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死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)
死に急ぐ鯨たち・もぐら日記(新潮文庫)
安部公房/新潮社
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総合評価

5件)
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    インタビュー、評論、日記など80年代の安部公房の思考、思想を除くことができる。方舟さくら丸や、飛ぶ男の原型に対する言及が多く、また言語論を軸にした集団、国家等への考えが見られる。 正直ついていけないが、安部作品のエッセンスのようなものにに触れることができただけで満足。 百年の孤独、読んでみようかなあ。

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    投稿日: 2025.08.20
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    安部公房の数少ない評論集。長らく入手困難だったが、装いも新たに重版され、再び日の目を見ることとなった。そして旧版から引き続き、養老先生が解説を書いている。養老先生は昔NHKで安部公房と対談したことがあり、「私(=養老)が小説を書き、安部氏が研究室で実験をするべきだという結論になった」という。そのエピソードとともに、彼の文章を「理科的」と評している。

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    投稿日: 2025.02.11
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    「死に急ぐ鯨たち」は読んでいる。高校生のときに安部公房の作品はすべて読んでいる。「第四間氷期」が大のお気に入りだった。2年前「文学談義」を書くためにいくつか再読した。その中に「方舟さくら丸」が含まれていた。だから、今回本書を読んでいて、作者の意図がいろいろ分かり、「なるほど」と思えることが多かった。ローレンツに対してはかなり手厳しい。チョムスキーやなんやとかなり勉強されていたようだ。教育についての発言も興味深い。「そもそも学校を集団訓練の場にしようとすること自体に問題がある」40年前にそう話されている。「立法、行政、司法の三権に、教育をあらたに独立した《府》として加え、四権分立にすること。」とまで書かれている。こども家庭庁くらいではだめなわけだなあ。ガルシア・マルケスは「百年の孤独」以外にも読まないといけない。とりあえず「族長の秋」新たに文庫が出るというので予約した。カネッティはどうすればいい? それよりも、「終わりし道の標べに」「けものたちは故郷をめざす」なども再読したい。と思ってカバーを見ると、一覧に「終わりし・・・」がない。品切れ中か?「密会」も読み直したい。「箱男」も読んで映画も観たい。「スプーン曲げの少年」はやはり未完だったのだ。「飛ぶ男」だけは単行本で持っている。これも再読しよう。何しろあと2ヶ月で定年退職なのだ。時間はたっぷりある。本当かな? さて、先に解説を読んでおけばよかったのだが、こてんぱんに書かれていた哲学者は、どうやら若き日の中沢新一らしい。とことん安部公房は偉そうだなあと思った。まあ、実際に偉かったのか。

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    投稿日: 2024.12.22
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    かなりおもしろかった。気難しいおっさんの独り言に付き合ってるような感じ。難解なところもあるけど『方舟さくら丸』以降安部公房が何を考えていたのかよくわかる。 ナショナリズムを憎み、この世から戦争を無くしたいと本気で考え、それは《言葉》にしかできないのだと本気で語る作家の姿には感動すら覚えた。

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    投稿日: 2024.11.13
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    「知の巨人」とはこうした作家ではないだろうか。さまざまな外部の事象に触れ、それを全身全霊を込めてダイレクトに受容し自らの中で論理的にとらえ直し、そして分析・解析を開始する。その作業が生み出した結果としてここで語られているインタビューや日記・エッセイといった言葉たちは実に明晰である。興味深いのはそのどこまでも明晰な言葉が語られれば語られるほど激しく脱線していき、目まぐるしく話題をズラして暴走していくことだ。鋭敏すぎる知性ゆえの椿事なのか? その体質はどこか、安部公房が敬愛していたカフカにも通じるものを感じる

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    投稿日: 2024.08.31