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知的障害者施設 潜入記
知的障害者施設 潜入記
織田淳太郎/光文社
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総合評価

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    何人もの当事者を思い浮かべながら読んだ。 事業所の運営は、二律背反の側面が伴う。誰かの役に立ちたいというまっすぐな思いと同時に、事業として成り立たせなければならないという現実。費用の面だったり安全の面だったり、人材確保の問題だったり。ベクトルがバラバラな複数の要素を、ある程度の方向性をもってまとめなければならない難しさがある。 ひとりひとりの思いを汲み、そのささやかな願いを叶えられるように、できる手助けをしたいという切なる思いもあり、だけれども他者ができる手助けには限界がある。そして複数の人が同時にそこに存在するとき、それぞれにそれぞれの思いがあると、どこを通るのが正解なのか。むしろ正解はないので、どう通っていくのが最適解なのか。それ以外に考慮しなければならない要素があるとき、どこに優先順位を置いて、何を譲るべきなのか。 いろいろな立場の人がいて、それぞれの視点があり、それぞれの優先順位がある中で事業を運営しなければならないことの難しさ。それを全てひっくるめたうえでの、責任の取り方。 福祉に携わるときはいつも、難しいことだなと思っているけれど、迷ったときはご本人と一緒に迷うしかないなと、 私の軸足はいつもそこ。人はひとりでは生きられないから、一緒に困って一緒に悩んで、間違えながらいきましょうね。 とても丁寧に、著者が経験されたことが綴られていてたくさん考えさせられた。 最後は泣けてしまったよ。

    6
    投稿日: 2025.09.13
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    福祉の仕事をしていて「かっこ悪い」支援者にならないようにと思い仕事しております。 登場人物のたくさんのかっこ悪いをみてより日々の支援を大切にしようと思いました。 悲しいかな出てきた方々のような支援が多いのも現状、、、、

    0
    投稿日: 2025.07.20
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     知的障害者施設って、現実問題あまり関わりがない生活をこれまで送ってきました。でも、これからはもしかしたら…そんな思いを持って手にしたのがこの書籍でした。著者の織田さんは、知的障害者施設の運転手として職務に就き、その間に見聞きしたことや入居者さんとの交流を描いたものです。そして、随所に知的障害者のおかれている状況、法整備やとりまく現状、課題などにも触れられています。  織田さんは当事者さんの入居するグループホームと福祉作業所との送迎を担っていました。そこでは、目もそむけたくなるようなこと…例えば当事者さんが楽しみにしているお買い物や外出を制限する行為が日常的に行われていました。虐待も、水増し請求も…こんな施設が実在していることに、心が痛みます。もちろん、こんな施設ばかりではないのはわかっていて、当事者さんのことを第一に考え社会で生活していくための手助けを一生懸命行っている施設もあります。  ただ、当事者さんたちの立場はとっても弱くて、不満があっても声を出せないでいます。「ピープルファースト…自分たちのことは自分たちで決める」どんな状況にあっても、あたり前のことが、あたり前にできる…弱い立場の人たちを取り残さない社会であってほしいと思います。

    68
    投稿日: 2025.03.26
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    読み応えがある。 社会って何? 人の権利って何? これを読んだら一層わからなくなった。 その人に合った環境というのがあるのに、ここに登場する施設は罰則を与える事で対応する。だから余計に利用者は状態が悪化して、そこにまた罰則、状態が……を繰り返す。 何もこれは知的障害者施設に限った事ではない。介護施設でもそうだ。日本のあちこちで似たような事は起き続けているのだろう。 福祉が注目される、というのは悪い事ばかりではないがいい事ばかりではない。ビジネスとしてこれから儲かる。障害者や老人を金のなる木として見た結果がこの現実を招いたのではないか。重たい声がある本だが、お陰で現実を知る事ができた。読んでよかった。

    3
    投稿日: 2025.03.13