長い歴史を経て紡がれてきた魔女像。実在すると恐れられていた時代から、物語の中のキャラクターや観光資源となった現代まで、そのイメージは様々な植物と分かちがたく結びついてきた。この本は植物が魔女イメージにおいてどのように描かれてきたかということと、その植物の実際の生態や特徴をまとめたエッセイ集である。その豊かさに改めて人の営みを感じることが出来るだろう。 と偉そうに書いたが、もっと単純に「魔女ってそうなんだ〜」と読んで楽しむのも全然あり(笑)。

魔女と植物の強い結びつきのイメージが物語によって形作られてきた 引き抜かれると絶叫する恐ろしい植物マンドレーク 鍋をかき混ぜる魔女のイメージは薬草の調合作業に由来 キルケーが詳しかった燃える性質を持った根 若返りの飲み物を作るには技術と知識だけでなく忍耐が必要 死と再生のシンボルとして見なされるヨーロッパイチイ ゆでられた赤子の指や毒々しく実をつけたイチイの小枝 飛行用軟膏を身体や道具に塗ることで空中浮遊や幻覚を生み出す ヴァルプルギスの夜は魔女や悪魔のサバト 魔女の力は魔力を持った植物と結びついている モリィは解毒作用のある花で根は黒く花は乳のような色 アーロンシュクープはモーセが奇跡に使った杖の力と関連付けられる マンドラゴラの根は人間の姿に似ている 絶叫を聞いた者は死ぬとされたため犬に引き抜かせる方法が取られた マンドラゴラには幻覚や夢の世界をさまよわせる毒成分も含まれている ネズの木の下に埋められた少年の骨から鳥が現れる ネズの木は死者蘇生や復讐の媒体として描かれている 赤ちゃんはコウノトリだけでなくキャベツの葉の下から生まれる 血のように赤い、真ん中に美しい大きな真珠のような露の玉がある花 呪いたい対象に似ているものを作ってそれに術をかけると対象に術が届く ヤドリギだけは幼すぎたために約束を交わしていなかった ユリの木のユリの向きで石にされた兄の状態が示される 健康を人間に約束してくれるよい魔女 ヒルデガルトは300以上の薬草の効用を詳細に記述 ヘンルーダには魔術作用や血行強化作用がある ハシバミは蛇や地面を這うものから身を守るお守り 富を約束してくれる木とも言われるハシバミ ホレおばさんは自然界に力を及ぼす古い女神 庭の薬箱と呼ばれるほど幹から根まで薬用になるニワトコ ヨモギは子宮を収縮させる作用がある アルテミニンにがん細胞を殺す効果がある イチイがんの化学療法に使われる救いの木へとイメージが変化 産婆は幸福をもたらす存在として認識されていた ハナハッカやニガハッカを握ることでお守りになる 植物園は植物学の歴史や植物と人間のつながりを学ぶ上で重要 天井に578種類もの薬草の花の絵が描かれている天国の庭 有毒植物のコーナーには赤い札がつけられている 薬草が成分別に栽培されている植物園 自然の恵みを享受し健康や幸福を願う人間の営み 市民の憩いの場としても重宝される植物園