Reader Store
足環をつけた鳥が教えてくれること
足環をつけた鳥が教えてくれること
山階鳥類研究所、鈴木 まもる/山と溪谷社
作品詳細ページへ戻る

総合評価

5件)
4.0
2
1
2
0
0
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    . 野鳥を撮影するようになって、鳥という動物に対する興味がますます高まりました。 それに伴い関係する本を読んでいるのですが、近年のテクノロジーの発達・活用により、野鳥の生態や能力に関して、新たな知見が見出されていることを知りました。 『世界を翔ける翼 渡り鳥の壮大な旅』 https://booklog.jp/users/makabe38/archives/1/4759820981 そんな、野鳥に関する調査の元祖とも言えるのが、鳥類標識調査。 ・野鳥を捕まえ足環を付けて、個体識別する ・別の時刻、別の場所でも野鳥を捕まえることにより、その行動を追跡する という、シンプルな調査方法。 2024年は、日本でこの調査が開始されてから100年。 書店巡りをしていたら、この調査を請け負っている山階鳥類研究所が出版したこの本を見かけたので、その場で購入を決めました。 鳥類標識調査により、どのようなことがわかったのか。 その内容を4章に分けて、研究成果を紹介しています。 第1章は、鳥の渡りについて。 ツバメやハマシギといった、個体数の多い渡り鳥について、どこから来てどこに行くのか、具体的に知ることができました。 第2章は、鳥類の寿命について。 全般的に「短いな」と感じました。 そして種によって、長短に大きな差があることも、印象に残りました。 第3章は、調査から見えてきた、種別の個体数の推移について。 「昨年は何度も見たのに、今年は一度も見かけない」というようなことを、何度か経験しています。 定量的な調査により保護施策が検討されているということに、希望を感じました。 第4章は、調査でわかってきた、その他のあれこれ。 この中では特に、ヤンバルクイナ発見のエピソードを興味深く読みました。 全体を通じて、地味に感じるこの調査方法によって着実に、野鳥の生態が解き明かされてきたのだということを、理解しました。 もっと、鳥に負担をかけずに効率的に調査できる方法が見出されるまでは、現在の調査を続けていくことが最善なのでしょうね。 実際に、標識のつけられた鳥を観察・撮影したこともあります。 その場合にどうしたら良いかも書かれているので、まずは自分に出来ることをやって、野鳥の生態解明、保護に携わっていこうと思います。  .

    0
    投稿日: 2025.09.05
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    鳥の標識調査が始まって、100年になるという。 そんなに長い歴史があったのかとまず驚く。 口絵写真に続いて現れたのは、鈴木まもるさんの鳥の絵と「はじめに」という文章だった。絵本作家として知られているけれど、私には「鳥の巣研究家」としての鈴木まもるさんの方が身近だ。ここに持ってきたか、とまずニンマリする。 内容は、それぞれの研究者が報告をする形なので、どこから読んでも完結した短い内容になっている。しかし、中身はとても濃く、しかも一般の人にもわかりやすく書かれているので鳥に興味がある人、環境に関心がある人なら誰でも読むことができる。 1羽の鳥がどれだけ生きるのか、またどれだけの距離を飛び、どこで繁殖しているのか、鳥たちの人生、いや鳥生がドラマチックに浮かび上がってくる。私は学者ではないので、そこに感動する。 バンディングは、法律で許可された範囲で網を張って鳥をとらえ、足環など必要なものを装着したのち放鳥する。種の保存、絶滅の危機、環境の変化など、足輪をつけた鳥たちからもたらされる情報は、貴重で不可欠なものばかりだ。 そして、バンダーを養成する過程は最近「ダーウィンが来た!」で見たばかり。一見乱暴に見えても、熟練した技術を持つ人たちは、最小限のダメージにとどめて素早く足環を装着する。そして、ささやかなお礼にと、小鳥につくダニをとってやったりもする。(ダニは小鳥にとっては致命的になりうる) 地球環境が加速度的に温暖化に向かい、人の営みによっても脅かされていくなか、足環をつけた鳥たちがもたらす情報は、より重要なものになっていくに違いない。

    9
    投稿日: 2025.01.12
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    100年に亘る標識調査で分かってきた、渡り鳥の飛ぶルートだったり寿命だったり生息環境の話。野鳥アトラスWEBというものを初めて知った。 鳥はヒトよりも環境や気候に向き合って暮らしているので、彼らを通じて気候変動の影響や防疫について知ることができるのだなぁ。その割に標識をつける人(バンダー)はほぼボランティア、しかもなるのがめちゃめちゃ大変と…よく続いてきたものだと思う。野鳥は好きだけど自分には無理だ。 シマアオジの保護の話も出てきたように、調査も環境問題対策も国際協力が不可欠。日本はシギやチドリを減少させているのに対策をなかなか取らないでいるけれど、間に合うのだろうか?

    0
    投稿日: 2025.01.10
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    共通テーマは「足環」のみで、専門の先生によって多様な鳥の知識がふんだんに盛り込まれたいい本でした。イラストに鈴木まもるを動員してくるのはさすがと感じた。ヤンバルクイナ発見時の回顧談と「日本のトキを野生絶滅させたのも自分たちで」は印象的でした。

    0
    投稿日: 2024.12.08
  • powered by ブクログのアイコン
    powered by ブクログ

    鳥について知りたい事、たくさんある。 ・冬に東京に来ていたジョウビタキ、日本が温かくなると何処に行くの? ・温暖化で地球の気候が変わっているが、渡りの季節や生息地も変わっている? ・ジョウビタキは1日でどのくらいの距離を移動するの? ・去年も今年も姿を見せたジョウビタキ、同一個体の確率はどのくらい? ・ジョウビタキは何年くらい生きるの? ・ジョウビタキの生息数は増えている?減っている? このような情報を得る手段として足環で個体識別をしている。 沖縄にいた鳥がオーストラリアで見つかった。 去年巣作りしたツバメが今年も同じ巣に戻ってきた。 など、足環を付けた鳥を再確保(再確認)することでいろんなことが分かる。 日本では1924年から標識調査が行われており、今年で100年になるということで本書が作られたようです。 実際に調査を始めると多々困難にぶつかる。 「最近、すずめの数が減っている?」という疑問が生じても、 過去のすずめの数の信頼できるデータがない。 すずめは人家の近くにいるが、野鳥調査の場所は人家のそばではないことが多い。 など、調べたいことに特化した調査が必要になる。 私は台風が来るといつも「すずめたち、避難場所をみつけたかな」と心配する。 台風通過後にすずめたちの姿を確認するとホッとする。 渡り鳥と台風のレポートがあった。 台風の季節に渡りをする鳥はどうしているの? 答えは、台風を避けている。 どうやって察知しているのか不明だが、台風が通り過ぎてから渡りを開始している。 温暖化で変わる鳥たちの渡りのレポートもあった。 桜の開花時期も早まっているが、鳥の渡りの時期も変化している。 食べ物となる虫の発生時期も早まっているのも影響していると考えられている。 なぜか渡りの時期を変えない鳥もいるようだが、こうした種は(エサが不足するため?)生息数が減っているようだ。 性別や年齢を正しく判別するのも難しいらしい。 年齢は1年未満の幼鳥と、1年以上生きている成鳥の区別ができるくらいだそうだ。 オガサワラカワラヒワも登場した。 川上和人さんの「鳥類学は、あなたのお役に立てますか?」で主役となった鳥だ。 川上和人さんから血液サンプルのDNA鑑定の依頼があり、調べた結果106万年前に分岐した古い系統群だと分かったそうだ。 私も5年程前に足環を付けたすずめ(の死骸)を見つけたことがあるが、生息期間や生息地の貴重なデータになるので、 足環を付けた鳥を見つけたら「山階(やましな)鳥類研究所」まで連絡してください。

    46
    投稿日: 2024.11.03