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トリカゴ
トリカゴ
辻堂ゆめ/東京創元社
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総合評価

66件)
4.2
25
30
10
0
0
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    辻堂作品は初読。 気にはなっていた作家だが 青春ミステリーのイメージがあり 少し苦手だと思っていた。 しかし、無骨さ、力強さ そして優しさ。 文章の粒度が 非常に高い位置にあると感じた。 また読んでみたい作家が増えた。

    1
    投稿日: 2025.11.17
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    「無戸籍者」をテーマとした社会ミステリ小説。 これまでの人生で無戸籍者に会ったことはないし、そうそう発生してしまう事例ではないと思いながら読み始めた。 が、読めば読むほど、社会には思いもよらない穴がそこかしこにあって、あり得ないものじゃないのだと感じることに。「自分」が誰なのかわかるという当たり前は、実は幸運なんだと感じることができたのはこの小説ならではの収穫です。 そんな無戸籍者にどう関わるか、主人公と一緒にヤキモキしながらの読書。明らかになった結末にまで命題が差し込まれていて、凄い小説でした。

    41
    投稿日: 2025.11.12
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     一件の殺人未遂事件から浮かび上がる無戸籍者のコミュニティとかつて日本中を震撼させた未解決の児童虐待事件(通称、鳥籠事件)が交錯する社会派ミステリーで、主人公の女性刑事の事件を解決しなければならない使命感と自身が捜査することで無戸籍者達の平穏を壊すかもしれない不安の葛藤や事件の顛末までのストーリー展開と現実でもあり得そうな深刻な社会問題に言及されているのが印象深かった。

    5
    投稿日: 2025.11.09
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    傷害事件で逮捕した被疑者を取り調べていたところ、その人には「戸籍がない」ということが発覚。 名前も、住所も、親も、一つも情報を証明する手段を持たない「無戸籍」の被疑者が暮らしていたのは、同じように戸籍を持たない人々が共同生活を送る「ユートピア」でした。 なぜ、「ユートピア」で彼らは暮らすようになったのか、彼らの出自はどのようなものなのか。 過去に起きた児童誘拐事件とのつながりや、現在の傷害事件の捜査と合わせて、無戸籍という社会問題についても焦点を当てて考えさせられる、とても重厚な読みくちのミステリです。 事件解決への展開は、一つひとつの捜査を積み上げてゆく様子が丁寧に描かれていて、「ひょんな思い付きから事件が解決!」というようなご都合主義な展開にならず、ある意味で安心して読み進めることができました。 ただ、根底にある「無戸籍」という問題は、どうしても親が子供のことを第一に考えなかった(=出生届けを出すことよりも、親自身の事情を優先した)ことに由来する部分が大きく、そういった意味では主人公と一緒になって現代社会の不寛容さに心を痛める場面もありました。改めて、「当たり前」に暮らしていること自体が幸せなことなのだ、と考えさせられる読書でした。

    1
    投稿日: 2025.10.21
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    地元蒲田を舞台にした小説で、思わず手にとってしまった。 率直な感想を言うと、結末が読めなくて、非常に面白かった。 この小説のメインのテーマとなる鳥籠事件。 長年未解決だったこの事件が、偶然蒲田で起きた殺人未遂事件をきっかけに、操作が動き出す。 警察官の執念や、取り調べ、事情徴収など、警察の仕事を理解することにもつながる内容だった。 そして、「無戸籍者」という分類の話を初めて聞いて、いろいろ考えさせられた。自分は普通に生まれて、戸籍もあり、両親もいた。ただ実際いろいろな事情があって、無戸籍者という人たちも、今自分の周りにいると思うと、自分自身はとても恵まれた環境で生活ができていると改めて実感し、両親への感謝の気持ちも芽生えた。

    1
    投稿日: 2025.10.21
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    辻堂ゆめさん、2冊目。 仕事が忙しく、なかなかまとめて本を読む時間を取れなかったのだが、それでも頭に残るような語り口で、とても面白く読めた。 蒲田署の刑事・森垣里穂子が、ある事件の容疑者ハナを尾行する中で、無戸籍者が隠れ住むコミュニティを発見したところから始まる物語。 そこからは、コミュニティに住む人たちの現在と過去、社会における無戸籍者に関する課題、職務の過程で知ってしまったコミュニティとの関わり方についての里穂子の葛藤などが丁寧に語られていき、重たい話ではあるが謎解き要素にも満ちた展開でズンズンと読ませる。 里穂子や過去の事件の専従捜査員・羽山だけでなく、コミュニティのメンバーや養護施設の臨床心理士、NPO法人の代表者など、それぞれの人物が過不足なく描かれて、現実感がある。 かつて起こった未解決の誘拐事件と現在のコミュニティの人々とのつながりが、一気の伏線回収とともに明らかにされる展開がお見事でした。 加えて、事件が収束した後に描かれる登場人物たちの心情には、それぞれの優しさや情愛、反省や決意が埋め込まれていて、読後感が温かい。 所轄の人間が管轄外の事案にあのように関わって動けるのかと思っていたのだが、そのように心身を削って事件を追った里穂子だからこそが、最後に知りえた幸せの形には、とても共感した。 自分が『誰でもない人間』であるという恐怖の中、相談に行った行政の窓口でたらい回しにされたり理不尽なことを言われたりという件りはやるせない。 『窓口担当者が通知を把握していないケースがたくさんある』とも書いてあり、窓口の方には色々変わる法令をすべて読み込むのは大変だと思うが、それでもしっかりしていただきたいものだと思った。

    80
    投稿日: 2025.10.18
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    面白かった。 読み応えがあり、それぞれのキャラクターが魅力的で、ページをめくる手が止まらなかった。 殺人未遂事件から始まり、社会派ミステリーとして無戸籍問題にどっぷり浸かっていくが、語りが軽快で飽きず、読みやすい。   アレルギーのくだりなど、鳥籠事件の真相に近づくにつれて鳥肌が止まらなくなる。 そして、あまりに残酷な真実に、その場面だけは呼吸を落ち着けてため息をつきながらでないと読み進められなかった。 失った命、時間は戻ってはこないが、ユートピアは無駄ではなかったという言葉に心が救われる。 不完全な社会でも、少しずつセーフティネットが出来ていること、希望を感じられるラストになっていてよかった。 辻堂ゆめさんの作品は今後も読んでいきたいと思った。

    0
    投稿日: 2025.10.16
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いい結果にはなったと思うが 鳥かご事件の兄弟が可哀想すぎる…… ユートピアの人たちも色々試した結果ここが正しい、ここしかないと言う思考になってしまっていて可哀想だった。 あの人たちのせいではなく取り残される環境を作った社会のせいだと思う。 でも最終的にはいい方向になってよかった。

    0
    投稿日: 2025.10.13
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    殺人未遂の容疑者を事情聴取したところ、無戸籍であることが判明 無戸籍者が戸籍を取得し、外の世界と関わることの難しさ それでも結局は人と人との関係で社会はあること 無戸籍者のコミュニティを壊すかもしれないが警察として捜査をするという、そのバランスがなんとも複雑

    5
    投稿日: 2025.10.13
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    殺人未遂事件 DV 育児放棄 無国籍者 更なる事件も ミステリーやサスペンスだけなく 前半はテーマが絞られ進んでいくが後半は怒涛と展開に 苛立ち、驚き、そしてグッとくる 様々な要素盛り沢山

    0
    投稿日: 2025.10.04
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     無国籍者を巡る社会問題やネグレクト、子どもの虐待などとても重たい社会問題を取り上げながらも、とても読みやすく非常にクオリティの高い小説でした。  主人公である蒲田警察署・森垣刑事が捜査の過程で知ってしまった無国籍コミュニティとの関わり方との葛藤が丁寧に描かれています。日本特有の戸籍制度を基盤として成り立っている今の社会では、無国籍ということで教育、医療、職業、結婚などの選択肢が奪われていること。総務省や厚労省など中央官庁通知を基礎自治体窓口担当者が把握してなくたらい回しされた話しなど、著者の無国籍問題に対する入念な調べを感じます。  最終章で未解決事件となっていた『鳥籠事件』の真相解明など、ここまでの伏線が一気に回収されていく展開は見事でした。しかしながら、未解決事件『鳥籠事件』の背景があまりにも残酷。現実社会ではこんなことがあってはいけないと思いました。  事件解決とともに無国籍コミュニティは明るみになり、外の世界と接触をもち支援団体からの支援を受けながら、戸籍の回復や住民票の取得など前に進み始めます。  文中での筆者のフレーズが心に響きます。 「世の中に完璧などない。同様に、完璧な人間もない。不完全な人間同士が、不十分ながらに互いを補い合い、やっとのことでそれらしい形を保っている。それが自分たちの住む社会なのだ。」  その中でも、自由に希望を持って歩んでいける社会になってほしいと思いながら読み終えました。

    2
    投稿日: 2025.10.03
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    「今日未明」で読みやすい文章と面白さで 他の作品も気になって読んでみた。 ずっと読み続けられる面白さ 無戸籍の方のこと今まで全くと言っていい程 知らなくてこの本で色々勉強になった。 それぞれのキャラも個性があって 最後はそれぞれを応援したくなる。 ミステリーとしても予想外のラストで 嫌な気持ちは残るけど終わり方は良かった。

    12
    投稿日: 2025.09.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    無戸籍であることがこの世界で何者でもない人間であること、その虚しさと悲しさを感じた。ユートピアでは戸籍がなくとも穏やかにコミュニティ内で生活ができる、満たされている人たちに果たして戸籍を与えることはただの偽善なのか途中から答えがわからなくなった。 ミライの病気のおかげで、なぜ戸籍があった方が心穏やかに過ごせるか、戸籍を作ることがなぜ親の義務なのか明確に理解できた。 はじめはハナは無戸籍で育てられた可哀想な子だったが、読み進めるにつれ、人と人とは支え合って生きているのであってコミュニティがあってたくさんの愛情を受けて育ったからこそ、ハナという素敵な人間が育っていったのだなと思った。これからハナにはたくさんの辛いことがあると思うが誰かに愛されて育ったことは辛いことを乗り越える何よりも強力な原動力になると強く感じた。

    0
    投稿日: 2025.09.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新川帆立さんの『先祖探偵』の後書き対談に登場した辻堂ゆめさんがこの本について言及していたのがきっかけで知った。 無戸籍という同じワードを使っているけど前者は柔らかい人間ドラマに対してこの本はかなりドス黒いと言うかジメジメしていると言うか、人が嫌だなあと感じる擬音が全部入っていそうな話だった。 あらすじの通り、主人公里穂子刑事は無戸籍の殺人未遂の被疑者ハナを通してユートピアと言う名の無戸籍コミュニティの存在を知り、捜査を進める上で彼女達の住処を壊してしまうのではという不安と自分が刑事を目指す理由となった鳥籠事件の被害児童と似た境遇のハナ達への好奇心との葛藤がめちゃおもしろい。 まず知らない事が多かった。 無戸籍の事もそうだしそれにまつわる法律もそうだし。でもその知らないところの説明が全然うるさくなくて凄く読みやすかった。 一方的な説明に圧倒されると読む気失せたりするけどそんな事本当に無かった。間隔空けて読んでた事もあるとは思うけど。 なんとなくあらすじに書いてあるような鳥籠事件の被害児童とユートピアのリョウとハナが同一人物では無いんだろうなとは思っていたけど、その期待の裏切り方が惨過ぎてびっくりした。その動機も動機の固め方も説得力があってなるほどと納得してしまった。 名取兄妹がもしも無事あのまま養護施設で暮らせていたら普通に生きていけたんだろうか。 死亡保険金目当てで子供を殺そうとする身勝手さ。でも我が子は、人間は殺せないという更なる身勝手な理由で人の言葉を話せない人間じゃないような鳥籠事件被害児童をさらって、しかも当時の自分の子供と同じ体重になるくらいまで太らせたりとか…。すごい話考えるなあとつくづく思う。 ユートピアで暮らしていたリョウとハナは鳥籠事件の被害児童ではなく、その被害児童をさらった女の子供だった。 せっかく鳥籠から救出されたのに保険金の身代わりにされちゃった名取兄妹が不憫過ぎて読んでて泣いてしまった。 テッペイやヨシコとか、出番の無かった熟年無戸籍者達もよくぞこうして生き抜いてきたと思う。 間違い無くユートピアを支え続けて来た人達だし、外の世界での孤独や苦悩を知っているからこそハナが事件に巻き込まれるまで誰も知らない理想郷だったんだ。みんなが守ってきたユートピア、それだけで泣ける。 里穂子がハナと出会うきっかけになった事件もハナが犯人だと思ってたけど真犯人は別にいて、そういえばと思う伏線がいくつかあった事に気付かされた。冒頭の方での情報がどんでん返しの材料になってて確かにってなった。 よくこんな話を思い付くなあ。 法律に詳しくても警察に詳しくても思い付くのかなこんな話、すごいや。 おもしろかったずっと。 またこういう説得力のあるサスペンス読みたいな。 説得力と言うかなんと言うか、とにかく知らない事が多かったけどおもしろかった!

    0
    投稿日: 2025.09.19
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    無戸籍の人が存在する、そんな事すら知らなかったので色々と衝撃でした。物語のテーマとしては重く簡単には答えの出ないものだけれど、それを登場人物たちそれぞれの立場からその時のベストな答えを模索していく様が良かったです。ミステリとしても読み応えがありました。

    0
    投稿日: 2025.09.16
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    読み応えがありました。 無戸籍の人がいるという現実、知らない事ばかりで、実際の世の中はどうなんだろうと調べてみたくなりました。

    0
    投稿日: 2025.09.06
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    おすすめかなんかに出てきて、無戸籍かー興味あるなぁと思って借りてきた! 無戸籍者のコミュニティを見つけた刑事さんが全てを解決するぜ!な話。 分厚いと思ったけどサラッと読めた。 無戸籍ってこんな感じなんだ〜ふむふむもありつつ本当にさらり〜と何も考えずに読めた。エンタメとしての読書って感じ! 個人的には中盤が最も面白かったかな。最後の方とかは急な展開であぁ〜ちょっと都合いい感も感じちゃいました。 主人公であるりほこさんの旦那さんがいい人すぎるね。この旦那さんなしではりほこさんの生活は成り立たないと思った。だから私が死んだら〜の件は今のあんたがそれ言う?!とちょっとびっくり笑 最終的にはみんな前向きな感じでよかったです。

    8
    投稿日: 2025.09.01
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    この世に無戸籍者がいることは是枝裕和監督の映画「誰も知らない」を観て知った。 実際に起きた事件をモデルとしており、私が知らないだけで今現在も無戸籍者は社会問題となっているのかもしれない。 本著に登場する無戸籍者が隠れ住むコミュニティ「ユートピア」は現実にも存在しているのかもしれない。 無戸籍者が起こした殺人未遂事件により、過去起きた未解決事件の鳥籠事件が浮上し、そのふたつの事件が絡み合う伏線の数々が最後に導く結末が思いもよらぬものだった。 無戸籍により社会では透明な人間となってしまっているが、存在する人権のある人間であること。 社会に守られる権利があること。 人として生まれた以上、生まれたルーツが分からなくても、どうか人権は守られて欲しいと願う。 無戸籍者を取り囲むトリカゴが、閉じ込めるものなのか守るためのものなのか。 トリカゴが開け放たれて行き着く先に、つい涙してしまった。

    12
    投稿日: 2025.08.26
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    鎌田署所属の森垣刑事が、殺人未遂事件の容疑者を追っていたら、そのハナと名乗る若い女性の容疑者は無国籍だった。 無国籍であるということは、生きていく上で、当たり前に与えられ、あるいは法で守られる権利を一切持つごとが許されず、例えば、教育を受けられず、病院にも行くことも出来ず、そもそも自分を証明するものがないので、何もできないなんて・・・。国籍があるだけで、幾重にも法律で守られているのに。普通の人が想像することすら出来ない過酷な環境の中、ハナは、兄と一緒にとある無国籍の人たちのコミュニティーの中で生活していた。  そして、無国籍のハナと彼女の兄が、何者かを調べていくうちに、25年前に世間を震撼させた未解決の「鳥籠事件」に行きつき、未解決事件で「鳥籠事件」担当の羽山刑事とともに、その事件を調べなおす。そこには、幾層にもかさなる大人たちのあまりにも理不尽な理由でほんろうされた子供たちがいた。  久しぶりに手にしたとても読みごたえのある内容の長編、少し読むのに時間はかかったが、少し重い内容の部分もあったが、最後は良かったと思える内容だった。

    0
    投稿日: 2025.08.22
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     本作品から無戸籍者たちのことを知った。里穂子と羽山の執念の捜査、『鳥籠事件』との関連、ユートピアの存在、無戸籍者支援。民法第七七二条問題。考えさせられた。無戸籍者たちに寄り添う里穂子が印象的だった。「完璧」ではなく、「十分」を目指せばいい。恵まれた毎日の生活に感謝!重いテーマであったが、作者の柔らかな筆致に救われた。

    0
    投稿日: 2025.08.14
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    このレビューはネタバレを含みます。

    気になってたいたのをようやく読了。 ミステリーに社会問題・時事ネタを絡められていてどちらの方向でも読めた。無戸籍者の問題について丁寧かつ真摯に筆者が調べたのだろうと思う。 立場や環境の違う人に対して自分の価値観だけで切り込むことの危うさを一貫して感じされられながも、違和感と折り合いをつけていかないと物事は進まない(現実は小説と違い、その結果バッドエンドになるかも知れないが……。)よなあと読みながら考えるなど。

    0
    投稿日: 2025.07.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    3.8くらい 二重らせんのスイッチの後に読んだから、また「入れ替え」系かあとちょっと思ったり。 ハナとリョウが鳥籠事件の被害者でないことはなんとなくずっと予想できてたからあんまりどんでん返しではなかった(だからと言ってじゃあこの2人には何があった?は想像できなかったけれど) 鳥みたいな育て方されて本当にこんなに普通に話せるか?とか、カウンセラーの人が20年以上前の子を見てこの子達です!!と言って、DNA鑑定もしてないのに確定だ、、!となるか?とか、 ずっとモヤ〜を感じていた 東野圭吾を読んでる時みたいな。すっごい怪しい人いるけど絶対この人犯人じゃないんだよな、だからと言って誰が犯人かはわかんないんだけど、みたいな。 ハナとリョウのお母さん、すごい年上の人に洗脳されて子ども殺して保険金もらうっていう流れ、世界仰天ニュースでありそう いくら野生児だったからって、、ブクブク太らせるまで食べ物を与えて、最終的には殺すって非道すぎ。生涯で一度も愛を知ることができなかったのが無念すぎる。 最後に一気に種明かしされるので、それまでがちょっと飽きそうになった 巣鴨子供置き去り事件。。ずっと気になってた「誰も知らない」を観る時がついにきた

    0
    投稿日: 2025.07.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    若干長いかもと思いながら、ハナや刑事などの人物描写が物語の進行には不可欠と感じ、読了。普通に生きている人にはわからない生活、犯罪と知りながら彼らを保護する社長、バディが途中ですり替わり、ほぼ個人プレー。初読の作家だったが、人気があるのも頷ける

    2
    投稿日: 2025.07.15
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    とても良かった。ミステリというよりも、この社会にある重いテーマにきちんと向き合っている物語だった。 女性刑事というと、若い熱意だけがある新人のようなイメージだったけれど、この森垣という主人公は育休明けの落ち着いた感じの人物で好感が持てた。彼女が少し無戸籍者たちに肩入れしがちな分、本庁の羽山という刑事がバシバシと捜査を進めていて、いいバランスだった。 この羽山は終盤になるまでずっといけ好かない感じだったのに、真相が見えてきたある瞬間、めちゃめちゃカッコ良くなったところがあって唸らされた。これはずるい。 そして、その羽山に押されることなくきちんと主役を張っていた森垣は、女性刑事として男性作家が描くファンタジーな存在じゃなくて、地に足がついた良い刑事だった。 物語は途中までずっと先が見えない感じだった。 中心には絶えず無戸籍者たちの頑なさ、拒絶が据えられていて、まるで現実では出会うことの少ない彼らが、本当なら無視できない存在なんだぞという作者の訴えが聞こえてくるようだ。 「鳥籠事件」も無戸籍者問題も、大きく考えれば人権の問題になると思う。今は法が改正され、たとえ戸籍を作るのが難しくても、住民票が取れたり健康保険の加入ができたりするようになったそうだ。 無戸籍、無保険。想像を絶する世界だけれど、今知ることが出来てよかったと思う。これから社会を見つめる時、忘れないでいたい。

    5
    投稿日: 2025.07.12
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    無戸籍問題については知っていたけれど、その生活を具体的に想像することは今までなかった。理解はしていても、当たり前のように、自分が見る世界を当たり前だと思って生きてしまう。きっと私ができることなんてないし、とても浅はかで自分勝手だけれど、色々な社会問題を勉強していきたいし、このような作品がきっかけで、社会問題が世の中に広く知られ、苦しむ人が救われる正しい支援が行われるようになってほしい。

    0
    投稿日: 2025.07.09
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    四半世紀前、育児放棄されていた幼い兄妹二人が狭い部屋でペットの小鳥と一緒に発見された。 兄妹は一度として外界と接する機会はなく、言葉を話すことができず、食事もたまに最低量しか与えられていなかった。 母親は子供の監禁容疑で逮捕される。 この事件は「鳥籠事件」と呼ばれ、母親の逮捕後に兄妹は養護施設に保護された。 がしかし、一年後に何者かによって兄妹は誘拐され、その後は行方知れずとなってしまう。 森垣里穂子は6歳の時に「鳥籠事件」を知ってショックを受け、大人になったら犯罪人を逮捕する警察官になろうと心に決めた。 勤務成績優秀な里穂子は、蒲田署刑事課強行犯捜査係の刑事として成長していた。 コロナ禍の2021年4月、男性が街路で刺されて被疑者は逃走中という事件現場に里穂子は立つ。 そこで被害者の男性から、犯人は叶内花という女だと証言する。 事件現場を遠目から様子を窺っている叶内花を見つけ、里穂子は彼女を容疑者として署に連行する。 被疑者の取り調べが始まると、叶内花という名前は本名ではなく、自分の生年月日、出生地さえも知らず、物心ついた時に名も知らない育ての母親と暮らしていて「ハナ」という名を与えられたと供述する。 17歳になった時に、育ての母親も姿を消し、その後は日当払いの仕事をしてその日暮らしを続けていたという。 自供が真実かどうかの捜査の結果、「ハナ」は無戸籍者ということが判明する。 「ハナ」を含む無戸籍者たちが寄り集まった「ユートピア」と称する集団と、「鳥籠事件」とが複雑に絡みながら物語は進展する。

    12
    投稿日: 2025.06.30
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    蒲田署刑事課の森垣里穂子は、殺人未遂事件の容疑者ハナを尾行中、無戸籍者が隠れ住むコミュニティを発見する。彼らが唯一安心して暮らせる場を、警察の捜査が壊すかもしれない──里穂子は苦悩しながら調べを進めるうち、かつて日本中を震撼させた未解決の“鳥籠事件”との共通点に気づく。刑事たちが執念の捜査の末に辿りついた、胸を衝く真相とは。 ストーリーが気になり どんどん読み進めた。 いろんな考えの人がいるから 無戸籍の人もある程度いるんだろうな。 この世の中、里穂子みたいな人って少ないだろうと思う。自分が生きるので精一杯で 他人のこと気にする余裕の無い人も多いだろう。 戸籍のことではとても勉強になった。 知らないことばかりだった。 知らなくてもいいこともあるだろうけど 知識や情報はあった方が生きやすいだろうな。 あと、この本の内容には関係ないんだけど… 偏見もあるのだけど 外国人さんがとても多くなって ちょっと怖く感じる。 日本もアメリカのように いろんな人種の人が住む国になるんじゃないのかな?って思ってしまう。

    13
    投稿日: 2025.06.26
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    2022年第24回大藪春彦賞 蒲田で起きた刺傷事件の容疑者ハナを逮捕した女性刑事は、彼女の生活環境を知り驚愕する。 彼女は、ある工場の一画で「無国籍」者達のコミュニティを作っていた。 現代社会の暗部無国籍という社会問題と 25年前の未解決虐待幼児誘拐「鳥籠事件」を 関連させながら、 刑事としての正義 人としての救済 母親としての慈愛 を 根気強く描いているなと思いました 根気強すぎて多少表現が重なる部分があるなとも 思いました。 人としての優しさに重点をおき社会的な立場を優先すると家庭が手薄になりんすね。 この女性刑事のご活躍は、ご家庭で幼い娘さんの子育てを引き受けて在宅でお仕事してくれている 静かなる夫の力量によるところが大きいなあ。

    105
    投稿日: 2025.06.21
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    このレビューはネタバレを含みます。

    無戸籍問題をテーマに、現在の殺人未遂事件と過去の誘拐事件を絡ませた時事ミステリー。 主人公の刑事が「正義」の名の下に私情に走りすぎるきらいがあり、偽善者感が拭いきれずいまいち感情移入できない。 そもそも、家族を蔑ろにしすぎる!夫も娘も可哀想…というところで、古いジェンダー観に囚われていたことに愕然。刑事物でもこれが男刑事だったら仕事に打ち込む熱血正義刑事となり別の感想をもったかも。 新しい時代の問題を切り込む上で、育休明けの女刑事であった功績は大きいかも。彼女にはこの先も頑張ってほしい。

    2
    投稿日: 2025.06.21
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    徹夜一気読みでした。翌日、寝不足必至。 兄と妹って、なんか憧れ。 悲惨なお話ですけど、読後感が良くて明るい気持ちになれます。 数年前のにこだったら、「ケっ」とか悪態ついてたかもだけど、 アラ還となった今、もうこういう救いのある話じゃないとキビしい。 オススメです。

    0
    投稿日: 2025.06.19
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    主人公の刑事がお人好しというかいい人というか、なんだかイライラしてしまった。 無戸籍者については以前テレビで特集を見た事があり、戸籍がないだけであたかも透明人間のような存在になってしまう社会の仕組みに驚いた。 色々な事情があるのはわかるけど、一番の被害者は子供なんだから、無戸籍になるなら産まないでほしいと思ってしまう。親ガチャがすぎる。

    8
    投稿日: 2025.06.03
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    この作家はライトミステリを思わせる表紙の作品が何冊か積読状態だが、初めて読む 初見にしてはややページ数が多め、読了してみれば期待以上だった ひとことで言えば無戸籍をテーマとした社会派ミステリ、そのバランスも構成も良い 街中で起きた傷害事件を発端に、別件の児童虐待・誘拐事件の真相に迫るストーリー ミステリ目的の自分にとっては、特に傷害事件のホワイダニットが秀逸で印象的だった ネタバレは出来ないがテーマに寄り添い特定の状況下でしかありえない、また納得せざるを得ない動機 事件解決へ、加えて、登場人物たちの未来を照らす伏線が多いのも好印象 まあ星5ですね 著者の最高傑作と言われてしまっているようだが、更新するのも時間の問題か、と思わせるレベル 勝手にラノベ出身の男性作家(逆に)と思っていたので、東大法学部卒の帰国子女という著者プロフィールと画像検索結果にも驚かされた このレビューにそれを知っての忖度要素はありません(笑)

    1
    投稿日: 2025.05.31
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    無国籍を初めとして、複数の社会問題を刑事ミステリーにうまく取り込んでいて素晴らしい構成。とは言ってもミステリーは表面上で、主題と話の大部分は無国籍問題で占めており、あまり日常的に意識することのない問題をわかり易く理解させてくれる。何せ各登場人物の描写がすごく丁寧で、物語の深さを実感出来て読後の充実感がある。とても辛い真相も明かされはするが、エピローグまで含めてきっちり締め括ってくれるため、全て浄化されたような気持ちになった。

    12
    投稿日: 2025.05.31
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    「無戸籍者」という概念が欠落していて、え?なに??なんの話???と、入り込むのに時間を要してしまった。 なんとかしたい。と思っても、行動に移せないことばかり。何から始めたらいいか?わからないことばかり。主人公の行動力と信念の強さを羨ましいと思いながら、読み進めた。

    0
    投稿日: 2025.05.30
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    蒲田署刑事課強行犯係の森垣里穂子は、殺人未遂事件の容疑者・ハナを尾行中に、無戸籍者が集団で暮らすコミュニティを発見する。外の世界との関りを避け、篤志家の工場長のもとで仕事も給料も与えられて安心して暮らしている彼らを、警察の力で外の世界に引き出すのが良いことなのか悩みながらも捜査を続けるうちに、かつて世間を震撼させた鳥籠事件との共通点が明らかになり、捜査一課の特命係の羽山と微妙な協力関係を結んで捜査を続ける。その過程で次々と見つかる点と点をつないで現れたものは、思ってもいなかった凄惨な事実だった。だが、無戸籍者たちに差し伸べられる手もあり、彼らは困難を承知で世間に出ていく。善意と悪意の落差が激しく、人間不信にもなりそうだが、ハナたちがユートピアで愛された記憶を持って外に出ていけることが、今後の彼女たちに勇気を与えるのだと思う。

    0
    投稿日: 2025.05.27
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    第24回大藪春彦賞 虐待された子も、戸籍がない人も人間。 あんまりな事件だった。 無戸籍の人が自分は何者でもないと思うことはあるだろうけど、法に守られた他者が彼らの尊厳を無視することもあるんだろうなと悲しく思った。 そして、あたりまえの日常がない無戸籍の人たちは想像以上に存在すると知って驚いた。 社会の網からこぼれ落ちてしまう人達を減らすために、彼らに正しく情報が届いてほしい。 「不完全な人間同士が、不十分ながら互いを補い合い、やっとのことでそれらしい形を保っているのが、自分たちの住む社会なのだ。(中略)「完璧」ではなく、「十分」を目指せばいい。」 という文章が強く印象に残った。 無戸籍の人が受けられる支援を知れたり、興味深い内容でサクサク読みやすかった。

    40
    投稿日: 2025.05.24
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    無国籍のひとたちがどうやって生活しているのか考えたこともない 違法労働者の問題にしてもほとんど無知 けれどなにか話題になったときだけ、自分の想像と価値観だけでうるさく言う ハナ達のユートピアを「わたしたちのことよく知りもしないのにごちゃごちゃ言わないでほしい」 ハナは言った ごちゃごちゃ言わないで欲しいわけではないと思う 知ってほしい、知ろうとして欲しいのだと思う

    1
    投稿日: 2025.05.22
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    日本に無戸籍者は1万人いると言われている。 自分が当たり前のように手にしている権利。それを持たずに生きる人。 それを人に知られることを恐れている人。 そんな想像したこともない世界を作者は見せてくれた。 初読みの辻堂ゆめさん。 かつて日本中を震撼させた『鳥籠事件』を解き明かすという刑事ものなのだが、それだけにはとどまらない。 個人的な印象としては、ミステリーというよりは社会派作品。 法の問題。行政縦割りの問題。制度の限界。 無知により救済されない人々。 日常の暗いニュースも『行政に相談したら良かったのに』と思うことが確かに多々ある。 しかし、現実にはどうにもならない事が多くあるのだろう。 報われないことによる無気力や諦め。 しかしそんな人々を見返りなしで助けようとする人もいる。 物語の中では、主人公である警察官森垣里穂子が正義とは何か?と苦悩し、自分の夢や理想と現実との狭間で葛藤している姿も描かれている。やわらかい文体であり、『無戸籍』という暗いテーマであるのにぐんぐんと読み進めることができた。 そして暗い話ではあるが救いもあった。 自分の普通と思える生活が、時に人を羨むようなちっぽけな生活が、いかに幸せなものなのか。日常がかけがえのないものなのか。目の前にある幸せを実感できた物語だった。 辻堂さんが法学部卒だからこそ、日本のかかえる大きな問題の根底を描ききれたのではないか。 また今後の辻堂作品も楽しみだ。

    41
    投稿日: 2025.05.19
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    重いテーマにも関わらず、緩急が見事で息が詰まりすぎることなく、一気読みした。 張り巡らされた伏線がラストで回収されるのが気持ち良い。

    2
    投稿日: 2025.05.11
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    今の日本にも存在する“無戸籍者”。この本を読むまで、私は全く関心を向けていなかったのだと痛感させられた。無戸籍という鎖に縛られながらも、理解し合える仲間がいるのならそれは社会を生きるにあたって不幸ではないのか?そもそも、人の生活に善し悪しを決められるのか?本当に“トリカゴ”に囚われているのは社会そのものではないのか?色々考えさせられる。彼らの頭上に遍く青空が広がりますように。

    1
    投稿日: 2025.05.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かったしキャラクターも立っててよかったけど、事件解決~エピローグまでが少し冗長と感じた。昨今の小説は特にラストで全てを語らず余白の残すことがあり、これがもどかしかったりもするのだが、これはちょっと書きすぎてしまっているのかもと感じた。

    1
    投稿日: 2025.04.28
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    新しく読むべき作家に出会ったと思う。 この小説は、無戸籍問題を主軸としながらも、社会と自分との関わり、家族のありがたみ、等々当たり前のことを当たり前でないんだと気づかせてくれる。 無戸籍者がユートピアという狭い世界で必死に生きていることがひしひしと伝わってくる。 終わりのほうで思わず泣いた。いい小説を読ませていただいたことに感謝。

    5
    投稿日: 2025.04.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    無戸籍という問題と、行方不明になった兄妹。 絶妙にお話がマッチしていて、2025年最初に面白い作品に出会えました。 戸籍がないから学校に通えず、学校に通えていないから無知になってしまう。 無知ゆえに、本来は受けられる手当を知る全てもなく過ごしている人たち。 なんという悪循環なのだろうかと驚きました。 無戸籍の人が苦労して戸籍を作る術を知っても、法律を役所の人が知らず作れませんと一蹴されてしまうなんて。 普通の会社でも上司から部下へと報連相はしていると思うのに、国はそれができないのかと残念に思います。 そして無戸籍の人々の存在を知り、良い方向へと導き手助けする人もいれば、手助けしているつもりでそのままにしてしまう人、またはまそれを悪用する人、様々な人物がでてきて驚きました。何か手助けを…と思う時、自分は本当の意味で助けることができているのか考えさせられました。 また殺傷事件の犯人といい、トリカゴ事件の被害者である兄妹といい、この人!!!と思い込みそうになるのに冷静に真実を見つけていく里穂子たち。どんでん返しとはこのことか…。と二転三転ととても面白かったです!

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    日本人でありながら様々な理由で戸籍のない人がいる 住民票も登録されていない 保険証もない 家を借りられない 雇ってもらえない 普通の社会生活が で き な い う・う・う 『わたし』を証明する公の書類がないということは生きて行けないことなんだ…… 目の前が暗くなる、なんて恐ろしい そうだ! この社会は完璧ではない それでも ちいさな希望はあるのだ きっと

    7
    投稿日: 2025.04.23
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    無戸籍という設定がまず興味深いストーリーですね 描写もシンプルで読みやすい作品でした。 御涙ちょーだいは個人的にはありませんでしたがエールを贈りたくなる作品。

    11
    投稿日: 2025.04.16
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    2025/04/11~04/15 戸籍がある、という当たり前の状況がいかに恵まれていることかを実感しました。 ハナがパスポートを取れず海外に行けないから、せめて綺麗な絵葉書だけでもほしいと思って集めている、という内容の発言でぞわっとしました。 彼氏を刺殺しようとした容疑にかけられた少女ハナは、幼い頃に兄のリョウとともに親に捨てられ、無国籍者の集う倉庫で育った。調査が進むにつれ、”鳥籠事件(育児放棄した親が鳥とともに兄妹を部屋に放置した事件)”によって保護されたが何者かに誘拐されたままの兄妹との類似性がみられた。 刺殺事件・鳥籠事件の全貌を明らかにしたい刑事の理穂子だが、事件解明方法によっては無戸籍集団の生活を奪ってしまう懸念に直面してしまう。

    3
    投稿日: 2025.04.15
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     「トリバゴ」でなく「トリカゴ」。最近CMが多い「トリバゴ」を「トビバコ」と言っちゃいません? ホテルの料金比較なくても、降りかかる障害を飛び越える力がほしいと思う今日此の頃です(???)  殺人未遂事件の被疑者・ハナを追った刑事の里穂子は、無戸籍のコミュニティに辿り着きます。捜査を進めるうち、ハナとその兄が、25年前の「鳥籠事件」の被害者ではないかと疑念をもつのでした。  時を超えた二つの事件の関連と真相、刑事と娘をもつ親という2つの立場での里穂子の心の揺れ動きが絶妙に描かれ、人物造形が見事です。  無戸籍問題というテーマは重いのですが、巧妙な謎解き要素と鮮やかな伏線回収は読み応えがあり、引き込まれました。  ミステリーに「どんでん返し」や「予想を超える」要素を求める方には、物足りないかな? でも辻堂さんは、戸籍制度が整っている日本で、想像以上に救いのない現状を物語の中で知らしめ、等身大の女性を通して解決へ奮闘する姿を描ききっています。  私はトビバコを跳べなくても、トリバゴでホテルを選ばなくても、トリカゴの外には自由に出られます。普通に暮らせていることへの感謝と、自分の居場所があることの有り難みを痛感する一冊でした。

    85
    投稿日: 2025.04.11
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    めちゃくちゃ面白かった。これ出した時ってまだ30歳…?すごい才能。無国籍の人のことなんて全く人生で考えたことがなく、引き込まれるテーマ。登場人物が結構多いにも関わらず、すらすらと頭に入ってくる文章力。情景もありありと浮かび、これは映画化必至の作品。

    2
    投稿日: 2025.04.08
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    無戸籍問題を真正面から取り上げた警察小説で、ミステリー色の強い辻堂作品。コロナ禍2021年の殺人未遂と25年前の未解決誘拐事件が繋がり、酷くて意外な真相が明らかになる終盤の謎解きは読み応え十分。重苦しい内容ながら被疑者ハナの天真爛漫さに救われる話だった。

    10
    投稿日: 2025.04.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    無戸籍の子が犯罪を行ったことで、結果的に救われる話ではあるが、色々な人の思いや動き、知識が物語を深めまさかあんなに昔の事から負の連鎖が続いているとは思わなかった。 自分が良かれと思って伝えた知識なんて渦中の人はとっくに調べ傷ついていた。自分の知識のなさと傲慢さをきちんと知っていたいと思った

    2
    投稿日: 2025.04.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    刑事物で社会派ミステリーという、好物が詰まった一冊。 「無戸籍問題」というテーマは重いけど、文章もテンポも良いし、エピローグでしっかり物語が締められてて、気持ち良く読了しました。 辻堂さんの他の作品も読んでみたくなりました!

    5
    投稿日: 2025.03.29
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ただの刑事物ではなく無戸籍という社会問題、母になった者のキャリアとの葛藤、家族の在り方など、色々な方面について考えさせられる。 鳥籠事件との関連はとても胸糞悪いものだったが、真相を暴いたことで少しは被害者たちが報われてほしいと願うばかり。 社会の厳しい目の一方で、救いの手を差し伸べてくれる人は必ずいるはずと信じさせてくれる話だった。

    2
    投稿日: 2025.03.26
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    鳥籠事件の兄妹はなぜ誘拐されたのか、今どうしているのか、そして別の事件で偶然見つけた無戸籍者コミュニティ"ユートピア"にいる兄妹は一体何者なのか、ものすごく惹き付けられる謎ばかりで真相が早く知りたい遠いながら読んでいた。しかし、そんな中でも刑事には刑事の生活があり、また被害者に寄り添う女刑事と事件を挙げたい男刑事のタッグもおもしろく中弛みせず楽しめた。

    2
    投稿日: 2025.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    万引き家族を思い起こさせるようなテーマであった。 感覚的にユートピアのシーンはジメジメしているが、ハナの明るさ 人懐こさがカラッとさせているように思えた。 表に出てないだけで、こんなこと実在しそうな気がしている。

    3
    投稿日: 2025.03.23
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    初読みの作家さん 無戸籍という重めのテーマではあるがまったくそれを感じさせない展開と読みやすさでした。 私の勝手な星5評価のひとつに、「早く先を読み進めたいが終わってしまうのがもったいない」があり、まさのこの作品はそれでした。 映像化にもなりそうな作品ですね。

    27
    投稿日: 2025.03.22
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    このレビューはネタバレを含みます。

    【2025年34冊目】 蒲田署の刑事である森垣里穂子が担当することになった、殺人未遂事件。容疑者は被害者男性の恋人で、状況的に見ても容疑は濃厚だった。だが取調べを進めるうちに、里穂子は思わぬ事実を知る。容疑者は名前も住所も持っておらず、正確な年齢もわからない――無戸籍者だと主張してきたのだ。 まず、設定として、こんなこと言うのはどうかと思うんですが、勉強になる話でした。無戸籍の人がいるなんて、想像もしてなかったんですけど、今の日本の法律だと確かにエアーポケット的に抜け落ちちゃう新生児はいるし、外国人の流入が多くて日本人としての戸籍が認められないのも、さもありなんだと…。というか、戸籍制度がない国もあると知ったのもなかなかの衝撃でした、そうなんだ…ここはもう少し勉強したいところ。 話的には意外といえば意外な要素もあったのですが、いかんせん私がひねくれた性格なのでダメでした。ハナの底抜けの明るさとか、無戸籍支援者の議員とか、素直に話してくれるユートピアの住人とか、全員をシンプルに疑ってて、「絶対なんらかの裏があるに違いない!」「こんな綺麗な訳がない!」って思いながら読んでました。ある意味で多分、真実はパンチがあるものだったんでしょうけど、そこに関わるキャラクターが全員、マジで裏表がなくて、ちょっと拍子抜けしました。エンタメ的な要素を期待しすぎていたのかもしれない。 なんかこう、ずっと8番出口をプレイしてて、異変だと思って引き返してたら異変じゃなくて、出口にたどり着かなかったな、みたいな印象で。なんででしょうね、マジでわからんです。別にわざとらしさとかはそんななかったと思うんですけど…。 感情の都合がいいなぁって思ってしまったのかもしれません。夫さんとか。この話で伝えたいことから外れたポイントに引っかかっちゃってるような気もするんですが。 一晩置いて感想整理しようかと思いましたが、忘れちゃうのでとりあえず記録。

    2
    投稿日: 2025.03.22
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    いちばんは『無戸籍』についてかなり勉強になる。 鳥と一緒に育てられた兄妹『鳥籠事件』から24年。保護され、誘拐された2人は生きていた。 もちろん戸籍はなく、住民票も保険証もない。 2人は同じ境遇の無戸籍の集まりユートピアで育った。 なぜ2人は生きているのか。 なぜ他の住民も戸籍がないのか。 そして、一体誰が誘拐したのか。 一つ一つの真相が明らかになっていく。 法の話も出てくるが一切難しい言葉はないので、初心者にもおすすめ。

    3
    投稿日: 2025.03.17
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    無戸籍者の存在は恥ずかしながら知らなかった。戸籍があること、"外の世界"で暮らすことが幸せに決まってる、そんな思考はあくまで"持てる者"の考えであり、私もまた里穂子と同じ思考を持っていた。事件の真相然り、ユートピアの住人が迎える結末が気になり、ページを捲る手が止まらなかった。ストーリーとしての面白さはもちろん、社会問題に向き合う意味でも、必読の作品。

    3
    投稿日: 2025.03.16
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    インスタグラマーのkengoさんが紹介文より気になって読んだ作品。 初めての辻堂ゆめさん。 内容は重い物だったが文章が読みやすく、あっという間に読んでしまった。

    3
    投稿日: 2025.03.16
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    やっと読み終えました。 久しぶりに味わう読後感の余韻がたまらなかった 一つの物語を頭の中で映像化させて自分で物語を 完成させることができる小説は素晴らしいです。 言葉の力に励まされました。 テーマは無戸籍問題です。 生まれながら戸籍を持たない人々が集団で生活 する「ユートピア」内で、ある事件が起きる。 過去と現在を繋ぐ社会問題。 現実でも問題になっている無戸籍の実体に心が とても重くなります。 著者の最高傑作とも言われている本作を読めて とても良かったです。

    51
    投稿日: 2025.03.14
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    初の辻堂作品 テーマがテーマなので掘り下げ過ぎれば重たくなり 描写が浅ければ伝わりづらいというバランスが難しいかと思ったが 抜群のバランスで面白かった 何しろ筆者の「書ききった感」が伝わった 自分の無知さも主人公に思い入れしたくなる一因だったかも

    4
    投稿日: 2025.03.13
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    このレビューはネタバレを含みます。

    辻堂ゆめさんの作品を手に取るのは2作目?かな とても重たく苦しいテーマを読みやすい文章で綴る辻堂さんはすごい。 無戸籍者。考えたこともなかった。 色々と考えさせられたなあ。。。 「無知なカリスマほど怖いものはない」 「この社会の人間は、生まれた瞬間から、''捨てる者''と''持たざる者''に二分されてしまうのだろう」 刺さりました とにかくみんな読んで欲しい、、、!!!!

    9
    投稿日: 2025.03.09
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    トリカゴ #読了 凄い、素晴らしい小説を読んでしまった。 24年前起きた鳥籠事件ーペットの鳥と共に狭い部屋に糞尿まみれで育児放棄をされていた兄妹。児童養護施設に預けられたが誘拐されてしまう 刑事課の森垣は一つの事件から24年前の鳥籠事件に目星をつける 善に漬け込む悪か。 悪に対抗する善か。

    4
    投稿日: 2025.03.08
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    帯に「辻堂ゆめの現時点での最高傑作」と ありましたが… 重いテーマをよく書き切ったとは思います。 最高傑作が何を指すのか? 力量? 面白さ? 面白さでは、 個人的に「あの日の交換日記」かな?

    15
    投稿日: 2025.03.05
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    このレビューはネタバレを含みます。

    最初からタイトルに関連するような意味深な24年前の事件から始まる本作品。 現在の日本において、住所もわからない、歳も明確ではない、ましてや自分の正式な名前すら知らない…冒頭に起こる殺人未遂の容疑者の女はとんでもない嘘で逃げようとしているのか? しかし、その証言には嘘偽りがなく、無戸籍という一般人からは想像も付かない状況下で生きる女だった。 物語が進むにつれて、そんな人々が暮らすユートピアを見つける女刑事。冒頭の鳥籠事件に強い思い入れがあり、そこから無戸籍の人達とのやり取りが始まる。 無戸籍の人達が普通に生活するとこの難しさを知り、無戸籍達のユートピアを警察としてどうしたらいいのか。主人公の女刑事の葛藤。そして、24年前の事件と思いもよらない形で繋がっていく! 自分にとって幸せとはなにか、普段の当たり前がどれほど恵まれているか、そんなことを思い返す、そんなとてもいい作品だった。

    8
    投稿日: 2025.03.03
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    森垣里穂子…陽介…結菜 羽山圭司 ハナ リョウ 名取宏子 桃花 将太 林部海人 野木和久 木下警部補 松田部長 伊藤優 斎藤敏樹 叶内丈…勝 ヨシコ テッペイ…原西鉄平 ルミカ タクロー アツシ ミライ 加賀琴音 仁野芙三子 板倉美咲 園村勝代 沼田香苗…美咲…大樹 栃崎正行

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    投稿日: 2025.02.20