びっくりした。クライマックスで声を上げてしまった。悪い意味で、である。あんな締め方ないぞ。 前半まではまあそこそこ面白かった。敵の正体にも迫らず、あえてぼんやりした形なのも奇妙なリアリティーがあった。 このまま進んでくれればいいのにところがどっこい、後半に至っては蕁麻疹が出るかと思った。 主人公の影が紙並に薄いのもどうかと思ったし、行動に一貫性がない。君何がしたいの？ 戦争による災禍も解像度がゼロに等しく、背景として「こういう事がありました」程度でしかない。これならいっそ戦争の設定を見直した方が良かった。

ありふれた日常だが、非日常の末の日常に元救世主と側近に選ばれた桃澤基雄の２人の関係性がすごく丁寧に描かれていて、救世主である彼女にとって、彼がどれだけ大きな存在なのか？？未来視という力がどれだけのことをもたらしていたのか。そして、もたらしているのか？？それを考えさえられました。2人が少しずつ、最初は、恋愛的じゃなくて、信頼できる相手、尊敬できる相手から、徐々に距離が縮まり、少しずつ、明確に相手を意識してくる過程がすごくよかったです。読む手が止まらなくなりました。