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入門講義 現代人類学の冒険
入門講義 現代人類学の冒険
里見龍樹/平凡社
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総合評価

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    現代人類学という馴染みはないけど気になるジャンルが気になって頑張って読んでみました。 最後のほうはやや力尽きてざっくり読みになっちゃいましたが、本の最後のほうに記載されていた、社会の”当たり前”が行き詰まりつつある中、それを乗り越える為の可能性を提示できるかもしれないのが現代人類学、といったことが書いてあり、資本主義に明らかな欠陥が見えていてAIの登場で世界がより混沌としていく人新世の中で、確かにそうかもって思いました。 SNS・インターネット・AI等からの情報収集から一定の距離を保ちつつ、フィールドワークを行い自分自身で感じて考えて整理して道を切り開くといったプロセスこそが、人間の豊かな個性を磨き上げるんだなって、本書を読み終えて感じました!

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    投稿日: 2025.05.10
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    人類学の変化 - 現代人類学は伝統的な「未開社会」の研究から進化している。 - フィールドワークの重要性が強調されており、特に地域社会の複雑な歴史や文化の動態に焦点を当てている。 - 人類学者は、自己の位置を「はじっこの学問」として認識し、他の学問分野と異なる視点から研究を行っている。 フィールドワークの実施 - フィールドワークの実施は、研究者が現地の人々との関係を築き、彼らの視点を理解することに基づいている。 - マライタ島のフォウバイタ村でのフィールドワーク事例が紹介されており、村の住民の多くが過去に沖合の島々から移住してきた背景が説明されている。 文化とアイデンティティ - 地域住民のアイデンティティは、歴史的な移住や災害によって影響を受けている。 - 住民たちは「海の民」としての生活様式を持ちつつも、かつては「山の民」であったという認識を持っている。 - 伝統主義的なバイアスが存在し、村や儀式が古くからあるものと誤解されることがある。 現代人類学の課題 - 現代人類学は、文化の多様性を尊重しつつも、科学的な視点と文化的信念のバランスを考える必要がある。 - 「異文化間医療」の概念が提唱されているが、文化と科学の非対称性が問題視されている。 - 新しい研究手法として「マルチスピーシーズ民族誌」が登場し、人間と非人間の関係性を探求している。 環境問題と人類学 - 人新世の概念が導入され、環境危機が人類学の研究に新たな視点を提供している。 - サンゴ礁など、脆弱な生態系との関係が強調され、その保全と人々の生活との関わりが探求されている。 結論 - 本書は、現代人類学が直面する多様な課題を探求し、フィールドワークを通じて得られた知見をもとに文化と歴史、環境問題に対する理解を深めることを目指している。 - 学問としての人類学の役割が、文化の多様性を尊重しながら、現代の問題に対処することであることが強調されている。 はじめに - 人類学の変化についての議論が展開される。 - フィールドワークの重要性とその方法論が強調される。 フィールドワークの新たな理解 - 従来のフィールドワークのアプローチは、特定の集落や地域に焦点を当てることが一般的だったが、現代ではその前提が疑問視されている。 - フィールドワークは、単にリサーチを行うことではなく、現地の人々との関係性を深めることが重要である。 文化概念の再考 - 「文化」という概念は多様であり、固定的なものではない。 - 文化相対主義の問題点を指摘し、文化を固定的に捉えることの危険性が説明される。 マライタ島でのフィールドワーク - フィールドワークの実際の経験として、マライタ島での生活が紹介される。 - 住民との交流を通して、現地の文化や社会を深く理解することが目指される。 人類学的なバイアスの認識 - 伝統主義的なバイアスがどのようにフィールドワークやエスノグラフィーに影響を及ぼすかを考察。 - 「古い」と「新しい」文化の境界が曖昧であることを示す。 現代人類学の方向性 - 人類学は、従来の枠を超えて、現代の問題に取り組む必要がある。 - グローバル化や環境問題に対する人類学者の役割が提起される。 まとめ - 現代の人類学は、伝統的なアプローチと新たな視点を融合させることが求められている。 - フィールドワークを通じて得られる知見は、単なるデータ収集ではなく、文化理解の深化に寄与することが強調される。

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    投稿日: 2025.01.26
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    人類学は、仮説/検証がそぐわない学問である。 仮説は、観察者側の価値観が色濃くでてしまうから。 そのため、観察対象に入り込んで 溶けこむための時間が必要。 ビジネスにおいても、 顧客のニーズを探るときには気をつけないといけない。

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    投稿日: 2024.12.29
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    里見龍樹「入門講義 現代人類学の冒険」(平凡社新書) 著者は大学院の社会学の研究が行き詰まったことをきっかけに人類学への転向を目指し、いきなりソロモン諸島のフィールドワークに出かけた。ところが人類学の基礎を学んでいないこともあり、現地で何をすればよいのか、何を見てどうレポートすればよいのか途方に暮れたという。また同時に人類学という学問自体も転換期にあり、ただ異文化に没入してレポートを書けばよいという時代は終わりつつあったと。そういう体験を踏まえて現代の人類学がどう変わってきたか、今日のフィールドワークでは何が大切か、などを講義形式で解説している。 20世紀のはじめ、それまで現代文明に向かって一直線に進化・進歩するという人類観から、それまでは単に未開と考えられていた文明にも独自の価値があると考えられるようになり、特定の地域で長期間滞在して民族誌を描くというスタイルの文化人類学がスタートした。ところが20世紀末になると、その「特有の文化」というのは植民地支配の結果ではないのか、そもそも人類学者がそれぞれの文化を俯瞰する神の視点を持ちうるのか、伝統文化自体も外部との接触や内的な発展で変化していることを無視していないか、人類だけでなく生態系をみないといけない、など多くの批判にさらされているという。

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    投稿日: 2024.11.28