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powered by ブクログ古代史はロマンだ。 わからないからこそ、空想の余地が沢山あってワクワクする。 私は学者ではないので、無責任に色んな説を摘んでは、妄想をたくましくして、ニヨニヨする時間が大好きだ。 そんな私の大好きな時間をより充実させてくれる本だった。 古代には、インターネットなんてないし、電話もなければ電報もないし、確実に素早く手紙が届く郵便制度もない。今のように、安全に速く朝鮮半島と九州や山陰を往復する航海技術もなかっただろう。 それなのに、どうして卑弥呼は呉ではなく魏を外交相手に選んだのか、高句麗と交戦中の倭の五王は北魏ではなく宋を外交相手に選び、朝鮮半島での軍事権指揮権を得ようとしたのか。 広大な地域の勢力状況を、海の向こうにいながらちゃんと把握しているのは、どうしてなんだろうか? 文字を残してくれなかった邪馬台国、そして初期ヤマト政権。 でも、野蛮だったとか、非文明的だったとかではなくて、積極的に海外の情報を得て、分析し、国際外交を行なえるような勢力だった。彼らが見ていた『世界』はどれだけ大きな世界だったんだろう。 邪馬台国は初期ヤマト政権は、どのような体制で国際交流を盛んに行い、国としての舵取りをしていたのかな? 読み終わって、さらにワクワクが加速した。これからの考古学の発見や、研究に期待だ。
0投稿日: 2025.10.27
powered by ブクログNHK取材班による日本古代史(3~5世紀)の最新研究をまとめた本。決して結論に触れず、調査研究による推論を並べ、古代史研究の困難さ、ロマンを強調する表現はいかにも国営放送らしい。テーマも邪馬台国、卑弥呼、空白の4世紀、ヤマト王権、倭の五王といった視聴者の興味を引く、有名ネタばかり。 それにしても、最近の研究技術はすさまじい。ドローンでの空中視点からの解析、X線による透視解析、生成AIによる大量データ分析。過去の人力による地道で孤独な作業なんて、まさに古代の遺物だ。 発掘された木材の年輪や馬の歯に含まれるエナメル元素により、何年前のものかを年単位で特定するし、古代人骨のDNAから出身地もわかる。正直、古代史の解明よりも、最先端の考古学研究技術の方に驚かされた。
5投稿日: 2025.10.04
powered by ブクログNスペ放送内容に更に取材、加筆。 邪馬台国からヤマト王権、そして日本への流れを北東アジア史として捉えている。面白い!
0投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ弥生から、古墳時代、大和朝廷の日本の歴史をアジア近郊の国との関係を交えながら解説。分かり良い内容だった。まだ邪馬台国が大和と九州のいずれにあったかの決着がついていない。地道な研究領域だ。2025.9.12
0投稿日: 2025.09.12
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
日本の古代史研究の最新情報を交えつつ、卑弥呼と邪馬台国、空白の4世紀、倭の五王、古墳時代の終わりと日本の成立までを描く。 単に最新情報を並べるだけではなく、それぞれのトピックについて鋭く切り込んでいく。おおよそ、3世紀から7世紀の日本はこのような発展をたどったのではないか、という内容になっている。
0投稿日: 2025.08.23
powered by ブクログ発掘調査で日本しか見てなかったらわからなかった繋がりと影響がどんどんわかってきていてとてもおもしろい 卑弥呼は魏と呉の鍔迫り合いを利用したとか、七支刀は百済で作られて送られてきたものだとか(末永く伝えるように、と書かれてるのがほんとに今まで大事にされてきてて良すぎる)
0投稿日: 2025.08.21
powered by ブクログNHK取材班による最新の研究結果(富雄丸山古墳)を入れたルポ。九州説とか畿内説に過度に寄りすぎない、比較的フラットな書き方に好感が持てる。年代比定方法などのテクニカルな話題も多く、歴史の話だけでなく技術の面においても興味深い。
0投稿日: 2025.08.17
powered by ブクログ卑弥呼から倭の五王まで。最新の発掘調査や科学的アプローチ、中国や韓国の国際研究の成果から古代史を読み解いた一冊。NHKの番組発の本だけに特定の説に寄りすぎることもなく、現状の最新(と思われる)の情報を分かりやすく伝えています。面白かった! またいわゆる「空白の4世紀」と呼ばれる時代について、富雄丸山古墳での新発見がいかに大きなインパクトがあったのかが伝わってきました。その成果にほぼリアルタイムで触れられるなんていい時代です!
0投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログ中国の歴史書、古墳、鉄、馬から紐解く日本古代史。文化と技術と資源を軸に国際関係が構築されていた古代。構造は今と変わりませんね。本書のように古代史をグローバルな観点から俯瞰すると特定のテーマを読み解く以上に理解が深まる気がします。卑弥呼は単なる巫女ではなくて、一国を率いる国際政治家。古代を侮ってはいけませんね。寧ろ学ぶべきだと感じました。良く纏まった良書でした。
0投稿日: 2025.07.31
powered by ブクログこれまでの、古代日本史の研究や論文などを集約した内容。古代日本史に興味を持ち始めた方に、おすすめです。
0投稿日: 2025.07.14
powered by ブクログ秀作 日本列島の形はそのままに中国大陸の海岸線に沿う形で描かれた地図から、邪馬台国の場所を紐解こうとするなど面白い試みだった。
1投稿日: 2025.07.11
powered by ブクログ一気に読み終えた。最新の学術成果をもとに、古代日本と東アジアのダイナミックな関係を浮き上がらせる。ひとつの仮説を示すだけでなく、いろいろな説を併記する点も、この本を信頼できる点。
0投稿日: 2025.07.09
powered by ブクログゾクゾクした より正確に表現するならば、ゾックゾクした エロいわ〜 古代史エロいわ〜 (連日の真夏日のせいでおかしくなってる可能性) はい、古代史ミステリーの邪馬台国やヤマト王権について、最新の科学技術や中国や朝鮮半島などの東アジアの歴史の文脈の中で捉えることで、新たな視点で解き明かそうと試みた本書 いやーマジで考古学って科学よねー そしてマジで総力戦 日本の力を結集して卑弥ちゃんの謎に迫っております これほんともうゾックゾクするほど面白かったんですが、わいはちょっと未来について考えてしまったよ 2,000年後、ちゃんと人類の歴史が続いていたら、わいたち今度は発掘される側になるんやな〜って 照れます(*´ω`*) つかちょっと恥ずい 色々見られちゃうんよ キャー、正装しとかなきゃ うーわ、この時代戦争ばっかしてたやんとか未来の考古学者に言われちゃうんやで、恥ずいわー それにしても2,000年前のミステリーを追いながら、2,000年後に思いを馳せる このセンスね 敬意を評して、誰かわいの前方後円墳造って下さい 2LDK、駅近、オートロック、築2,000年のやつ
65投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログNHKスペシャル取材班著『新・古代史』を読みました。新聞紙面の本書広告が目に留まり、副題の「グローバルヒストリーで迫る邪馬台国、ヤマト王権」にも興味をそそられます。 本書は2024年3月に放送されたNHKスペシャル『古代史ミステリー』の取材がベースになっています。邪馬台国の卑弥呼が生きた三世紀、空白の四世紀、ヤマト王権の倭の五王の五世紀。この時代を中心に「日本」と中国や朝鮮半島との関係がどうであったか、「日本」という国がいかに成立していくかに迫ります。テレビ番組では取り上げていない注目度の高い最新研究や発掘調査の成果を加え、ユーラシア大陸の大変動の視点を交えながら、古代史研究の最前線を伝えます。「まえがき」を読んだだけでもワクワク。 この時代はユーラシア大陸の大変動の時期と重なります。中国では漢が滅び三国時代へ、6世紀まで分断状態が続きます。ヨーロッパではローマ帝国が分裂、西ローマ帝国が滅亡します。この大変動の一要因が大陸中央部で騎馬戦術を原動力に勃興する遊牧民族の影響だといいます。こうした大陸の大変動を古代「日本」のリーダーたちが「国造りの好機と捉え」「優れた外交センス」を発揮したと本書は指摘します。びっくりしました。今まで考えたことがない視点です。「三国志の時代の中国で、卑弥呼はなぜ蜀・呉ではなく魏を選んだのか」「高句麗と敵対していた倭の五王がなぜ、宋に官爵を要求し朝鮮半島の指揮権を手中に収めようとしたのか」。海を隔てた大陸との往来が簡単なことではなかったであろう時代に、ある程度正確な情報を取得して、一種の外交を展開していたのですね。大変なことです。驚きです。 三世紀の中国で書かれた歴史書にある『魏志倭人伝』の記述およそ2,000字。その中で邪馬台国への道のりを描くのはたった83文字。それらを辿りながら、江戸時代から議論されてきた邪馬台国の所在地についての様々な学説を比較検討しています。最新の研究成果や発掘調査の事例も大変興味深いです。最近やっている【松本清張読み返し】で邪馬台国の所在地をめぐる短編小説『陸行水行』を読み、清張の論理的な推理にあらためて驚いたばかり。邪馬台国の神秘は何度読んでも興味が尽きません。永遠のロマンなのでしょう。 文字が無かった時代。中国の文献からも姿を消した四世紀の「日本」。本書を読んでこの空白の四世紀が「技術革新」の時代であることを知りました。2022年に奈良市の富雄丸山古墳で見つかった全長2メートルを超える「巨大蛇行剣」はすごいですね。しかも国産化されていたとは驚きです。本書では実験考古学で当時の製法を再現しています。製鉄をはじめとして様々なものが国産化されていきます。もちろん当初は渡来した多くの技術者の力があってはじめて可能だったと思います。古代「日本」の「技術革新」のあり方は現代日本に通じるものがあるように感じます。この時期、「黥面文身(げいめんぶんしん)」と呼ばれる全身タトゥーの風習が一気に見られなくなったといいます。列島内部も大変動の時代だったようです。文字記録には残っていないけれど。 古代「日本」が遊牧民族の騎馬戦術をいちはやく取り入れていたことにも驚きます。騎馬軍団の圧倒的な戦闘力に直面した古代「日本」のリーダーは馬や馬具を導入します。当初は輸入に頼っていましたが国産化をすばやく進めたといいます。倭の五王の五世紀には列島の中で国産馬の飼育や流通の地域的なネットワークが形成されていたようです。最新のDNA調査分析手法で明らかになっています。すごい研究です。もちろん馬を強力な武器に変える鞍や鎧などの馬具も国産化されています。卑弥呼の時代には家畜としての馬や牛はこの列島には存在していませんでした。当時の人々の対応力・行動力に驚くばかりです。様々な「技術革新」にしろ「文化風習の変容」にしろ、大きなインパクトに直面すると一気呵成に目指す方向に変化していく。以前読んだことがある明治維新期や戦後復興期のある部分の瞬時の変化を彷彿とさせます。古代の時代から連綿と受け継がれる、この列島に住む人々の大きな特徴の一つなのでしょうか。 邪馬台国の候補地の一つである吉野ヶ里遺跡の発掘から歴史公園として整備されるまでの話も興味深く読みました。発掘された遺跡の歴史的価値を新聞社が報道。それをきっかけに世論の盛り上りと相まって歴史公園として整備保存されることに。本書の中で経緯が語られています。報道機関に所属する方々が執筆している本書ならではの内容だと感じます。福岡に赴任していた時期に何度か足を運んだ吉野ヶ里遺跡。復元された環濠集落で公園スタッフの皆さんから聞いた丁寧なわかりやすい説明をなつかしく想い出しながら読みました。 読んでいて興味が尽きない本です。残念ながらわたしはNHKスペシャルのテレビ放送は見ていません。本書を読み終えて、機会があればテレビ放送を是非見てみたいなと思っています。
0投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログ全てが人力しかなかった頃の話。確かに対馬海峡は200㌔ほどの幅しかないだろうけれど、大した構造も持たない船を漕いでそこを渡っての「交流」がどんなものだったのか、全然イメージは湧かない。しかし、確かに魏や宋に遣いを出し、軍事的な存在を示したらしい。 なんだか壮大なファンタジー小説を読んだ気分がする。
0投稿日: 2025.07.02
powered by ブクログNHKスペシャル古代史ミステリーの取材をもとに、グローバルヒストリーからのアプローチで明らかにする日本の古代文明、卑弥呼に迫る。やはり、卑弥呼が統治したとされる邪馬台国は一体どこにあったのか。古墳の形状や出土品から、奈良説、福岡説とそれぞれの維新をかけた研究が進められていた。それを新しい視点であるグローバルヒストリー、つまりその時代のグローバルな動きの中で、史実を外側の情報から探しにいくというアプローチによって、中国、韓国の歴史から日本を見ていくと新しい事実が見えてくる。 やっぱり日本史は面白い。卑弥呼が統治していた邪馬台国がなぜ、他の王族たちを従えたのか、奇術を使ったとされるそれは何か、気候変動を研究すると、どうやら激しく気候が変化していたことがわかっており、その結果として天気や飢饉などを避ける必要があったことから、卑弥呼のようなフォーチュンテラー的な神秘を求めていった可能性がある。一方で、中国との関係からは、王として認められたことが記されていて、混乱する中国の中で、邪馬台国と関係を強めることで東側の憂いを消したい意図もあったと想定している。そういうふうに歴史を捉えることで、面白い見方ができるという良書だと思う。 日本の歴史とミステリーに浸かれる一冊。
0投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ日本は、古墳時代においても、世界の中でしっかりした存在感のある国だったのですね。遠い過去を、少し身近に感じる事ができました。
0投稿日: 2025.06.24
powered by ブクログ・邪馬台国はどこの国が主導権をもっていたのか。3つの説が挙げられている。一つは伊都国遷都説。2~3世紀の間に誕生した纏向古墳を造る技術をもっていたのは伊都国だけだったとすることに由来。続いて畿内勢力説。近畿出土の大きな銅鐸から、近畿の有力者たちが邪馬台国の母体、あるいは中心勢力となったのではないかとする説。最後に談合説。特定のクニがイニシアチブをとったのではなく、談合で卑弥呼を邪馬台国の王としたとする説。 ・2世紀末の後漢王朝は幼帝が続いたため、その母親の一族である外戚と、皇帝の身の回りの世話をする宦官の対立があった。加えて天災飢饉の続発もあり、184年に黄巾の乱が起こり、魏晋南北朝時代へ。 ・208年、赤壁の戦いで呉と蜀の連合軍が魏の曹操の水軍を大敗させる。以後、魏はクシャーナ朝を同盟国として呉と蜀を挟み撃ちに。 ・239年に卑弥呼が親魏倭王に封ぜられたのも、魏の挟み撃ちの戦略の一環と考えられる。 ・220年、曹丕が後漢の献帝からの禅譲で魏の皇帝に。221年、劉備が蜀の皇帝に。229年、孫権が呉の皇帝に。 ・313年、高句麗が楽浪郡を滅ぼす。 ・420年に宋、439年に北魏が成立。高句麗は両面外交をとっていたため、宋は百済や倭国にも称号を与えることでパワーバランスの維持を図った(例えば、478年に雄略天皇は安東大将軍に封ぜられている)。倭王としても、朝鮮半島南部が危うくなると鉄資源を得られなくなるため、百済との関係が重要だった。 ・ヤマト王権は527年の磐井の乱を鎮圧すると、地方支配の強化に乗り出す。軍事的要衝には直轄地として屯倉を、豪族を地方官に任命して地方支配を任せる国造、さらには民衆を支配する部民制など。
0投稿日: 2025.06.08
powered by ブクログ古代ゲノム研究が現在進行形で行われていることに驚き。特に青谷上寺地遺跡の人骨DNAから縄文人と渡来人の混血の仕方が推定できるように、科学が歴史解釈に新たな、正確な視点をもたらしているところが面白い。 日本という国は大陸との交易の中で生まれたことがよく分かる。鉄、馬、土木技術が大陸からもたらせれ、日本もまた与える物があり互いに益を見出し、時に争いながら国作りをした時代。現代よりも大陸は近かったように思う。
0投稿日: 2025.06.04
powered by ブクログ副題の「グローバルヒストリーで迫る」の通り、当時の東アジアとの国際関係というグローバルな視点で古代日本の実像に迫る一冊。魏志倭人伝の年代記載や科学的検証からすると、箸墓古墳が卑弥呼の墓と考えるのが妥当と思った。宮内庁の古墳の調査を許可しない方針は相変わらずで、日本の古代研究の足枷にしかなっていない。調査の結果、どのような物が発掘された所で皇室の権威を毀損する事はないと思うのだが。 昔から良くあった「邪馬台国の場所」を推測するばかりでなく、なぜ古代の倭国が三国時代の魏や南北朝時代の宋との関係を求めたのかなど、広い論点で古代日本に迫っており、楽しく読めた。
15投稿日: 2025.06.02
powered by ブクログ一回朝鮮半島史を通してさらったほうがよさそう。高校から大学教養のころに習ったのとはそれなりに変わっているようだ。日本史だって30年前とは結構違うんだから朝鮮半島はもっとだろう。 鉄と馬と土木技術としての撞き固め(字がちがうかも)。の伝播の話。人の交流が今よりずっと盛んなのは命の重さがどこにいても今より簡単に死んだこととも関係しているのだろう。 タイのこちら側、ベトナムから、西域までとロシアの手前、日本からフィリピン超えて華僑圏までの通史の本があるといいのだが。
0投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログいつも利用している図書館の新着本リストで目についたので手に取ってみました。 NHKスペシャル「古代史ミステリー」の書籍化とのこと。紹介文にあるように、「最新の発掘調査とAI・DNA分析などの科学的アプローチ」による成果も紹介されていましたが、正直なところそれほどのインパクトなかったですね。
0投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
邪馬台国や卑弥呼くらいの時代から古墳時代を経てヤマト王朝あたりまでをほぼ時系列順に、中国や朝鮮半島との関係性にも注視しつつ解説した一冊。 2010年以降の最新の調査結果も反映されていて、特に富雄丸山古墳から出土した蛇行剣と盾型銅鏡の話は興味深かった。 刀の変遷の過程が分かるという意味でも貴重だったのか。 最新の調査結果を反映させつつも、結論を決めつけてはおらず、あくまでこういう成果が得られていると割とフラットに記載されていたことに好印象を得た。 この知識を得て自分ならどう解釈するか、考える余地がある読書はありがたかった。
0投稿日: 2025.05.19
powered by ブクログ昨年3月放送の「NHKスペシャル 古代史ミステリー」の取材ネタの新書化である。テレビ番組だからわかりやすく刺激的、かつ最新の説を追っている。しかもNHKなので、出てくる考古学者は全員第一線級だ。とても信頼が置ける。目を通しておくに如くはない本である。今年1月発行。 2-3世紀の邪馬台国問題とヤマト王権の成立について、最新学説がかなり整理されて書かれていた。お陰で私の「仮説」が、現代の「有力な学説」と全然矛盾しないということが、改めて確認できた。 即ち、私の「仮説」はこうである。 倭国大乱は2世紀の中ばに起きた。何故か。この時期2世紀前半にかつてない大洪水時代が10年ほど続き、その直後に大旱魃時代が起きた。人々は小さな村を捨てて大きなクニに入らざるを得なくなり、王が生まれる。民衆が王を欲していた。しかし日本は、大きなクニが小さなクニを従え多数の奴隷を作って中央集権化をはかるという、中国モデルの手段を取らなかった。 私は、その一つのロールモデルが、吉備国の170年ごろの楯築遺跡上でのプロモーションにあったと考える(と言ってるのは私だけ)。倭国王でかつ吉備国王帥升の墓、楯築墳丘墓の儀式の場に、河内、出雲、北九州、讃岐などの王を一堂に集めて、龍神信仰の秘儀を担保に連合体を作らないかと相談したのだ。と、私は物語を考えている。この時に鳥取の青谷上寺地遺跡の倭国大乱を想起させる「青谷の虐殺」が一つの契機となった。最新の人骨研究は、私の仮説を全て証明していた。 しかし、吉備の楯築の実験は徹底しなかった。倭国大乱を収めたのは、3世紀初め、210年代、有力な吉備でもなければ、伊都国の九州でもない、当時未開の土地だったヤマトの纏向を舞台に、吉備、伊都国、河内、讃岐の「談合」により「邪馬台国連合」を作ったことである。本書は、私の仮説以外にあと2つ書いているが、私はあまり説得力はないと考える。 その後の纏向遺跡の推移については省略する。 (以下、私の備忘録。無視してください) ・吉野ヶ里遺跡で2023年発掘された石棺墓(弥生時代後期)の石蓋に記された線刻は天体図だった可能性が高い。首長クラスではないが「特異なキャラクター」の墓だった。 ・放射性炭素年代測定とは、 木切れや骨片などの試料に含まれる炭素14の量を測定すれば、元となった動植物がいつ活動を停止したのか知ることができる測定法。しかし、若干誤差はある。 ・年輪年代法とは、ヒノキやスギに関しては、1980年代からの研究で、今から3000年前迄は遡ることができる基準パターンが作られている。しかし、日照のばらつきがあるため、木材は100年を超える年輪数が必要。結果、大型建物の構造材に限られる。 ・酸素同位体比年輪年代法とは、木材の年輪に含まれるセルロースの酸素同位体比を、年輪幅の代わりに指標とする方法。凡ゆる樹木で測定可能。中塚武は過去2600年分のデータセットを作った。コレにより、纏向遺跡の木材の伐採年は231年。卑弥呼が親魏倭王になる8年前になった。 ・邪馬台国連合九州説根拠‥‥ 日本書紀に卑弥呼の記載がない。 ・邪馬台国連合近畿説根拠‥‥ 九州から関東までの土器の出土。箸墓には、近畿になかった貼り石の跡(出雲の四隅突出墓)、九州伊都国の墓に鏡を埋める習慣(アマテラス信仰)、吉備国の特殊器台、瀬戸内の積み石の技法が箸墓にもある。 ・倭国大乱は何故起きて、どうしてまとまる必要があったのか? 中塚武の気候の変化研究により「紀元2世紀は数十年周期で気候が激しく変動した。AD127年は、過去2600年間で1番降水量が多かった年。AD100年にも洪水。AD130-170年にかけて旱魃が起きた。その後20年間は小さめの洪水、AD200年ごろにまた旱魃が起きた。つまり食糧不足による争いが起き、クニがまとまっていった。やがてそれはクニ同士の争いになるのは必至だった。そのための政治連合だった。ただ、誰がイニシアチブを取ったのかは、未だ謎である。 ・伊都国東遷説‥‥ 伊都国の勢力が近畿に移って邪馬台国連合の礎を築いた。根拠は、「一大卒である当時伊都国だけが纏向をつくる力を持っていた(柳田康男)」、鏡の文化で内行花文鏡の花びら模様は太陽の輝きであり太陽信仰を表している。纏向の建物群が太陽を意識していることとも一致している。 ・近畿勢力説‥‥もともと近畿地方にいた勢力が中心になり、邪馬台国連合を形成した。唐古・鍵遺跡には最大の銅鐸があり、銅鐸を作って近江、紀伊、土佐、播磨、但馬、丹後へ大型銅鐸を配った。 ・談合説(寺沢薫)‥‥特定のクニがイニシアチブを取ったわけではない。纏向の建設を担ったのは、伊都国連合と吉備国。纏向型前方後円墳は楯築の出っ張りを一つ無くすと一致する。ホノケ山からは鏡と武器が出土。倭国大乱で伊都国の力が衰え、漢王朝の崩壊で、談合が必要になった。そこで決まったのは、伊都でも吉備でもないヤマトになり、女性を王とした。特定のクニが権力を持たないのだから、卑弥呼が特別な軍事力を有していなくても成立する。 ・卑弥呼共立で各地の王の均衡を保つ役割を果たしたのは、中国春秋戦国時代に天子を共立することで、各地勢力が直接衝突しない仕組みを築いていた、周王朝の神格化である。この叡智が日本に輸入された可能性は十分にある。 ・漢王朝の崩壊は卑弥呼の邪馬台国を後押ししたが、一方で日本列島に新しい兵器(鉄の鏃)ををも呼び込み、邪馬台国連合に対抗する勢力(狗奴国)までも台頭することになった。卑弥呼はコレに対応することになる。 ・青谷上寺地遺跡 110体の人骨、男性35女性17を確認、男性30〜40歳代、女性15〜20歳が多い。成人推定身長男性162センチ、女性148センチ。膝関節に炎症がある人、潜りで耳が聴こえにくくなった人、子供の頃栄養不足の人、成人3例幼児2例が結核に罹患していた。戦闘の跡は頭蓋骨を割られた、遠くから弓矢で傷を負わせて近づいて切りつけた人骨。頭部が切断され焼かれていた、13-29個体。武器で傷つけられて110点はほぼ即死状態。 ・32個体のDNA検査で、母系の血縁が認められたのは3個体のみだった。青谷上寺地は人的交流が活発だったのか。(←他の可能性は言及していない。即ち、他所からやってきた兵士の人骨であったという可能性)32のうち、31個体が渡来人系で縄文人系は全体の3%に過ぎなかった。 ・魏志倭人伝では狗奴国は邪馬台国の南ではあるが、歴代地図では日本国は逆さまになっている。よって、東海から東北にかけての国だった可能性がある。実際、前方後方墳の国々だった。コレらの国とは言葉も風俗も違い、ことごとく対立した可能性がある。 ・卑弥呼の魏への使者の難升米は、かつての倭国王・帥升の一字を戴く有力者だったのではないか。 ・漢魏洛陽古城跡は河南省にあり、日本から2300キロ離れている。帯方郡から許可を貰い、旅した。東西約3.9キロ南北約4キロの都だった。城郭に囲まれたその都に入った時に、倭国の人々の驚きはいくばくだったろう。 ・卑弥呼が破格の待遇で金印を受けたのは、呉国を牽制する目的があった、という説が多勢。卑弥呼には魏と呉とのキャスティングボードを握っているという自覚があったのかもしれない。呉国側にいた公孫氏政権と魏が戦ったのは238年。その最中に公孫氏の案内で魏に行ったのは考え難い。よって、卑弥呼が魏に行ったのは景初2年ではなくて景初3年、239年であるとNHKは考えている。 ・240年卑弥呼たちに金や絹が送られ、243年には卑弥呼が使者を送り奴隷や織物などを魏に奉じた。 ・247年卑弥呼死す。3世紀から4世紀にかけて、東北・東海の前方後方墳は、特に愛知、群馬辺りで急激に前方後円墳に変わっていることがわかる。卑弥呼の死後、前方後円墳体制は急激に完成していった。 ・箸墓から古墳に版築が採用された。これは中国から持たされた技術。強度は飛躍的に強くなった。古墳の技術は都市を作る。水路や土手の版築。前方後円墳体制とは、高い技術力の貸し借りができる体制だったのかもしれない。 ・纏向遺跡の3世紀前半の溝から大量のベニバナ(日本自生でなく、大陸から技術者が招かれ工房が開かれた)の花粉。日本最古のベニバナ染め工房で日本未自生のバジルも発見。かなりの中国の技術者が纏向に集まったと見るべきだろう。 ・炭素14年代で調べて箸墓の土器から計測すると、240年から260年の間だった。箸墓古墳が卑弥呼の墓である愕然性はかなり高い。 ・これ以降は空白の4世紀、倭の五王等々の記述に移り、私の興味外なので、斜め読み。富雄丸山古墳(奈良市・4世紀後半)の東アジア最大の蛇行剣とダ龍文盾形銅鏡についてのかなり詳しい解説は面白かった。 本書で2箇所、昨年9月に亡くなった松木武彦さんのインタビューが採用されている。松木武彦さんは、107年後漢に遣使した倭国王帥升は吉備国の王だったという説を唱えた最初の人だった。私はその説に支えられて、私の仮説を作ったのである。番組取材時には、未だインタビュー出来るまで元気だったのだろう。後書きで、特別に哀悼の意が捧げられていた。
117投稿日: 2025.04.21
powered by ブクログ邪馬台国という勢力が中国の文献に登場する3世紀。そこから日本の歴史は視覚化されるのかもしれない。その後「空白の4世紀」と呼ばれる時代をはさんで、5、6世紀ごろの日本がどのようであったのか。2024年3月にNHKで放送された内容を編纂して書籍化したもの。 邪馬台国はどこにあったのか。少なくとも江戸時代から問われてきたテーマだ。最新のCGやAIを使った研究によって多くのことがわかってきた。当時の中国や朝鮮半島の状況を当てはめると、倭国の外交も興味深い。とかいうと期待しちゃうけど、結局、本書を読んでも邪馬台国がどこにあったのかはわからないし、どうやって近畿にヤマト政権ができたのかもわからない。NHKだからなのか、波風立つようなことは言わないのだ。ただ、最新の研究ではこうなっていますよというのがわかる。 それがおもしろいともいえる。邪馬台国と対立してきた狗奴(くぬ)国は、文献では邪馬台国の南にあったとされている。けれど、当時の地理的な感覚では方角に誤りがあって、狗奴国は、邪馬台国の南ではなくて、実は東にあったのかもしれないというのだ。邪馬台国をリーダーとする連合が九州・中国地方にあったとして、その東、近畿あたりに狗奴国があったのなら、狗奴国がヤマト政権に発展していったのかも、なんて想像が膨らむ。
2投稿日: 2025.03.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
少し前から、書店店頭や書評などで「伽耶・任那」と題した新書をよく目にする。気になっているが未読のままだ。 そんな折、NHK出版のこちらを見かけたので読んでみた。 卑弥呼を中心とした、邪馬台国からヤマト王権、そして「日本」成立までの古代史を探る、、、というより、その謎を探るための、近年の発掘や調査による最新の学説、推論、予想などを、必要以上に煽ることなく淡々と伝えるもの(さすが、NHKというところか)。 奈良出身者としては、だんぜん邪馬台国は大和の地に、卑弥呼の墓は箸墓古墳であって欲しいと願うが、DNA鑑定やAIを駆使した最新の科学的調査を以ってしても、まだ断定するまでには至らないようだ。 中国に残る史書の記録や、「日本書紀」、発掘された刀剣、石碑の残る碑文から、日本の古代の王朝の姿を探ろうとする多面的アプローチが面白い。 タイトルにあるように、グローバルヒストリーから考察を深めるのは、まさに近年の傾向などだろう。朝鮮半島との関係のみならず、東アジアやシーレーンにまつわる考察、軍事力、あるいは交通・運搬手段としての馬の伝播から遠く中国の向こうの騎馬民族の影響までを探る。 なるほど、伽耶/任那の本も、人気なわけだ。本書を読んだ上で、そのうち、そっちにも当たってみよう。 古墳の発掘調査が宮内庁の許可マターで、なかなか進められないのは、いかがなものかと思わんでもない。 もう、皇室のルーツが天孫降臨に結びつかなくてもいいじゃないか。渡来人であろうと、なんならユダヤ人がその祖にあっても、むしろ、面白くなるのではなかろうか? 科学や、学会より、まだ皇室の威光のほうが強いのかね。
1投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログなんかとても楽しみに読みましたが、NHKの本だけあって、奇抜な仮説や物事の断定がなく、わくわくもドキドキもすっきりもない、もやもやした内容でした。 テレビも多分見たけど記憶無し、、、。 このところyoutubeで見た、元樫原考古研究所の研究員さんが書かれた邪馬台国は奈良盆地にはなかった説の本を次はぜひ読んでみたい。 2025-008
1投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログはじめに 本書では、日本の古代史における重要な人物である卑弥呼とその周辺の歴史的背景について探求されている。特に、卑弥呼が治めていたとされる邪馬台国の位置や卑弥呼の国づくり、彼女の死にまつわる謎が取り上げられている。 卑弥呼と邪馬台国 邪馬台国の位置 - 邪馬台国は、古代中国の歴史書『魏志倭人伝』に記載されているが、その正確な位置は未だに不明である。海の中に存在したという説もあり、研究者たちはその所在地を特定するために様々な考古学的証拠を探している。 卑弥呼の国づくり - 卑弥呼は「倭旧乱」と呼ばれる混乱の時代に女王として国を治めた。彼女は中国に使者を送り、外交的な関係を築いていたが、この時期の中国は三国志の時代であり、戦乱が続いていたため、どのような交渉が行われていたのかは不明である。 卑弥呼の死 - 卑弥呼は、最大のライバルである狗奴国と争っていたが、彼女の死の詳細やその後の影響については記録が残っていない。彼女の死が日本の歴史にどのように影響を与えたのかという点も謎である。 空白の四世紀 - 2世紀から4世紀にかけての日本の歴史には、文献記録がほとんど存在せず、この期間は「空白の四世紀」と呼ばれている。日本の国づくりがどのように進展したのかについては、十分な証拠がない。 ヤマト王権の出現 - 5世紀に入ると、ヤマト王権が登場し、特に前方後円墳という巨大な古墳が築かれるようになった。この古墳は、中国の大ピラミッドや始皇帝の陵墓に匹敵する規模を誇り、ヤマト王権の力の象徴とされている。 グローバルヒストリーの視点 - 本書は、古代日本の歴史をグローバルな観点から再評価しようとする試みがなされている。日本史と世界史の境界を越え、当時の日本と周辺国(特に中国や朝鮮半島)との関係を掘り下げることで、新たな歴史像を描こうとしている。 結論 - 本書は、古代日本の歴史における卑弥呼や邪馬台国の重要性を強調し、最新の研究成果を基にした考察を提供している。また、考古学的な発見や中国との外交関係の歴史を通じて、日本のルーツを探求することの重要性を訴えている。
1投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ<目次> 第1章 邪馬台国と古代中国 第2章 最新研究で迫る邪馬台国連合 第3章 「倭国大乱」と漢王朝の崩壊 第4章 卑弥呼✕三国志~知られざるグローバル戦略 第5章 卑弥呼の最期と歴史の断絶 第6章 「空白の四世紀」に何が起きたのか 第7章 ヤマト政権と朝鮮半島情勢 第8章 倭の五王と激動の東アジア 第9章 「日本」はいかに誕生したか <内容> 「古代史」と銘打っているが、2世紀から6世紀辺りまでの日本史を、最新の研究と東アジア史の中でおさえていくもの。高校の教科書レベルをベースにしているので、教科書の歴史がどう書き換えられているかがよくわかる。私が授業で使っていなかった、石上神宮の「七支刀」や新しい発掘成果がわかるので、新年度の授業では使ってみたい。
1投稿日: 2025.01.29
