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死者を動かすもの
死者を動かすもの
T・キングフィッシャー、永島憲江/東京創元社
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総合評価

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    「アッシャー家の崩壊」を再構築した作品。おおまかなストーリーはそのままで、元の作品でも登場する人物たちの関係性、菌類学者の女性や屋敷に招かれていた男性医師、従者など他の人物たちの関係や性格などが合わさって複数人が同じ空間、タイミングでじわじわ熟成されていく不穏、不安が読んでいて薄ら怖くなってくる。 じっとりとして、なのにどことなく寒々しい屋敷。ぬめっと陰鬱な沼がありその雰囲気は全体に広がっている。 人や他の動物が近づいても凝視し続けるウサギ。そのウサギにまつわる話。 「アッシャー家の崩壊」を知っていても知らなくても楽しめるし、なによりあるものに対しての潜在的に感じる怖さ厭さが存分に味わえるのも良い。幻想怪奇というとらえどころの無い不穏さだけでなく、身近にあるものの怖さがプラスされていて、あれとかあれが好きな人に勧めたい。 立場の違う女性たちの目線も物語にすっと描かれているところもすごく良い。

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    投稿日: 2025.02.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ※「メキシカン・ゴシック」のネタバレもあります 「パン焼き魔法のモーナ、」が可愛い表紙と語り口でかつ死体だらけのシビアな話で、重厚で好きだったのが、今回はホラーということで楽しみ→予想よりさらに面白く怖くて大好きな話だった。ものすごく好み。 登場人物に友情と理性と勇気があり、それでも崩壊していくアッシャー家の物語なので、すごく読みやすく快適で、 なにより、これからもっと怖いことが起きますよ、ほら、ほら...という不気味な雰囲気を楽しみたくてホラーを読んでいるところがあるので、その点がものすごく良かった。いつまでも読んでいたかった。 登場人物が戦争のトラウマを抱えた退役軍人・医師や、時代によって能力を認められない科学者で、「これをなんとかしなければ、できるはずだと思おう、出来なくても最大限やらなくては」を淡々と、たまに毒づきながらやっていく雰囲気で、それが頼もしいのに全く歯が立たない(なぜなら崩壊するのが確定しているアッシャー家だから、がわかりきっている)のもよかった。 起こる出来事はショッキングで、淡々とした描写でもちょっと手が止まるくらいのところがあり、上品なお屋敷ホラーでしかもしっかりおぞましく、その怖さは最後に問題に対処したにも関わらず怖いまま、というのが嬉しかった。 菌類が人体に影響を及ぼしているところは「メキシカン・ゴシック」と同じ、というのは1ページ目からそうで、かつ菌類の何が怖いかや雰囲気も全然違うので気にせず読めた。 (女性の話、愛すべき・守ってやるべき女性がいるけど置いて逃げ出しても良い立場で、それでもなんとかしようとする女性の話、お屋敷と一族の話、異質な生物によって変わってしまった人間の話 まで同じだけど、血が熱くドラマチックで泥だらけ血まみれで守るべき二人の男女を連れて脱出するメキシカン〜に対して、守るべき人が変容していて、でも誰にも言わずにいたその内心も真実で、ドライで淡々と不気味で物悲しい)

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    投稿日: 2025.01.18