
総合評価
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powered by ブクログめちゃくちゃ面白かった。面白すぎて2回ビブリオバトルみたいに他人に語った。 ありそうでなかった恋愛⁉︎展開⁉︎この2人の関係性は不思議だけど素敵だった。 火葬場で出会って旅行に行く。 季節に一回しか会わないけど、次の季節になると「あの時はこう思っていた」と種明かしがあり視点が変わる。 男→女→男→女 これ30代後半以降の既婚者は、かなり刺さる恋愛系の小説なのではないか⁉︎ ブクログで評判よかったけど、その通りでした。 最後よかったー、けど、それまでが何度もドキドキドキドキ。 ゆっくりなのがいい。
37投稿日: 2025.11.09
powered by ブクログなんて素敵な大人の恋愛小説。いくつかの恋を経てひとりでいる大人には刺さる小説のはずだ。あるいは、恋人なんてもういいかなぁというときが一度でもあったことがある大人に刺さるはずだ。 父親を亡くした俳優の男と、婚約者を亡くした女は、火葬場の喫煙所で出会う。男は反りが合わない家族のいる待機部屋に居づらい。女は亡くなった婚約者の浮気相手の存在に葬儀で気付き内心ズタボロだ。現実から浮遊したような状況で出会った2人は、行きずりの相手に身の上をこぼす。 その時の会話がきっかけで、女が婚約者と行くはずだった旅行に、婚約者のフリをして男が同行することに。不思議な旅だ。特に何があるわけでもなく、同じ部屋で寝泊まりをして帰宅する。春。 季節は移り夏。男は祖母と行く墓参りの同行者として久しぶりに女を呼び出す。大汗を描きながら山を登り、祖母を挟んで少し打ち解ける2人。そして秋。紅葉のドライブ旅へ。4回しか会っていないのに、お互いの人となりをお互いに理解してきている。やがて季節は冬になり女はある決心を胸に、雪の旅に臨む。 いや非常に羨ましい。家族でも恋人でも友達ですらもなく、またそんな関係になる予定や予感すらない異性の知り合いと、一泊二日の旅行という非日常に出かける。どん底で出会っているので、いまさら自分を取り繕う必要もない。それってものすごく心が安らぐ旅な気がする。 そして、1年かけて、季節の移ろいに合わせて会うというゆったりした頻度も、大人のペースだ。じっくり時間をかけて知り合い、気づけば心が惹かれていく。恋に恋する季節が過ぎた大人の恋の落ち方として、理想的すぎる。 そして最後の旅のラスト。急に来る、胸キュン展開。そう、大人はこんなふうに、急に間合いを詰めることもできる。終始ゆっくり静かに進んできたこれまでとの緩急がまた、いい。人生の時の長さをすでに知っており、そして人間関係の儚さも知っている。そんな大人が向き合う恋やら愛やらは、冬の夜明けの空気のように静かでまばゆい。 男「じゃあ、僕があなたのそばにいさえすれば、これは一生続くんですね。 一泊二日をあと百回くらい繰り返したら、それはもう生活の一部でしょう。気長にいきます。」 女(一生これが続く夢を、私は一瞬だけみる。) 素敵な読後感のある小説だ。
20投稿日: 2025.11.08
powered by ブクログmihiroさんの紹介文で知った作家さんと作品。 そして、作家さんが女性だということも。 火葬場で知り合った男女が、その後、1年間にたった4回だけ会う。 春から冬までに少しずつお互いのことを知る機会があり、それでも知らないことも一杯あって。 お互い非日常のふれ合いを求め、そのため深く付き合うことはない。 大人の純愛小説なのかな。 結末がどうなるのか気になり、ドキドキしながら読み進めた。
33投稿日: 2025.11.02
powered by ブクログ本を閉じると瞼に広がる絵画、四枚。 春の火葬場。 花吹雪の淡いピンクと、 山里に咲くネモフィラのブルー。 夏の霊園。 丘の上からのぞむ山々の緑色と、 キラキラ光る海の紺色。 土砂降りの秋のダム。 湖面に映る濡れた紅葉の赤や黄色。 冬の温泉宿。 雪が舞う静寂の白。 心揺さぶられる美しい小説でした。 偶然 出会った二人。 鳴宮庄吾と藤間紗奈。 世界中を旅してきた鳴宮と、 ほとんど旅をしたことがない藤間。 「いつもいる場所を離れたら、旅」 鳴宮の言葉に魅了されます。 育ちも性格も全く違う。 だからこそ、 相手の動作や言動にハッとさせられ、 映し鏡のように 自身への発見に繋がっていく…。 そんな様子にわくわくしました。 「静寂と神聖は似ている」 最終章で描かれるこの言葉。 ここにすべてが語られているよう。 魂と魂が出遭う様子が、絵画のように描かれた小説でした。この本は私が通う図書館にはなかったので、取り寄せてもらいました。シンタロウさんのお勧めがなかったら出会えなかったかな。ありがとうございます。
50投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログしんしんとした雪みたいな静かな雰囲気の2人の恋愛が好きだった。「ぎゅん!」じゃなくて、「あ、いいなぁ」みたいな恋愛。 旅の終わりに2人で図書館で本を一冊読むのも、こっそり彼の読んでる本の題名を見て後で読んでるのも、本好きからすると最高。 「次は秋に会いましょう」というセリフも、非日常感があって良き。 四季折々の旅も。情景が頭に浮かんできて、こんな旅がしたいと思ってしまった。 2人が幸せですように。
2投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログ「次は秋だね__」 恋人でも友達でもない関係の2人が交わす不思議な約束。出会いの春から夏秋冬と季節が変わる度に変化するお互いの気持ち。 距離の縮め方が割れそうなガラスを扱うみたいに慎重で、繊細だった。美しい大人の恋愛小説。
5投稿日: 2025.10.02
powered by ブクログすごくよかった。 真っ直ぐ純粋で危うい紗奈の言動に対する鳴海さんの対応が素敵すぎる。 温かく受け止めて、ゆっくり待ってくれる姿勢も素敵だし、何よりおもしろがってくれる受け取り方がいい。 二人のやりとりは心地よくてほっこり笑えて、終わるのが寂しいくらい楽しい読者時間だった。 紗奈が新しい世界を知ってわくわくしたり、抱えてきた辛い思いを爆発させて泣いてしまう場面などは、心理描写が丁寧でわかりやすく臨場感があった。 旅行という非日常を共有することは特別な楽しさがある一方、いつ疎遠になるかわからない関係性は不安で切ない。 どう決着するのかわからず、秋の旅行は大雨のダムの場面でドキドキしたし、冬の旅行は紗奈が決意を匂わしていてドキドキした。
32投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ読みながら2人の旅もこの小説も終わらないでほしいと思っていた 誰かにおすすめするなら、きっとこの作品を選ぶと思う
3投稿日: 2025.09.23
powered by ブクログブクログの皆さまのレビューで知った作品。 深沢 仁さん初読み♪♪ 静か〜に浸っていたい様な恋愛小説だった。。 火葬場でたまたま出会った男女。 亡くなった彼と行くはずだった春の旅行に どういうわけだか同行してもらう事になる。 お互いのことを何も知らない者同士、探るでもなく静かにただ側にいるだけの不思議な関係の2人。 ふと思いついてお願いしたという 夏の墓参りでふたたび会う2人。 そこから普段は関わる事のない2人が 秋のドライブ、冬の宿と1年に4回だけ 季節ごとに旅に出かける。 淡〜くて脆くて すぐに消えてしまいそうな2人の関係。だけど、消える事なく 静かに少しずつ深くなっていく。 絵画のような恋愛小説と帯に書いてあったけど、あ〜なんかその感覚分かるなぁ。 素敵な恋愛小説でした〜。 深沢さん 女性作家さんなんですね! 描かれる世界観がとても好きだなぁ。 他の作品も読んでみたい(꒪˙꒳˙꒪)
94投稿日: 2025.09.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
2025/08/28予約 火葬場で初めて出会った沙奈と役者の鳴宮。春に沙奈がキャンセルしなかった旅行に一緒に行き、夏は鳴宮の祖母と三人で墓参り、秋はドライブ、冬に旅行と知ってるような知らないような相手とふたりで四季を過ごす。最近読んだことのないくらいロマンチックな話で私まで心が浮き立つ。フィクションだから、とは言っても素敵だな…
3投稿日: 2025.09.11
powered by ブクログ二人の少しずつ距離が近づいていく、探り探りで焦ったいけどそれがまたよい。 4つの季節の描写も素敵だった。 これから二人はどんな季節を過ごしていくのだろうか、想像するだけで幸せな気持ちになりながら本を閉じた。
3投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ久々に静かだけど、場面や心の機微がすーっと自分の中に入ってくる感覚が読了まで続いた大好きな1冊となりました
2投稿日: 2025.09.07
powered by ブクログ気まずい思いをして抜け出した火葬場の喫煙所で出会った女と男 見ず知らずの2人は、急遽、春の宿で1泊することになる。 季節に1度しか会わない二人。 顔を合わせる遠出で、少しずつ2人の間にあった距離が近づいていく。 互いが互いにとって非日常であり、大切な存在なのだろうか?と答えが出ないまま、それでも、相手との繋がりが切れてしまうことを恐れ、連絡が切れないことを願う。 とても上質な恋愛小説
1投稿日: 2025.09.03
powered by ブクログ非日常的な空間で次に会う約束も交わさなかった2人が、なんだかんだと季節ごとに会うようになる。 それでも、次の約束や綿密な予定は立てず、あくまでお互いのやりたいことを適度な距離感でしながら、ある意味逃避行的な旅行に2人で出かけていく。 友達よりよく知らない人の方が、しがらみがない分自分の悩みを話しやすいとよく言われる。 二人の関係はそれに加えて、お互いの空間をリスペクトしているところが良いと思ったが、最後の最後にそれが乱れる場面があり、その後どうなるかは不明。 現実にはこのような関係性を築ける人を見つけるのは相当難しいと思うが、心地よい関係性は友達や家族、恋人という枠にとどまるわけではないということを改めて感じさせてくれる話。
12投稿日: 2025.09.01
powered by ブクログふたりの四季を描く四章仕立て。 恋人の葬儀に参列していた女性と、不仲だった父親の葬儀に向かっていた男性。ふたりの出会いは、火葬場での偶然から始まる。 季節ごとにふたりは旅を重ねる。大人でありながら、不器用なふたり。旅をするごとに、距離や関係が少しずつ変化していく。 沈黙までも描き取るような静かな文脈に、夏目漱石『それから』『門』の人物同士の距離感を思い出した。感情を直接語るのではなく、表情や仕草から心の動きを読み取らせる文体。 前作『眠れない夜に見る夢は』における「砂をかむ」ような感覚を、女性の変化を軸に描いたバージョンのようにも感じた。 あらすじを端的にまとめるのは難しい作品 ただ、表現のあり方そのものが好みに合う作品でした
116投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログ読書備忘録936号。 ★★★★★。 参りました。降参です。 心がピュアな特に男♂が大好きな恋愛小説です。 この世の恋愛はプラトニックだと信じて疑わない男♂の大好物です。 読了後に、カバー絵を見てキュンとしちゃんうです。冬の旅。 作品タイトルも良いですが、副題「In Only Four Seasons」がキュンです。 だって読みながら「ああぁ、結ばれないのね・・・」と思っちゃう訳ですよ。 人物設定、物語設定的に結ばれるエンディングを想像できなかった訳です。 でも、恋愛小説はハッピーエンドが良いし! どうするの深沢さんっ! 主人公鳴宮庄吾。役者。芸名の塔野壮平として日々過ごす。 役者としての仕事より、仕事関係で紹介された何でも屋的仕事で暮らす。 不仲だった父親が死んだ。親戚が集まる葬儀。居心地が悪い。喫煙所に・・・。 主人公藤間紗奈。どこにでもいる事務職。婚約者が事故で死んだ。 婚約相手は浮気をしていた。浮気相手も来てる葬儀。居心地が悪い。コケて膝が血みどろに。近くにあった喫煙所に・・・。 喫煙所で2人は出会う。 ストッキングと絆創膏を買ってくる庄吾。 不器用にお礼を言う紗奈。 2人はお互いの身の上話をする。 そして、紗奈の婚約者が予約していた一泊二日の旅行に代理で庄吾が一緒に行くことになる・・・。春の旅。 そして、夏の旅。 そして、秋の旅。 本名と芸名の人格を器用に使いこなす、所謂人たらしの庄吾。 生きること、人と関わりあうことがどこまでも不器用な紗奈。 器用と不器用。 庄吾はどっちが本当の自分なのか分からない。 紗奈は違う自分になりたい。どうしたらなれるのか分からない。 そして冬の旅。 隠れ家的宿。雪でどこまでも音のない世界。 紗奈の覚悟の旅と行動。 マッチングアプリの情けない長い話・・・。 お互い相手を大切に思い大口論の末・・・。 キュイ~ン! 貴方の舞台が観たい。 貴女の生活が見たい。 一泊二日をあと100回繰り返そう。そしたら・・・。 サイコーのエンディングでございました。 深沢さんにジジイのハートを持っていかれたわ! ( ゚д゚)クワッ
59投稿日: 2025.08.13
powered by ブクログたくさんのブク友さんが大絶賛されているので、これは読まなくては!と手に取った本。 本当の恋愛は、こんな風にふいに始まることが多いのかもしれない。 火葬場で出会った二人が季節ごとに一度会うという、不思議な関係性。ずっと静かに物語は進んでいくけど、密やかに熱を帯びていく様子が美しく描かれているなと思った。 ☆を一つ減らしたのは、共感して物語に完全に入り込むことが出来なかったから。 主人公が自分とタイプが違いすぎるのと、美しすぎるからかなぁ。☆5を付けられなかった私は、心が醜いような気分になっているけど。 恋愛小説でいうと「汝、星のごとく」みたいな、不完全でままならない感じのものが好きなんだと思う。
58投稿日: 2025.08.12
powered by ブクログ極上のラブストーリーでした。 淡々と描かれているのに、少しずつ熱を持っていく2人の様子がリアルに感じられました。 男性と女性の視点の入れ替わりが効果的で、二人の外見の描写がほとんどないことも、想像を掻き立てられました。 同じものを読んでいても、読者によって頭の中で広がるイメージは、かなり違っているのかもしれません。
38投稿日: 2025.08.09
powered by ブクログ孤独のさなかにいる時に、こんな男の人と出会ったら、心が救われるなぁと思いながら読んだ。 素敵なおはなしでした♡
2投稿日: 2025.07.30
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
25/07/20読了 よかった。季節の質感も藤間さんと鳴宮さんの心情も自分の中に溶け込んでくる。2人の非日常が日常に移ろっていく、その過程の丁寧さにうっとりする。ラブストーリーをこんなに愛おしく感じることができたことすら嬉しくなる。
1投稿日: 2025.07.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
キレイな男と女のお話。 こんな人いないでしょって言うのが印象でした。物語としてはキレイで良いのです。現実離れしてますが。人生に余裕があればこんな恋愛をしてみてもいいかなっと思いますが、まず無理だと思います。
0投稿日: 2025.07.19
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
aoi-soraさんの 『身がよじれそうなほどの恋を経験してしまった感覚』 このレビューにノックアウトされ購入しました(*´꒳`*) 凄く素敵な感想(*´꒳`*) あおいさんのレビューにお星様10個です♪ ブクトモの多くの皆様も読まれており、レビューを読む度、読んでみたいなぁと思っておりました。 みんみんさんのプラトニック保証付きでしたので、安心して読み進めることが出来ました(*´꒳`*) あー(*´꒳`*) いいですね。とってもいいです。 静かに優しく流れる時間。 ギリギリ恋愛ではない、友達のような関係も何だかとっても素敵で、こういうのいいなぁと思いました(*´꒳`*) 先日読んだ二人の嘘もとっても良かったですが、こちらの本も私は大好きでした(*´꒳`*) 恋愛小説、あまり読みませんが、たまに読むといいですね(*^^*) 20歳くらい心が若返ります♪ 以下ちょっとネタバレするので、読んでいない方は読まないで下さいm(_ _)m 春、夏、秋と付かず離れずの距離感に少々もどかしくも、こういうゆっくりな恋愛、とっても素敵だなぁとトロトロのお湯に浸るような気持ちで読んでおりましたが、、、最後、冬ですよ!冬!? 何でそーなるの!? ならんやろー!!!! そーはならんやろーーー!!! って突っ込んだのは私だけですかね?? みんみんさーん、プラトニックって言ったじゃーん(笑) これってプラトニックなのですか!?( ̄▽ ̄) 。。。
141投稿日: 2025.07.13
powered by ブクログ出会いとなり行きは突然 まだ何も知らない二人の春の旅 そこから始まる不思議な夏秋冬の季節事の旅行 羨ましい(〃ω〃) こんな距離感が好き サプライズや激しい恋愛は苦手だ こんな相手が欲しくなったわ笑
51投稿日: 2025.07.09
powered by ブクログ火葬場の喫煙所で出会った鳴宮と紗奈。 鳴宮は不仲だった父親の、紗奈は自分を裏切った恋人の、火葬だった。 鳴宮の、 「悲しくはなかったが、喪失感はあった。どちらも負けたまま、ただ片方が死んだのだ。」 との語りが本当に虚しくて、その喪失感がこちらにも直に伝わる思いがした。 一方、紗奈はといえば、婚約者の葬儀で男の浮気相手と対面した直後だった。 非日常的な空間のせいか、互いに思いがけず自分の事を話してしまう。 父親の事。 婚約者の事。 これは二人が共に過ごした春夏秋冬の物語。 とは言っても、それぞれの季節に1度ずつしか会っていないのだけれど。 それは二人にとって丁度いい距離のつめかたで、だからこそ余計にかけがえの無い時間となったのだろうな。 各季節に1度きりの、途絶えてしまいそうなほどにか細い連絡の糸。 ある意味静謐である紗奈と、そんな彼女の様子を楽しんでもいそうな鳴宮。 好意を抱いているのは分かるけれど、軽々しく深まったりしない二人の関係性。 二人にとってのお互いは、どういう存在なのだろう。 けれど、そんな二人の様子が読んでいて心地よく、静かで美しいと感じた。 どの季節も良かったけれど、やっぱり冬が良かったかな。 雪の寒さ冷たさとは対照的に、熱っぽくストーリーが進むからだ。 鳴宮の雪の話も印象的だった。 (表紙は、足跡をつけてみてる紗奈なのかな) 紗奈が不器用な人だということは分かっていたけれど、 なぜ最後まで、 「一生これが続く夢を、私は一瞬だけみる。」 なの? 一瞬だけじゃなく続けたらいいじゃないの、とつい思ってしまった。 二人はどこに着地するんだろう。 やっぱり鳴宮を応援しちゃうなぁ。 二人のこれまでの非日常が、日常へと変わりますように。
46投稿日: 2025.07.05
powered by ブクログ自分を裏切った恋人ともうすぐ旅行に出かけるはずだった女、その恋人の代わりに旅に同行することを申し出た男。なぜか承諾してしまった女は、それまで見ず知らずだった男と春の宿で一夜を過ごすことになるー。 春の宿、夏の墓地、秋のドライブ、そして冬の宿。火葬場での出会い以来、それぞれの季節に一度ずつしか会うことのなかったふたりの一年を四章仕立てで描いた、絵画のような恋愛小説。 以上、単行本うらすじより引用 aoi-soraさん、1Q8401さん、他の方々のレビューで図書館に入れてもらって予約一番で新品を借りることができました。 でもごめんなさい。本当にごめんなさい、皆さんいいとおっしゃられているのですが、私にはちょっと合わない感じがしました。恋愛小説苦手なんです。 主人公の一人鳴宮庄吾がなんかキザな感じがして好きになれなかったです。 それで、最後には何があるのかなと思ったらそういう話だったのかとは思ったけど、あまり感動とかできなかったです。痒くなりそうでした。 本当にごめんなさい。 あおいちゃん、ごめんね。 私、恋愛小説苦手なんです。 今まで読んだ数少ない恋愛小説で、好きだったのは私は岩井俊二さんの『零の晩夏』。 ブクログ開始前に読んだけど辻仁成さんの『サヨナライツカ』などです。 『サヨナライツカ』は映画を観て号泣しました。
121投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ恋愛小説、普段はあまり読みません お勧めされて、ずっと読んでみたくて 絵画のような恋愛小説ってどういうことかと思っていたけれど、その場の美しい景色が見えるようでした 春夏秋冬、どれが好き? いや、悩む!凄く悩む!! でも、夏と冬かな?一つには絞れないです 非日常だからこそできることとか話せることってあると思うし、それが日常に近づいていくことが幸せなことならば日常になってほしい でも、それは非日常だからできることだから物凄く怖いことでもある この人の生きている世界に自分がいる、という確証が欲しい とか 自由な人だからなにも変わってほしくなかった、一緒にいる間の一晩くらいなら とか ちょっと感情移入しちゃって大変でした 久しぶりの恋愛小説は、幸せな気持ちになれました
15投稿日: 2025.06.23
powered by ブクログaoi-soraさん、1Q84O1さんの本棚より その後皆さんが着々と読了される中 やっと手元に届きました(^^) 読み終わった今、表紙がとってもいいんだなぁ。 今まで読んだことのない恋愛小説でした。 火葬場で出会ったふたり 父親を亡くした鳴宮と、恋人を亡くした藤間 亡くなった恋人と行くはずだった旅行に、なぜか鳴宮が一緒に行くことになります それから、季節ごとに旅をすることになるのですが、 ふたりの関係は自然体でいるようで、お互いの様子を見ながら探り合ってるようなところもあって、その距離感が絶妙でした 非日常で会ってる自分はいつもの自分とは違う。でもこれが本当の自分のような気もする。 旅を重ねるごとに2人の関係は少しずつ変わっていきます。 読んでいるこちらも穢してはいけない、汚したくない、そんな気持ちになってきます。 静寂を読んでいるような、 でも心地の良い読書でした 一緒になって旅をして 一緒に体感できたような気がします あ〜なんて素敵な関係なんだろう(*´∀`*) これから展開していくふたりのその後を 見たいような、 このままの二人を見ていたいような そんな感覚です 夏のおばあちゃんの旅がよかったなぁ(*´-`)
88投稿日: 2025.06.23
powered by ブクログ婚約者と行くはずだった旅行の予定を、火葬場で会ったばかりのよく知らない男と行くことにした女と、そんな提案をした男。 季節ごとに旅をする2人の、微妙な関係の変化がとても好きで。ゆっくりと温まっていく距離感が良い。 普段恋愛小説はあまり積極的に読まないのだけど、読書好きな方の勧めで読み始めたら、本当に素敵で、いい読書時間を過ごせたな、と感じた。この2人を見ている時間が終わるのがもったいなくて、ゆっくり読んでしまった。 こんなふたりの物語を覗き見ることができて、良かった。
32投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
火葬場で出会った二人、鳴宮庄吾と藤間紗奈。 紗奈を裏切った亡くなった恋人が用意した旅行に同行を申し出た庄吾。相手のことをよく知らないまま一泊することになった二人の緊張の春の旅。 紗奈視点の、夏の庄吾の祖母を連れた祖父の墓参り。 そして、秋、冬と季節の度に出掛けた二人は ―― 。 二人に流れる時間がゆったりと静かで、夏のじりじりとした暑さや、篠突く雨のダムや、足跡を残したくなるような真っ白い雪の風景が浮かんで、自然の音が聞こえてくるような描写でした。 二人の交互の視点というのも良かったです。夏の墓参りの話が特に好きです。 そして二人が選んだ結末も良かったです。 しっとりとしていて、さらりとした素敵な恋愛小説でした。お薦めです。
4投稿日: 2025.06.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
【あらすじ】 互いが、互いにとって‶非日常″。 そんなふたりの距離は近づくか? 春の宿、夏の墓参、秋のドライブ、 そして――冬の宿。 それぞれの季節に一度ずつしか 会うことのなかったふたりの一年を描いた、 絵画のような恋愛小説。 自分を裏切った恋人ともうすぐ旅行に出かけるはずだった女、その恋人の代わりに旅に同行することを申し出た男。なぜか承諾してしまった女は、それまで見ず知らずだった男と春の宿で一夜を過ごすことになる――。 春の宿、夏の墓参、秋のドライブ、そして冬の宿。火葬場での出会い以来、それぞれの季節に一度ずつしか会うことのなかったふたりの一年を四章仕立てで描いた、絵画のような恋愛小説。 【個人的な感想】 お互いの気持ちがわからなくてもどかしい、そんな感覚を思い出した。 おばあちゃんとお墓参りの話が好きだった。 鳴宮さんが終始かっこよくてきゅんきゅんした!
2投稿日: 2025.06.07
powered by ブクログ1Q84O1さんの本棚から 嘘じゃ(ΦωΦ) aoi-soraさんの本棚から 主人公が『イギリス人の患者』を読んでいました 読みたいリストのわりと上位の方にある本だったので、ちょっとびっくりしました そうかきっと今が読むときなんだな 『くそったれ少年時代』『TheBFG』『イギリス人の患者』『夜間飛行』 主人公の”男”が作中で読んでいる本 ちょっとセンス良すぎないか? しかし、なんとなく見えてくるような気もしてくる 不思議だね 適当に並べたわけがないので、なんとなく見えてくるものは、たぶん間違ってない気がする なんか物語の進行をなぞってる気がするんよな〜 『くそったれ少年時代』はロサンゼルスを舞台に父親から殴られながら育つ少年の話 『TheBFG』は孤独な少女が心優しい巨人と出会い友情を育む話 『イギリス人の患者』は記憶も名前も失った男が従軍看護婦に看病される中で徐々に記憶を取り戻し自分の秘密を語っていく話 『夜間飛行』暗闇の中で進むという危険と向き合いながらも勇気を持って、諦めることなく進み続ける男の話 そして、思い込みかもしれないけど、これらの本を読む人ってなんとなく誠実そうな気がしました
70投稿日: 2025.06.03
powered by ブクログプロローグ やっと巡り会えた もう決して君を離さない 思わず君を抱きしめた 想像してたより、色白で細身だ! そして、そっとキスをした 彼女は、ただただ優しい目でこちらを見つめていた! 本章 雑踏のいや、川っぺりの土手沿いに咲く小花たち 無数に咲き乱れる小花の中に2つの花だけが、ゆっくりと風に揺られ、揺られる度にお互いの花びら同士がそっと触れ合う そんな秘めやかな恋がしたくなる作品 『ふたりの窓の外』★と愛いっぱいの5 aoi-soraさんの本棚から 「身がよじれそうなほどの恋を経験してしまった感覚」から始まるレビューでKO❢ プラトニックな恋愛小説の極み! 2人の距離が1ミリずつ縮まって行くのが切なくて清々しい 正確には、2ミリ縮まって、1ミリ離れるような だから1ミリ それだけで泣けてきちゃう(TдT) ラストも最高だ(´°̥̥̥̥̥̥̥̥ω°̥̥̥̥̥̥̥̥`) 恋愛小説なんて、いつ以来だろう〰️ あ~『冷静と情熱のあいだ』以来か〰️ 誠に素晴らしい作品であった!!! エピローグ とある書店の女性店長 談 ちっ! なにあの客! 『ふたりの窓の外』を探せって言うから、持って行ったら 奪うようにひったくり、本を取るやいなや、あたかも女性でも観るような目つきと手つきで触り、挙句の果てに、本を抱きしめて、キスしやがった! お会計もしてないのに!!! ホント、きしょいんだから٩(๑`^´๑)۶ メルったく! 『店長の客がキモすぎて』★−5、、、、、 あとがき 本人談 まぁ、あの店長さんは、あ~仰られておりますけど、こっちは、この本と巡り合うために10軒以上本屋さんを探しましたから! そういう行動になるのは、至って自然な行動なんじゃないんですかね〰٩(๑òωó๑)۶ メルったく! あっ、因みに色白で細身っていうのは、装丁が白くて綺麗で頁数が思ったより少なかったってことね^^; 『店長の客が正当すぎて』★鬼5、、、、、 んなわけあるかい~(;・∀・) 袋綴じ特典 いつもの一人掛け用の安楽椅子(登場3回目)で本書を読み終えた 何日もかけて巡り逢えたのに、お別れはあっという間だ メルったく(TдT) 溜息ともつかない、息を吐き出すが、 君は相変わらず優しい目で見つめてくれている 最後にもう一度彼女を引き寄せた 完
47投稿日: 2025.05.27
powered by ブクログ火葬場で出会った鳴宮と紗奈。 運命としかいいようのない出会いから、季節ごとに2人で予定をたてない旅をします。 「いつもいる場所を離れたらもう旅」 音が排除されたかのような非日常な空間です。 春の ほのかに甘い香りが漂うネモフィラの花畑 夏の 霊園の階段を登る時の首すじから流れる汗 秋の ファストフードの匂いが充満した車内 冬の 何かを祝福するようなふわふわと空を舞う 大粒の雪 とにかく状況描写と心理描写が秀逸で、鳴宮と紗奈の心の動きを感じるたびに、キュンとして…何度も泣きそうになりました。 最終章では、どんな結末でも受け止めようと、私は息をとめて二人を見守っていました。 今までに読んだことのない、心が揺さぶられる恋愛小説でした。余韻で暫くふわふわしそうです。
117投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログ始まりは非現実的だけど… そこから始まるふたりの関係は、確実な約束もなく、いつ終わるかも分からない、名前のない関係。 少しずつ惹かれ合う様子は女性の視点で描かれているところでより共感でき、最終章での彼女の覚悟にドキドキしたし、お互いの本音がぶつかるところではヒリヒリもした。 「この人の生きている世界に自分もいる、という確証が欲しい」という気持ちが痛いほど分かった。 極上の恋愛物語。 大好きな1冊になった。
10投稿日: 2025.05.26
powered by ブクログaoi-soraさんの本棚からです えーっと、aoiさん、、、 私はあなたに怒っています! まったく! とんでもない本を紹介してくれましたね! これ、私がレビューを書くのが苦手なタイプの本じゃないですか!( ゚д゚ )クワッ!! なぜかって、、、? それはね、めっちゃ良過ぎるから! これはテキトーにふざけてレビューを書いたらダメなやつ! なので、書きません! いや、書けません! とにかく良い! (人´∀`).☆.。.:*・゚ だけど一言だけ書くとしたら、 ふたりの関係がいい 必要以上に会話をしなくても安心できる関係 この空気のような関係性がものすごくいい (*˘︶˘*).。.:*♡ うらやましい、、、 (ぼそっと)
57投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログ身がよじれそうなほどの恋を経験してしまった感覚 こんなふうになるのは久しぶり 藤間紗奈と鳴宮庄吾は火葬場で出会った。 藤間は恋人を亡くし、鳴宮は父親を亡くした。 火葬場という特殊な場所で出会ったせいか、初対面の二人はそれぞれ心の内側をさらけ出す。 普段の姿は知らないのに、飾らない内面を分かり合う二人。 春夏秋冬の四章で構成される物語は優しくて美しい 春【花を摘まない】 藤間が恋人と行くはずだった旅行に、恋人の代わりとして鳴宮が同行する 夏【流れる浮雲】 鳴宮の祖母の墓参りに藤間が同行 秋【雨は道連れ】 ドライブ旅行 冬【最初に触れる雪】 雪の積もる温泉宿へ それぞれの季節と二人の心の動きがとても細やかに描かれており、静かなのになぜか心が揺さぶられる。 私が一番好きなのは、夏の墓参りの章。 乙女なキヨノおばあちゃんが何とも可愛らしい。 私がこの物語にのめり込んだのは、小さな偶然があったからかもしれない。 春の章で二人は東京駅から新幹線に乗り高崎駅で下車するのだが、その場面を読んでいるとき偶然にも私も高崎駅を通過していた。 私は長野の実家から上りの新幹線に乗っており、季節も同じ四月だった… とても心に残る一冊 出会えて良かった
75投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログふたりの描写が繊細で、自分の中に溶け込んでいきました。四季で表現されていく感じも素敵でした。(一気に陳腐な感想になってしまい悔しい。) きっとすごく自由なはずなのに、安定して安寧な生活を望むがゆえに変化を恐れてしまって、でもそんな自分が嫌で、、だからこそ惹かれるんだろうな〜〜〜〜最後まで2人はどうなっちゃうの〜〜てどきどきでした。 最近ひとり旅をするようになったから、「いつもいる場所を離れたらもう旅なんだから、あとはなにもしなくてもいいんですよ。」って言葉に、胸がきゅぅっとなったな、無理しなくていいんだよ〜て言われているみたいで。
5投稿日: 2025.04.28
powered by ブクログこの男女の物語の印象は、「誠実」と「静謐」に尽きます。偶然の出会いに始まり、季節ごとに旅する関係性は、不自然さや違和感を超え、美しくさえあります。移りゆく四季に合わせ、4章立ての交互視点で描かれる物語は、非日常世界を覗くようです。 こんな設定はあり得ない、これは恋愛と言えるのか? などと邪推しながら読み始めましたが、徐々に物語に引き込まれ、説得力をもってリアリティを感じるから不思議です。筆力の為せる技でしょう。 売れない役者の鳴宮も事務員として働く藤間も、ともに立派な大人同士です。鳴宮は世間的には多々問題はあるものの、優しく誠実でした。どちらかと言うと、藤間の方に危うさがある気がしました。 それでも、余計なことを言わない・聞かない、全部残したいので一部を切り取るような写真は撮らない、細かな予定・計画を立てない等、成熟した大人の発想が散見されました。 風景として街の喧騒や熱もなく、人として打算や傲慢さもなく、ほのかな温かさが心地よく感じられます。おそらく、ふたりでいても(よい意味で)孤独を確保できる関係性があるからなのでしょう。 ふたりの距離感がよく、繊細な心情を情感豊かに描かれる物語の帰着点はどこ?とページを捲る手が止まりませんでした。 いろいろと抱えている女性ほど、きっと大絶賛する一冊となり得るのではないでしょうか。こんな恋をしてみたいと…
93投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログこれ、すっごい好きだった!! すぐにもう一度読み返したいくらい。 しばらく幸せな余韻に浸りました。 火葬場で出会い、言葉を交わした二人。 そこから始まる鳴宮さんと藤間さんの不思議な関係。 密やかで、静かで、いつの間にか思いは深くなっていく……。 二人の間に流れる空気も、沈黙さえも心地いい。 密やかでささやかな望みが、何だか胸に染みた。 「透明感がある」ってこういう小説のことを言うのかもしれない。 好きな人のにおい、声、選ぶ言葉、気配。 いいなぁ、それだけで心が温まる。 ずっとこの時間が続けばいいのに…。 二人の間に流れる空気が、とても好きでした。 自然描写も素晴らしくて、映画のワンシーンを見ているみたいに心地よくて素敵だった。 もっともっと、この世界に浸っていたかった。 最終話でもう胸がいっぱい… 特別に好きな恋愛小説がまた増えました。
18投稿日: 2025.03.21
powered by ブクログ父を亡くした男と恋人を亡くした女が、葬儀場で出会ってから再会した後のこと。 自分を裏切った恋人と旅行に行くはずだったが、その恋人の代わりに同行することを申し出た男との春の宿からネモフィラと図書館。 夏には男の祖母と愛犬といっしょに墓参り。 秋には雨の中のドライブで迷子の外国人夫婦を拾ったり、ダムを眺めたり。 そして、冬は雪舞う宿で女は決意する。 2人の間の距離感や存在感が微妙に変化していくのがよくわかる。 相手に対してどちらも無理を強いることはせず、お互いに気儘なようでいて、気遣いもある。 言葉少ないながらも嫌な空気感にはならないところが、居心地がいいというのだろうか。 絵画のような恋愛小説と帯に書いてあったが、まさしくその通りで、描写が美しく季節を感じ、色を感じた。 文庫本片手に旅行する男、好感度が増す。 静かな恋愛という感じが、とても良かった。
71投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログ彼氏が死に、葬儀場の喫煙所出会ったばかりの男と旅行に行くことになった。死んだ彼がキャンセルできない予約をしていたから。 すごく良かった。男性女性相互の目線で描かれる絶妙に微妙な内面描写が好みだ。
3投稿日: 2025.02.12
powered by ブクログすごくゆっくりと内面にしみわたるような恋愛小説でした。春に出会った2人が、夏、秋、冬と時間をかけてお互いの存在を確認していく過程が素敵です。スマホが普及して、昔と比べて気軽に連絡が取れる生活の中で、この2人の距離の取り方がすごくいいですね。
34投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログSNSで見掛けて気になり、手に取った作品。 装画もすごく好きで、今の時期に読むのにぴったりだと思った。 火葬場で出会い、ひょんなことから春夏秋冬…季節ごとに一度だけ一緒に旅をすることになった男女の一年間を描いた物語。 年齢を重ねてきたからなのか、恋愛小説で好きな作品に出会うことが減ってきたように思っていて… でもこの作品はとても好きだった! 喪失を抱え、自分の人生なのにどこか投げやり。 そんな2人が一緒に旅をすることで、自分自身に対して、相手に対して、気持ちに変化が表れていく。 この関係を何と呼べばいいのか? また次はあるのか? 一緒に過ごした季節を重ねるごとに、変わっていく2人の空気感や距離感… 近いようで遠く、もどかしい。 けれど、一年を通してゆっくりゆっくり育まれていく想い、関係がなんとも尊い…! 心理描写はもちろん、風景描写も素晴らしく、私も2人と旅をした気分になれた。 春のネモフィラ、夏の緑色の山々と紺色の海、秋のダムと紅葉、冬の雪… 私も季節を感じながら、あてのない旅をしてみたい。 読後、装画を見て思い出してはニヤリ。 キュンとしたい方、おすすめです♡ ✎︎____________ 本を読んでいる人間ほど無害なものはない。意識の大半は別世界に向いているのだから。(p.10) ──動物は、信頼していない相手が向けてくる親切の受け止め方を知らないから、むやみに行動を起こさないこと。主人にも、神様にもならなくていい。まずは無害だと理解してもらって、信頼を得るのはそれからよ。(p.21) 俺は器用だとよく言われる。それは不誠実であることと紙一重だろうと思う。あるいは、表裏一体だろうか。(p.35) いつもいる場所を離れたらもう旅なんだから、あとはなにもしなくてもいいんですよ(p.51) なにも知らない人の無神経はあまり応えないということだった。多少なりとも事情を知っている人の見当違いの気遣いのほうが、ずっと傷つく。(p.73) かわいそうだと、友人に思われるのは悲しいことだ。(p.82) まやかしでもいいから、安全で優しくて逃げ込める場所が私も欲しい、いっときでかまわないから。(p.104) なんにでも付き合うし、この微妙な関係のままでもかまわないから。あなたはどうか、ひとりでどこまでも遠くに行ける人間にはならないでくれ。(pp.148~149) そのうち会えなくなるのは、きっと仕方がない。 でも、この人の生きている世界に自分もいる、という確証が欲しい。(p.218) 人なんていつ死ぬかわからないし、死んだらなにかを訊くことも、求めることもできなくなるのだから。(p.234)
41投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
もう……大好きすぎて言葉にならない。深沢仁の書く男は退廃的な色気があって、女は孤高の芯の強さがある。ドストライクです。 葬式場で出会った男女が季節ごとに1回会う話なんだけど、ふたりだけの世界を覗き見させていただいているような感じ。ずっとおしまいの雰囲気が漂っている、掴めそうで掴めない煙のような関係がたまらなく好きです。好きだの愛しているだの熱烈な告白はないのに、ああこのひとは相手のことが本当に好きなのだと痛感させられる、そういう内なる熱さがたまらない。 特に冬の宿での夜のシーンで、鳴宮が藤間さんに言ったセリフがも~~~~痺れる。 大好きだよ深沢仁~~~~~!!!!
7投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログこんな上質な恋愛小説には二度と出会えないかもしれない。そう思える作品でした。 それぞれの季節に一度ずつしか会うことのなかったふたりの一年を描いた、絵画のような恋愛小説。 主人公のふたりが、それぞれの季節に旅をして、お互いを知っていきますが、この緩やかな過程がとても心地良く、読み終えるのが惜しく感じました。旅先での情景描写とふたりの心理描写が絶妙で、非日常な空間とふたりの関係性がとても美しかったです。ラストは切なくも温かい気持ちになり、泣いてしまいました。 普段、恋愛小説をあまり読まない人や、恋愛に疲れている人にもオススメの作品です。
17投稿日: 2025.01.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
火葬場で出会った男と女の、一年間の物語。 事故死した恋人の葬儀に浮気相手が乗り込んでくる、って。もうそれだけで人生のすべての不幸カード全て出しでしょう。 抜け出した喫煙所で出会った、不仲な父親の火葬中の男性となぜかお互いの境遇を語り合ってしまう、という日常ではちょっとお目にかかれないような始まり。 絶対に重なることのなかった二人の時間がひょんなことから交わり、そしてこれまた不思議な縁で三か月ごとに旅に出ることになるという。 真面目で、多分世間知らずな藤間さんと、売れない役者の鳴宮くんの、目的のない、世間というリアルから少し外れた旅がとてもとても心地よい。 お互いにお互いのことを全く知らないのに、なのに最悪の状況だけは共有してしまった始まりだから、心の鎧を脱いで自分のままでいられる時間だったのだろう。 社会という枠の、対角線上にいるような二人の距離が、少しずつ、少しずつ近づいていく。 臆病で、弱くて、だけどまっすぐな二人。ひとりで生きていく道を探していて、二人で生きていく道を見つけてしまった。 大声で「面白いから読んで読んで!!」と騒ぎたくはない。ひっそりとこっそりと自分の宝物として大切な人に手渡したい。そんな一冊。
6投稿日: 2024.12.15
powered by ブクログとっても良かった……。余韻で泣きそう。刹那的で透きとおっているのに、嗅覚や触覚、体温がリアルに立ちのぼってくる深沢先生の文章が好き。
4投稿日: 2024.12.09
powered by ブクログ『なんにでも付き合うし、この微妙な関係のままでもかまわないから。あなたはどうか、ひとりでどこまでも遠くに行ける人間にはならないでくれ。』 ネモフィラの目を奪われる青さや、うるさい蝉の声、秋の静かな海、雪の冷たさ。車の中のマックの匂いまで伝わってきた。 この本を開くと四季折々の情景や雰囲気を感じて、自分も2人と一緒に季節を巡っているような気持ちになれる。 四季の移り変わりと共に2人の気持ちも変わっていく様子が読んでいて心地よかったし、ずっとこの物語に浸っていたいという気持ちになった。
4投稿日: 2024.12.04
