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台北裁判
台北裁判
唐福睿、よしだかおり/早川書房
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総合評価

7件)
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    このレビューはネタバレを含みます。

    台湾のミステリ小説、手に取るまでは読みにくそうと、思い込みだけで手が出なかったけれど始まってみたらグイグイと。 持てるものと持たざるものとの格差社会を描いているのは他にも読んできたけれど、人種差別、移民、言語の違いや宗教、他にも人間に根付く感情その他もろもろが読む人を激しく揺さぶる。

    8
    投稿日: 2025.02.28
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    いわゆる法廷劇だが、先住民問題、移民問題、巨大な漁業利権と政治問題が複雑に絡み合い、かつその中に翻弄される人たちの葛藤が描かれている。 とにかく要素が多いのに無理がなく読める。 登場人物もキャラ立ちしていて魅力的。 展開や表現的にすでにドラマ化されてるかなと思ったらその通りだった。 ドラマも観たい。 そして美味しそうな食べ物もたくさん登場してきてるのが、東アジアっぽくていい。 調べたらドラマ、日本では観られないみたい。 日本向けにも翻訳してくれないかな…。

    0
    投稿日: 2025.02.22
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    人情とユーモア溢れる弁護人が台湾の巨悪に挑む! 死刑制度に切り込む社会派法廷ミステリー #台北裁判 ■あらすじ 台湾北部の八尺門で漁船の船長一家が惨殺される事件が発生。同船員のインドネシア人が犯人として捕まり、第一審の裁判では死刑判決が下される。 同じく八尺門出身の佟寶駒は、第二審の公設弁護士となり死刑判決を覆すように画策する。しかし政界、巨大企業、さらには自身の家族や八尺門の村人たちからも圧力を受けることになり… 台湾における死刑制度や世論の在り方に一石を投じる、壮大な社会派法廷ミステリーです。 ■きっと読みたくなるレビュー 超正統派な社会派小説ですね、読み応えがあります。台湾の歴史をはじめ、政治や法律、死刑制度など、学べることばっかりで、これぞ翻訳小説の魅力ですよ。 お話の筋としては、権力はないが自立心の強い主人公が巨悪に対抗していくというもの。主人公の本意は一筋縄では進められないんですが、関連していく仲間たちとのやり取りが人間ドラマを生んでいくんすよ。これが惹きつけられるんです。 ○佟寶駒(トンバオジ):公設弁護人 ユーモア、怒り、悲しみを率直に表現できる人間性あふれる主人公、主体性を持っているアツイ男。自らの過去を振り向かない勇気と覚悟をもっていて痺れますね。こんな人と一緒に仕事ができたら楽しいし、勉強になることも多いだろうな。 ○連晉平(リェンジンピン):司法官 主人公の佟とペアになって動く、兵役として司法官を務める彼。法曹家庭に生まれた、いわゆるお坊ちゃま。想像通り佟の影響をモロに受けてしまうことになるのだが、彼の爆上がりの成長度合いは見ごたえがありました。特に彼女との関係性の変化が具合が分かりやすくって好き。 ○リーナ:介護士であり、被告人の通訳 被告人の通訳として雇われるインドネシア人のリーナ、イスラム教徒。知識の習得や経験するということは、どれほど自分と周りの困っている人たち助けることができるのかを学んでいくのです。辛いことも多かったけど、立ちあがったときの彼女の姿が超絶素敵だった。 また本作でのテーマになっている死刑制度。台湾での死刑に関するデータ、政治家や国民の考えが印象的でした。正直、感覚としては日本と変わらない。直接関係ない多くの人々にとっては、死刑制度なんて、自分自身が善の中にいると安心したいためにあるだけですよ。殺人と正義の狭間に何があるのかなんて真面目に考えないよ、自戒を込めて反省しました。 さて本作、死刑制度の重い話ではあるのですが、主人公の佟寶駒の優しさが際立っているからこそ、温かさを感じましたね。人間には血が流れているですよ、うんうん。 そして本作は台湾でドラマ化(八尺門的辯護人)がされており、多くの賞を受賞されたようです。ローカライズがされたら、ぜひ拝見したいと思いました! 八尺門的辯護人 https://www.youtube.com/watch?v=L6niRx75ZcM ■ぜっさん推しポイント 本作は父と息子の物語でもあります。自分の生き方を全うして村を飛び出した佟寶駒と、アミ族の一員として生きてきた父佟守中。佟寶駒はそれでも父を愛し、援助を続ける姿勢に責任という重い文字が浮かび上がるんですよね。 そして駆け出しの司法官連晉平の父、大物司法官である連正儀。親の敷いたレールの上を歩み続ける連晉平が、この裁判を通して何を感じ、何を学び、どういう判断していくのか… ちなみに我が子は中学生と高校生なんですよ。まだ甘えてくれるのは可愛いんだけど、もうそろそろ自立、責任、アイデンティティというものを持ち合わせてほしいですね~ いや、そう思っているのは親の怠慢な気もするな。

    98
    投稿日: 2025.02.15
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    台湾の少数民族・アミ族一家殺害事件で、インドネシア人の青年が逮捕された。公設弁護人の【佟/トン】は、自身もアミ族出身だったが青年の弁護を引き受ける。しかし、青年は何も語ろうとしなかった。裁判はメディアの注目を集め、陰の組織が【佟/トン】に圧力をかけはじめる。弁護士で映画監督でもある著者が描く迫真の法廷ミステリ。 軽快なタッチで物語は進んでいくが、扱っている事柄はあまりにも重い。社会派リーガル・ミステリとして強くお勧め。

    7
    投稿日: 2025.02.09
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    ミステリよりも裁判制度、死刑廃止論が中心かな。台湾に先住民いること、インドネシアからの出稼ぎが多いこと、漁業の生々しい現状を初めて知りました。観光地としての台湾のイメージしかなかったので、かなり衝撃です。こうした内実がわかるのも、読書の良さの一つです。

    2
    投稿日: 2025.02.02
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    翻訳なのか私の読解力不足なのか、切れ切れな文章が気になってストーリーとして頭に入って来なかった。台湾の少数民族の苦悩とかは凄く感じたし、固有名詞に読み方が振ってあるのはとても良かった。

    8
    投稿日: 2025.01.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    面白かった。一章は極めて短いが、それ故に読みやすい。作者が脚本家であることを知って腑に落ちた。あと、名前の読み仮名をずっと振ってくれているのがストレスなく読めて地味にすごいありがたい。。 法廷もので一般的に期待される結末ではなく、信じがたい気持ちで最後まで読んだ。この残酷さ、この悲しみが制度としての罪深さなのだと感じる。 我々は野蛮でない振りをするべきだろうか?

    2
    投稿日: 2025.01.08