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ネコのムル君の人生観(下)
ネコのムル君の人生観(下)
ホフマン、鈴木芳子/光文社
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総合評価

4件)
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    本著(下)はムルは子どもから大人になり、社会に揉まれ精神的に成長する姿が読み取れる作品である。猫視点で描かれているが、その様は人間社会のようで、現代の私たちにも充分響く内容である。 物語の後半でより顕著になり、幼さや理想主義から現実の複雑性との折り合いをつける知恵が表現されるようになることから、成熟描写が「経験を通じた内面の深化」として変化しているといえるだろう。 『ネコのムル君の人生観 (下)』で示される「成熟」の描写は、主人公ムルの若さ特有の軽率さや衝動から、経験と内面の成長を経て、自己理解と他者との関係性の深まりへと変化しています。下巻では、結婚や浮気相手との決闘、上流階級での体験といった外面的な出来事を通して、精神的な深みや限界の自覚、忍耐や共感の学びが強調されるようになるため、成熟が単なる大人になることを超えて「経験を通じた内面の深化」を読書体験を通じて得られるであろう。 著者の幻想的で人間味のあるムルを通じて今を生きる私たちの中にも成長を促す一助となる良書といえよう。

    0
    投稿日: 2025.08.27
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    昨年上巻を読んで、気づけば半年が経っていた。 ネコのムル君が筆を取るときに音楽家クライスラーの伝記を下書きとして使い、出版社にそのまま送ってしまったため、ムル君の話とクライスラーの話が交互になって出版されたという設定の本。 下巻は若者から成熟期に至るまでのムル君の人生が綴られている。 学生連合に参加するようになって以前の品格がなくなったと人間様から言われたり、犬族が集まるパーティに参加したりと、世界を広げていくムル君。 そしてその間に挟まるクライスラーの伝記。正直最初は読みにくかったけど、ムル君の話とリンクするところもあってだんだん慣れてくる。 あとは所々に編集者のツッコミがあり、「ネコ君、それは盗作だ」とか「ネコ君がまたもや反故紙二、三枚をひきちぎってしまったために欠損箇所が生じました」というところでインテリネコムル君の愛くるしさが爆発している。 ムル君へ 「ストイックに真剣に節制しようとしたが、ネコは本質的に誘惑に弱い。ミルク粥の快い匂いや、思わず座りたくなるような、ふっくらしたクッションを前にすると、このうえなくりっぱな固い決意もたちまちくじけた。」(p.14) というのは人間も同じだよ。

    26
    投稿日: 2025.03.27
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    このレビューはネタバレを含みます。

    クライスラー篇のほうが読みにくくて流し読みをしてしまったが、ところどころに同じ場面を違う視点で描写しているのは何となくわかった。猫と犬と人間の社会が違うルールだったのが面白かったが、ミーナが出てきたときのムルは、なんか、凄く嫌だった。

    1
    投稿日: 2024.11.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ネコのムルくんの下巻 上巻に比べて慣れたせいかスラスラ読めた ムルくんも成長して、さまざまな経験をして さらに可愛らしい! 同時進行のムルくんの小説は、さてこれからと言うところで終了!えっ?なんだか中途半端なと思ったが解説では、またはじめに戻るとか‥読み直してみたら、なるほどそうも思える。もう少し生きていて欲しかった!ホフマンもムルくんも でも予想通りおもしろかったです! 小説全体が狂詩曲、二重奏、無限の憧れをのせたムルの魂!

    46
    投稿日: 2024.10.31