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ついでにジェントルメン
ついでにジェントルメン
柚木麻子/文藝春秋
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総合評価

36件)
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13
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    柚木麻子さんの本は3冊目、前の2冊は面白かったので間違いない!と思って、手に取ったが、間違いなかった。楽しめました。 短編7つ。「勇者タケル…」はイマイチ、わからなかったが、あとの6つは、どれも楽しめた。「立っている者は舅でも使え」は結局、最後はどうなるんだ?なんて、後に心地よい余韻が残る。「エルゴと不倫鮨」は女性からみれば爽快なお話。

    5
    投稿日: 2025.11.06
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    初めて読む作者の短編集。面白いと思えるものと、苦手だと思うものが共存していた。 菊池寛ってどんな人だったのか興味が湧いた。著作は読んだことがない。でも魅力的な人だったのだろう。 全体的に、女性の権利や女性の自立というテーマの作品ばかり。まぁだからこのタイトルなのだけど。

    0
    投稿日: 2025.09.26
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    柚木麻子さんは初読みでした。 短編集で文藝春秋創設者の菊池寛の銅像が菊池寛という設定で声を掛けて新人作家を助けたり、大正期の本物の菊池寛や谷崎潤一郎が登場したり、はたまたドラクエみたいな話もあり、バラエティに飛んだ短編集でした。

    14
    投稿日: 2025.09.08
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    柚木麻子さんの著書を初めて読みました。短編集なので好みに合うお話と読み進めるのがしんどいお話が混在し、もう少し柚木麻子作品を読んで、追い掛けるか否か判断したいと思います。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    こんな…こんなお話を書く人だったっけか? 基い、こんな面白い話を書く人だったっけか? もちろん、作者の作品を全作読破していないのにこの言いっぷりは大変失礼なのですが。 「エルゴと不倫鮨」がとにかく最高で、めちゃくちゃ共感でしか無い。パリッとした格好ができるのは家で洗濯やクリーニング対応してくれる妻が居てこそなのに、イイ男ぶって不倫正当化するオッサンの「ここは大人の社交場」発言への「男のための社交場でしょ」って言い切った美女の一言。溜飲下がるわぁ。子連れの母親がめちゃくちゃワインとそれに合う食事に造詣が深いのが、また最高。この一遍のために買ってもイイくらい気持ち良かった。 「あしみじおじさん」(これもタイトルがすごいが)で私は自分を形成した本にそんなカラクリが…と愕然とした。「少年少女世界の名作」「少女名作シリーズ」は字が読めるようになってから浸かるように読んだ本達だ。私の「国語」=できるに至った地力を作ってくれた物語はそんな風に考察できたのか…とこちらも目鱗。それも整形をとどまった女子の考察→実行→破綻?から見せているのも面白い。

    0
    投稿日: 2025.08.17
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    女性たちが立ち上がったり、寄り添ったり。見ていてエンパワーされるような物語たちだった。 女性たちが言いたいことを言っている描写はただそれだけで気持ちがよく、だからこそ抑圧を感じていることが当たり前になっていることに気付かされたりもした。 柚木さんの本は「ナイルパーチの女子会」だけ読んだことがあり、あまりに強烈な内容だったため(好きな作品ではある)、「ついでにジェントルメン」はまた全く雰囲気の異なる、明るく元気が出る小説集で驚きもあった。 シスターフッド的なお話が好きなのでとても楽しかったし、 勘違いおじさん、みたいな男性もたびたび登場するものの、出てくる男性の全てが女性の敵として描かれているわけでもないところがフェアだと思う。 少女小説の法則を自分なりに読み解き、メソッドを実現すべく行動する女性のお話「あしみじおじさん」と、 旦那に離婚を切り出した後、(元)義父と幼い息子との奇妙な3人暮らしが始まってしまう「立っているものは舅でも使え」 が特に好き。 菊池寛に始まり菊池寛に終わるところも不思議で面白い。もはや何が本当で何が嘘なのかも分からない、煙に巻かれたような菊池寛視点の解説で締めくくられており笑ってしまった。

    11
    投稿日: 2025.08.10
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    文藝春秋創設者 菊池寛氏を交えた働く女性達の短編集。 現在の女性の立場があるのも過去の奮闘あってのことと感謝をもちつつ… とはいえ… 女性の権利が強めの小説を読むのは苦手。

    1
    投稿日: 2025.08.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    表紙が可愛くて… 短編7編。最初の「Come Come kan!!」を読んだ時に失敗だったかもと思いました。ファンタジーな方向にいってしまったので、それをやられたら何でもありになってしまうと。 なので「勇者タケル~」を好きじゃないです。 やっかいな男がどうなるのかと思ったらファンタジー世界に飛んで改心?してしまって。期待はずれ。 そのほかの5編は面白かったです。「あしみじおじさん」が 好みの話でした。

    3
    投稿日: 2025.08.02
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    不思議な読み応えの短編集。 物事の解釈には色々あるけれど、特に「あしみじおじさん」は新しい気付きをもらえた笑

    2
    投稿日: 2025.07.26
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    登場する女性たちが颯爽としてるのが 気持ちよくて スカッとしちゃう!やらかした時に読むと 元気が出る!「エルゴと不倫鮨」が個人的に好き!解説が菊池寛!ありがたし〜(笑)

    18
    投稿日: 2025.07.24
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    ずっと積読としてあったが、ようやく手にとりました。 どの短編もスピード感があり、解説にあったとおりに、はっきりとしていて、元気な感じを受けた。 読んだ感想としては、読者によっては好き気嫌いが別れやすいのかなと感じた。 私は「あしみじおじさん」の話が好きだった。

    15
    投稿日: 2025.07.09
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    痛快!いつだって女の子の味方の柚木麻子が好き! 読んでてここまで「楽しい」本は久しぶり。 不倫鮨、舅、あしみじおじさん、渚ホテルが特に良かった!!(他の3篇もいいけどね!) 不倫鮨に関してはめっちゃ美味しそう。 おすすめ!

    1
    投稿日: 2025.06.18
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    女性の権利を重視した話が多くあり、ユーモラスにまとまっていた。 ただ、もっと思い切って書いてくれてもよかったな…と思う。すごく刺さるみたいな箇所がなかった。

    2
    投稿日: 2025.06.11
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    柚木麻子女史は前作の『 BUTTER 』でも強い女性を描かれていたが、今回登場する若い女性たちも、一見ひ弱そうで実は逞しかった。 昭和初期から現在まで、苦労を抱えて生きる女性たちが7編の短編に綴られている。 様々な立場の女性たちが、ユーモアを含めながら自らの道を切り開く痛快物語だ。 全編に駄目な男に対峙する女性が綴られている。 「女性が社会で仕事をするのはつらいだろうけど、男だって大変なんだよ」と思っている男性こそ、この一冊で女性の現状を知るべきだ。 登場する女性たちは、懸命に真剣に生きている。 子育て真っ盛りのシングルマザーは、一杯のワイン、一貫の握りを心ゆくまで味わうことは難しい。 女性が一人で真にリラックスして珈琲一杯を飲める場所は意外と少ない。 何気ない姑・舅の嫁への圧力等々、ジェンダーが語られる今の世の中でも女性が背負う荷は決して軽くないのだ。 そんな女性たちが、もどかしさを堂々と飛び越えて、新たな局面を自らのチカラで引き寄せる物語だ。

    6
    投稿日: 2025.05.30
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    7つの話からなる短編集。 作家デビューから芽が出ない女性に訪れるファンタジーの話があったり、不倫の話があったり、自立したい女性の話があったりと、この題名で1冊にまとめられていることに疑問を感じた。 スカッとする話もなく、何だかモヤモヤする1冊となってしまったが、それぞれの話は読みやすくちょっとした息抜きには良いかもしれない。

    27
    投稿日: 2025.05.23
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    7つの短編集。ジェントルメンと言えるかどうかという登場人物をめぐって起こる、さまざまな物語。 それぞれ面白いお話でしたが、それぞれの中に「女性が男性に頼らず自立して生きていく」というテーマがあるように思いました。登場する男性が、軒並みジェントルメンではないところも、女性がしっかり生きていくことを際立たせているようで、清々しいです。あと菊池寛はほんとにこんなキャラだったのか、興味がわきました。

    7
    投稿日: 2025.05.19
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    やはりストーリーテリングのスピード、テンポ感はとても速く、グイグイ進む感じがあり、それが筆者らしいのかなと思う。 扱うテーマもジェンダーの問題を身近な登場人物のエピソードと絡めてエンタメ的に味付けして、という感じ。提示される価値観は自分のフェミニスト的なところと合っていて割と好き。 読み口がどの話も似ていて、ちょっと飽きやすいかな・・・という感じはしなくもない。

    0
    投稿日: 2025.04.30
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    このレビューはネタバレを含みます。

    柚木麻子の作風変わったなあ… 我が道を行く女性が中心になって物語が展開されるのは変わらないけど、舞台が結構不思議世界になってる 文藝春秋102周年の記念で菊池寛を登場させたのだろうけど、余計世界観が不思議な感じになってる

    0
    投稿日: 2025.04.24
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    これはおもしろい! 他の方の感想読んでると、けっこう好き嫌い分かれそうな感じだが、自分には合っていた。 7作品載っている短編集。 1作目から、なかなか突飛な発想ながらもスラスラ読めた。そうめんの話も普通に気になる。 ちょっとファンタジーな要素もあり、クスッと出来て、でもそこまでスカッとはしないかも。 どの主人公も、逆境にも負けず、ガムシャラに努力して…!みたいなタイプではなく、あるがままを受け入れつつ、ちょっとだけ努力して、みたいなところが良い。 この小説の菊池寛ほど自由奔放にはなれないが、楽して生きることに罪悪感を感じなくてもいいんだなと思える作品。

    1
    投稿日: 2025.04.24
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    このレビューはネタバレを含みます。

    「楽できるならそれを恥じずに環境に感謝してどんどん先に行った方がいいし、その分、人を助けたらいいよ。便利で新しいものもためらいなく取り入れる方がいいと思うよ」 私はずっと楽することに罪悪感を感じていました。環境に感謝するという考えは今まで持ったことがありませんでした。目から鱗でした。 ただ楽をするだけでなく、楽してできた時間を人助けで還元する。それなら楽することは罪と思わなくなるのかもしれないと思いました。 私は便利で新しいものを取り入れるのも慎重になり過ぎる傾向がありますが、便利なものはどんどん使っちゃえと思って、躊躇なく取り入れられるようになりたいと思いました。

    2
    投稿日: 2025.04.11
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    『あいにくあんたのためじゃない』に通じる短編集で、この中では「渚ホテルで会いましょう」の腹黒さが個人的には一番面白かった。 だけどそれ以外の作品に関しては、残念ながら著者の意匠が空回りしているように感じられる。特に菊池寛の名前が出てくる2作と解説は、正直ナニコレ?って印象で、読んでいるこちらが恥ずかしくなるほど派手にスベっているのではなかろうか。そこまで文春に忖度しないともう載せてくれないのかよと一瞬訝しんだけど、さすがにそんなことはないか。 これを独立した短編集に入れる意図もよく分からず、どうせだったらそっち系の作品で揃えれば良かったのにと思った。

    0
    投稿日: 2025.03.31
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    お、おもしろい…!! 短編に、それぞれの時間と時代があって、はっきりと分かれているのかなと思ったけれど、最後に繋がりが見えてきて読み応えがあった。 登場人物たちの価値観、正義、苦悩… わかる部分もあるし、この人はこんな考えなんだって人の思いの広さを感じた。 短編は長すぎず、短すぎず、楽しんで読めた。

    0
    投稿日: 2025.03.27
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    最高だった、、、! 特に「エルゴと不倫鮨」にはグッときた。 柚木麻子にはこのまま猪突猛進でいてほしい!

    0
    投稿日: 2025.03.26
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    ジェントルメン? どのお話の誰が?? 今の世の中では菊池寛さまはじめ 皆さま当てはまるかどうか怪しいですね 解説 菊池寛 ?! 一体どなたの文章でしょうかね……

    1
    投稿日: 2025.03.21
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    まあまあでした。菊池寛・文藝春秋など、その辺の知識のある人には楽しめたのだろうか。 女性が主人公の短編集ではあるが、そこにはどうしても男性との結びつきや男性がいないと、、みたいな価値観が漂って感じるのは私だけだろうか。

    4
    投稿日: 2025.03.20
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    どの作品も面白かった。 男性の価値観のもと形成された性的消費でなく、女性たちが自分の価値観で考え、したいように生きる。男性たちはそんな女性たちを認め、見返りを求めない援助をする。 男女平等なんて言ったって全然まだまだ男性優位の日本に牙を剥く作品だったな。

    0
    投稿日: 2025.03.20
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    エルゴと不倫鮨と、あしみじおじさんがよかった。 女性の抑圧をさらっとピリッと描くのが上手だなと思う。そして痛快。 “男の人が寛げるお店はいくらでもあるのに、私たちにないのはどうしてなんだろう?”

    1
    投稿日: 2025.03.01
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    さくさく読める。 あしみじおじさんが突飛で好きだった。 ここまで女性蔑視/軽視してる男性なんていないでしょ!と思いたいところだけど、「破けにくいストッキングを開発するぞ〜と頑張っている女性経営者に執拗に粘着する男性」という地獄のような構図を最近SNSで目にした身としては、最終話を「こんな嫌な男性いないって!」と思い切れず、厳しい気持ちにさせられた。 菊池寛の小説を読もうと思った! 作中の菊池寛さんのように、フットワークも心も軽くありたいな〜

    0
    投稿日: 2025.02.19
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    タイトルとジャケットではまったく想像できない内容に楽しませていただきました。 読みながら笑う…久しぶりでした。

    1
    投稿日: 2025.02.02
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    カバーイラストに惹かれて手に取った1冊。 日常生活での女性のモヤモヤが描かれた短編集。 菊池寛って当時どんな人だったんだろう?と興味が湧いた。最後の解説も菊池寛の魂が書いているという設定で面白い。 でも私の一番好きなお話は「あしみじおじさん」です。(菊池寛は出てこない)

    2
    投稿日: 2025.01.27
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    どう転ぶか分からないストーリー展開が楽しい短篇集。 多分に脚色されているとしても、菊池寛の人となりに興味が湧いてしまう。 高級鮨屋で豪胆に振る舞う女性が印象的な『エルゴと不倫鮨』が最高だった。 モテるための蘊蓄よりも造詣の深さが滲み出る彼女の語り口が小気味好い。 こういう話、大好きです。 それに彼女がリクエストする鮨がホント美味しそうで心底食べたいと思った。

    2
    投稿日: 2025.01.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    新人作家原嶋覚子は新人賞を受賞したがその後執筆に苦戦していた。 打ち合わせで訪れた文藝春秋のサロンで突然話しかけられ、声の主を探すとそれは銅像の菊池寛だった。 不自由のない育ちゆえに「作家は苦労を経験していないといけない」という刷り込みに苦しめられていた覚子だが、彼のアドバイスを聞き、信念に触れ、考え方を変えていく。 (Come Come Kan!!) 毛利は自身が出版した不倫小説「永遠の楽園」のモデルとなった渚ホテルを三年ぶりに訪れた。 久しぶりに来てみると、「永楽」ブームはすっかり落ち着き、客層も子連れがメインに変わっていた。 かつての恋人季見子とは不倫の仲で、このホテルに彼女が宿泊中に姿を消してしまったことが著作のモチーフとなっているが、今回の訪問で何度も別の女性を季見子と見間違えて声をかけてしまう。 そのホテルでかおるとひかるという子どもを連れた臼井という男性と知り合うが妻がその場におらず、毛利は「不倫される側」の物語も書きたいと臼井のことをよりよく知っていくうちに、自分自身の驕りと偏見に気づかされていく。 (渚ホテルで会いましょう) 剛は満員電車の中を進行方向とは逆に、まるで「勇者タケルの伝説」のゲーム画面のように移動していた。 女性専用車に向かうためだ。 本来女性専用車は痴漢に遭うようなか弱い女性のためにあるのに、実際はそんな心配のない女性たちが図々しく占領しているために、本当に使いたい人が使えない。 そんな持論をネットで展開し勇者となった剛はついに女性専用車に乗り込んだが、いつの間にか「勇者タケルの伝説」の世界に飛び込んでしまう。 その世界で厳しい試練に耐える中で真の勇者とはなんたるかを教えられる。 (勇者タケルと魔法の国のプリンセス) 金を持った男が若い女を落とすのにもってこいという評判が高い会員制イタリアン創作鮨店に、外資系企業の部長東条が部下の仁科を連れて訪れた。 他にも2組同じような組み合わせの男女がおり、どの男も店主の協力も得ながら食の蘊蓄を披露して順調に女を口説いていたが、そこに突然赤ん坊を抱いた普段着の女が入ってくる。 卒乳記念にワインを飲みたいと言い、ワインに合うメニューを店主に事細かに指示して作らせていく。 その迫力、知識量、美味しそうに食べる姿を見ているうちに、店内の女性たちにも心境の変化があらわれる。 (エルゴと不倫鮨) 旦那に浮気され、離婚届を残して息子と実家に帰っていた桃のところへ、旦那の父親の恭介がやってきた。 てっきり連れ帰りにきたのかと思いきや、浮気するような息子とは一緒にいたくないからここに住まわせてくれと言う。 恭介はこれまでコーヒーを淹れる以外の家事をしたことがなく、出ていって欲しい桃は家事や育児を押し付け心を痛めながらも冷たく当たるが、恭介の努力する姿を見て、少しずつ家族だと受け入れていく。 (立っている者は舅でも使え) 亜子は整形をしに訪れた美容外科でたまたま児童向け文庫の「アルプスの少女ハイジ」を読み、将来のことに思いを馳せた結果整形を断念する。 その文庫の他の作品も読み、少女小説の主人公のように自分にもスポンサーになってくれるお金持ちがいるのではないか?と考え、お金持ちの家で働かせてもらうために人材派遣会社に登録する。 そのうちに知り合った昌子という女性は野添という教授のもとで児童文学を研究しており、その野添こそが例の文庫を監修し、整形外科に文庫を置いた人物であった。 野添は亜子の存在を知り、恋愛感情など抜きにスポンサーとして支えることを考え始める。 (あしみじおじさん) 1931年、大塚女子アパートメントの1階にカフェが新しくできたのは、菊池寛先生が出資してくれたからだ。 世の中では「女が男なしで暮らすのはおかしい」という風潮があるが、菊池先生は珈琲の味を確かめると快くお金を出してくれた。 そんな菊池先生から出版社に大皿の注文が入り、店員だけでなくアパートの住人や近所の人の助けも得てやっとこさ出前を届けるが、そこにいたのは別の人物だった。 (アパート一階はカフェー) ファンタジー、史実に基づく時代物、現代が舞台の話など世界観も時代も違う話が次々出てきて楽しかった。 どれも女性の立場からもやっとする題材に切り込んでくれてスッキリする。 どの話も主人公が人と関わる中で価値観を変えていくもので、特に渚ホテル〜と勇者タケル〜はとんでもモンスターを予感した主人公が現代の価値観を受け入れた結果に驚いた。 個人的にはエルゴ〜と、あしみじ〜が特に好きだった。

    1
    投稿日: 2025.01.22
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    ---------------------------------- 美食 整形 貧乏 離婚 不倫 なにがあろうと ロマンチックに 猪突猛進! 胸のモヤモヤを吹き飛ばす7つの物語 ---------------------------------- 久しぶりに柚木さん読みました!! 直木賞候補になってたり(本作ではないけど)、 朝井リョウさんのエッセイ読んでたら、 柚木さんが登場されていて、 とにかく柚木さんに会いたいな〜と思ってたので、 久しぶりの再会に歓喜でした!笑 相変わらず面白くって、 突飛な発想から、 突然スンッて落とされたり、 ひゃっほー!って叫んでみたくなったり、 それぞれの物語の登場人物たちが 愛らしく爆走してます。笑 個人的に好きだったのは、 Come Come Kan!! 立っている者は舅でも使え 解説 菊池寛!? です。笑

    12
    投稿日: 2025.01.15
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    このレビューはネタバレを含みます。

    久しぶりの柚木先生の作品です。 7つの短編が収録されています。 どの作品も痛快で読み終わったらスッキリしました。 特に今作の中で印象に残ったのが、菊池寛がテーマの作品「Come Come Kan!!」で、文藝春秋社の 1階のカフェスペースにある菊池寛の銅像が喋りだし、行き詰まっている作家の手助けをする作品です。どこか楽観的で、捉えどころのない菊池寛の ペースに飲まれる主人公なのだが、作家としての 矜持を教えてもらいながら、前に進むストーリーです。 読んでみてスッキリしました。  合理的に物事を考えることも大事だなと改めて実感しました。

    43
    投稿日: 2025.01.13
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    文庫化されたので早速購入。 おもしろくてイッキ読み! 7つの物語からなる短編集。 ファンタジックな展開のものや スッキリ爽快な読後感があるもの 短編集はいろんな物語が 1度に読めるからいい。 解説はまさかの文藝春秋社を創設した菊池寛。 亡くなってる人が解説って初めて見た。 それもワクワクポイント! 収録されている物語のうち 特に「ComeComeKann!!」は きっとこの先何回も読みたくなると思う。

    14
    投稿日: 2025.01.09
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    【なぜ、私たちは社会と噛み合わないの? 】なぜか微妙に社会と歯車の噛み合わない人々のもどかしさを、しなやかな筆致とユーモアで軽やかに飛び越えていく短編集。

    2
    投稿日: 2024.12.12