
総合評価
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powered by ブクログ北條夫人のキャラクターなど魅力的だし、ブラジル移民の様子など舞台設定もユニーク。時間をかけて盛り上げてきたストーリーだが、終盤、失速したように感じた。日本、というものへのこだわりから離れた、ような。。私の読みが浅いのかもしれないけど。
0投稿日: 2025.06.13
powered by ブクログ美しい自然や伝統、人間社会や価値観、心の中の思い出さえも、時とともに変わりゆく。後悔してもしなくても、季節はめぐり月は満ち欠け、人は老いて死ぬ。大切な誰かを喪った経験のある人なら誰もが、心に響く歌や文章に出会えるはず。 別世界の話のようで、先の戦争を生き延びた親世代やコロナ禍を経験した私達自身の話でもあり。 耳を澄ませは“音”が聞こえ、情景が浮かぶようで‥本当に本当に素晴らしかった。
3投稿日: 2025.05.20
powered by ブクログ水村美苗さんの長編は12年ぶりだそうだ.待ち遠しかった.そしてこれが最後の小説だという.まあ年齢を考えれば自然な決断なんだけど,何とも惜しい.大人の読書に耐えうるクオリティをもつ小説の書き手はそうはいないのだから.一方で,仮に次の小説が書かれたとしても,それを私が生きていて読めるかという問題もあるわけだから,諦めが肝心かもね. さて,この小説,これほど浮世離れした小説も珍しいのではないか.空想が羽ばたくというよりは,コロナ禍の時のように,他の世界から分断された閉じた世界を感じさせる.語り手はほとんど軽井沢から動かないし,前半は全てのことが軽井沢でのできごと.下巻から,貴子の過去へ話は移るが,これもほぼブラジルの移民社会の中,そのなかでも特殊なサークルでの生い立ちである... 現実にいたら,かなりややこしそうな登場人物ばかりだが,この虚構を私は楽しんだし,最後はなにかとても嬉しくなってしまった.コロナ禍にはいいことが何もなかったが,こういう物語が生まれてたとしたら,それは一つの救いだと思う. 以下,蛇足.断捨離中の私はこの本を図書館の長い順番待ちの列に並んで借りて読んだ.しかしもう私には2週間でこの本を読み切る能力がないのに気付かされた.申し訳ないけれど返すのが遅くなってしまった.ごめんなさい.
0投稿日: 2025.04.10
powered by ブクログ軽井沢の避暑地で過ごす米国人の男性とその隣に新しく家を増改築して転居してきた元大使夫妻。能を舞い日本の伝統文化を生活の中に取り入れる妻に惹かれながら、その奥にある戦前から続く物語が明かされていく。ブラジル移民の実情はよく知らず、本書の中で取り上げられている事実は厳しく辛いなと思った。戦前、戦後に多くの人が本当の事情を知らないまま大きな負荷を背負わされた。そして時間がたつにつれてその事実すら消えてなくなりそうである。本書のように、小説の中でそれらの出来事に触れ、読み継がれていくことが大事だと思う。長編だったけど、いろんな場面を思い浮かべながら読み進めることができた。
0投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
後半は大使夫人貴子の生い立ちがほとんどで、彼らがブラジルに戻ってから連絡が途絶えてケヴィンが心配する様子が描かれる。ラストは落ち着くところに落ち着くような光の見える展開でホッとしました。 軽井沢の蓬生の宿の描写が素晴らしいので、どちらかというと前巻の方が好きです。
0投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
うつくしくて静謐な筆致の中に不穏さが見え隠れして、夫妻とケヴィンは一体どうなっていくの…?とドキドキの上巻に続く下巻。「夫人」と出会ってからの貴子の半生が語られていく。 面白かった。ブラジルの日本人移民のことなんて考えたこともなかった。 でも、読み終わって気付いたんだけど、私、貴子があんまり好きじゃないのかも。なんでだろう、結局は周りの人を振り回して平気な(またはそれに気づいてない)人みたいな気がしてしまって。
2投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログ下巻は、貴子の、そして「おばそま」の半生が入れ子のように、薄紙を剥がすように明かされ、ブラジル移民の痛切な生き様を知る。私たちは日本に何をしてしまったのだろう。今も容赦なくその美と本質を壊し続けて。最後の数ページで声を上げて泣いた。失われたものの尊さと、かすかな希望に向かって。
1投稿日: 2025.02.24
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
水村美苗のどの作品も端正な日本語文章を楽しめたので、これも期待して読み始めた。上巻は面白くぐんぐん読んだのだれれど、下巻では読むスピードがだいぶ落ちたのはどういうわけか 。失われていく日本らしさなのか、ブラジル移民のことか、焦点もくっきりせず、コロナ禍と絡める必然性も私にはよくわからなかった。貴子という人も夢の中の人のようで、魅力が伝わりきれず。読後感も凡庸で、どうも私にはあまり合わなかったようだ。
4投稿日: 2025.02.20
powered by ブクログケビンは、夫婦のことを書いて残しておきたいと思った。特に貴子のことは。本人から聞いたことより夫の篠田氏から聞いたことが多かった。貴子のことは篠田氏も六条の御息所から詳しく聞いていたのだ。貴子の両親がサンパウロについてそこで貴子は生まれた。しかし母親が死んでしまいどうしようも無くなった父親は旧知の山根書店のおじいさん(安二郎)とおばあさん(八重)に預けていった。この山根書店で貴子は大きくなった。二人は貴子を一人前の日本人として育てたいと習い事にもお金を使った。それで店の奥で謡を舞っていたのを六条の御息所に見られたのである。それが縁で御息所の北條瑠璃子との繋がりができた。
0投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ新たな未来が拓けることを夢見て渡った ブラジルの地で、いろいろな苦悩と戦いながら成功した人、夢やぶれた人。 経験した人でないとわからない想像を絶するものであると下巻では目が離せなくなりました。
0投稿日: 2024.12.14
powered by ブクログ久しぶりに美しい日本語、美しい日本の文章を読んだ気がする。日本から遠く遠く離れた地で、日本を恋焦がれながら生きた人々。天の原ふりさけみれば。月の描写があまりに切ない。彼女の人生だけでなく、描かれないままの数知れない人々の人生に思いを馳せずにはいられない。知らずにきた歴史と自らが進行形で経験している歴史が交錯して、あまりに雅であまりにリアルで、いにしえといまが組み紐のように織りなすあはれなる世界観に惹き込まれ続けた作品だった。
2投稿日: 2024.12.02
powered by ブクログ上下巻読了。 水村さんのファンなので、全作読んでいる(寡作なので自慢ではない)。久々の小説で大いに期待して読んだ。私はだいたい大いに期待して読むと失望するのが普通で(『百年の孤独』など人類史上の傑作は期待以上だったが)、この作品は、若い頃や若い人が読んだら、『本格小説』ほど面白くなかったと思ったかもしれない。 しかし、年を取って読むと、じわじわと心にしみるものがある。 まず、希望の物語だということ。若い人が希望と言った時には、ただ明るさしかないが、年を重ねた人の希望というのは、不幸や絶望を乗り越えた果ての小さな明かりのようなものである。棄民としての移民、戦争、貧しさ、疫病を生き抜いたということは、たくさんの大切な人を失ったということである。そんな長い人生の中でどう生きるかというのは、個人の信条や性格だけでなく、時代や場所によっても変わってくる。貴子の父の人生はまさに翻弄されて幸福になるチャンスを掴めなかったと言える。しかし不幸の中にも幸福はある(byケストナー)。貴子の存在はまさに幸福そのものだったし、八重と安二郎との出会いもそうだろう。この本の主要人物の全員にそれがある。悲哀の中にも喜びがあり、影があるからこそ明るさの価値がわかる。そこを丁寧に描いていると思う。 それから、日本の文化への思い。水村さん自身が思春期からアメリカで過ごし、「ちゃんとした日本人でありたい」と思い、その芯になったのが日本文化だと思う。この本でも日本に宗教はないが文化はあると何度も書かれている。生きるためになくてはならない存在、自分を律したり、導いたり、引き上げたり、希望を与えたりしてくれる存在として、日本人には文化があるのだという矜持を水村さん自身が持っている。日本に生まれ育った日本人はその重要性に気づいていないという歯噛みする思いもあると思う。そこをお説教的に書くのではなく、小説の中で美しく尊く描くことで、読者に気づいてほしいと強く願ったのではないか。そしてその思いは、通じた。私には。 そして、寂寥。変わらぬものはなく、全ては失われる。それは景色とか若さとか命だけではない。強かった思いも変質していく。ケヴィンの早世した兄への思いもそう。そして、その寂寥が悪いとは決して言えないのである。そこも、若い頃にはわからなかったことだと思う。最近サリンジャーを読み返したが、シーモアに対してきょうだいは年を取ってからそれを感じただろう。しかしその思いを、サリンジャーは描いただろうか。(全作読んでないのでわからない。)キリアンがシーモアに似ているのでそう思った。年を取ったからこそ書けることがある。(もちろん若いからこそ書けることもあり、どちらが上ということはない。) ブラジルに移民した人が読んでも違和感を抱かないよう、徹底的に調べ上げ、しかし調べ上げたことは感じさせないように細心の注意を払って書いていると思う。他の点でもいかに自然に流れるかを考えつつも、ディテールは疎かにしない。 誠に上質な小説だと思う。読んで良かった。
3投稿日: 2024.12.01
powered by ブクログ軽井沢に暮らすアメリカ人、隣の別荘にやって来たのは、日本人で南米で大使を務めた夫とその妻貴子。日本文化を愛する不思議な貴子の過去を巡る。 良かった。古き良き日本について色々考える。ストーリー展開を味わうような話ではないかと思っていたら意外な展開もあり、それも良し。
0投稿日: 2024.11.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
上巻では記述している、日本に精通したアメリカ人ケヴィンのこと、出会った軽井沢の隣人夫婦の不思議な雰囲気を知った。 こちらの下巻では大使の妻、貴子の生い立ち、この親、その育ての親、教育者(?)の来歴が詳しく夫からの説明という形で記述してある。そして現在、コロナ禍の中で行方不明かと思われた夫婦のその後が明かされる。 深い、悲しい世界の歴史の中で翻弄された人々や、外国に住む日本人の立場や立ち位置、ハイソサエティーの暮らしの窮屈さなどこれまで知らなかった様々な、人たちの(人種問題、多様性も含め)生き方、生きづらさも改めて納得する。 幅広く奥深い内容で上下巻たっぷり学びを得た気がして人に勧めたい本となりました。
8投稿日: 2024.11.02
powered by ブクログああ、読み終わってしまった・・・ 12年ぶりの水村美苗小説、じっくり味わう積りが やっぱり最後は、一気読みになる。仕方ないね。 周一・貴子、「大使とその妻」が軽井沢を去った後、 隣人ケヴィンの手記として小説は進む。 下巻では、貴子の父の生い立ちから始まり、少女時代、 周一との運命的な出会いが描かれる。 そして、軽井沢の最後の夏・「祝祭の夏」も。 時代はコロナ禍の直前。 ネタバレになるので、私が知らなかった重い歴史は ここでは触れない。 でも、この歴史が、小説の柱でもある。 それが貴子を作っているのだから。 正直、結末は見えていた。 わかっていたのに、ついにそのことが小説に出てきたときは号泣。 結末だけを言うなら想像通りだ。 けれど、その描き方、ディテールと言えば良いのだろうか。 そこが素晴らしい。 水村美苗ならではの美しさであり、「たしなみ」ではないだろうか。 わたしはケヴィンや貴子と同世代。 (ただし、小説の時代はコロナ禍なので、今の私より数年分若い) この年齢になったからこそ本作を味わえたような気もしている。 大好きな「本格小説」も軽井沢を舞台にした小説だったけれど、 ここまで情景の美しさが描かれていたかしら? 最後になるが、「枕草子」「源氏物語」「百人一首」「方丈記」など、 古典作品が随所に引用されている。 それがまた軽井沢を、そしてその片隅に生きる人々の心の機微を示し たまらなく美しい。 12年、水村小説を待った甲斐がある。 (途中で、もうお書きにならないのだろうと、あきらめていたけれど!)
6投稿日: 2024.10.14
