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タイタン・ノワール
タイタン・ノワール
ニック・ハーカウェイ、酒井昭伸/早川書房
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総合評価

10件)
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    スパイ小説の大家、ジョン・ル・カレの息子という紹介はもうニック・ハーカウェイにはいらないと本作『タイタン・ノワール』を読んで確信した。 2015年に読んだ『エンジェル・メイカー』が大傑作だったので、本作『タイタン・ノワール』も期待していた。それにしても『エンジェル・メイカー』から大分、時間空いたな、翻訳されてないのかな、なんて思っていたらこの人、エイダン・トゥルーヘンって名義変えて『七人の暗殺者』って作品が出てた。そういうの気が付かないからやめてよ笑 本作『タイタン・ノワール』はハードボイルドSFといったタイプの作品。 探偵兼警察のコンサルタントをしているキャル・サウンダーは高級アパートメントに住む研究者であるロディ・デイビットの死体の調査を依頼される。ロディは年齢は90代を超えていながら若々しい肉体を保っており、タイタン化の薬物投与を受けていたことがわかる。 タイタン化は薬物投与によって身体の若返りを得られる技術だ。受けることで驚くべき治癒力を得られるが、身体が成長し、巨人化する。複数回投与すればほとんど死を克服することが出来る。 しかし、タイタン化にはあまりにも莫大なお金がかかるため超超超富裕層か、タイタン技術を牛耳るトンファミカスカ・ファミリーの関係者かに限られていた。 キャルはロディの死の調査をする上で当然トンファミカスカ・ファミリーに行き着く。しかし、キャル自身もトンファミカスカ・ファミリーと浅からぬ関係があった。ある事情で別れたかつての恋人アテナがトンファミカスカ・ファミリーの娘で次のトンファミカスカを引き継ぐ有力者だった。 アテナの協力を得てトンファミカスカ内部を探るキャル。 更に裏社会の顔役であるライマン・ニュージェントなる人物からの接触も測られ、事件は意外な展開を見せていく。 プロットのイメージほど文章は重くなくて、リーダビリティが高くて切れ味が良い。500ページ近い本ではあるのだが、かなり読みやすかった。 事件自体はプロットは二転三転するが、意外とシンプルな結末に落ち着く感じはある。だがそこまで出会うキャラクターたちがタイタン含め魅力的なので、個人的にはかなり満足できた。 特にライマン・ニュージェントは一体どんな外見しているのか見てみたくなった。 タイタンという技術は一見良いことずくめに見えるのだが、複数回の投与をすることで人間から神的存在に近づいていくような、人間性が失われていく部分もあるのだが、そういうアイデアも含めて面白かった。 主人公の結末的にこれなら続編が読みたいなって思ってたら、2025年の春に続編が刊行されているらしい。こちらも評判が良いので今から楽しみ。

    1
    投稿日: 2025.11.12
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    若返るが身体が巨大化する「タイタン化」を人体に引き起こす注射薬を独占している特権階級一族にまつわるSFハードボイルドミステリ。 主人公は警察のコンサルタントで、タイタンに関係する犯罪を専門としているが、とあるタイタンの生物学者が殺されて犯人もタイタンだと推測される殺人事件について調査していくというストーリー。 キレキレでスタイリッシュな文体なのは相変わらずだが、過去作ほどのワクワクは感じられなかった。

    0
    投稿日: 2025.09.28
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    電子書籍で読んだことを後悔した。床にたたきつけたらkindleが壊れるからだ。 優柔不断なクズがまどろっこしい口調でたらたらつまんねえ事件を捜査しているだけのしょうもない小説。 SF要素いるか?これ。整形とかでも成り立つだろ。ミステリとしてもトリックは大して凝っていない。 あとたらたら探してたキーワードの一つが単なる聞き間違いってまじでふざけんなよ。

    0
    投稿日: 2025.08.18
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ル・カレの息子と知っていてもジャンルがSFじゃ手が出ないと決めつけていたら、 SFは特殊設定はスッと入り込め気にならない、 探偵がめちゃハードボイルド、 犯人探しのミステリーが組み合わされ、 文体がスタイリッシュで、 これは傑作。 他の作品が読めるかどうかは様子見だけれど、

    0
    投稿日: 2025.07.27
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    予想よりSF要素は少なかったけど予想よりノワール要素は強かった。 タイタンの設定が事前に考えていたのと結構違ったけれど、権力と体格が比例しているのは一周回って動物的で面白かった。 謎が謎を呼ぶ系の話かつ登場人物が結構多いので多少混乱したのと推理要素がロジカルでないので好き嫌いは分かれると思う。

    5
    投稿日: 2025.04.25
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     SFハードボイルドミステリとでも言うべきか。背景にSF設定があるのだ。この物語世界は、薬物によるタイタン(巨人化)化技術により、ひとにぎりの人間だけが長寿を享受できる世界である。タイタン化すると、身体が若返り、成長が止まらないので巨大化する。この技術は、もともと不治の病や瀕死の重傷の治療のために開発された。この技術を独占する〈トンファミカスカ・カンパニー〉の血縁者やコネのあるものだけが、タイタン化しているのだ。  物語は、近未来の架空の都市が舞台。ロディ・デビットという生物学者が、彼のアパートで遺体で発見されるところから始まる。頭部への銃撃の跡があり、他殺か、自殺か、あるいは事故なのか。警察は私立探偵のキャル・サウンダーに、捜査への協力を要請する。キャルのところに持ちこまれるのは、訳ありの案件と決まっている。ロディはタイタンだった。    SFとういうよりは、バードボイルドミステリだろう。タフな私立探偵が登場。そして〈トンファミカスカ・カンパニー〉のトップであるステファンと、その家族たちのドロドロした愛憎関係。スピード感のある展開で、非常に面白い。続編もあるので期待したい。

    44
    投稿日: 2025.02.24
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    ★5 SF、ミステリー、ハードボイルドの良いとこ取りをしたエグ味のある優秀作 #タイタン・ノワール ■あらすじ 近未来の大都市が舞台、私立探偵キャルは警察から依頼されて殺人事件を追っていた。その遺体は大柄の男で年齢は40代にしか見えない、しかし年齢は90歳を超えていたのだ。 「タイタン」と呼ばれている彼らは、富裕層が永遠の命を手に入れるために薬剤を開発した結果であり、そのひとりだった。キャルは誰が殺害したのか捜査するうち暗黒街の闇にのみ込まれていく… ■きっと読みたくなるレビュー ★5 これまたスゴイ小説を読んだ。まさにタイトルとおりの「タイタン」と「ノワール」な物語。 金持ちが不死身を背景に世界を牛耳っているんですが、暗黒街の大物を相手に私立探偵か命を懸けて謎を解いていくという、ハードボイルド&ディストピアSFです。 トンデモな裏社会にイチ個人の探偵が乗り込む王道のような展開ではあるんですが、相対するのはタイタンという突飛なキャラクターなんです。ハードボイルドの言葉とおりガチンコ勝負にはなるものの、革新的な設定すぎてストーリーが完全に異質なソレになってるのよね。SFとノワールの掛け合わせなんて、これまで自分の発想にないからホントびっくりしました。 そしでどんな話なんだ?進撃の巨人みたいなアクションなのか?サスペンス?と思いながら読み進めるんですが、これがなんと「人間ドラマ」なんですよ。いわゆる怪物化した人間の主義思想、関係性がメインの読みどころ。 探偵キャルは、ぼろぼろになりながらタイタンの闇社会に切り込んでいく。ギリギリの駆け引きや死の瀬戸際をいくアクションで目が離せなくなるんすよね。ロマンスシーンもあって、やたら艶っぽいのよ。終盤はタイタンや闇の人間たちによる、まさにあり得ない展開になってくるんですが… あとは読んでのお楽しみ。 そして本作はタイタンを取り巻く社会を描きながら、神に近づこうとする人間の汚い欲望も描いているんですよね。人間の欲望は金と女から始まるんですが、その欲望は死ぬまで変わることない。さらに際限なく増長していく怖さを感じましたね… そりゃ戦争なんてなくならないわな。 SF、ミステリー、ハードボイルドの良いとこ取りをしたエグ味のある優秀作。続編もあるとのことなので、翻訳を期待しています! ■ぜっさん推しポイント 本作はなにより書きっぷりがカッコイイんですよ。疾走感のあるストーリー運び、惹かれるセリフ、洗練された地の文章など、クールな小説ってまさにこういうのだと思うんですよね。 映画やドラマなどの映像では味わえない、小説がもつ魅力だと思うんですよ。こういう本こそ読書に興味ない人に読んで欲しいな~。ただ、読む力や想像力も必要だったりするから、ちと難しい。ぜひチャレンジして欲しいです!

    114
    投稿日: 2025.02.23
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いやー、訳者の酒井昭伸氏、楽しかっただろうなー。文章が躍動してるもん。 これが、読了後の第一印象でした。酒井氏がノリにノって翻訳作業を進めている姿が容易に想像できる、そんなイカした作品です。 ストーリーは、典型的なハードボイルド探偵小説です。ただし、ここに一味加わるのが、「タイタン」という若返りする医療技術と、それに伴い変容を遂げた人間社会と、その価値観。超高額かつ施術期間中に相当の痛みを伴うタイタン化技術は、超富豪で精神的にもタフな人間でなければ享受することができません。タイタン化の技術にまつわる利権を牛耳り、一族全員がタイタン化しているトンファミカスカ家(しかし、読みづらい苗字だな・・・(^_^; )の総領・ステファンがただ大声で笑うだけで、主人公の探偵キャルが物理的ダメージを受けて失神寸前になるシーンが、タイタンという存在のとんでもなさを際立たせています。こういった、現実社会をちょこっとだけ捻って新たな世界観を作り上げる技は、SFという文学ジャンルならではですよね。 ただ、ハードボイルドというジャンルで評価すると、ちょっとアレな感じもあり・・・ 主人公のキャルは、トンファミカスカ家の末娘である美しいアテナと恋仲だった過去があり、どうも今でも二人は相手を憎からず想っている様子。そのため、キャルは窮地に陥った時にアテナから情報を得たり、示唆を得たりして、結果的にあのラストシーンに繋がっていきます。 要するに、チートなんですよね。主人公が。 だから、展開が主人公にとってかなり都合よく展開し、ハードボイルドとしての面白さはイマイチかなぁ、と鴨は思いました。 というわけで星4つにさせていただきましたが、とにかく酒井氏の訳文が本当にノリノリで最高にcoolですので、それを楽しむだけでも損はありません!

    2
    投稿日: 2025.02.20
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    ビバップの各話タイトルみたいだな(実際には似てるのは「ガニメデ慕情」しかないんだけど)、と思ったりしたけど、当たらずとも、かな。 ガニメデといえば巨人(Giant)だけど、こっちは巨神(Titan)だ、と。 主人公には「ロング・グッドバイ」のエリオット・グルードを重ねながら読んでたけど、底なしのタフさからするとスタローンのほうが似合うかも。 ま、どうでもいいけど。

    2
    投稿日: 2025.02.16
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    CL 2025.2.10-2025.2.12 ある書評では絶賛だったけど、わたしにはあまり合わなかったかな。

    0
    投稿日: 2025.02.12