感を提示できるので、賢く、また洗練されている。その点だけは若者が老人に敵わないところだ p293 人間には自己保存能力のようなものがあって、不利な環境ほど短い時間をうまく使うようになる 「0点主義」の加筆再構成 会意文字 複数の漢字を組み合わせた新たな意味をもった漢字 象形文字 形声文字 意味あるいは形をあらわす字と音をあらわす字が合併した漢字
0投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログなんか読んだことある気がすると思ったら、以前図書館で借りて読んだ同著者の『0点主義—新しい知的生産の技術57』が底本と巻末に書いてあった。とはいえ、いずれ再読したいと思っていたから、本書の刊行はありがたい。勉強は苦しみや恨みとは無縁に、楽しみながらしよう、嫌な仕事だと思ってもどこかに楽しみを見つけよう、広く好奇心を持ち続けよう、勉強も仕事も遊びも区別せず楽しもう、ということが繰り返し述べられる。つまり、生きるうえで無駄なものはない、楽しんで生きよう、ということなんだろうな。
2投稿日: 2025.04.06
