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ツムギの魔縫 1
ツムギの魔縫 1
岩本直輝/集英社
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総合評価

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    このレビューはネタバレを含みます。

    メッチャクチャ面白い!!こうゆう理屈抜きで「面白い!」と言える漫画を読めると、つくづく、漫画読みで良かった、と心の中で思える。 この衝撃度は、それこそ、『アンデッドアンラック』を読んだ時に感じたモノに負けていない。 岩本直輝先生は、『magico』を読んでいるから、確かな実力を持っている漫画家だ、と知っていた。だからこそ、この『ツムギの魔縫』を読めるのが、ホントに嬉しい。 これまで、「食」をテーマにしたファンタジーもとい異世界系の漫画は多く世に出ているけど、「衣」を主軸にした作品は、「食」系に比べたら少ないんじゃないだろうか。そんな取り扱いが難しいであろう題材に挑み、これほどまでに面白い漫画を描いた岩本先生、私が知っている岩本先生じゃない・・・一皮も二革も剝けている。 絶対、とは言えないにしろ、やはり、少年漫画の主人公ってのは、デカい野望を抱いていて、自分の信念を曲げず、どこか狂気を周りに感じさせるくらいの方が好感を持てるんじゃなかろうか。 この『ツムギの魔縫』の主人公であるツムギは、中学生ながら服作りの天才。ただ、服を作る才能があるから天才って訳じゃなく、自分が作りたい服を作る為なら一つしかない命すら惜しまずに行動してしまう、そんな危なっかしさを持っていて、それを自覚した上で、全く自制せずに、最高の結果を出せる、そんな才能の持ち主だ。 そんなぶっ飛んだ才能を持った男の子が、異世界に転移して、ありとあらゆるモノから服を作るスキルを得たら、そりゃ、人間界にいた時よりも活き活きするに決まっている。 そんなワクワクとドキドキを感じさせてくれる主人公が、仲間と一緒に、様々なキャラクターと出逢い、その問題を見事に解決していくストーリーにも、これまた、魅力をしっかりと感じられ、ますます、グッと来た。 ツムギの作る「衣服」はデザインこそ、ファンタジー寄りだけど、その性能には、読み手がちゃんと納得できるだけの「理」が宿っていて、その現実感が、異世界を楽しんでいるツムギの活躍をもっと見たい、と思わせてくれる。 あえて、もう一度言わせてほしい、これは面白い!! 今から、(2)を読むのが楽しみで仕方ないなぁ。 この台詞を引用に選んだのは、ツムギの強い芯を感じ取れるモノであると同時に、読み手の印象に残るキャラクター作りの参考になる、と感謝したので。 誰にも、好きなもの、はある。 他人を無駄に傷付ける、法を犯す、他人の不幸の上で自分だけ幸せになる、と言ったモノでない限り、誰もが、その好きなものを実現させる資格を持っている。 世の中の成功者全員がそうとは言えないにしろ、きっと、大半は、ツムギのように、好きなものを極めんと努力をしてきたんだろう。中には、「好き」を形にするためなら命だって惜しまないタイプもいるんじゃなかろうか。 ツムギのおばあちゃんのように、自分の家族の「好き」を応援してくれる人がいたら、とても心強いだろうな。 もっとも、まさか、ツムギのおばあちゃんも、孫が瞳に純粋な狂気を孕んで、こうもぶっ飛んだ行動をするような方向に成長するとは思っていなかっただろうな。 孫の背中を押した事を後悔するようなタイプじゃないだろうけど、言い方を考えて、なおかつ、孫に自制心を持たせるべきだった、と反省はしてそう。 まぁ、ツムギの場合、言い方を変えても、きっと、こんな感じに育っただろうな、と確信は出来るけど。 さて、私も、面白い小説を書けるよう、命の一つくらい燃やしてみないと。 「好きなことがあるってね、それだけでラッキー、ツイてるんだよ。それを見つけられずに、一生を終えるひともいるんだ。だから、大事にするの、時に命をかけてでも。だれになんと言われようともね。『好きなこと』は、あなたを動かす、もうひとつの『命』なんだよ」(byツムギのおばあちゃん)

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    投稿日: 2025.04.06