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シン読解力―学力と人生を決めるもうひとつの読み方
シン読解力―学力と人生を決めるもうひとつの読み方
新井紀子/東洋経済新報社
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総合評価

74件)
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    AI研究の先駆者がここまでハッキリと言ってくれたのには、とても心強かった! チャットGPTなどの生成AIの出力にはウソが含まれる。でも、そのウソをなくすための再学習に時間がかかりすぎるため、経験した誤りからすぐに学べる人間と大きな差ができる! 政治や教育をAIが代替する日は来ない! 制限なしの自動運転が実現する気はしない! 理由は、教師データの不足

    0
    投稿日: 2025.11.09
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    私にとっては待望の一冊。日本での、AI研究の第一人者である著者が、AIの研究を進める過程で日本の子どもたちの読解力が驚くほど低く、教科書が読めていないことが判明したこと、そのためいくら勉強しても成績が上がらない子がいることが判明したこと、しかし、読解力を上げるための処方箋はないというのが前作までの話だった。 本書では一歩踏み込んで、読解力はどうすれば上げることができるかに挑んでいる。 著者の本により、「読解力」が独り歩きしてしまい、読書の大切さが巷では叫ばれるようになった。 しかし、実は読書の量と読解力の高さは比例しないことが分かっている。これは、小説などの物語では、読み手がどう受け取るかはその人次第という部分があり、正解は一つではないため、このような文章をいくら読んでも読解力は上がらないためと言える。 そこで、著者は「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章」を正しく読める力のことを、「シン読解力」と名付け、この「シン読解力」を上げるためにはどうすれば良いか試行錯誤を重ねた。 まず、何はさておいても、著者が開発したRSTを受けて自分の読解力の位置を確かめること。 個人的には、教員の読解力の低さに愕然とした。 教員の仕事が大変なこと、ほとんどの教員に熱意があることは否定しないが、質という面では、日本の公教育の教員は絶望的なのかもしれない。 就学前の子どもについては、できるだけ語彙を増やすことがその後の学力に差がつくことが分かっている。言葉というのは、身近な大人との会話や大人同士の会話から受け継ぐため子どもだけの努力だけではなかなか増やすことができない。佐藤亮子ママの1万冊の絵本と1万曲の童謡メソッドは、とてもユニークで効果的な語彙獲得方法。 日本のAI研究の第一人者であり、優秀な数学者でもある著者が実は高校生までは数学が嫌いで大学では文系の学部に進んだというから驚き。大学で数学の恩師に出会い、そこからメキメキと頭角を現したらしい。 たった一人の先生との出会いで、人生はいかようにでも変わるのだと改めて感じた。 特に数学というのは特殊な分野で、自分で才能に気付くことは少ないのではないか。 彼女の頭脳や実績も大いに尊敬するが、生き方そのものがとてもカッコイイ。

    0
    投稿日: 2025.11.05
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    2025/10/19 p.68まで読んだ AIを使う際には、背景にある教師データの量や外れ値の考慮不足について認識しておくことが大切であることを学んだ。

    0
    投稿日: 2025.10.19
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    RSTの結果と読解力は密接な関係があることを強く主張する本だった。シン読解力をつけるためのトレーニング方法も載せているが、文量は少ない。

    1
    投稿日: 2025.10.09
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    最初にAIの成り立ちや開発者ならではの視点で解説があり、なんとなく理解して使ってたAIについて、より特性を理解でき、使い方を工夫しようと思うきっかけとなった。シン読解力とした経緯と、それが必要な背景、根拠を筆者が研究してきた結果とともに説明があり納得感は増えました。ここまで結構長いですが、RSTの例題とともに、現代の日本人、あるいは将来の日本人にとって、大切なことを言っているように感じます。インプットの多い本でした。巻末にトレーニングがあり、これから取り組んでみようと思います。一度、RSTを実施し、自分のシン読解力のレベルを知り、対策を考えたいと思いました。

    1
    投稿日: 2025.10.08
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    RSTテストがおもしろかった。問題が解けないのは、問題をよく読んでない(読めてない)ことがよくわかった気がする。時間のAIの仕組みなども参考になった。

    2
    投稿日: 2025.10.05
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    過去に読んだ本よりも、大量のデータにより説得力を増した。 この本は、必読の書だと思うし、RSTは職場の人間全員に受けてほしい。 この人は頭がいいとか、あの人は言ってもわからないとか、そういうのは意味がなく、「なぜ」を掘り下げないと決して良くはならない。 この本に書かれていることが全てではないし、本当に正しいのかも判断できないが、少なくともきっかけにはなる。

    5
    投稿日: 2025.10.01
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    AIの現状について分かりやすく書かれていて、それを踏まえての読解力の必要性が説明されている。 AIについては思い込みとなんとなくのイメージでしか知らなかったけど、これを読んで目からうろこがポロポロ落ちた。 その後の読解力についても同様で、読んでよかったと思える一冊。

    1
    投稿日: 2025.09.27
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    書いてあることを正しく読み解く力を『シン読解力』としている。 その読み解き方は我流であったり、才能によるものではなく一定レベルであればやり方さえ理解できればマスター可能。 故にいつでも改善は可能ということ。

    5
    投稿日: 2025.09.23
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    説得力はあった。親子で検査を受けてみたいと思ったけど、学校単位での申し込みが主で、個人で受けられる選択肢はかなり少ない模様。残念。

    1
    投稿日: 2025.09.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    非常に文章がわかりやすくするすると読める。RSTそのものは掲載されていないが、掲載されている問題を解くだけでも自分の欠点がわかる。大人のためのトレーニングとして、日経の見出しを見て、一文にまとめるのはいい学習法であり、大学生でもできることである。入門セミナーでも使うことができる。

    2
    投稿日: 2025.09.16
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    借りたもの。 何と「教科書の読み方」についての話だった!! 同じ日本語で書いてあっても、国語や数学での文章の書き方の“違い”によって、結果「読めなくて(理解できなくて)」設問が解けない、という本末転倒なケースを明るみにした本。 問題や実際の解答などのエビデンスも多数掲載。 寧ろ、今まで意識していなかった……「そうゆうものなんだ」と思っていた、差異が理解を妨げるという事実。 これは宮口幸治『ケーキの切れない非行少年たち』( https://booklog.jp/item/1/4106108208 )が問題にした、知的障害グレーゾーンの話ではない。 今井むつみ『「何回説明しても伝わらない」はなぜ起こるのか?』( https://booklog.jp/item/1/4296000950 )や石井光太『ルポ 誰が国語力を殺すのか』( https://booklog.jp/item/1/4163915753 )にも通じる話ではあるまいか? 前著『AIに負けない子どもを育てる』( https://booklog.jp/item/1/4492762507 )、『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』( https://booklog.jp/item/1/4492762396 )共に読んだ。 この本では、前述著を踏まえて、本来、意図したものが伝わらなかった、と指摘。 後半の「教科書が読めない子どもたち」に注目が集まり、さまざまなメディアに取り上げられたが、 “「教科書くらいは誰でも読めるはず」と考えられていたことにフォーカスが当たったのはとてもありがたいことでしたが、一方て大きな違和感も覚えました。  「だから、国語が大事」、「若者に読書をもつとさせなければいけない」という持論で締めくくるメディアや識者がとても多かったからです。(p.2)” ……確かに国語の教科書の話をしていたものがあったが、それは日本の国語教科書の問題点だったような? 著者は自らの体験で、‘自己流で身につけた「物語の読み方」で、あらゆる教科書を読もうとして、数学や物理・化学など、いくつかの教科書の読み方に失敗していたらしい(p.4)’ 各教科の教科書を読み解けるような読解力を身につけるには、読書では不十分なこと。場合によっては、読書で身につけた自己流の読みが、一部の教科の読解を阻害することさえあるという。 ‘教科書の書かれ方には、ある種の「型」があり、その「型」を意識させるほうが自由に読ませるより教育効果が高いこと。型を身につけるには、トレーニング以外にないこと(p.4)’ ‘18歳以上で、しかもその教科が大嫌いでも、トレーニングの内容が適切で、学習者にトレーニングを継続する能力と意欲さえあれば、人生で困らない程度にはその教科の読み書きを身につけることができる。’ という。 これがひいてはAIを使いこなすための力にもなる。 この本のタイトルでもある、「シン読解力」とは? 「教科書を正確に読み解く力」を育むメゾットだった。 これは一般的にイメージされている読解力とは違う。 読んでいて、私は、問題が提示した定義に基くと、0は偶数だと思っていたから、自分の持っている知識の理屈を持ち出して?躓く人もいる。というケースがあった事に驚く。 その人たちは設問を「読めなかったから」、解けなかった。 これは、“理解していなかった”という意味ではなさそう。 「もっと、ちゃんと、しっかり読みなさい」 書かれていることをそのとおりに読む方法は、「誰だって真面目に読めば読めるはず」だとみなされ、顧みられてこなかった。「シン読解力」を培うための教育手法がこれまで存在していなかった。 1.生活言語と学習言語には顕著な違いがある 2.生活言語を獲得しているからといって、自動的に学習言語が習得できるわけではない。 3.一口に学習言語と言っても、教科によってその特徴はさまざまである。 4.教科ごとに学習言語が異なると意識しながら教えたり学んだりすると効果的。(p.162) その具体的な習得法は、 ●生活言語である日本語をよく耕す。 ●小学3年生までに、基本語彙一万語を身につけ、辞書をひけるようにする。 ●課題の本丸にワーキングメモリを十分に割けるように課題外在性認知負荷をトレーニングによって下げる。 というもの。 そのためには「学習言語は生活言語とは違う、しかも各教科で学習言語は異なる」という意識を担当の各教員が強く持ち、教科書を読み解くことを授業の中心に据える。そして言語を扱う科目である国語や子分や英語の教育手法に学び、各教科の「学習言語」の差を意識させながら習得するように心がける…… それを行えるのは、「学校」という教育現場で、先生や一緒に学ぶクラスメートがいるからこそできるトレーニングであるということ。 視写が普通だった(パソコンやプリンターが普及していない)時代……それは軍隊が苛烈な訓練で有象無象を一定のレベルにまで底上げするのに似ている。(軍隊の理不尽は別の話) トレーニングアレルギー……トレーニングは決して悪ではない。

    9
    投稿日: 2025.09.14
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    人の心の機微を感じて読み解く読解ではない、一通りでしか読めない文章を読み解く「シン読解力」。 この発想に、目からウロコといいますか、すっかり夢中になって読破してしまいました。 教育論にも通じていて、シン読解力がないことで授業がままならなくなる子供の話などを読むと、たまらなくなってしまいました。 幼少期の語彙の積み上げが大切なことや、トレーニングでシン読解力は鍛えられること、そのトレーニングの方法(新聞の見出し語から一文を作るトレーニング)など、とてもためになりました。 これ、教育委員会の方とか、読めばいいのに。 大人になっても必要なシン読解力。 本書を生かしながら、生活しようと思います!

    34
    投稿日: 2025.09.04
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    高校時代、この本の著者が講演してくださる機会があり、数学の教科書を燃やした話をしていた。 私の担任は数学の先生だったので、講演後憤怒していた。 という記憶が蘇った。 確かにそうだな〜 自分の子供には気をつけて教育しないとな〜と思った。

    6
    投稿日: 2025.08.27
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    この本では「文章を正確に理解し、解釈する力」の重要性が書かれていました。本の読み方というより、教科書やビジネス文書を読み解く力を「シン読解力」として紹介しています。 その力があるかどうかで学力に差が出ることが統計でも示されており、鍛えることで学力向上だけでなく、ビジネスにも役立つと書かれています。 シン読解力はトレーニングで身につけることができ、子どもだけでなく大人にも応用できる点が印象的で納得できる内容でした。

    2
    投稿日: 2025.08.23
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    前作を読んだ時の衝撃があったので今回は期待しすぎた感がある。rstの良さを押し付けたいための強引さを少し感じた。でも読解力が必要で大事であることに変わりはない。 幼少期から絵本をたくさん読み聞かせる。 バックキャスティング。 目標からの逆算。 チャットgptに関しては驚いた。 付き合い方を考えないといけない。 数学には数学の言語、社会科には社会科の言語がある。 その分野に適した言語をまずは習得しないといけない。 なるほど。目から鱗です。

    1
    投稿日: 2025.08.15
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    例題が解けず虚しい気持ちになったのが懐かしかった 国語が苦手だったのは読み方を知らなかったり、トレーニングできていなかったことに気付けた また、数学も論理や数列など問題文の読み取りが苦手だったのも同様だと思った 本書の最後の方にトレーニング方法などあったが不十分に感じた 読解力の重要性を説くことがメインだったので、読み方やトレーニング例題をメインとした書籍を今後出して欲しい

    2
    投稿日: 2025.08.14
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    AI vs 教科書の読めない子どもたち が素晴らしすぎて、ちょっと期待外れ。まぁまぁ似たような話が半分くらいというかんじです。

    3
    投稿日: 2025.08.14
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    日常言語と学習言語は異なるものであり、教科書に書かれているのは学習言語である。学習言語とは誰が読んでも同じ解釈になるように書かれた言語であり、これを正しく読めなければそもそも学習ができない。本を読む読解力とは別のスキルが必要で、筆者はこれをシン読解力と呼ぶ。 読書が好きで国語が得意なのに数学が苦手は私は筆者と同じで学生時代に数学語の読解力が低かったのだと腑に落ちた。 仕事をするにあたりシン読解力が必要であるのはわかる。ただ筆者がシン読解力の高い人を採用して、社員のシン読解力を高めるのを推奨しているのには少し疑問符がつく。平均値を上げて仕事を効率化するのには役立ちそうだが、今企業に一番求められる新しいことを生み出す力、変革していく力とは無関係な能力かもしれない。

    1
    投稿日: 2025.08.13
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    新井紀子氏のベストセラー「AIvs.教科書が読めない子どもたち」の続編として、「シン読解力」習得の重要性を説いた本。小・中・高校の学生も社会人も数学、理科、歴史を含めたすべての教科の成績とシン読解力の能力(RST)との間には相関が高いことを解説し、RSTの能力向上の方法とそれに取り組んだ学校や自治体の結果についても触れている。学術的かつ論理的で説得力がある。とても勉強になった。RSTを受けてみたい。 「この経験から、私は3つのことを学びました。1つは、各教科の教科書を読み解けるような読解力を身に着けるには、読書では不十分なこと。場合によっては、読書で身につけた自己流の読みが、一部の教科の読解を阻害することさえあるのです。2つ目は、教科書の書かれ方には、ある種の「型」があり、その「型」を意識させるほうが自由に読ませるより教育効果が高いこと。型を身に着けるには、トレーニング以外にないことです(第3は、トレーニングで誰でも向上すること)」p6 「RSTの開発と普及によって50万人の受験者データを手にし、これを徹底的に分析することによって、みなさんに自信をもってお伝えすることができるようになったのです」p7 「日本語の中には「生活言語」と「学習言語」が存在します。私たちは普段、「生活言語」を使って日常を過ごしています。小説などの物語も「生活言語」で書かれているからこそ、登場人物の心情に触れることができます。しかし、教科書に使われているのは「生活言語」ではなく「学習言語」なのです。社会に出て目にするビジネス文書や公的な文書も、「生活言語」では書かれていません。ここに「シン読解力」を身に付けなければならない理由があります」p9 「ChatGPTのような対話型生成AIには、ほかにもマイクロソフトエッジに標準装備されている「copilot」やグーグルの「Gemini」、米Anthropic社の「Claude」などがあります」p23 「人間は少ない経験から意味と文脈で判断するので、思い込みによる誤りに陥りやすい。一方、AIは意味を理解せず膨大な情報上の統計から判断するので、「外れ値の罠」に陥りやすい、と言えます」p47 「これからの企業には、「どのポイントでAIを使うか」、「何を人間に任せるか」を的確に判断する力が求められます。その境界ギリギリを正しく見極めた企業は成長し、臆病な企業は生産性が上がらずに退場し、逆に無謀なAI化をする企業は投資を回収できないか、「外れ値の罠」にはまって企業価値を毀損することになる、と私は予想しています」p49 「安心安全が至上命題な領域ではなく、「できたらいいな」的な部分にうまくAIとロボットを使う、それが一番上手なAI導入のあり方だと私は思います」p52 「(ChatGPTがウソをつく弱点克服技術)RAG(Retrieval-Augmented Generation)という技術です。検索フェーズと、文書生成フェーズを分けることによって、特定の文書群(例:社内文書)の中から、ターゲットとなる事実を特定したのちに、文書生成を始めるというものです。RAGは、生成AIをビジネスで活用する際には不可欠なものになりつつあります」p58 「実際に、仕事の効率が上がったと、ChatGPTを高く評価する人たちは大勢います。その使い方を尋ねると、「アイデア出しのための壁打ちに使う」、「これまでだったら学生や新入社員に下調べをさせていたような場面で使う」、「自分がやればできる内容だが、面倒なとき(例:英語でメールを書く、礼状を書く)に使う」と口を揃えます。それを基にして事実を確認したり、ほかのAIに文法チェックをさせたり、おかしなところを修正したりすれば、仕事は非常に効率化できる」私もそのとおりだと思います。それこそが、AIとの上手な付き合い方なのです」p67 「RSTが測定する「読解力」と読書量には相関が見られない、つまり、読書量とRSTが測る読解力は無関係であることを報告していたのですが、そこのところはよく伝わっていません」p73 「今、進行しつつあるテクノロジーの進歩のスピードは猛烈で、研修の繰り返しでついていけるほどのんびりしてはいません。一方で、変化に対応するために学ぶべきスキルや知識に関するコンテンツは、ネット上にいくらでも無償提供されています。そのような社会で人間に求められるのは、「自力で学び続けられるスキル」です。そして、学び続けられるスキルの基盤となるのが「シン読解力」なのです」p74 「ホワイトカラーが生成AIを相棒として生産性を向上させようと思ったら、少なくとも生成AIの出力を読み、それを裏付ける資料や文章を読みこなす能力は必須になります。そして生成AIの出力、検索した先のドキュメントのほとんどが「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」なのです。それらを「自力で読み解く」ことができないと、生成AIを使うことで生産性がかえって下がる懸念さえあります」p75 「試験での提示分の内容について、学校で習ったかどうかは、RSTの能力値に影響しないことがデータからわかっています」p86 「「シン読解力」が「進学可能な高校の偏差値をほぼ決定している」と言わざるを得ません」p112 「中学受験を目指すなら、小学5年生の段階で一度RSTを受験してみることをお勧めします。もし、RSTのいくつかの分野で負の能力値がつくようなら、無理に勉強時間を増やしても成績が伸び悩んでしまうことでしょう」p122 「高校受験も大学受験も「シン読解力」、特に「RST平均能力値」が決め手になる。有名私大合格圏内に入る指標は、RST平均能力値1.5と推定される」p125 「行間を読む方略は、国語教育で題材をさまざまに変えて繰り返し指導されます。一方、書かれていることをそのとおりに読む方法は、「誰だって真面目に読めば読めるはず」だとみなされ、顧みられてこなかったのです。つまり「シン読解力」を培うための教育手法がこれまで存在していなかったのだから、学校教育やOJTでは「シン読解力」が上がらなかったのは当然ではないでしょうか」p126 「RSTでは、「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を「自力で読み解く」力を測っています。そのような文書の最大の特徴は、解釈がひとつしかなく、書かれていることを正しく読む能力のある人ならば、「誰が読んでも同じ解釈」となることです」p130 「特に不思議なのは、小学生までは元気で明るく、先生とのコミュニケーションも円滑、クラスのリーダー格だったような子が、中学に進学した途端に学習につまずき、自信を失うという事象が頻繁に観察されることです」p131 「RSTの評価と学力との相関関係の強さを考えると、「生活言語」は獲得できたのに「学習言語」の習得に失敗したことが主な原因ではないか、そんな子がたくさんいるのではないか、と私は考えるようになりました」p131 「子どもの語彙量は、家庭環境(家庭の収入、両親の最終学歴など)に大きく左右されることが、各国の社会調査で明らかになっています。言葉は、基本的に、身近な大人との会話や大人同士の会話から、経験込みで受け継ぐものなので、子どもの努力だけではなかなか増やすことができません」p152 「佐藤亮子(佐藤ママ)の著書『3男1女東大理Ⅲ合格百発百中 絶対やるべき勉強法』によれば、彼女は「子ども1人あたり(のべ)1万冊の絵本を読む」ということと「子ども1人あたり(のべ)1万回童謡を歌う」ことを実行されたそうです。1万冊絵本を読み、1万回童謡を歌うことで、平均の子の倍以上の語彙を4人のお子さんの身体に浸透させることに成功したのではないかと思います。小学校入学時に語彙量が1万あれば、スムーズに学習や先生とのコミュニケーションに入っていくことができたに違いありません」p156 「HBで速く書ける子は、塾に行っている子ばかりという学級も少なくありません」p160 「(先生の指示「××ページの『〇〇の値』を求めて、表に書き入れましょう。」)まず、「××ページ」という数字を聞き取るところで5%くらい脱落します。実際に教科書の××ページを開くというところでさらに10%くらい脱落します。「〇〇の値」というのは、そこまでの授業の文脈から理解できるはずですが、「何の値を求めればいいか」がわからず、さらに10%くらい脱落する。大げさのように聞こえるかもしれませんが、実際の中学1年生の授業を観察しているとそのような印象を受けます」p163 「近年は、RSTを新入社員採用試験に使う企業が増えてきました。興味深いのは、BtoBや外資系の優良企業が多いことです」p211

    1
    投稿日: 2025.08.08
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    新井紀子「シン読解力」 知識よりも読解力 応用問題を解いて地頭の力を見る 私の長所・特技である「読解力」は小学校時代の珠算と将棋の訓練によるものと確信できた 珠算の段位試験の応用問題はまさに「シン読解力」の典型問題 小学生が日々取り組む問題としては高度でありやり甲斐があった 私の小学校時代は様々な刺激で充実した毎日であった そしてその日常の積み重ねが現在の知的基盤になったと思う 新井紀子氏は「キャリアがユニーク」で、「教育論が明解ー知識より読解力」 何よりキャリアが、高校まで数学苦手の文系少女が一橋大学法学部を選択。 大学で松坂和夫先生に出会い、数学のお作法を丁寧に学び、 米国イリノイ大学の数学専攻に進学を果たす。 全国の数学苦手高校生、特に女子高校生を勇気づける話である。 私も「日々の演習」で数学力が磨かれ、最後一橋大学の数学の試験はほぼ満点に近いと思う。 同様に化学の出来と合わせて無事入学が叶ったと思っている。 大学の数学をもう少しきちんとやっていたら人生はまた変わっていた。

    1
    投稿日: 2025.08.07
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    素晴らしい内容でした。 教科によって読み方が違うというのは目からうろこでした。 日本語の助詞から使い方が苦手だというのも、問題を解いてよくわかったし、日本語の構造をやはり理解できていない人が私含め多いんだと改めて感じた。たぶん、N1とってる外国人より日本語を正しく読めていないのかもしれないと思う。それくらいの危うさ、危機感を覚えました。  読解スキルは身につけなければと思いましたし、AIによるシンギュラリティにおびえるよりも、外れ値があるからこそ、うまいこと共存していきたいなと思った。ほぼ毎日ChatGPTに相談していたのはそういう理由かとも納得した。会話の自然さはあるが、嘘はつくということを優先したということなんだね。すごく勉強になった1冊出した。

    14
    投稿日: 2025.08.05
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    「シン読解力」とは、著者が命名した言葉で、「教科書を読み解くために必要な読解力」のこと。 著者は、一般社団法人「教育のための科学研究所」の代表。 大学に入ってから、数学が苦手だった原因が教科書の読み方にあったことに気づいた自らの経験をもとに、教科書を読めるようになるための手段とトレーニング法を開発した。 それがリーディングスキルテスト(RST)という独特の手法。 単純計算すると、30分弱で終わるテストだが、「主語と述語」、「修飾語と被修飾語」などの関係性といった文の構造を読み取る力、グラフや図形、概念図など資料を正確に読み解く力、定義を読み解く力など6つの分野に分けて能力診断する。 新しい手法であり、学校においては 文科省の全国学力調査が一般的に行われていることもあり、この本に紹介されている相馬市のように積極的に取り入れられている自治体や学校は少ない。 かなり、専門的な用語も多く、この手法がどれだけ教育効果があるかについては、正直、納得できるところまではいかなかった。 ただ、挿入されている具体的な設問や巻末のトレーニングパートについては、なるほど、そういうことを言いたかったのかと、なんとなく、また、断片的に著者の意図がわかったような気がした。

    2
    投稿日: 2025.07.31
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    本をよく読んでいるのに読解力がないと感じるので読んでみた。 やっぱり、本をよく読むのと読解力は関係がないらしい。 大学の合格通知を手にして最初にしたことが、数学の教科書と問題集をまとめて石油缶の中に突っ込み燃やしたって、かなりロックな人だなと思った。そういう時代だったのだろうか。 東ロボくんのプロジェクトを通じて「ロボットは東大に入れない」といってた著者が「東大に合格する日は近いうちに来る」といってるのは感慨深い(一応いっておくと、今後もずっと入れないといっていたわけではない) この本も第1章が『チャットGPTの衝撃』というタイトルで、読解力というよりはチャットGPTをはじめとした生成AIの話が書かれてあった。 そして、そのAIを使いこなすには、読解力が大事だとのこと。それは本当に思う。 読解力についての本ということもあって、様々な文章問題も記載されており、「これは分かるだろ」と思うものもあれば、「解説されてもなぜそれが正しいのか分からない…」というものまでいろいろあった。 自分自身、もっと読解力を鍛えていきたい。何より、今の子供たちにとってこの読解力は特に重要なスキルなのだろうなと思った。 『私が提案するのは、すべての子どもが「独学する方法を身につけている」状態で学校を卒業すること』という言葉は、とてもいいことだなと思った。本当、先生にたよらずでも自分で勉強できる力を身に着けれたら、それが一番いいだろうなと思う。 ただ、車の免許の学科試験について合格できないのは、読解力うんぬんの問題じゃないような気はする。あれはむしろ、読解力があると間違えるような問題があるような気がしてならないのだけど、どうなんだろう? 正しい日本語なのだろうか? そういえば、この本を読んで思ったけど、今の小学校ってプリント学習ばかりで板書ってあまりしないのだろうか。自分は必至で板書するだけで、先生が何をいっていたのか全然覚えてなかったのだけど、それなりに意味がある行動だったのかな。書くということは、やっぱり大事なことなのだろうなと思った。 後、採用活動にも、SPIよりRST(リーディングスキルテスト)を導入したほうがいいのだろうなと。SPIって確かにいまいち意味があるように思えなかったので、RSTが普及していくといいなと思う。

    2
    投稿日: 2025.07.28
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    10年前は AI の能力がどれだけ人間に近づいたかを探る時代だったが、今は AI をいかに使いこなすかという時代になった。 そのためには、AIがどのようなものかを知らねばならない。 chatGPTが生成する文章は、人間が書いたように流暢だ。 しかし嘘が紛れ込んでいるので、全面的に信用してはいけない。 何故、chatGPTが誤るのかは、正しいことを書くように設計されていないからだ。 以前、chatGPTに宮部みゆきの「火車」のあらすじを聞いたところ、素晴らしく流暢な文章が返ってきた。 何かと間違えている全くでたらめな内容だったが、「火車」を知らない人は信じてしまうだろうと思った。 これは小説の例だが、歴史に関しても一見100点に見えるが、誤りだらけの0点回答をすることもあるらしい。 とんでもない間違いもするが、今や東大に合格するレベルまできている。 かなりの能力だ。 となると、AIの力を借りて効率化を図る(楽をする)スキルを身につけることが大切になる。 生成AIの作成する文章を、きちんと読めることが必要になる。 その前提となる能力が「シン読解力」なのだそうだ。 学びたいことは本やネット(生成AIを含む)でいくらでも身につけることができる。 「独学する方法を身につけている」=「教科書くらいは自分で読んで分かる」この力が「シン読解力」 では「シン読解力」はどうすれば身につけられるか。 「シン読解力」を身につけるトレーニング例が、本書の末尾に50ページ程書いてある。 *同義文判定の問題   水星・金星・地球と火星は地球型惑星である。 上記の文が表す内容と以下の文が表す内容は同じか。   水星・金星・地球や火星は地球型惑星である。 「と」と「や」が違うだけで、「と」と「や」は、どちらも「ものごとを並べるときに使う」言葉。 「と」は全てのとき、「や」は例示のときに使うと説明している。 「と」を使うと「だけが」の意味になり、「や」を使うと「などが」の意味になる。 だから、この2つの文は同義文ではないが答え。 まあ、言いたいことは分るけど、ちょっと、ひっかけ問題みたいで納得できない。   金星・地球と火星は地球型惑星である。水星も地球型惑星である。   金星・地球や火星は地球型惑星である。水星も地球型惑星である。 という文の、「金星・地球と火星は地球型惑星である」は、他に水星もあるから間違った文なのか? 私は正しい文だと認識する。 「と」が、並べたものですべてのとき、という定義が間違っていると思う。 「だけが」という意識はなく使っている人はたくさんいる。 「犬と猫は動物です」は間違いなので、「犬や猫は動物です」と言わなければいけない?? このような問題は「シン読解力」を身につけるトレーニングから削除したほうがいい。

    39
    投稿日: 2025.07.27
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    読解力は専門分野ごとに必要な種類が違い、それぞれの読み方を身につけることで学習効率が上がるという内容だった。著者が考案したシン読解力を測るRSTテストの実例が紹介されており、解きながら読めるので面白かった。 新聞を使ったトレーニングはやってみたい。

    1
    投稿日: 2025.07.23
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    一般に言われている読解力とまた別の読解力があるらしい。とても気になってすぐに読んでみました。 作者は「ロボットは東大に入れるか」と銘打って、人工知能のプロジェクトを率いていた方。 前回の著書「AI VS教科書が読めない子供たち」で、著者の言いたかったことが誤解されたので、「シン読解力」という言葉を作ったとのこと。シン読解力とは、「教科書を読み解くために必要な読解力」としている。 1章は、ChatGPTなど、AIに関することが主で、個人的に1番苦手な分野なので何度も途中で寝てしまい、苦行だったが、読解力の話になる第二章からは比較的面白く読めた。そして、ずっと感じて来た、モヤモヤしていた感覚を言い当ててくれ、納得のいくことも書かれていた。読んで良かった。 作者が作ったRST(リーディングスキルテスト)=知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書を自力で読み解く力を測るテスト、の例題が載っている。 見事にたくさん間違えた。掲載されているのは、あまりに正当率が低いので、実際のテストからは除外された設問らしいが、それでも悔しい。自動車免許を取得するとき(私が受けた時なのでかなり昔の筆記試験の話です)の、ミスリードを引き起こさせようと必死な独特な文章を彷彿とさせたのも確か。 このようなやや特殊な文章は、特に読めなくてもいいと思うが、日ごろ感じているモヤモヤは、確かに作者の言うRS Tの能力が大いに関係しているように思う。そしてそれは単に国語だけではなく、あらゆる教科にとって大切である。(作者は各教科に独特の文章の型があるので、その読み方をまず理解すると、国語以外の教科も飛躍的に理解しやすくなると説いている) 昨今、気になるのが、子供が学校からもらってくるお知らせプリント、市から送られてくる文書。文を読んでいて、これはどっちの意味にも取れるがどっちだ?とか、これではよく内容がわからないとか、疑問に思うことがある。自分の読解力が落ちていて理解できないのかもしれないと不安になる。 少しだけ中学の教壇に立つ機会があったが、まず指示が通らないのにびっくりする。自分の指示の仕方が悪かったかなと反省し、1つの指示を出したら、それを終えるまで次の指示は出さない、注意をこちらに向けてから話し始める、など工夫をしてみたが、それでも伝わらない子が1.2割いる。 ではどうしたらシン読解力が上がるのか?鍛える方法は巻末に載ってはいる。ただ、やりにくいというか、このワークをすればいいですよではなく、新聞の文の助詞や省略されている言葉を補ったりと、なかなか手っ取り早くはできない類のものだった。学校や会社の新人研修などで、少しずつ取り入れられるようになっていくと思われる。 自分も、自分の子供も、学校で小学校の時に出されていた音読の宿題をきちんとやっていってなかったが、今になって思う。あれは良い効果があります。やった方が良いです。 他にも有用なことがたくさん書かれていたので、読んでみることをお勧めします。ただやや考え方が凝り固まっている、偏っているようにも感じられるので、読まれて、それぞれが考えてみるのが良いと思います。

    32
    投稿日: 2025.07.20
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    とにかくおもしろい! 最近仕事でChatGPTを使うことが出てきたので参考になった。流暢な文章を作るのが得意なだけで、正確さは望めない。今のところ。 各教科ごとに使用する言語が異なるのは納得。トレーニングで強化できる。

    7
    投稿日: 2025.07.15
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    自己完結する文章を読み解く力(シン読解力)の重要性についてとても共感できた。伝える側においても、受け取る側においても言葉を丁寧に取り扱って過ごしていかなければいけないと感じた。生成AIがかなり普及してきている中で、自身で0から作文することが減っている中で、真意が伝わるコミュニケーションを心がけていきたい。

    1
    投稿日: 2025.07.09
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    教科書の書かれ方の「型」を知ること。 その型を身につけ読むこと。 教科書を自分で読む力、大切にしたい。 生成AIの時代。生成AIの出力を、 読んで理解する力が求められる。

    1
    投稿日: 2025.07.05
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    半月ほど前に読了(その後まとめるのをを怠る…) 知識や情報を伝達する目的で書かれた、自己完結的な文章を読み解くスキル的な能力が「シン読解力」。 国語の授業で要求されるような、文学作品を味読したり、行間を読んだりする「読解力」とは異なるという趣旨で、このようなワーディングがされている。 著者が開発したRSTで測れる「読解力」が「シン読解力」なのだそうだ。 RSTの内容(係り受け解析、照応解決、同義文判定、推論、イメージ同定、具体例同定の六分野で測定する)は、これまでの新井さんの本で見た通り。 さて、シン読解力は従来の学校教育では育成されず、できる子はいつのまにか身につけてしまうし、十五歳あたりが「臨界期」であるともいう。 とはいえ、スキルなので、いくつからでもトレーニング次第では伸ばすことができる、ともある。 先日読んだ犬塚美輪さんの、『読めばわかるは当たり前?—読解力の認知心理学』とリンクする部分が、「学習言語」(犬塚さんの方だと、「学習語彙」)の話。 本書で「学習語彙」ではなく、「学習言語」にするのは、単語をどう理解するかというレベルだけでなく、論理構成なども含めているからかと思われた。 教科によってその「学習言語」が違うということに驚かされた。 例えば、同じ理科でも、化学や物理なら普遍的なルールに基づき、原因と結果がきちんと表現される。 ところが生物になると、多様性やら例外の宝庫。 例外も含み込んだ説明となるため、複雑な構文となる。 面白い…とのんきに言っている場合ではないのだが、これを意識的に学ぶ方法ってなんだろう? それから、ワーキングメモリの話も共通する内容だと思う。 力がない子どもは、ワーキングメモリを他のことに使ってしまい、例えば「教科書〇ページを開きましょう」という指示に反応できない。 そのまま授業が進んでいってしまい、取り残されてしまうのだそうだ。 先生の指示に合わせて指定のページをぱっと開くことからトレーニングを開始すべき、という新井さんの指摘には驚かされたが、それが現実なのかとも思った。 さて、本書には子ども対象だけでなく、大人向けのトレーニング方法も紹介されている。 ①同義文判定には、助詞の穴埋め ②照応解決力を高めるために、省略されている内容を考える ③グラフの読み取り力を高める →タイトルを主語に、多いもの・少ないもの、増えたもの・減ったものに着目する ④わかりやすい表現のためのマニュアルを作る →英語の省略形は初出時に正式な形で書き、内容を修飾語句の形で添える →スライドはページのタイトルと内容を一致させ、会場どこからでも見やすいポイント、色は3色以内でまとめる →文書は、主述のねじれ、不用意な主語の省略、連用中止法の連続を慎む ⑤新聞のリード文を読み、見出し語を全部使い一文で要約文を書く ちょっと乱暴な要約をした。 ただ、思うのは本多勝一『日本語の作文技術』で述べていることは、今もかなり有効なんだなあ、ということ。 それから、ビジネス文書のルールなどは、今出ている本でも言われていることと同じ。 とすれば、なぜそれらの技術が大人たちに身につけられないのか。 さらに、もう一つ、ちょっといちゃもんかもしれないが、新井ブートキャンプでの作業も、いささか疑問がある。 たしかに専門性の高い文章を書くには、どうしても一文の中にたくさんの情報をつめこみたいこともあるだろう。 が、それこそワーキングメモリが衰えていく大人が相手ならばこそ、むしろたくさんの修飾節があったり、複文どころか重文構造を持つような長い文章を書くのはどうなのだろうか?

    3
    投稿日: 2025.06.29
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    思ってるより色々ちゃんと読めてない自信が深まりました。ちゃんと読むのも難しいのも確かですが、誰にでもわかりやすく書くのもまた難しいのかもしれません。ルールは暗黙のうちにあるが、誰しもがそのルールにちゃんと気付いているわけでもなく、何となく使っている環境の中で正しい文章を書けばいいというワケでもないのではないか?という問題がある気がします。 論理的思考とは何か?や風景の発見といった内側から見ると見えなくなるものとそれによるルール理解の齟齬みたいな話が思っているよりもさらに身近にありそうでホント、大変だ。

    2
    投稿日: 2025.06.22
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    数学が全く苦手だった方が、数学の読み方を勉強する事で数学者になっちゃうなんて、すごい話です。 もっと小さい時に気付いたら、なんて大人でもめちゃくちゃタメになります。

    1
    投稿日: 2025.06.20
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    【書名】 シン読解力 新井紀子 【手に取った動機】 生成AIがとても便利に使える昨今、本書の題名でもあるシン読解力とは何なのか、自分は果たして身についているのか・身に着けられるのか一抹の不安があることから、手に取った。 【印象に残ったポイント】 ・シン読解力とは、前著で述べた読解力のことである だがしかし、読解力という言葉が独り歩きしてハレーションを生んだので、改めて名称を付与したのだそう。 読解力のない人とお付き合いするのは大変なのだなと、執筆動機から感じた。 ・読解力→シン読解力 教科書を読む力。かみ砕くと「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を「自力で読み解ける力」。 自己完結的な文書とは以下の2点を満たす文書である。 「新しく使う用語を導入する際に、定義と例が書かれており、すべての主張にその根拠が書かれている」 「解釈がひとつ(一意)に定まる」 ここは、私的には前著の読解力という概念がクリアになった瞬間。 かつ、数学は得意だけど国語のテストが苦手だった友人を思い出して懐かしい気持ちになった。 ・SPIとRSTの相関性のなさ 一般的な学力テストとRSTは強い相関がみられるのだが、SPIに関してはみられなかったそう。 SPIというのは学力計測とはまた異なるクイズゲームみたいなものなのかなと、勝手に解釈した。 (SPI受けたのは、だいぶ前なのでどんなテストが覚えてないが) ・RSTの正答率が低い問題 →誤読される懸念のあるような文章は、そもそも書くべきではないのではないか。 シン読解力の低下は一義的にはよくないことと感じるが、仕事をするうえで必ずしもシン読解力が高い人だけと働くわけではない。 なので、活用するうえではシン読解力を身に着けたうえで、シン読解力が低い人にわかりやすく文章を書くことが必要と感じる。 (上司がシン読解力の低い人間だと、苦労しそうだけど) ・シン読解力を高めるトレーニングへの疑問 ある新聞記事のリード文を読み、見出しの言葉を(できるだけ)すべて使って一文で記述すること。 これは、RST6分野をアウトプットを通して学習する方法としてはとてもよいと思う。 ただ、新聞の見出しなんて誤読ミスリードするような文章もあり、アウトプットした文章も一般的な人間のシン読解力からすると、正しく相手に伝わらない可能性がある。 このトレーニングを通じて、わかりにくい文章を読みやすくなるとどう嬉しいのかと疑問に感じる。 具体的に役に立ちそうなのは、行政文書をはじめとする間違いがあってはならないことを前提にした、正確でわかりにくい文書くらい? (RST6分野:係り受け、照応、同義分判定、推論、イメージ同定、具体例同定) 【具体的に生活や仕事にどう活かすか】 ・発揮されるシン読解力が低い人がいることを前提に文書を書く →仕事していると、まじめに書いても文書なんて、ほとんど流し読みされるし、わかりやすく中学生でもわかるように書くものだという通念がある。 (ITおよびコンサル業界の一部かもしれないが) ・脳のワーキングメモリには限界があるので環境設計は大事 脳を課題に向かわせるには、課題外在性認知負荷を除去し、課題内在性認知負荷に向き合う必要がある。 なので、机を片付けて気が散らないようにしておくことやスマホの通知を切るなど(個人差あり)自分に合わせた環境設計が大事と改めて認識した。 【ふりかえり・気づき】 ・ 【要点】 チャットGPTの衝撃 →著者が開発していた東ロボは東大入試の突破はできないと見込んでいたが、チャットGPTは近い将来可能と思われる。 一方、著者のフィールドである学術研究の分野においてもインパクトがあった。 英語論文を書くには、従来は元原稿をDeepLで翻訳し、Gramaryで添削することでブラッシュアップしていたが、 チャットGPTの登場により元原稿すらも、大幅に省力化できるようになった。 ただし、生成AIは正確性ではなく流暢さに強みがあるので、この点は要注意。 外れ値と教師データが不在のものごとは、AIが対処できないのはAIの性質からして従来と変わらず。

    21
    投稿日: 2025.06.19
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    「シン」という表現は、未だにあまり好きになれず、なかなか手に取ることができなかったが、新鮮で面白かった。各教科の学習をするにも、同じように教科書を読んでいれば成績が上がるというものでもないことは実感できたが、人は十人十色、長い人生、考えることを諦めず、あれこれ試行錯誤しながら、先人の知識を身につけていきたい。

    2
    投稿日: 2025.06.19
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    「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」第三弾! これまでの著作で読解力という言葉だけが一人歩きをしてしまい、著者の伝えたい能力との乖離が大きくなったため、教科書を読み解くために必要な読解力のことを『シン読解力』と名付けていた。 この本から、 ①生活言語と学習言語には違いがあり、日常的なコミュニケーションが取れていることがシン読解力につながるわけではないこと ②学習言語も教科によって特徴があるため、そのことを意識しながら教えたり、学んだりすると効果的であること を意識したいと思った。 また、シン読解力はスキルであるため、そのトレーニングを通して、AIの時代を生き抜ける子どもたちを育てていかねばとより強く感じた。

    13
    投稿日: 2025.06.17
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ・各教科の教科書を読み解ける読解力は、読書だけでは身につかない。 ・教科書の書かれ方には型があり、自由に読むよりも型を意識させる方が教育効果が高い。 ・チャットGPTは流暢に言語を操るために開発された。完璧な日本語でデタラメを出力することも少なくない。 ・以下の理由から、政治や教育をAIが代替したり完全な自動運転が実現することはないと筆者は考えている。 ①AIに学習させる教師データ(入力と出力がペアになっているもの)が圧倒的に足りない。 ②偏差値で言うと20以下、80以上のような外れ値が学習されない結果、9.11と9.9のどちらが大きいかという問題を間違える。同様のあり得ない間違いを許容できない事柄には使えない。 ・チャットGPTはおそらく新聞社やWikipediaの記事を水増しして教師データに混ぜ込むことで、単に次の語を予測するだけなのになぜか大体正しいことを出力するようになっている。 ・その欠点をカバーするRAGは検索し、検索結果でランキングが高い内容を文書生成によって出力する(最近のチャットGPTもおそらくそう) ・テキストベースのコミュニケーションが増加したことにより、誰もが読み書きの能力を求められるようになった。 ・RSTの能力値が高くなると全国学力テストのすべての教科の正答率が高くなる傾向がある。シン読解力が学力をほぼ決定していると言っても過言ではない。 ・シン読解力の向上は15歳で一旦止まるが、その後シン読解力を上げるためのトレーニングをすれば大人でも伸びる。 ・小中高とも学校教育ではシン読解力が向上していない。 ・私大でもシン読解力がない子は入れない(入試が多様化しているにも関わらず) シン読解力を伸ばすには ・理科や社会、算数でも音読する。 ・非テキスト情報(表、グラフなど)を読むときには、何が、いつ、どのように、どれくらい変化しているか、適切に伝える。グラフのタイトルは何か?単位は?割合が1番多いのは?増減しているもの、変化が激しいものは?全体の数字の変化は?共通して言えることは?全体の傾向からこれからの変化を予測できるか? ・RSノート初級編‥指定された教科書の見開き2ページから指定された文を見つける「ウォーリーを探せ」トレーニング、音読、視写(1分に学年×10字)。時間が来たら相互に丸つけ、文字数をカウント。 ・中級編‥定義文を音読、視写。当てはまる例を3つ考える。 ・人気のある学校・会社はRST能力の高い人材を獲得できる。 ・なぜかSPIとRSTには相関性がない。 ・大人向けのトレーニング‥新聞のリード文の内容を読み、見出しの言葉をできるだけ全て使って一文でまとめる。

    4
    投稿日: 2025.06.10
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     読書が足りないと思っていたら、そうではなかった。  RST受検受けてみようかな。  0が偶数だったとは。

    96
    投稿日: 2025.06.09
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    ChatGPTの限界を挙げ、教科書を読める力が本当に必要とされる能力であると考察する。 スゴ本だった。教科書を読めない子がどれだけ多いのか示し、その解決法も提示してくれる。大人でも読解力の低い人が多いとのこと

    3
    投稿日: 2025.06.05
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    塾行ってなかったこともあり、高校生くらいまでとにかくテストが苦手でした。今思えば、答えが分からないというよりもそもそも問題文が理解できなくて何を言ってるのか分からなかったんだと思います。 だからテストの前日に勉強する時はとにかく問題文の型を覚えてそれから答えを覚えなければならず、頭が容量オーバーになるのは当たり前の現象だったんだなとこの本読んで納得しました。笑

    4
    投稿日: 2025.06.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

     助詞の「と」と「や」は、どちらも言葉を並列するときに用いるが、前者はその全てを明示するときに、後者はその一部を例示するときに用いられる。 【研究者の三種の神器】  DeepL・Grammarly・ChatGPT これらを効果的に用いることで、研究者は、より効率よく、より核心に時間を注いだ研究ができるようになる。 【メモ】  ・AIは、電子レンジや冷蔵庫と同じように、あくまで道具であって、"人間に近づける"必要はない。  ・AIは、至上命題となるような「重要タスク」に使うのではなく、単純作業や、失敗が取り返しのつかない事態に繋がることのない、「できればいいな的なタスク」に使うのが最適であろう。  ・RST得点(シン読解力)と学力などとの相関は、最早「同じもの」を測定しているレベル。RSTの構成概念は、おそらく、「学力」の構成概念(IQや知識など)とかなりの重なりがあると考えられる(このことは、RST得点が15歳までは徐々に向上するが、それ以降は横ばいになることからも示唆される。すなわち、ただの「成長に伴う知的能力の上昇」を捉えているということである)。しかし、本書で豪語されているように、もし、本当にRSノート(RSTのトレーニング法)によってRSTが向上するのであれば、現在の学校教育への導入もアリなのかもしれない(慎重さは求められるだろう)。  RSTがSPIとほとんど相関しないことは、前者がより「学力」チックな潜在変数を測定しており、後者がより「非学力」チックな潜在変数を測定していることの示唆ではなかろうか。この点については、今後詳細な検討が必要であろう。

    3
    投稿日: 2025.06.04
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    このレビューはネタバレを含みます。

    学習が進まない人は、教科書の「学習言語」が読めていない。この仮説に基づき、テストや学習法を研究している著者のまとめです。 日本語は助詞や文通しのつながりが曖昧で、英語の学習に悪影響があるという実感があるため、自身も「学習言語」が習得できていないんだろうなと感じた。ただその習得方法の障壁がまだ高い印象でした。もっと簡単なドリルみたいなもので習得できるといいなと思いました。

    1
    投稿日: 2025.05.29
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    シン読解力を磨き、AIとの共存を図れ。 著者のこれまでの研究で得られた知見を元に、教科書の内容を理解する力であるシン読解力を磨くことの大切さを訴えた、一冊。 前回読んだ本がやや極論に走って印象を受けたが、今作は著者がRSTを通じて集めてきたエビデンスに基づき、より現実的な提言をしていると感じた。 途中の問題を解くと、自分も思ったより読めてないと気付かされ、文書を書くことの多い仕事をするものとして、巻末コラムの助詞の件も含め継続的にシン読解力を鍛える必要性を感じた。

    1
    投稿日: 2025.05.28
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    前作の2冊と同様に納得できる内容であった。 RSTを取り入れたい。さて、作戦を練らなければならない。

    1
    投稿日: 2025.05.25
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    大変面白かった。算数の文章題を読めなかった弟に正しい答えをできたのだと思うし、自分が伸び悩んでいた理由もわかってきた。 ・AIvs教科書が読めない子供たちのタイトルが、大人は読めるが子供は読めないと解釈されたとしたら、子供達には申し訳ない事をしました。p220。 ・誰もが文章の生産者となる事を期待されます。高度経済成長の時代にはそのような能力はエリートの一部にしか求められませんでした。ところが、メールの普及によってホワイトカラーであれば誰であろうと等しくその能力を求められるようになりました。p84。

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    投稿日: 2025.05.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    『AI vs. 教科書が読めない子どもたち』の続編3冊目。 新井紀子さんのその後の研究結果と取り組みの内容。 チャットGPTの解説部が面白かった。 職場にチャットGPTを妄信してる人がいて、ちょっと不安になった。 シン読解力、確かに必要な能力だな。 我が子にどの位その能力があるのか、心配になった。 そして、自分自身も。実は読めてない事、たくさんあるんだろう。 巻末のトレーニング、できそうだけど、現実的には厳しいかも。正直、面倒だなという印象。 子どもの方は特に学校でしてくれないと家庭ではなかなか、ね。 できれば、自宅で一人でも子どもだけでもできそうなワークとかあれば良いのに。 企業の採用試験でこのテストが出始めたら、我が子はどの位まで残れるのか?心配の種は尽きない。

    1
    投稿日: 2025.05.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    p48 AIに潜むハズレ値の罠 現状のAIは意味を理解しているわけではない 意味を理解しているように振る舞うために、膨大な教師データ上の統計と確率で代替しているに過ぎないのです。 人間は少ない経験から意味と文脈で判断するので、思い込みによる誤りに陥りやすい。一方AIは意味を理解せず、膨大な情報上の統計から判断するので、ハズレ値の罠に陥りやすい p73 生成AI ハルシネーションが含まれる ネット上のご情報を学習したからでなく、生成AIの教師データの設計そのものに由来する

    1
    投稿日: 2025.05.10
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    概要 chatGptは平気で嘘をつく。それを見破るためにはシン読解力が必要。 シン読解力=知識や情報を伝達する目的の文書≠文学書を読む力 シン読解力を図るために、著者がRSTを考案。 RSTと学力テストには強い相関が見られた。 ・シン読解力のトレーニング方法 認知負荷を下げる。 教科書のどこに何があるかを確認するような作業。 ワーキングメモリをメインの作業に使うため。 RSノート 感想 今後のリスキリングが必要になっていく世の中で非常に必要な能力だと思いました。学生の頃にこのスキルを伸ばせていたら、、、 教師や、小さなお子さんがいる人にぜひ読んで欲しいです!

    1
    投稿日: 2025.05.10
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    非常に興味深い一冊。教育関係者、会社の管理職や人事担当者は一読の価値があると思う。 ただ本書でも述べていたようにRSTを全否定する読解力の低い上層部の人たちもいて、本文を読んでたまにイラッとした自分はもしかしたらそっち側かもしれない。

    1
    投稿日: 2025.05.08
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    <目次> 第1章  チャットGptの衝撃 第2章  「シン読解力」の発見 第3章  学校教育で「シン読解力」は伸びるのか? 第4章  「学習言語」を解剖する 第5章  「シン読解力」の土台を作る 第6章  「シン読解力」トレーニング法 第7章  新聞が読めない大人たち 附    トレーニング&コラム <内容> 『AI vs 教科書が読めない子どもたち』以来の衝撃。この本でも知識だけではなく、”読解力”がないことで、学習が身につかないことに衝撃を受けた。さらに今回、各教科に「学習言語」があり、「生活言語」だけでは理解できない、ということを知った。さらに著者が作った「RST(リーディングスキルテスト)」を多くの人がやった結果、小中学生はもちろん、大人でも「新聞の読めない(正確にはきちんと理解できていない)大人」が多くいることを知った。いくつか例題があるが、自分も間違えているものがあった。RSTをきちんと受け、そこから適切な学びをしていくと、「シン読解力(教科書を読み解くために必要な読解力)」は改善されること。その結果いわゆる「学力」も伸びること(当たり前なのだが…)。大人もRSTの数値が低くても、学びの結果改善されること。学校で学ぶべきことを改めなければならないかな?

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    投稿日: 2025.05.06
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    自己完結的な文書とは、新しく使う用語を導入する際に、電気と例が書かれており、すべての主張にその根拠が書かれている、そして解釈が1つに定まるように書かれた文章です。 新しい考えを表現するためには、新しい言葉や形式が必要である 活字離れと言われますが、実際は私たちが1日に読む実は以前に比べて明らかに増えています。SNSだけがその理由ではありません。仕事上のやりとりが電話や対面からメールや添付ファイルに置き変わったからです。それと同時に誰もが文書の生産者になることを期待されます。やりとりされる文章の大半は説明文です。高度経済成長の事態には、そのような能力はエリートの1部にしか求められていませんでした。ところがメールの普及によってホワイトカラーであれば誰でもあろうと等しくその能力を求められるようになりました。怒涛のように流れてくる説明文を正確に読みこなし、それに文書で返答し、報告書や提案書生産することが、当然のように期待されるようになったのです。 1 中学3年生までは、成長に従って、ある程度は自然に読解力が伸びるが、高校に入学する15歳前後再会として身長は止まってしまう。 2、焼酎コートも学校教育によって読解力が向上しているとは言い難い。特に高校ではどの偏差値でも、また公立国公立私学の別なく、入学後は独力が向上していない。 3、高校受験も大学受験も読解力、特にRS T平均能力値が決め手になる。有名市大合格圏内に入る指標はRS T平均能力し1.5と推定される。 4、スクリーニングの厳しさによって高校のRS平均能力値は決定される。 1点生活言語と学習言語には顕著な違いがある。 2点生活言語を獲得しているからといって、自動的に学習言語が習得できるわけではない。 3、一口に学習言語といっても、教科によってその特徴は様々である。 4、教科ごとに学習言語が異なると意識しながら教えたり、学んだりすると効果的

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    投稿日: 2025.05.04
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    ベストセラーとなった『AI vs.教科書が読めない子どもたち』から早7年、著者の研究成果である東ロボが東大入試に合格できなかった時代を完全に過去のものにするかのようにChatGPTをはじめとする生成AIが世界中を席巻。一方でネットのアルゴリズムに毒された人類はどんどん文章を誤読するようになっている。SNSのクソリプなんてまさにその発露だろう。また、著者の中には前著の功罪の罪の側面として「読解力」という言葉がひとり歩きしてしまった反省もあるようだ。その進歩と反省を合わせた続編でありアップデート版。文章が読めない・書けない人、そして「自分は違う」と油断している人もまた生成AIが作り出した嘘に飲み込まれてしまう時代がもう来ていると痛感する。特に未就学児や小学生のお子さんがいるご家庭は必読だと感じた。

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    投稿日: 2025.05.03
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    脇道的な話だが、勉強不足でChatGPTが「平気でウソをつく」とは知らなかった。正直なところ、盲信していた…。 それはそうと、教科書の読み方の違いは意識したことがなかった。それを知っていたら今頃は⋯、なんてね。

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    投稿日: 2025.05.01
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    チャットGPTの本来の目的を理解し、リーディングスキルを磨く必要性を感じた一冊。 読解力テストはことごとく出来なかったのでスキルを磨きます! 間に合うのか。。。

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    投稿日: 2025.04.29
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    シン読解力とは、小説を読んで身につくような種のものではなく、教科書のような説明を理解する力を指しているのだそう。 それが具体的にどんなものなのか、リーディングスキルテスト(RST)も織り交ぜながら書かれていて、なるほど!と納得した。 このRSTが面白くて夢中になってやったけど、なかなかの正答率。ちょっと嬉しい。 問題で使われている文章は間違う要素はないと感じるものだったけど、違った解釈をしてしまう人がいるとしたら大問題だなと思う。 著者が言うように、勉強の前にシン読解力を教える必要があると思う。それを実践しているという相馬市はすごい!

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    投稿日: 2025.04.26
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    読解力とは何なのかを改めて考えることができる本。これまでの学生時代、社会人生活において読解力の無さが影響していたのだと思うシーンをいくつも思い出した。トレーニング方法まで書かれていたため、早速実践していきたい。

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    投稿日: 2025.04.20
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    面白いけど、ある意味身も蓋も無い内容だと感じた。 というのも、やはり幼児期に親からどのように愛情を向けられたか、つまり読み聞かせを沢山してもらえたか?とか、沢山の体験をさせてもらえたか?というところから語彙が広がり、その基礎を持ってして義務教育を有効活用した読解力の醸成に繋がるんだと言っていると理解したため。 1章のAIの話は面白いけど本質とあまり関係ない。 トレーニングで読解力を伸ばせるのはわかったが、社会人の立場としては最初から賢い若手を確保することを頑張るべきでしかないなと再理解した。

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    投稿日: 2025.04.19
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    完全に見逃していた。目についたら即買いだったのに、2ヶ月も遅くなってしまった。したがって3刷である。それはともかく、やはりおもしろい。まずは生成AIについて。平気で息をするように嘘をつく。確かにその通りだ。きっと僕も何度かだまされている。自分の専門分野(中学受験や高校受験レベルの理科など)について確認のために聞いてみると平気で間違った答えを言う。たとえば下弦の月が夜中に南中するとか。それで間違いを指摘すると、ご丁寧に謝罪してくれる。謝罪されてもなあ、普通は知識のないことをたずねるわけで、それが間違っていても気づかずに覚えてしまったとすると悲劇である。池谷先生が生成AIを家庭教師代わりに使えばいいとか言っていたけれど、それはきっと無理だ。大学入試の歴史の記述問題で0点を取っている。予備校の先生が採点をするとだ。で、AIなどの専門家がその答案を見ると、良く書けていると感心するのだそうだ。流暢に書かれているからそう見えるけれど、事実の誤認だらけ、しかも指示に従っていない。新井先生は意地悪だから、専門家を罠にハメたのだ。まあでもおもしろい。ちなみに僕が使っているのはGeminiだ。さてここまでは前段階で、ここからがRSTの結果分析、そしてシン読解力について。以前の著書で、読解力を問題にしたら、かなり誤解を受けてしまったので、今回はシン読解力という新しいことばを作ったのだそうだ。これは、文学を読むというのとは違う。端的に言うと教科書を読む力ということだ。「生活言語」と「学習言語」というように区別されている。たとえば算数で「かさ」ということばが使われる。体積が出てくる前の話だ。僕の場合はだいたい4年生から指導するし、最初から体積を扱うので「かさ」ということばはあまり使うことがない。でも、いつも恐る恐る子どもたちは「かさ」と言われて分かるのかなと思いながら、体積が何かを説明する。本書にはないが、「はしたの数」とか「もとになる量・くらべる量」とか、それから「めあて」とか、学校ではよく使われているのかもしれないが、あまり使いたいと思わない。そういう教科書だけで使われるようなことばがきちんと理解されていないために教科書が読めない・理解できないことがある。僕もたとえば「レンマ」とか、タイトルにもなっているのに最後まで意味が分からないまま読んでいるから、何も後に残っていない、なんていうことが起こっている。本書の中にいろいろとテストやトレーニングに使われた問題が多く載っており、それを解いてみたが、実はことごとく間違っている。情けない。ふと気を抜くと間違ってしまう。相当集中して読みとろうとしないと誤読してしまう。新聞記事などもしかり。でもそれで、ひどい目にあったりしたことがないから、あまり気にならないまま通り過ぎてきたのだろう。だいたい僕は取説とか読めないし読みたくないし、たいがい人に聴くか、適当にやってすませている。もう定年退職になる年齢になってではあるが、僕にはシン読解力がなかったのだ。まあ普通の読解力もない。なのに時間があれば本ばかり読んでいる。四半世紀以上、勤務校で発行する通信のために、毎月原稿用紙8枚分くらいの文章を書いてきた。ねじれていることもたびたびあったかもしれない。助詞の使い方もあやしい。まあでも読みやすいと言ってくれる人がいたりするのでいい気になって書いてきた。Noteにも全部あげている。ああ、だんだん心配になって来た。こんなことで良かったのだろうか。いまからトレーニングした方がいいのだろうか。いや、そんなことよりも、いまあずかっている子どもたちの算数文章題が解けるように導いていくことが大切だ。RSノートを使っている時間はないけれど、ことばづかいに気をつけながら、本題以外の認知的負荷をなるべく減らすようにして、子どもたちが本題に集中できるようにしていきたい。

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    投稿日: 2025.04.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    RSTという著者が開発したテストとそれを実施した50万人のデータをもとに、「シン読解力」という概念がいかに大切か、を理解できる。 特に学力との関係性は残酷。学力が良くてもシン読解力が良いとは限らないが、シン読解力が良いと学力が良い、という相関があるという調査結果は面白い。 実際に本書に記されているテストに取り組んでみたが、あー確かになるほど、やってしまった、という感覚。古舘さんや武田哲也さんが間違えて女子高生が正解する、というエピソードが載っていてなんだか気の毒だが、事実としてこういうことがある、ということを知らせるには効果的。 子供を育てる世代にお勧めしたい。

    1
    投稿日: 2025.04.12
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    近頃の子供はマンガさえ読まない。読解力の欠如の危険性は知っていたが、原因は読書量なのだと思っていた。しかし、この本を読んで、「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を正しく理解する力は読書量と相関関係がないということを知り、驚いた。 このシン読解力は学力、あらゆるテスト、ビジネスのやり取りにも影響する重要なものという話だが、適切な訓練で向上できるという点に安堵した。学校でやっているアクティブラーニングというやつよりも、こちらの能力向上の方が先決だと思う。

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    投稿日: 2025.04.06
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    【星:4.5】 読解力をつけるためにはどうしたら良いか、ということに昔から関心を持っていたので、興味深く読み進めることができた。 著者は、リーディングスキルテスト(RST)を開発し、読解力向上のために活動しているのだが、読解力が進学校のレベルと強い相関がある、中学2年からは伸びていない傾向があることをデータを持って示しており、興味を惹かれた。 なお、著者がいうシン読解力とは、教科書を読んで理解し、自分で学ぶことができるための基礎的な読解力を指す。 入試の現代文の読解力の一歩手前的な感じである。 そして、この基礎的なシン読解力が低い人が意外と多いというのは目からウロコであった。 なるほど、確かに自分も、しっかりと日本語を読む力がついているかというと自信はさほどない。 ただ、著者も現在模索中ということなのだろうが、このシン読解力を身につけるためのトレーニング方法はほとんど書かれておらず、そこは物足りなさを感じる。

    6
    投稿日: 2025.04.02
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    前2作を読んでたので即購入。 信頼と実績の新井先生の新作、そりゃ買いますとも!! AIについても興味深い話あり。 我が子が小学生になる頃にまた読み返そうと思うものの、その頃にはまた新しい本を書いてくれるだろうな。 chatGPTも次世代AIによって駆逐されてるかもしれないし。 乳児の頃から言葉のシャワーを浴びせないとは良く言うけど、具体的には10000冊の絵本と10000曲の童謡ね。。。 童謡はSpotifyのおかげでずーっと掛けっぱなしだけど、一緒に歌うとなるとまた違うか。 でも1日5〜6冊(or曲)って考えると気が楽だな。

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    投稿日: 2025.03.29
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    AI vs 教科書が読めない子供たちの書籍と同じ著者 30代中盤に差しかかり、改めて日本語の扱い(適切な文書作成、理解、伝達)に悩んでいた時に出会った本。 タイトルの読解力というと文書を読み解く力であり、本を読む量を増やすなど、文書に触れる機会を増やす事で養われると思っていたが、この点は序盤でも触れておりそれだけでは不足している。と学び驚いた。 RSTなる問題を作成されており、例題がいくつか掲載されていたが、ほとんど間違っており、自身の読解力不足にショックを受けたのと、今まで間違って理解して進んできたのではと不安になった。 現代では視写して書くことの機会が減っており,それも読解力の能力を下げる事と理解し、自分も意識して読んだ文章をアウトプットして理解力を高めたいと思った。

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    投稿日: 2025.03.29
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    革命的な本である。「学力というものは、人によってどうして差がつくのだろうか」、この問題を解くヒントがこの本には詰まっている。遺伝を除くと、できる人というのは、IQではなく、暗記力ではなく、「シン読解力」によって決まってくる。しかもこれはトレーニングによって改善できる余地があるというところが魅力的だ。今教えている生徒たちに、今すぐにでもRSTを受けさせ、トレーニングさせたい気持ちでいっぱいだ。

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    投稿日: 2025.03.26
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    精読と多読が全く異なるスキルで、精読は学力との相関が高い、鍛えることができる能力だという説明は非常に説得力があった。音読や書写の力を高めることで能力を上げることができることも。長男で見極めて必要なら取り入れたい

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    投稿日: 2025.03.26
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    ある意味を伝えるための文の書き方、意味を読み取るための読み方をどう鍛えるかのヒントになる本。学力が低いと言われる子どもたちへの指導に使えるのと同時に、昔ながらの指導の中にも有効で意味あることが多く含まれていたことに気づかされる。

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    投稿日: 2025.03.26
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    チャットgptは堂々と嘘をつく。これを肝に銘じてファクトチェックは自分でできるような力をつけていかないと。思考停止の子どもを育てることになる。 教科書独特の書き方『教科書言葉』があることを理解して、読み解き方を教えていく必要があると思った。特に小学校なんて、易しい言葉で書いてあるけども、子どもにとっては読みのつまずきになっていることがあるだろう。 『しっかり読みなさい』ではない。その人は読みにおいてつまずいている(むしろ、読み方を教わってないから読めなくて当たり前)という認識を持っておくと、『なんでそんなレベルから!』と叱る必要はなく『この読み方や考え方を具体例を挙げながら教えてあげないとな』という認識に変わる。

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    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    自分が高校で伸び悩んだことを思い出した。なぜ伸び悩むことそうでない子がいるのか。その一つの答えになった。今井むつみは意味を重視しているが、新井紀子は読解を重視している。 どう読解力を伸ばすか。それは昔からやられているような単純なこと。とても面白かったので要約して職場の人に配りました。以下のものです。 序章 著者は根っからの文系人間。高校で数学を諦めた。今思えば、読み方がわかっていなかっただけ。シン読解力は才能や感性ではなく、トレーニングによって身につけることができるスキル 第1章 チャットGPTの衝撃 東ロボくん・・・東大合格を目指して作られたAI チャットGPT ・・・研究者は手放せないほどの制度を出せる 論文の構成、章立て、翻訳はかなりの精度で行うことができる。 ※チャットGPTは平気で嘘をつく。東大の世界史の入試問題0点 ChatGPTは自然な言語生成を目指して作られたため、正確な情報を提供するわけではない。 流暢に言語を操るために、正しさを諦めた。 AIはなぜ完璧になれないのか? 人工知能の学習には2種類ある。 ・教師あり学習・・・お手本とする教師データが必要 入力→出力 入力→正・誤 ・強化学習・・・指標・ルール・目指すものが明確であれば正誤をもとに修正することができる(例 囲碁、将棋、オセロ) ただし、政治、子育て、介護、家事など教師データの設計が難しい 自動運転はできそうでは? どんなにがんばってデータを集めても、滅多に発生しない「外れ値」が生じる。 (例 ひき逃げされた女性をさらにひく 大型トレーラーを光の加減で物体と認識できず衝突) →どのポイントでAIを使い、何を人間に任せるか的確に判断することが求められる。 →AIを使いこなせるようになることが必要 あらゆる生成AIは平気でそれっぽい嘘をつくし、著作権侵害を行う。 それをチェックし、より適切な出力になるようにコントロールするスキルが求められる。 その前提として必要な能力が「シン読解力」 第2章 「シン読解力」の発見 「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章」を自力で読み解く力をつけること。「行間を補う」「心情を考える」こととは一線を画す。 →「自力で学び続けられるスキル」の獲得 リーディングスキルテスト(RST)の開発 ①係り受け解析 ②照応解決 ③同義文判定 ④推論 ⑤イメージ同定 ⑥具体例同定 RST能力と学力テストの結果は全体的に強い相関がある 第3章 学校教育で「シン読解力」は伸びるのか? RSTを受検した50万人のデータの分析から明らかになったこと 1、中学3年までは成長に伴ってある程度自然に「シン読解力」は伸びるが、15歳前後で伸びはとまる 2、小中高校とも、学校教育によって「シン読解力」が向上しているとは言い難い 3、高校、大学受験も「シン読解力」が決め手になる 4、入試倍率によって、その学校のRST平均能力値が左右される 読めない子に対して、親も教員も「もっと、ちゃんと、しっかり読みなさい」 読むということが具体的にどういうことかわからずに、たくさん例題に当たり、解き方をパターン化して解こうとする。「外れ値」に当たると途端に失敗する。 フランスの実験。7歳から9歳の子に「船の上に26匹の羊と10匹のヤギがいます。この時、船長は何歳でしょう?」結果、9割以上の子どもたちが「36歳」 第4章 「学習言語」を解剖する 教科書などで使われている教科ごとに異なる言語・・・学習言語 日常生活などで使う言語・・・生活言語 生活言語を習得しているからといって自動的に学習言語を習得できるわけではない 教科によって特徴は様々 「数学語」・・・「いくつか」が1つ以上、場合によっては0以上の整数を示すなど 「社会科語」・・・〜ので、よって、だから 連用中止法が多様          山形は盆地が多く、夏は暑い。(理由)          山形は盆地が多く、花笠祭りが有名だ。(並列) 「物理と生物」・・・物理は数学的だが、同じ理科でも、生物は例外が多い →生活言語の常識を必要以上に引きづらないようしながら、コードをスイッチングする  学習言語のマルチリンガルになることが求められる 第5章 「シン読解力」の土台を作る 土台となるのは語彙と経験 小学校入学時の語彙量は多い子で7000語。平均はその半分 小学校3年生までに8000語〜1万語+教科特有の和語(かさ、たば、ます、しかたなど) 基本的な語彙が備わっていないと辞書も引けない 教科書が前提としている標準的な生活体験というものもある (アナログの時計が家にある、リアルなお金で買い物や両替をしたことがある、バスに乗ってお金を払ったことがある、鍋ややかんで水を汲んでお湯を沸かしたことがあるなど) 穴埋めのプリントの授業によって、キーワードだけ覚えればよい教育になっている 脳のワーキングメモリには限界がある。 認知負荷とアクティブラーニング 課題内在性認知負荷と課題外在性認知負荷 学習支援ジレンマ理論・・・電卓を使って計算することで筆算による計算の構造を理解できなくなる→支援するしないの基準を作るとよい 最初に取り組むべきは、学習プリントを減らすこと 書く量を増やすこと 紙と鉛筆ではできないことをタブレット端末で行うようにする(動画の撮影、表計算など) 第6章 「シン読解力」トレーニング法 ①基本は音読と視写 ※目標は1分あたり学年×10文字 1、指定された教科書のページを開く 2、そのページから指定された文を見つける(「ウォーリーを探せ」トレーニング) 3、その文を黙読し、意味を思い出す 4、教師が音読する。もう一度自分で音読する 5、指定の時間で視写する。90秒。終わらなかったら、印をつけて続きを書く。 6、隣の子と交換し、あっているか見合う ②板書の共書き 1、板書する前に書くことを教師が読み上げる 2、子どもから見えるようにしながら、教師が黒板を書く 3、教師と同じタイミングで板書する ③教員が徹底して教科書を読みこむこと 文の分析、教科ごとの特性、つまづきやすいところを予想するなど これらを導入した福島県相馬市 2021年国語7ポイント算数9ポイント全国平均より低い 2022年 全国平均並 2023年 全国平均をうわ回る結果「学テ始まって以来の快挙」 自己流ではなく基本の書き方が身につく→自分が言いたいことを伝えられるような文を書くことができる 第7章 新聞が読めない大人たち シン読解力が低いのは子供に限らない 入試、入社倍率によって、シン読解力の高低の分布は左右される 組織によってはベテランの方が低いこともある 付録 トレーニング&コラム 初級 助詞を補いながらまとめをつくるトレーニング グラフ、図を主語を意識して読み取る 中級 上級

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    投稿日: 2025.02.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新井紀子さんの新著ということで、ネットで見つけ即購入。 シン読解力。 最近、よくきく「シン〜」という言葉だが、本書を読み進める中で、それの意味するところが分かってきた。 シン読解力とは、RST(リーディングスキルテスト)で測る力のこと。 その測る力とは、知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書を自力で読み解ける力のこと。 簡単にいうと、教科書を読む力のこと。 この力は年齢と比例して向上するわけではない(=学校教育の中で育まれない)、トレーニングを積むことで向上が期待できるという特徴がある。 トレーニングの内容としては、黙読→音読→聴読(初めて聞いた)→視写→校閲という5つの異なる刺激を通して、前回の授業のポイントを読ませるといった形が紹介されている。 本書を読んで印象的だったのは、音読と視写、ノートと鉛筆といった昔ながらの方法に焦点が当てられているという点である。 課題外在性認知負荷という難しい言葉が使われているが、一丁目一番地の学習に集中して取り組ませるために、邪魔になるものをなくす(負担を軽減させる)ことの重要性を感じた。 RST、まずは自分が受けてみたい。

    1
    投稿日: 2025.02.25
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    筆者はAI利用慎重派として有名で、読解力がなければAIを活用できないと主張し、シンギュラリティは来ないと断言する。おおむね賛成であるが、それをも吹き飛ばすブレイクスルーが達成されるかもしれない。どちらが正しいか、近いうちに結論を見出せることだろう。

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    投稿日: 2025.02.23
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    さすが新井先生、テンポがよく読みやすく、反対派を想定して事前に切り捨てるのもわかりやすい。 自分にとって仮説または感覚程度だったことも、多くの分析とともに書かれているので、たいへん勉強になった。 毎回、新しい読者を想定しているのか、前段が長く過去の著書との重複感はあるが、バージョンアップが図られているのでそれほど気にならない。 これは関係者に広く勧めておこう。

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    投稿日: 2025.02.22
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    AI VS教科書が読めない子どもたちの解決編ということで読みました。 前作では、AIの現状と子どもたちのかかえる問題提起までされていていましたが、その解決策がわからないで終わっていました。 今作はでは、その後の原因を科学的に分析し教科書を読めない子どもたちの要因について書かれています。 学校の授業を思い返すと先生が言っていることが、わからないと思うことがあるともうこの教科はキライとなっていた。 その原因について分かりやすく書かれています。 自分の子も授業についていけてないように感じており、今の子供の読解力がどれくらいなのか試すところから始めてみたいと思います。 この読解力が足りていないと、スポーツの練習でも、一緒に遊ぶときでも読解力のある子に置いていかれてしまいます。将来的には、仕事ができるできないにもつながっていくとても大切なことだと思います。 また、今までただ読書だけしておけば良いと思っていましたが、まずは短い分でも良いので正しく文章を読む方法を伝えていこうと思いました。

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    投稿日: 2025.02.22
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    50万部近く売れた、「AI vs 教科書が読めない子どもたち」の著者であり、RST(リーディングスキルテスト。以下RST)の考案者である新井紀子教授による待望の新刊です。今回は、前回の前著でうまく伝わらなかった「読解力」を新たに「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文章を自力で読み解ける力」を『シン読解力』と改め、紹介しています。私にとってRSTは前作「AIに負けない子どもたちを育てる」で簡易版を受けてみましたが、自分は数学を扱う能力が極端に低いことが分かり、その解決法示した今作は待望の続編でした。最近現れて話題の生成AI、「チャットGPT」の概要とその能力などを皮切りに、「学習言語」とは、そしてRSTの結果が如何に学力と相関性があるか、また、如何に日頃新聞などに載っている文章を大人でさえも読み解けていないかが具に著わされています。最後には、『シン読解力』を伸ばすための基礎・上級トレーニングの例が一部載っています。基礎編は、新聞記事の見出しを使った簡単にできるものなので、著者が言及するように、新聞が1コーナーとして記事に載せてくれたら有意義なのではないかと思います。著者には『シン読解力』の益々の追求を期待したいです。

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    投稿日: 2025.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    著者が過去の経験から学んだことは 1.各教科の教科書を読み解く読解力を身に付けるには、読書では不十分 2.教科書の書かれ方には「型」があり、その「型」を意識させる方が自由に読ませるより教育効果が高い(そして、そのためにはトレーニングしかない) 3.トレーニングの内容が適切で、学習者にトレーニングを継続する能力と意欲さえあれば、年齢・好き嫌い関係なく、それなりに読めるようになる。 AIの限界は 1.教師データが不足したり、そもそもなかったりすること 2.外れ値に振り回されること(=外れ値の罠) の2点。 よって、安心安全が命題の領域ではなく、「できたら良いな」という領域でAIは使うべき。 chatGPTを使いこなすには、 ・出力を読んで理解する力 ・ファクトチェックを行い、誤りを指摘し、修正する力 が必要で、すなわちこれらが「シン読解力」となる。 RSTは「知識や情報を伝達する目的で書かれた自己完結的な文書」を「自分で読み解ける力」を測るテストで、文学や評論などとの読解力とは無関係であり、一方で学力とは強い相関関係がある。 「シン読解力なんて、誰でも自然に身に付くはず」という期待は「自然に読めるようになった」一部の幸運な人々の傲慢。 RST分析の結果によると 1.15歳前後までは成長に従いある程度は自然に「シン読解力」は伸びる 2.学校教育により「シン読解力」が向上しているとは言い難い 3.高校受験も大学受験もその後にも「シン読解力」は影響する 4.入試の難度と倍率により、学校のRST平均値はスクリーニングされる 誰が読んでも同じ解釈になる学習言語と、誰が読んでも同じ解釈にならない生活言語は異なる。 学校現場でよく見られる、成長に伴う学習のつまずきは、生活言語は獲得できたのに、学習言語の習得に失敗したことが原因の可能性がある。 学校におけるゴールとは「すべての子どもが独学する方法を身に付けている、すなわち教科書を自力で読める状態で卒業すること」 シン読解力で読解の対象として扱われる資料は「グラフ、表、図形。式、地図、概念図、年表、楽譜など」である。 だから学校では、グラフの読み解きをしっかり学ぶべき。 努力でカバーし、他の子が嫌がるボランティアや掃除などにも真面目に取り組む生徒は内申点が高くなりがちなため、シン読解力の低さが見過ごされがちだが、そんな彼らでも早めに軌道修正・指導することで、しっかり伸びる。

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    投稿日: 2025.02.16