
総合評価
(124件)| 48 | ||
| 47 | ||
| 20 | ||
| 2 | ||
| 2 |
powered by ブクログ妾の子であるかな子が富豪の檜垣澤家に引き取られ、弱い立場ながらも虎視眈々と周りを観察しながら育っていくお話。面白い!!!
13投稿日: 2025.11.18
powered by ブクログ時代物は苦手なのに、引き込まれて先が楽しみでならなかった。読み応えのある厚さ、伏線回収も素晴らしく、女主人として成功していく続編もあれば読みたかったくらい。まだまだ男性中心の世の中であったろう時代に活躍していたスエや花もすごいなと思う。
0投稿日: 2025.11.17
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
強かで賢い女かっこいい〜!! 自分史上一番の長編だったのと時代設定もあり読むのに時間がかかったけど、ミステリー要素が散りばめられていたり終盤は怒涛の展開だったりでとても面白かったし切なかった。 時代背景がしっかりと書かれているので勉強にもなった。この頃は学校に通ってる間でも有無を言わさず嫁がされることが当たり前で、男が浮気しても許されるのに女は許されなくて理不尽だし、女性は自由がなくて大変だなと思った。 檜垣澤家に来たときこそはギスギスしてたけど、三姉妹や暁子さんとの関係がそれぞれ良くて、想像してたより微笑ましかった。これもかな子が賢く強く成長してきたからだなとも思う。雪江がお嫁に行く場面はじーんときてお気に入り。
0投稿日: 2025.11.10
powered by ブクログ大正時代の横浜を舞台にした長編小説。これをミステリに分類していいものなのかどうか迷うけれど、とにかくおもしろかった。 主人公の高木かな子は、横浜の素封家、檜垣澤要吉が妾のひさに生ませた子であった。母ひさが火災で亡くなり、檜垣澤家に引き取られることになったかな子は、病の床に臥す父の介護をして暮らすが、使用人ですら、妾の子であるかな子にはつらく当たる。程なく父が亡くなり、完全に孤立したかな子は、ひと癖もふた癖もある義理の家族の中、強く立ち回ろうとする。 読んでいて何度か『小公女』を思い出したが、かな子はセーラのような無垢な少女ではない。盗み聞きはじめ権謀術数を駆使して、自らの地位を少しでも高めようと計算高く動くのだ。読み進めていくと、それらの計算が実は子どもの浅知恵で、ほとんど見透かされていたこともわかってくる。 趣が変わるのは、失火で亡くなったと思われた義理の父・辰市がどうやら殺されたらしいということがわかってから。そして、かな子は成長していく。 終盤、物語は文字通り、崩壊する。おおなんと凄い、と唸らずにはいられなかった。その後のかな子を想像せずにはいられない。きっと逞しく生き続けるのだろうと思わせるラストである。 檜垣澤家は女系家族であるが、本書を読むと当時の女性が置かれていた状況も伺い知れる。友人・暁子とのシスターフッドの物語としても読める。実に幾通りもの読み方ができる名作である。
15投稿日: 2025.11.05
powered by ブクログゆうこさんの感想で興味を持ちました。 774ページもあって文庫本が分厚い。 いや~、長かったです。 ミステリーということだが、事件なのか事故なのかという謎解きだけではなく、富豪の檜垣澤家の繁栄と災禍、妾の子と蔑まれていたかな子が幼少期から聡明さで這い上がり成長していく姿が描かれた大河小説でもあった。 明治から大正の時代背景は興味深かった。 人と人との関係は好き嫌いとか合う合わないという一言で言い表せない複雑なものであること。 人の心の中には闇を宿していること。 人間臭さも良かった。
39投稿日: 2025.10.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
傑作長編ミステリとうたわれているので読んだが、ミステリ感はあまりないのでそこは残念だった。 でも私があまり読んだことのない歴史物、一族物で、妾の娘であるかな子が本妻の家に引き取られ、知識や知恵を生かしながら成長して生き抜いていく様が面白くはあった。 初めは妾の子として疎ましく扱われていたが、なんやかんやで雪姉様や花、スヱから可愛がられたり認められている部分もあり、震災で家族全員を失ったときにかな子自身も悲しみの感情や、スヱを越えたかったと尊敬の気持ちを表しているところが印象的だった。 暁子との友情も素敵だし、度々登場する西原とはお互いに恋心だったのか?というのも気になる。病床の西原と最後に会ったとき、「匡克さん」と初めて名前で呼ばれ心から嬉しそうにするシーンも好きだった。 ミステリと言われている部分の真相はそんなに深いものではなく、ふーんといった感じ。初が大分イカれおばさんだったということ。 これだけ長々とストーリーを描いていたのに、ラストが地震で全員死んじゃうendというのがあっけなくてあまり心にぐっと来なかったが、これが昔実際にあった震災を描写しているというのがあまり知らなかったので新鮮ではあった。
0投稿日: 2025.10.23
powered by ブクログ「このミステリーがすごい!2025」国内編第3位。最近本も読めていないし本屋にも行けていない…という状況だったので、このミスでまだ読んだことのない作家さんの小説を選択。 舞台は明治〜大正期の横浜、ミステリーであり大河小説であり青春小説でもある。 主人公のかな子は登場時から既に賢い子である。そのかな子を一枚も二枚も上回るのが大奥様のスヱであるが、この2人は本当に似ている。読めば読むほどこの2人の相似性が際立つ。本妻と妾の子という緊張した関係性ながら、単純な愛憎物語にならない、互いの強かさ。 女系家族である檜垣澤家の他の女性たちもまたそれぞれに強い。これだけの女性を、埋没させず描き切っているところが非常に面白かった。 ミステリーの部分の仕掛けもさりげない部分に張ってある伏線が後半で生きてくる。総じて影の薄い男性陣の中で、謎が際立つ男西原(こいつを一筋縄ではいかないやつに見せる描きっぷりが良い)。そして複雑な家族関係、様々な感情…。 そして青春。かな子と暁子の友情にはときめかざるを得ないではないか。日々智略を巡らせて生きるかな子が自分を出せる瞬間は読んでいてもほっとした。 読み進めるうちに、謀略に満ちていると思われた物語の中に、ずっと優しさがあったことに気づく。一癖も二癖もある家族たちの、隠された優しさ。恐ろしさと並立するそれが救いのように感じる。 読み終えたあと、物語の先がとても知りたくなった。
0投稿日: 2025.10.20
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
すごい評判になっていた一冊。かなり分厚いので読み始めるのにちょっと覚悟がいるかもしれない。自分もそうだったのだが、主人公のかな子が学生になったあたりから、かなり面白くなっていって、後半は夢中で読み進めるくらいには面白かった。最初は幼さを武器にし、少しずつ知識と知恵を蓄え、大人たちを追い越そうとする姿はめちゃくちゃ凛々しい。あまりにも優秀すぎてびっくりする。7歳の頃の自分はこんなに賢くなかったよ。明治の世において女系家族というものがどれだけ特別なのか、そしてそれを実行する大奥様たちがどれだけ凄かったのか、ラストになって主人公が否応なく実感するのが上手いなあと思った。あと、きちんと張られていた伏線がほぼ回収されているのも凄い。とても面白い作品だった。
0投稿日: 2025.10.19
powered by ブクログミステリーと銘打たれていたので、その視点で読むと、少し物足りなかった。第二次世界大戦の前夜を舞台にした大河小説。
0投稿日: 2025.10.11
powered by ブクログ分厚かったけど、飽きずに読めた。大正時代の成金は、すごく豊かに暮らしていたんだな。今のセレブもあんな生活をしているのだろうか? 小さな頃から人の顔色をうかがいながら、盗み聞きをしながら必死に生き抜いて大人になっていったかな子。 関東大震災で物語は終わったけど、その後、かな子はどんな生き方をしたのだろう。第2次世界大戦を経て、多分平成まで生き抜いて、気が付くとスヱのようなお婆さんになった自分を感慨深く回想しながら亡くなっていきそう。確実にかな子はスヱのコピーとして生きていくんだろうなと想像してしまった。
0投稿日: 2025.10.10
powered by ブクログ時代背景は面白く、とてもよかった。 育った環境と境遇が特殊だから仕方ないんだろうけど、かな子が幼い頃からとにかく周りを見下すようなスレた子で少し嫌な印象だった。 物語はダラダラ長い割に最後のオチはあっけなく、拍子抜け、、。 このエンドならもう少し先の物語まで見たかったなと思ったり。 雪江のキャラは好きでした。
2投稿日: 2025.10.08
powered by ブクログ妾の子であるかな子は、とても子どもとは思えないほど賢く聡明。 生き残るためとはいえ、檜垣澤家に入ったかな子の生活は、常に緊張感があり息が詰まりそうで気が抜けない。 ミステリではないものの、随所に伏線が張られていて、それが終盤に向けて回収されていく展開が面白かった。 かな子の行く末が気になり、特にラストにかけては夢中で読み進めました。
0投稿日: 2025.10.03
powered by ブクログタイトルの「炎上」は、最近のネット空間で表すような言葉の意味なのかそれとも本来の意味なのか、どちらにせよこの家の末路が暗示されるタイトルです。 明治時代の末から大正時代にかけての物語ですが、主人公はこの檜垣澤商店を興した檜垣澤要吉の妾の子、かな子です。彼女は母を亡くした後この家に引き取られました。かな子は既にこの世を去った父への思慕と同時にその死因に疑念を抱いていました。彼女はその生い立ち故か人への観察眼が鋭く、お屋敷の様々な人物と上手く立ち回りながら。この家を実質取り仕切る本妻スヱへ内なる闘争心を燃やしていたのでした。 内容的にミステリーの要素もあるお話ですが、10歳そこそこで他人同様の家に来た主人公が余りにも大人びた思考回路で、ちょっと現地味が薄れます。かな子の少女時代から思春期にかけての対人関係の心理描写が主な筋書きですが、結末は檜垣澤家の盛衰を描くなら、ここで終わりではなくむしろここからでしょうという感想でした。
0投稿日: 2025.10.01
powered by ブクログ生糸の輸出により一代で富を築いた横濱の富豪檜垣澤要吉と妾との間に生まれたかな子。 妾宅で暮らす母を火事で亡くし、7歳で本宅に引き取られる。 舞台となる大正時代の横濱に相応しい古典的な作りの成長譚で、逆境に挫けず、知恵と信念と少しの運に導かれ自らの道を切り拓いていくさまを、文庫本800頁弱の分量を持て余すことなく、むしろどっぷりと本の世界に浸りつつ堪能できる。 元々聡い主人公だが、成長するに従って家族内の地位や周囲の人々に対する見方、人生の目的が徐々に変わっていく様子や暁子との友情、西原との微妙な関係、欧州大戦、関東大震災を経て社会が移りゆく姿など、大河小説ならではの楽しみが味わえる。 震災によりすべてが瓦礫に帰したあと、かな子がどのように生き抜いていくのか、そこにはさらに日中戦争があり、先の大戦があるのだが、本書はそれら(実兄との関係も)を含みとしつつ結末を迎える。
0投稿日: 2025.09.28
powered by ブクログこのミステリーがすごい!2025年版第3位 不慣れな日清戦争からの時代が舞台のミステリー作品とのことでワクワクしながら購入。 ミステリー要素は薄いかと感じつつも、沢山の登場人物、主人公である一族の長の妾の子かな子と共に駆け抜ける一冊の中には、きめ細やかな時代背景の描写、当時の少女たち、裕福な起業家一族の様子が描かれている。 たった一冊だが、まるで上下巻ものに詰め込まれたような時代の流れ、一族の成り行きは不思議と詳細で、大急ぎ感もない。 終盤に進むに連れて、様々な出来事や登場人物たちの存在が少しずつミステリーの回収をしてくれるようだった。 穏やかに、しかし激動の時代を迫力をひしひしと感じさせる時代✖️ミステリーものは、新鮮だった。
0投稿日: 2025.09.26
powered by ブクログ読み応えのある一冊だったー!(上下巻にしたらいいのではないのかな?ちょっと重い) 前半は大正時代の上流階級の人々の暮らしや時代の流れに焦点があたっていて、しかも子供から少女時代のかな子目線での語りだから分かりやすい。 おもしろくなってくるのは、暁子が結婚したあたりから。 ミステリーとしてもちょっと意外な犯人だったり、まさかの結末だったり。 これは続編があるのかな? あればもちろん読みたいけれど、その時にはかな子には人を敬う気持ちだったり、感謝する気持ちの大切さに気付いてくれるストーリーならいいな。 育った環境故致し方ないとは言え、人を駒呼ばわりするときっと痛い目に合うと思うんだよな。
0投稿日: 2025.09.21
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
文庫2冊分、774ページの大作。 妾の子・かな子が本宅に引き取られ、人々の様子を冷静に観察しながら成長していく話。7歳のかな子がかしこ過ぎて、転生ものを読んでいる気分になりました。 大正時代の街の様子が丁寧に描かれています。女の人たちそれぞれの個性に合わせたファッションや横浜の風景が目に浮かびます。しかし、その丁寧さも加わってか、長女・花の夫が殺されたものの、本の半分を過ぎてもミステリ部分の話が進みません。全く進みません。 もう読むのをやめたい…と思いつつ読み続けたら、最後6分の1くらいから、めちゃくちゃ面白くなって一気読み。 意外な犯人と、意外な家族の秘密がわかり、ミステリなのに前向きな気分で本を閉じました。 星が3つなのはあまりにも長かったから。 でも最後まで読んで良かった。
41投稿日: 2025.09.20
powered by ブクログ2025/9/7読了。 具体的な描写から時代考証がしっかりしてそうであり、往年の上流階級の暮らし向きを感じることができる。ただ、文体が軽く、今一つ没入感を持てなかった。主人公で在るかな子視点で物語は進むためもあってか、最後まで小娘感が抜けない文章だった。 ストーリーは、特別胸踊らされることもないが読みやすい。 ミステリはあくまで添えもの感はあるが、この要素がないと物語も成立しないので絶妙な塩梅だったのかも。
2投稿日: 2025.09.08
powered by ブクログNHKの朝ドラのようなストーリー。 妾の子である「かな子」が母の死後に本家に引き取られて…。 ちょっとだけミステリー的な部分はあるが、ほぼ大正ロマン的な少女漫画ストーリー。腹の探り合いなどの描写は面白かったが、期待とは違ってた。
0投稿日: 2025.09.04
powered by ブクログ読み応えはあったが、結局主人公のかな子は終始オブザーバー的な立ち位置であったな、という印象。 『陽の末裔』の南部咲久子のように 自力でのし上がり最後にスヱとやりあうのかと期待していたのだが。
1投稿日: 2025.08.31
powered by ブクログ檜垣澤家という横浜で有名な富豪一族。 そこへ引き取られた当主の妾の子である主人公。 妾の母も、当主である父も亡くなってしまい、アウェイ状態。 しかしクセある檜垣澤家の人達と上手く立ち回り、成り上がっていく様が面白い。 文中にもあるが、盤面の無い将棋のような展開である。分厚い本ですがオススメです。
25投稿日: 2025.08.25
powered by ブクログ妾の子供として産まれたかな子のサバイバルミステリー?とでも言うべき一冊。 なんとか成り上がろうと賢く生きていくかな子だけど、実は愛されていたりするところにぐっときたり。 でもかな子の賢さが面白いし、いろんな駆け引きにハラハラする。ところどころに散りばめられたミステリー要素もちゃんと回収されて、二重にも三重にも楽しめた。
2投稿日: 2025.08.22
powered by ブクログ2025年8月読了。 大正時代、横濱の名家檜垣澤家の妾腹から生まれたかな子が強かに生き抜いていく物語。女で妾腹のかな子は自分の地位を築いていくためには、知恵を巡らせて上手く立ち回っていかなければならなかった。檜垣澤家の権力者スヱに面従腹背しながら、不自由の中に少しずつ自由を築いていく姿がたくましい。 ミステリーとして読むならば、本作は一貫して大きな謎が据えられている。かな子の地位が上がるきっかけともなる小火騒ぎ事件だ。この事件で奥様の夫が事故死したが、これは殺人事件だったということをかな子は知る。なぜ事件は起きたのか、誰が犯人なのか興味を惹きつける。この事件の探偵役となるのがかな子であるが、しかし本作はその調査がメインではない。それはあくまでスヱに対して突きつける交渉材料の一つだ。だから物語の中でも積極的に描かれる謎ではないが、この真相が少しずつ形を見せていくところにゾクゾクした。
0投稿日: 2025.08.18
powered by ブクログおっもしろかった! 必死でサバイブしようとする女の子目線で体験する、レトロ横浜青春サスペンス。 注意深い、賢い主人公は嫌いではなく、ジリジリ成り上がっていくさまは、仄かな野心とともに目が話せない。 檜垣澤家のあれこれの関係性の秘密を探り、ほどいていくことに、スリルとわくわくがあるのだけど。終わってみれば、どの関係も愛情が漂い、仄かに温かく寂しい。 継母(義理の祖母?)にあたるスエをはじめ、登場人物 誰もが 抜け目なく、切れ者で恐ろしいのだけれど、どのタイプの女性たちも嫌いにはなれない。誰もが魅力がある。 女系の檜垣澤家ということで 、商売の世界で男性社会である軍隊の世界とコネクションを作るのに苦慮している様子も描かれている。 その枠組みで不穏な世界情勢の怖い様子が、 物語の中で 色 濃く 漂うことはない 設計になっている。 しかしながら西原の生き様などで匂わせられて はいる。 主人公が守られているということも 読後にわかる。そこには利害関係はあるが やはり 情 のようなものが感じられる。 単に 犯人当てのミステリーではなく、誰がどういう意図で生き残りの設計を作ってきたのか それが解かれていく話 でもあり そこが面白さ でもあると思った
12投稿日: 2025.08.15
powered by ブクログ700ページ超えの長編。 主人公のかな子は、強かで頭が回る女性。 読んでて、かな子の最終目的は何だったのかと 妾の子として、檜垣澤家に入り、意地悪な女中 を排除し、3人姉妹と上手い関係性を作り上げ 自分の思い通りに人生を切り開いていくかな子 時代が進むにつれ、大正時代に起きた出来事が リアルな描写により、イメージできた 裕福層の生活や大不況で没落していく商家 ラストで、この話はミステリーだったっけ? って感じで、冒頭にあった事件の解明がされる。 読み応えあったが、ラストはバタバタとした結 末になってしまったのがイマイチ残念
24投稿日: 2025.08.14
powered by ブクログおもしろかった!700ページ超だけど一気に読んだ。 強かで賢い主人公、好きだな。主人公以外にも強い女性がたくさん出てくる。 主人公が未曾有の事態を乗り越えて今後どうしていくのか、続きが読みたかったなー! 参考文献の量がすごい。物語の厚みはこういうところから出るんだろうな。 華やかな一族の暮らし。映画化したら映えそう。
1投稿日: 2025.08.04
powered by ブクログ大正時代の横濱がとてもリアル(実際に見たことはないけど)で臨場感があった 主役は当主の妾の子だったかな子、大きな壁となる本妻のスヱとのやりとりは緊迫していて、2人の会話は物語を読み進めるエンジンだった 女だらけのいびつな富豪檜垣澤家のなかで、かな子がいかに生きていくか、頭と気を使って成長していく姿がなんだかいじらしくもあり、かっこよくもあり…… どう大人になっていくのか、と楽しく読んでいたが、最後の結末には度肝を抜かれた 状況の描写が実に精細で、どれほどの取材をしたのかと気が遠くなりそうだった
28投稿日: 2025.07.29
powered by ブクログ富豪の妾の子として生まれたかな子。母が火事で急死し富豪一族に向かい入れられる。権謀術数を駆使して一族の中で生き残る術を模索していく中で、ある夜婿養子が不審な死を遂げる。 ミステリ、といろんなところで紹介されていますがミステリ要素というよりは上流階級の女性の生きざまみたいなものが強く印象に残りましたし、その部分がとてもおもしろかった。ミステリ的な部分も面白かったですけどね。でも推理とかそういうものでもなかったかな。手がかりが明示されてたりとかでもないし。 出自もあり、主人公のかな子がなかなかに屈折した性格だなあ、と読み手の視点からすると思いました。ほとんど敵視しているような檜垣澤家の女性陣とかもかな子が思うような悪人には思えなかったし。最後の最後でかな子が抱いたような印象をずっと持っていました。だからこそ胸糞悪いような悪人、みたいな人物がそれほどいないという点でも読んでいて不快感があんまりなかったので個人的には好印象。 読み応えたっぷり満足感たっぷりの一冊でした。
1投稿日: 2025.07.25
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリーだけどそれだけじゃない!大河ドラマに昼ドラ?を読んでる感じかな? 主人公が幼少期から野心に燃えていて強かで、でも大奥様の方がもっと上手で…あれもこれも見通してお茶会を開いたりわざと出かけさせたりしてた…それができないと大企業を動かすのはできないんだろうけど。 ミステリー部分は犯人の言動にえぇ……怖っ!! あのセリフの1回目と2、3回目に出てくる場面は違った怖さがあって。ん?変な人だなーって思ってたらほんとに変な人でした… 大筋とは関係ないけど、衣装の描写が細かくて良い!洋装も和装も生地から色味、帯との合わせまで書いてあって、さすがお金持ちのお嬢様!という感じ。読んでて楽しかった。次女と三女がペット的な感覚もあったとは思うけど、主人公に構ってあちこち連れ回してるシーンはなんだか面白かった。
1投稿日: 2025.07.21
powered by ブクログ明治時代、妾だった母を亡くした7歳のかな子が、父と父の正妻とその家族が暮らす豪邸に引き取られる。寝たきりの父に代わって家業と館を取り仕切るのは正妻のスエだった。かな子は持ち前の賢さと母が仕込んでくれた知恵を武器に、スエの一族から自分が受けるべき正当な取り分を得るため、演技や嘘を駆使して生き抜いていく。 明治時代は不勉強だし、中々のページ数だし、小さい子が虐げられるお話苦手だし、でも前評判良いし勧められたし…と若干不安ながら読み始めたけど、面白くてあっという間の読書体験だった。 かな子の母の教えである、人の3つの色(顔、声、腹)を見極めなさい、が印象的。かな子がそれを実践できる賢さ・狡猾さを持っていて、決して諦めずに希望を叶えていくのが痛快。とはいえラスボスのスエが、家の為家族の為に2手先3手先を読んで手を打つてくる強敵さ。どうなるかな子!?とハラハラしつつ、お嬢様生活の描写(着物やドレスの豪華さ!)を楽しんだ。 そしてかな子のサヴァイブ小説としての面白さと同じくらいミステリー小説の面白さがしっかりあって、終盤の謎解きシーンでは細やかに伏線が貼られていた事に気が付く。 読んでよかった面白かった! 登場人物で好ましいかったのは親友の暁さんと得体のしれない西原氏。時に敵のような、バディのような、ひょっとしたらロマンスもあったような西原軍医との関係性がエモでした。
11投稿日: 2025.07.18
powered by ブクログ積んでた本。読みだしたら止められなかったです。 帯にはレベッカとか書いてありましたが、自分は読んで何となく北杜夫の「楡家の人びと」が頭に浮かびました。強気で実権を握る女主人とかそのあたりが。 ミステリー要素というよりは、ヒロインが檜垣澤家で生きていくにあたり、状況を観察し、考察し、生き抜いていく過程で新たに知った家族の過去、という形で紐解かれていくのが面白かったです。 血のつながりというのは愛だけではないし、憎しみだけでもない。一緒に生活するという時間が育てる絆って一言で言い表せない複雑な縁が生まれるんだろうなぁなんて、最後の方に思いました。 ヒロインの人生譚のようなお話でもあるので、コレどうやって終わるのかなぁと思ったら関東大震災で終わりなのか。それ以降は女性だけで起業家として生き抜いていくのもなかなか難しそうな時代なのでどうかなと思いますが、彼女なら強かに生き抜いていくのではないかな、と思いながら読み終えました。面白かったです。
1投稿日: 2025.07.08
powered by ブクログ韓国ドラマの財閥の話みたいだった 訳ありな登場人物ばかりで面白い スエさんがどうやって事業を手中に収めたか、そのあたりが読みたくなる
1投稿日: 2025.07.07
powered by ブクログこのミスのランキングに入っていなかったら、この本には出会わなかったかもしれない。 解説にも書かれているが、まさに細雪+ミステリといった小説である。 そしてあの大震災直前の横濱の情景が鮮やかに描かれているのが素晴らしい。(もっともその情景を知る由もないのだが) 妾の子として、檜垣澤家に迎えられた高木かな子は、幼い頃から目端が効き賢かった。そんなかな子が一族のなかで上手く立ち回り、様々な事件に立ち向かっていくのが痛快である。女学校で親友となる華族の東泉院暁子や南京町の張景秋など魅力的な人物もこの物語に華を添える。 個人的に物語に出てくる、山手公園や根岸旧競馬場はその脇に住んでいたことがあるし、地蔵坂は10年も通勤で使っていた道だ。そんなこともあり770頁の長編であるが、一気に読み進めることができた。この本に出会わせてくれたこのミスに感謝だ。
1投稿日: 2025.07.03
powered by ブクログ主人公・かな子は妾の子。母を亡くし、父親の家に引き取られる。朝ドラをもっとドロドロにした感じ。大正の横濱や衣装や建築、文化。全てが魅力的な作品。ミステリーとしてもおもしろかった。素晴らしい作品。
6投稿日: 2025.07.01
powered by ブクログ超大作だった 時代背景とか横浜の住宅地の様子とか細かく調べて書き込んであり、ただの推理小説でなかった まあ不満といえば主人公に都合の悪い人がみんな死んじゃうラストかなあ 地震のせいにしてもやり過ぎな気がする
1投稿日: 2025.06.30
powered by ブクログ木曜日から、旦那がリフレッシュ休暇で北海道へ里帰りしております。 私は月末月初の仕事がある為今回は同行しておりません。 先日義母から電話があって、 「まきちゃんも来るんだろ? たくさんビール買っておいたからね(^^)」 と言われてびっくり。 え!?私が行けないこと言ってなかったの!? あ、忘れた、、、と。 でも嬉しいですよね。 私が来るかと思って大量にビール買い込んでくれたり(*´∇`*) 「◯◯が今の会社に入って本当に良かったよ。まきちゃんと結婚できたんだもの。」 とまで言ってくださるお義母さん。 私は貴女が大好きだ(*´꒳`*) また一人でも会いにいきますとも! そんなこんなで、割と自由だったこの土日。 お正月のまことさんのレビューから、ずーっと気になっておりました。 かなさん、mariさん、シンタローさんや8さんなどなどの皆様レビューしておられ、いいなぁ、読みたいなぁと思っていたところ、たまたまブックオフにあったのです!? 何という僥倖 (๑˃̵ᴗ˂̵)و 日頃の行いですかね(笑)←絶対違う(-。-; 先ずは厚みですよ、厚み!本文は774ページ。 しかも文字はぎっしり詰まっている感じです。 こういう長編、ワクワクします。この分量だけ同じ世界に没頭できるので(*´꒳`*) 時は大正時代。 横浜の大富豪の妾の娘。かな子が主人公です。 幼くして両親を亡くしたかな子ですが、なかなか強かな娘です^^; 両親を亡くしてからも、檜垣澤家に置いてもらえるよう一計を案じます。 当時7歳!?そんな娘が、自分の置かれている立場を理解し、本家で生き残ろうとする、ある意味サバイバルゲーム!? そんな中に私の大好物の殺人事件が埋め込まれ、当然読者は誰が犯人なのだろう?とワクワクドキドキさせられます。 (殺人はバッタバッタは死なないですけどね) 中盤はそれほど殺人事件には触れられず、かな子の生き様が描かれます。 かな子の女学生時代は青春小説のようでもあり、ただのミステリなのではなく、しっかり小説でした。かなり重厚な小説です。 犬神家のように、次から次へと殺人事件が起こるのかと期待した部分が正直なところありましたが、十分楽しめる小説でした。 これだけの文章書き切った作者様、凄いですっ♪ おまけ 今日書店に行って、月と六ペンスを買おうかかなりの時間悩みました。 でも、あと一冊読んでしまうと、ひま師匠にフォロー外されてしまうので我慢しました。゚(゚´ω`゚)゚。 夏が終わったら購入しよ〜っと♪ 出典: おびのりさん本棚 この夏のこともどうせ忘れる
113投稿日: 2025.06.29
powered by ブクログ久しぶりに大作小説を読んだという心地よい疲れを感じました。 大正時代が舞台ということもあって、 令和生まれの小説というよりも、 力ある大作家によって昭和後期に作られた小説 という感じがしました。 桜庭一樹さんの『赤朽葉家の伝説』に 読感は近いように思いました。 NHKにお金かけてドラマ化して欲しいです。
2投稿日: 2025.06.21
powered by ブクログ明治末期から大正の裕福な家庭・一族が舞台となっており、主人公が賢すぎるところが気になったけど、当時の富裕層の生活が細かく描写され、謎解きの要素もあって上質な小説でした。
1投稿日: 2025.06.21
powered by ブクログ長かった…!火事によって、様々な事が起こる様は、正に炎上。 檜垣澤家の妾の子であるかな子が、母を亡くし、檜垣澤家に引き取られた所から始まる。 長編だが、事件らしい事件は序盤の檜垣澤の長女の旦那が亡くなった事ぐらい。 次々と事件が起こる事を予想していた私は、拍子抜け。ミステリーなのか?と、途中中だるみしてしまった。 かな子が、複雑な立場ながらも檜垣澤家て上手に立ち回る様子、檜垣澤家の女傑達が数年かけて描かれる。 最後の解決は、やはり檜垣澤の長女のの旦那を殺したのは誰か?と、それに引っ張られ、病気で死んだはずの父の死の真相にも気づく事に。 そして、時は大正。関東大震災が起こり、かな子以外の檜垣澤の人間は死に、そして、かな子自身が人間関係を勘違いしてた事にも気づき、女傑達亡き後、自分がその地位に立てるのかと不安になりながらも、かな子は歩き出すのだった。 小さな出来事全てが伏線。伏線を回収された時の圧巻と、かな子の人間らしい描かれ方に味がある。
2投稿日: 2025.06.19
powered by ブクログ何の予備知識もなく読んだ 主人公がしたたかだけど悪辣さはなくて、面白かった ただ、ミステリとしては、すべての謎がすっきり片付くわけではないので消化不良気味 成長物語としては、謎は謎のままのこともあるよねと思えるが タイトル、もっと他にあっただろうにな〜と思いながら読んでたけど、読み終わったあとは、うんまあ炎上だね…となる (中盤すぎから薄々察してはいた)
0投稿日: 2025.06.15
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
横浜の製糸豪商の三代のクロニカルの傑作。妾の子、女という弱者ゆえの主人公かな子の計略とあざとさは、ある意味さわやかである。殺人事件が一つ隠れていることは気が付いたが更にとは。
0投稿日: 2025.06.10
powered by ブクログ読書備忘録921号。 ★★★☆。 長い!長すぎる! 800P弱。 それだけで★マイナス1.5。 所謂一族モノと言って良いのか? 騙し騙され、恨み恨まれ、それでもてっぺんを取った者が勝つ! 男が主人公であれば企業モノ?任侠モノ? 女が主人公なら、それは一族モノとなるのか! 巻末に千街晶之さんが完璧な解説を記して下さっている。 素晴らしい解説です。 千街晶之さんは、この小説を一言で表すために京極さんの小説「絡新婦の理」を引き合いに出している。 「どこにも居場所がない、だから己の場所を獲得しようと、そう思ったのです」 「どうせ獲るなら一番善い場所を」 「人ならば誰でもそう思う、当たり前ですわ」 まさにこれ! 本作品で居場所のない女は高木かな子。 自分の居場所を作るために知略の限りを尽くす。 その居場所とは?横浜の名門商家、檜垣澤家のてっぺんである! 檜垣澤家の当主、要吉の妾の子ととして生まれたかな子。 母の死と共に、かな子は檜垣澤家に引き取られる。 そこは病床に臥す要吉に代わり正妻スヱが檜垣澤商店と檜垣澤一族を支配する世界であった! スヱの長女花。婿養子として辰一を迎え、3人の娘、郁乃、珠代、雪江がいる。 次女の初は、医者の山名に嫁ぐが、山名医院は檜垣澤家のすぐ傍にあり、スヱの支配下。 さらに郁乃は婿養子を迎えている。 まさに女が支配する女系一族! さて、かな子。 妾の子として、ただ息をして生きるなんて以ての外!てっぺんに上り詰めてやる! 亡き母の教え「人には三つの色がある。顔色、声色、腹の色。どの色を見るかで、その人の見え方は変わってくる。」と。 戦略はこんな感じか。 雌伏編:かな子に意地悪をする女中を排除。檜垣澤家の女たちの腹の色を徹底的に探る。女学校へ通わせてもらい学力を身に着けていく。 反撃編:檜垣澤家の女たちの弱点を補う形で自分は役に立つというアピール。嫁いで家を去る珠代、雪江に代わり、花の養子となり、檜垣澤かな子となる! 支配編:スヱと花をどう排除するのか?そんな簡単に支配できる訳ない!まさか天変地異を味方につけるとはっ! この程度のストーリーなら精々400Pくらいあれば終わりそうなもの。 倍の800Pを使って、サイドストーリー的肉付けが半端ない。 確かにそれらが面白いのは確か! 最後の最後にキーマンが出て来たしね! まさに炎上したね。 なんか知らんけど続編があるとかないとか。出るとか出ないとか。 今度は1000Pか? 読むのか?おいおい!読むのか? それと全く別件の雑話題。 本棚の並べ替えはプレミアムプランを契約しないと出来ない!えええって思ったけどしゃあない。 ビリー・サマーズだけは並べ替えたかったので1週間の無料体験を実行!並べ替え完了! 無料体験をキャンセル!完了! これからは上下巻とかで並べて1枚の表紙になるような作品は、下巻を先に登録することで対応!
51投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログなかなか読み終わらない巨編。面白かったけど、謎解き要素の位置付けが微妙なのと、もっと経済的な内容があっても良いように思いました。続編があっても良いかも。
25投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログ富豪の一家檜垣澤家の妾腹に生まれたかな子が、成り上がりを目指しながら賢さと運の良さで生き抜いていく物語で、明治~大正時代の富裕層の家庭の生活が色鮮やかに描かれていて、大正ロマン好きには楽しく読めた。一家の秘密が少しずつ紐解かれていくミステリー小説としても面白かった。 主人公一家は女系一家で女性同士の会話が多いけど、上流家庭のお嬢様たちの会話なのでみんな華麗で上品な言葉遣いで、仲良しのお友達との会話はどんなに何気ないものでも百合小説を思わせるような耽美さがあってとても良かった。 かな子が人生何周目?という意志の強さと機転の良さで、家を支配するスヱ相手にうまく立ち回っていくのは読んでいて気持ちよかった。使用人たちから受けたいじめについてはあれこれ細かく書かれてないのも、本妻の娘たちも少しうっとおしいくらいで基本的に気が優しい性格だったのも、暗い気持ちになりすぎなくて読みやすかった。 かな子は檜垣澤家の人間を常に観察して利用してやろうと考えているようなこましゃくれた少女なのに、あるお別れの場面があった時に、前日までは「全然さみしくないけど涙を流す演技くらいはしないとね」と考えていたのにいざ当日となるとボロボロに泣いてしまったりする可愛いところがあって憎めなくてよかった。 明治や大正の文化は好きだけど、その後の時代の激動のことを考えてしまうので、この時代を舞台にした小説は登場人物が生き生きと明るいほど切ない気持ちになってしまう。かな子も今後きっと数奇な人生になったと思うけど、きっとその賢さで成功して100まで生きたに違いないと思った。
2投稿日: 2025.06.01
powered by ブクログそんな殺生な! 紆余曲折それでも読み続けて、いよいよ面白くなってきたところで終わってしまった。 続編を待つ。
0投稿日: 2025.05.28
powered by ブクログ主人公はかな子 父は横浜で知らない者はいない商家の当主 母は彼の妾だった 母を亡くしたかな子は檜垣澤家に引き取られる 女系家族で女の力が強い檜垣澤家 ある日、檜垣澤家の長女花の夫の辰市が不審な死を遂げる 華やかな服と食事、園遊会や茶会 華やかな 世界で渦巻く女達の陰謀 p774の長編ミステリー 王道で正統派な作品
9投稿日: 2025.05.24
powered by ブクログ評判が良かったので、楽しみにしていた作品。 大作を読んだな〜という気にさせてくれる。 賢いかなこが女性陣と渡り合う際の、張り詰めた糸が今にも切れるんじゃないかと、冷や汗も書くようなシーンもいいが、かなこがいつの間にか芽生えていた内心の情に気づいて、うろたえるシーンもいい。 大人顔負けの狡猾さから、稀に見える子どもらしい純真さというか。 人間らしい部分により作品の深みを感じた。
0投稿日: 2025.05.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
小説としては面白い 妾の娘が本家に入り込んでいく 横浜の女系商売人一族 ミステリーとしてはもう一声!かな? 蔵の事件は、ちょっとアンフェアっぽい気もする 大奥様?のスヱのキャラが強い 他人の行動を強引に支配したり、それとなくコントロールする ちょっと映画のゴッドファーザーを思い出した スペイン風邪や関東大震災の頃が舞台
0投稿日: 2025.05.09
powered by ブクログ明治から大正にかけてのお話なので、私には読みにくくて時間がかかりました。 しかしながら、幼いかなこの強かさにひかれ、いつの間にか世界観に浸っていました。 ドラマとかで観られたらもっと理解が深まりそうで嬉しいのですが、かなこを演じられる子役さんがいるのだろうかと思うと、なかなか難しいかなあ。
10投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログミステリー=事件を解決というイメージで読み始めたが、日常生活が書かれていて、うーんと当初は思っていたが、後半につながるにつれ、当初のうーんが、全てに繋がっていく事に気付かされた内容でした。 読み終えた頃には、面白かったと思える本。
2投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログ読み応えがある。妾腹のかな子が檜垣澤家に引き取られる所から、かな子の目を通して檜垣澤家の内情と横浜の様子が語られる。その当時の雰囲気と今の横浜を思いながら読み進めるのは楽しかった。 そして、檜垣澤家に隠された秘密が最後の方で明かされる。かな子は関東大震災後どうしたのだろうと思わずにはいられない。
7投稿日: 2025.05.06
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
HKさんのおすすめ。 とても面白かった。 横浜の絹物輸出商から成りあがった貿易商、檜垣澤家をめぐるお話なのだが、 主人公のかよ子は妾であった母を亡くし、 正妻スヱのいる屋敷に引き取られ、 年の離れた姉、年上の姪三人の中で成長していく。 一応、姉の夫が亡くなっているというミステリーではあるのだが、 かよ子の成長と檜垣澤家の動静から目が離せない。 聡く、豪胆で、野心的なかよ子。 周囲の人間の気持ちを読み、人間関係を利用し、 必要とあれば子供っぽく振る舞い、 スヱ相手に賭けに出たりもする。 味方が誰一人いないどころか、 父の告別式にも、邸宅で開かれる園遊会にも、 年上の姪の結納の儀にも出られなかった。 だからスヱの策略とはいえ、女学校で唯一無二の親友ができたのは、 とても心温まる瞬間だった。 かな子の母は、本妻とその娘がいる事を教えたり、 人の顔と名前を覚えさせたりと、 随分と処世術を教えるものだなと思っていたが、 自分にもしものことがあった時のために、 奪われることのない知恵を授けていたとは。 うまくはめられたお見合いは、かな子がスペイン風邪で臥せっている間に、 お相手が病死してしまうと言う悲劇的なものだったが、 女学校専科を卒業しこれからというときに、 関東大震災で家の人たちがほとんど亡くなってしまうラストで 終わってしまうのは少し寂しかった。 個人的には、横濱正金銀行をはじめ、開港記念館や横浜税関と、 自分が見たことのある横浜の建物ががちらりと登場したのが楽しかった。
0投稿日: 2025.05.04
powered by ブクログ長編ミステリと言いながらも全然ミステリの空気は感じられなくて、とある富豪一家に引き取られた妾腹の子、この少女が強くたくましく生きていく時代小説という印象。 かと思いきや、読み進めていくうちに気づけば知らぬ間に色んな伏線が回収されていってまさかの真実に辿り着いてました。 800ページ弱というめちゃくちゃ長いけれど読み始めたら中断するタイミングを失うくらい、いつの間にかのめり込んでる感じで、単純に面白かったです。 読了後の達成感では今年ベストかもしれない。
3投稿日: 2025.05.02
powered by ブクログ久しぶりの超大作と思える小説でした。そして、自分でも驚くほど、早く読み切りたい!と思わせるストーリー。 何となく違和感がある一文が散りばめられており、伏線回収されていく時、ああ!!!と声を出しそうになる。。。 また、かな子さんのお母さんの教えが、今の私たちにも通じるものがあって。【人には三つの色がある。顔色、声色、腹の色。どの色を見るかで、その人の見え方は変わってくる。覚えておおき】。とか。 また読み返しても楽しめそうなそんな小説。
7投稿日: 2025.04.27
powered by ブクログめちゃくちゃ面白かったです。 大正時代を舞台としており、歴史物は苦手であまり手を出してこなかったのですが、この小説は700ページ以上のボリュームながら時間を忘れて楽しく読む事ができました。 以下読んでいて印象に残ったことを簡単に書いて行きたいと思います。 【ストーリー】 簡単にストーリーについてですが、妾の子である主人公かな子が母を亡くしたことをきっかけに檜垣澤家という富豪一族に引き取られるところから話は始まります。妾の子ということで周りから無関心な態度を取られたり、酷い扱いを受けたり、都合よく使われたりと大変な目にあうかな子ですが、かな子の才能の一つでる持ち前の知恵を使ってうまく大人達と渡り合って行く姿は読んでいて痛快でした。 【印象に残ったセリフ】 小説を読んでいて感じたのは印象に残るセリフが数多く出てきたなということです。 一部紹介するとかな子のお母さんがかな子に言った「お金や物と違って知恵は盗まれない。だから自分のために知恵を身につけなさい」というセリフがあります。目に見えるものよりも目には見えないことの方が先のことを考えたら大切だよいうセリフです。 また「人を見る時は三つの色を見ないといけない。顔色、声色、腹の色。優しい顔をしていて、甘い言葉をかけてきても、腹の色が黒いか、白いかを見極めないといけない。」見た目でいい人が悪い人かをすぐ決めつけるのではなく、深い観察眼を持つ事が必要だという自戒につながるセリフです 最後にですが、大正時代を舞台としていて史実に沿ってストーリーが進行していくので当時の時代背景を知っていたらより楽しめるのかなと思いました。 かな子の成長ストーリー、またミステリー要素(私の大好物です)もあり出会えてよかったと思える小説でした!!
7投稿日: 2025.04.25
powered by ブクログ横浜に妾腹の子として生まれた少女かな子のお話。ミステリーと聞いて手に取ったのですが最初の感想は、え?これホントにミステリー??と言うくらい淡々とかな子の日々が描かれます。朝ドラのおしん(例えが古すぎて分からないですかね?)か女一代記か?という感じです。 本宅に引き取られたものの本妻やら腹違いの姉だの使用人からいびられつつも頑張る姿が描かれるものの悲劇のヒロインという感じはなく嘘もつくし盗み聞きもお手のものと逞しく、本宅でも着々と力をつけていきます。 本の半分を過ぎてもそんな調子なので、このまま最後までいっちゃうのか!?と思いましたが、そんな事なかったです。次々に明らかになっていく事実。言われてみれば前にそんなこと書いてあった!みたいなのが続々と。全てが明らかになるとこれまで嫌だな…と思っていた人もそうでもなかったのか…と思えるあたり著者先生のお力でしょうか。 ここで終わっちゃうの?というところで終わりますが、この先は読者の数だけかな子の人生の結末があっていいとの著者先生の判断と捉えました。わたしの思い描く結末は持ち前のバイタリティでこれまでに築いた人脈をフル活用して逞しく生き抜いていくというものです。 ページ数が多く登場人物が女性が多いので誰が誰だか最初は分かりにくい面もありますが、区別つくようになると後はサクサク読めます。大正時代の中流階級の暮らしぶりも描かれててそう言う面でも楽しめました。
21投稿日: 2025.04.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ほげ~~~~こんな重厚なお話が文庫書き下ろしなんですか??????ありがとうございます。炎上ってネット用語じゃなくてほんまもんの火事のことか。 妾の子かな子が檜垣澤家に引き取られ、女帝スヱを筆頭に癖の強い女たちの中で必死で生き抜こうとする話なんだけど、とにもかくにも出てくる女たちが皆強か!かな子もものすっごい頭がいいし野心むき出しなのに、さらに上をいくのがスヱ。好敵手というか大ボスっていうのは、憎たらしいけど尊敬できる存在なのよね。 分厚い本だったしまとまった時間が取れなかったので読むのにかなり時間がかかったんだけど、一度も中だるみだな~なんて思わなかったし、むしろ読みたいのに読めないジレンマに襲われていた。読める時間があるかわからないのにいつも持ち歩いていたせいでかなりボロボロになってしまった。 そしてわたしは西原がとても好きでした。あと暁子。周りに対して分厚い壁を立てるかな子が唯一暁子にだけは素を見せ、独占欲を感じる様が大好き。 終盤はああ~~~そう来たか~~~ってなった。ここからかな子の真の力量が試されるのだと思うと感慨深い。 続編はいらない。これで終わりでいい。
2投稿日: 2025.04.15
powered by ブクログ一人の女性の堂々たる成長物語でした。 800p近い長編でありながらも、巧みにミステリ要素を散りばめて、読者を惹きつけて読了させる筆力がありました。
0投稿日: 2025.04.07
powered by ブクログ本当は星3.5かな とにかく長い、昔の女の一生的な連続テレビ小説を見てるようで時代背景や一族の関係性や主人公の賢さが面白かった。しかし長すぎるし後半までミステリーなのか疑問だったけどかなり後半に来てミステリー要素が出てきて急にドキドキしました。 ここまで長く書くのならラスト中途半端にせず最後までしっかり書いて欲しかった。
0投稿日: 2025.04.05
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
これは例えば「おしん」のような、あるいは「道祖土家の猿嫁」や「瀬戸内を泳ぐ魚のように」のようなテイストのクロニクルかな、と感じつつ読み始めたが、まさか「デスノート」を彷彿とさせる頭脳戦が静かに繰り広げられていくとは…! あの「転落」を著した永嶋恵美氏が書く女たちの権謀術数…思慮が足りない男の一人として背筋が冷える思いがする。 いっそ企業も政府も、女性だけが動かしていったほうが世の中はまともに、そして平和になるのではないか? 明治から大正にかけ、女であるという理由だけで公の制度によって堂々と差別され、いくら才覚があろうともスタートラインに立つことすら許されなかった者たちの闘いの系譜である。 と同時に、他方では当初感じていた年代記的な一面も。 出版社の宣伝文句に"『細雪』×『華麗なる一族』×ミステリ!"とあるのを読後に見たが、まさに言い得て妙。 ただ翻って、文庫書き下ろしで800ページものヴォリュームがありながら、純文学としても娯楽作品としてもミステリーとしても、それぞれの要素がなんとも中途半端な印象で、いずれも物足りなさを感じるかな…と思ってしまった。
0投稿日: 2025.04.04
powered by ブクログものすごく好みで面白かった!読ませる物語が期待以上でページ数など気にならなく、読み終わるのが寂しく感じるほどだった。大正時代の横濱の富豪一族の中で妾腹の娘、かな子が幼少期から味方のいない世界で知恵を働かせながら一人戦う姿が強くて逞しい。だけどその中にもやっぱり弱さや揺れ動く様が見られ一緒に一喜一憂した。この時代の人々の生活や歴史、お家騒動なども勉強になるし楽しめる。終盤の伏線回収で明かされた真実に驚いた…恐ろしい。スペイン風邪の猛威も震災の悲惨さも全ての別れも悲しい。夢中になっての読書で本当に楽しかった。
17投稿日: 2025.04.03
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
本格物のミステリからと思って読んだら、内容は違っていた。明治大正を舞台にした重厚な純文学のような作品。しっかりと調べて書かれているようで読み応えがある。一応、事件も起こり、謎解きもある。 期待した内容と違っていたので私の星は低いが、好きな人はハマってしまう魅力があると思う。歴史小説なのに文章は非常に読みやすかった。
0投稿日: 2025.04.01
powered by ブクログ頭の回転がいい少女の半世紀を描いた大河ドラマ。有吉佐和子氏や東野圭吾氏の本と同等の面白さでゆっくり読みたかったが予約者がまだいたため惜しみながら返却。購入してもいいぐらいの檜垣澤家の人々の強かさ。嫌味やイジメなどないところもいい。
2投稿日: 2025.03.30
powered by ブクログ皆さんが沢山この作品を読まれていること、この表紙がめっちゃ好みだったことから、私も読みたいなぁ~と思っていたところ、タイミングよく図書館からお借りすることができました♪ 時代は明治から大正の時代、物語の舞台は横濱、檜垣澤家は「檜垣澤商店」を経営する横濱で知らぬ者なき富豪一家…。当主の要吉の妾の子であったかな子は、母を亡くし檜垣澤家を頼ることに…。檜垣澤家では、要吉の妻で大奥様のスヱが、一家及び「檜垣澤商店」の実権を掌握していた。かな子の行く末はいかに…。 とにかく、長いっ!800ページ弱…!!あまりの内容の濃さに、序盤はいつものように一気に読み進めることができませんでした。お昼休みにちょこちょこ読もう作戦を敢行してましたが、これが不思議で段々と面白くなって、中盤からエンディングまでは一気に読めました。かな子やスヱをはじめとする登場人物が、いきいきとそして、特にかな子とスヱのしたたかさは、読んでいてたまらないものがありました。そして、この時代ですよ…明治維新から第一次世界大戦の頃、家のためのと名家との縁談を決められ有無を言わさず嫁がされる時代なのに、決して卑屈になっていないんですよね!!そしてスペイン風邪の流行…なんだか、コロナ禍を彷彿させます。 読了後の満足感、半端ないです!!永嶋恵美さん続編を執筆中とか??楽しみだな…今後のかな子が、どんな風に生きていくのか…早く続編が読みたいです。
80投稿日: 2025.03.27
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
かな子のたまの少女っぽさがいいね ラスボスと思ってた婆さんがあっさり亡くなったのは驚き 西原も 次巻が楽しみ
0投稿日: 2025.03.24
powered by ブクログ母親を失った妾の少女が、本家の邸宅に引き取られ、針に糸を通すような正解を選んでなんとか生き抜き、野望を抱いて成長していく小説。 時代感があり、娘たちの着物や洋装の描写、邸宅や上流階級のお付き合いなどが子細に描かれており興味深かった。
0投稿日: 2025.03.19
powered by ブクログすごーい、800ページの作品。理屈無しで一気読み。始めは細雪とか、お家さんとか、その他のを思い起こしていた。1人の女性の半生を記している点が似てるから。だが様々な所に危うい仕掛けを隠しているのが、檜垣澤家そのもののミステリアスな生業とマッチしていて面白かった。是非ドラマ化して欲しい。
12投稿日: 2025.03.18
powered by ブクログ明治大正、とある商人の名家。一代で財を成した主人の妾の子。母である妾が亡くなり、父の家に引き取られるも、既に父は病床に。その父の妻である刀自が絶対権力をふるい。 まさに山崎豊子。このミス3位だが、ミステリーらしさとしての秀逸さより、まさに一族のクロニクルと、主人公の人を蹴落としてでものし上がろうとするしたたかさに浸る。 しかし、結局は一発逆転なったかのきっかけはあれか。
0投稿日: 2025.03.16
powered by ブクログ明治維新後、檜垣澤要吉が築いた横濱の商家•檜垣澤商店。要吉が病に倒れた後も、本妻のスヱ、長女の花、花の三人娘など、一族の女たちが中心となって経営を切り盛りしていた。要吉の妾の子•高木かな子は母親の死後、7歳で檜垣澤家に引き取られる。妾腹の娘という肩身の狭い立場から、「人に動かされるのではなく、人を動かす側に回りたい」野心が芽生えるかな子。持ち前の人間観察力と記憶力で相手の腹の底を嗅ぎ当て、したたかに成長していく… 800頁弱の大長編だが、リーダビリティ高く一気読み。豪商の創業者を父に持ちながら居候の身で幼弱なかな子が、ほんのわずかなやり取りで相手の腹の中を探り、上手に立ち回りながら狙った結果を手繰り寄せていく様が読みどころの一つ。底意地の悪い女中をやり込めたり、底知れない女傑•スヱと駆け引きする場面はひりつくような緊張感で、実に読み応えがあった。脇を固めるキャラクターも魅力的。つかみどころのない書生•西村、かな子を妹のように可愛がる雪江、意気投合し親友となる暁子。彼女らとの愛情•友情織りなす人間ドラマが物語を彩る。 日露戦争、欧州大戦(第一次世界大戦)、戦後恐慌、スペイン風邪など史実に翻弄される檜垣澤家とかな子。人を動かすのがどういうことなのか?波瀾万丈の運命の果てに、その答えに辿り着けて良かった。 どうやら、私はこの手の大河小説が好きだということを今更ながら自覚した。「大鞠家殺人事件」しかり「赤朽葉家の伝説」しかりだ。解説で紹介されている“一族もの”の「華麗なる一族」「細雪」「犬神家の一族」もそのうち読んでみたい。 週刊文春ミステリーベスト10 4位 このミステリーがすごい! 3位 SRの会ミステリーベスト10 10位 ミステリが読みたい! 4位 リアルサウンド認定国内ミステリーベスト10 10位
38投稿日: 2025.03.15
powered by ブクログ横浜の新興商家・檜垣澤家。当主の妾腹の子・かな子は母の死後檜垣澤家に引き取られる。そこは“山手の刀自”と呼ばれるやり手のスヱを初めとする野心と陰謀渦巻く女系の家族だった。 使用人扱いの幼いかな子は、持ち前の知恵と洞察力で次第に居場所を確保していく。 婿養子の不審な死、政略結婚、陸軍との交渉、亡きものとされた跡取り息子の存在、そしてかな子が最後にたどり着いた真実とは…… 先に読んだ船場の「大鞠家」から横浜の「檜垣澤家」へと華麗なる一族の物語が続く。 婿養子が不審死を遂げ、次は誰?とミステリのつもりで読んでいたら、謎解きメインというよりも妾の子であるかな子の壮絶なサバイバルストーリーだった。 日露戦争、第一次世界大戦、大逆事件、世界恐慌、スペイン風邪、そして関東大震災と、明治から大正に至る時代背景、そこに煌びやかな富豪のお嬢達の生活や、お家のための政略結婚など時代感も満載で楽しい。 強かなかな子を応援しつつ、タイトルの“炎上” が気になりながらの700ページ。あっという間でした。力強さを感じるラストはその後のかな子がどんな人生を送ったのか想像させる読後。 手応え十分の面白さでした。
3投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリというよりブラックな朝ドラのよう。 かな子のたくましさと賢さに感嘆しつつ、ふと気を抜いた折の無防備な姿にほっとしたりもする。 時代背景もあり、ラストはろくなことにならないだろうとは思ったが、想像よりはましだった。とはいえ、人間の業など大自然の前にはなにほどでもない。 がんばれ、かな子というまでもなく、頑張るんだろうな。
9投稿日: 2025.03.10
powered by ブクログ帯文の「『華麗なる一族』×『細雪』×云々」から入ったら、若しくは戸惑うかも知れない。同じ山崎豊子作品なら、「女系家族」のような…。
0投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリというより1人の少女の生き様を描いた物語か。結局、かな子は最後までスエを越えられなかったが、そこが単なる下剋上物語となっていなくて好印象だった。
4投稿日: 2025.03.04
powered by ブクログネットで話題になっていた作品を読んでみました。 主人公のかな子は物語の舞台である大商家・檜垣澤家当主(故人)が妾との間にもうけた娘。 この作品は、立場の弱い純粋無垢で哀れな悲劇のヒロインが、正妻やその娘たちにいびり倒されながら頑張って生きていく、良家のお嬢様ストーリー……ではありません。 このかな子という主人公は、本当に頭が良くて口が回り、行動力もある。 彼女はか弱いシンデレラではなく、弱い立場からのし上がってやろうという強い野心を抱えた、打算的で逞しい娘です。 そんなかな子の回りで起こる出来事(ちょっとしたものから大事件まで)を軸に、彼女の打算に満ちた人生を追体験するストーリー。 人一人の半生を描いている(それも結構詳細に)ので、それだけにページ数が相当ある作品で、友情、恋愛といった青春要素から火事や殺人といった物騒な事件、果ては一族に隠された謎といったミステリアス要素まで、かなり盛り沢山。 それらをとにかく詰め込んでやりました!という感じでは決してなく、流れが自然なのも好印象です。 こんなふうに、小説を読む楽しさを感じられる作品は、あまり多くないのではないかと思います。 かな子以外の登場人物もとても個性、存在感があって、盛り沢山のストーリーに彩りを加えています。 特に当主の正妻スエのラスボス感と、性格的に気に入らないけどなんか気になっちゃう存在、西原の曲者ぶりは印象的。 ただ一番の曲者はやっぱりかな子だと思う……(嫌なやつだと感じることも多々)。 最初から最後まで、まるで人の一生のように流れていく。 そして終盤はきちんと収束して、サスペンス的な緊迫感と儚さ、悲壮感がひしめき合って非常に盛り上がっています。 多くの人の間で話題になるのも肯ける作品でした。
3投稿日: 2025.03.02
powered by ブクログ昨年12月に読んだ複数の雑誌で見掛けて気になり、読みたかった作品。 昨年のうちに買おうと思ったけれど、在庫が書店にもなく、ネットにもなく、予約すらできず、買えたとしても定価以上の値段…。 メ〇カリではなんと、定価の倍以上の値段で販売されていてびっくり(⊙⊙)!! なので、買うことをすっかり諦めていたのだけれど、重版されたタイミングで手にすることができた。 横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾であった母を亡くしたかな子は、この家に引き取られる。ある夜、婿養子である辰市が不審な死を遂げる。やがて、かな子が辿り着いた真実とはー…? 主人公であるかな子。 幼いながらに母の教えに従い、心を許せる相手がいない檜垣澤家の中でうまく立ち回る。 優れた観察眼を持ち、相手に合わせて臨機応変に接し方を変え、子どもらしさを見せるのは檜垣澤家の三姉妹を喜ばせるための演技をする時だけ。 女中たちからの嫌がらせにも屈しない。 まだ10歳に満たない子どもなのに、達観しすぎていて、そうしなければ生きていけない境遇を思い、読んでいて切なくなった。 かな子の前に立ちはだかる壁、大奥様がまたすごい。 檜垣澤家の中で起こること全てが、大奥様の思惑通りに動いている。 また、同じ妾腹であっても性差があることに驚いた。 男に産まれていたら手に入れられたであろうものが、かな子には手に入らない。 女であることをいいことに、いいように使われ、遠ざけられてしまう。 年齢を重ね、「努力は惜しまない。自らの手で掴み取りたい。」と逆境に立ち向かっていくかな子を心から応援したくなった。 本書は明治から大正時代の物語で、歴史的背景も語られており、歴史に明るくない私はすごく勉強になった。 スペイン風邪の描写はコロナに似ているように感じた。 物語の根底に大きな謎が横たわっているが、ちょっとした謎も織り込まれていて、ボリュームがあっても飽きることなく楽しめた。 読みやすいが故に、サラっと読んでしまいがちで、謎が明らかになる場面では「あっ、あれが伏線だったのか…!」と毎回驚かされた。 それまでのかな子を見守ってきたからこそ、ラストシーンは胸にグッときた。 彼女たちの未来が明るくありますように。 ✎︎____________ 人には三つの色がある。顔色、声色、腹の色。どの色を見るかで、その人の見え方は変わってくる。(p.22) 思い込みは目を曇らせる。(p.197) 頭の中に入っているものだけは、決して他人に奪われたりしない。(p.398) 言葉を教える、言葉を習うという行為は、互いの間にあった壁を協力し合って壊すことだ。(p.450) たとえ思いやりからであっても、本当のことを教えてもらえないのは辛いものよ(p.498) 何を食べるかではなく、誰と食べるかが重要だ(p.583) 嘘をつく直前、嘘をついている最中、何か不自然な言葉があれば、それは概ね真実であると考えて良い(pp.609~610) 動かされる者たち、使われる者たちよりも、先の先まで考え、見通しを立てる。そうやって初めて人は動く。(p.764)
44投稿日: 2025.02.25
powered by ブクログ年末各種ランキングから。正直、帯に踊る谷崎や山崎を彷彿という謳い文句には惹かれるものがなく、どっしりしたボリューム感と合わせ、読み始めるまでは腰が引けていたもの。しかしこれがまた、見事な逸品。歴史学習者であった頃のイメージのせいか、明治や大正あたりには苦手意識があるんだけど、自らの読書体験をふと振り返ってみれば、意外に好きな作品が多いことに気付く。本作も、時代・舞台設定が見事で、読み出したとたんに惹き込まれる。ミステリというより、ある一家を描いた大河ドラマで、映像化を期待したくなっちゃう。
1投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ明治、日露戦争開戦の年に誕生したかな子は、母を亡くし7歳で父のもとに引き取られた。 横濱で知らぬ者なき富豪一族・檜垣澤要吉の妾であったのが、かな子の母であったのだ。 だが、引き取られた時には父は病床に臥していて、看病ののちに亡くなる。 檜垣澤家を仕切っているのは「大奥様」と呼ばれるスエであり、次に「奥様」である花。花には三人の娘がいた。 花には婿養子である辰市がいたが、蔵が炎上したときに遺体となって発見された。 女系家族のなか、かな子は引き取られた頃から一族や使用人たちの性格を密かに観察し、役立つことは必ず記憶し、自分の居場所を拡大するための足場を目ざとく見い出してゆく。 老獪なスエに引けを取らぬ勢いで、成長していくかな子を見るのはなかな爽快でもあった。 この時代ならではの社会情勢や洋装と和装を楽しむ様子なども知ることもでき、個性豊かな三姉妹の生活も彩りがあり楽しめた。 時代と相まったミステリーだった。
65投稿日: 2025.02.17
powered by ブクログ20250216008 横浜の「華麗なる一族」の娘かな子を中心とした一族、そして歴史の記録。ミステリとしてレベッカを思い出させた。
0投稿日: 2025.02.16
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
ミステリって書いてあったけどミステリではない気がする。一人の少女の人物譚。一つ一つのエピソードや登場人物のキャラクターは面白いんだけど、全体として物語がどこに向かうのか、そしてどこを目指して終わったのか、というのがイマイチわからなかった。
4投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
打算的ではあるけれど、不誠実ではないし、筋を通す。不遇だけど、一家の中で、一番両親からの愛情を感じていて、実際愛されていたことが、かな子の芯の強さと、悪人になりきれない素直さや優しさに繋がっていると思う。 ミステリー要素は薄め。正直途中、忘れてた。
1投稿日: 2025.02.10
powered by ブクログ時代は明治から大正。富豪一族当主の妾の子「かな子」が母を亡くし本家に引き取られたのはわずか7歳。己の才覚だけで権利を、そして未来をつかみ取ろうとする…。それだけで十分面白いのに、謎解きまで盛り込まれています。 読みやすいのに、しっかりした文体と内容で重厚さを感じる圧巻の1冊です‼️ ページ毎に気になる表現や展開があり、分厚いのに冗長さがまるでありません。 巻末の参考文献も気になります‼️
42投稿日: 2025.02.09
powered by ブクログ本書について書いた大矢博子さんの書評を読んでたまらなく読みたくなったのは半年ぐらい前だっただろう。頼みの図書館にはまだ置かれていないし、購入したくとも売り切れだった。諦めていたところ、何か月後に図書館に入り、手元に届いたのは今月初めだった。熱はなく頭痛と咳に悩まされながら読了した頃、夫が高熱をあげた。受診すると何とコロナだった。単なる風邪と思っていたのは大間違いで夫の熱は10日間続き症状も重く、今でも調子が悪そう。8日に読み終えレビューを書くタイミングを外してしまい、書くのを止すつもりだったが取り合えず残すことにしよう。 本書は明治の終わりから大正12年(1923年)の関東大震災後辺りまでが舞台だ。この頃をめちゃくちゃ好きな私は、エネルギッシュな負の躍動感に惹かれる。明治維新後、日清戦争を経て日露戦争が始まるなど次第に世の中に軍部の影が色濃くなる時代に、生糸製品の貿易業を営む「檜垣澤商店」当主のめかけの子として生まれた高木かな子が主人公だ。かな子は母親の死により本家に引き取られ付き添っていたが頼りの父親も亡くなる。となると、かな子には”妾の子”として虐められるパターンになりそうだが、かな子は実にタフな女の子で本妻のスエや娘たちと駆け引きを何べんか繰り返しのし上がっていく。同じ檜垣澤の血を持って生まれたのだから、自分にもスエと同じようにこの家を動かし、すべてを手に入れる資格があるのだという一念からだった。檜垣澤家は完全な女系家族で「檜垣澤の家に男は要らない」という一文が置かれているほど。これまで描かれて来たキャラクタ―とは異なる新ヒロイン登場、タフガイに引けを取らないキャラクターにハマってしまった! 著者はすでに続編を執筆しているらしい。たぶん檜垣澤家の実権を握っていくと予想されるかな子。これから時代は太平洋戦争へと向かっていき、前途には多大な困難が待ち受けているだろう。暗躍すると予想できるかな子が待ち遠しい。続編が楽しみ! ※檜垣澤家が成り上がっていけたのは裏に陸軍との繋がりがあったから。色んな情報を引き出すために、スエの目論見で、檜垣澤家の娘たちや伯爵家の妻らが動いていたのも興味深い。陸軍は作戦を実行するに当たり、動かせる船を持っていずに海軍から借り受けることもできなかったと本文で語られていて驚いた。果たして陸軍と海軍の仲はそこまで悪かったのか。
22投稿日: 2025.02.08
powered by ブクログ文学作品としてとても読み応えがある。 地の文が多いので、よほど集中していないと読み通せないものの、文章自体は平易で、かつ主人公の一人称視点が貫かれているから読みやすい。 ミステリという点では派手な仕掛けはないものの、この作品の良さを消さないためにはこの程度のミステリ成分がちょうど良いだろう。 〈小公女モノ〉というジャンルなのかもしれないが、虐げられている子どもが自らの能力で居場所を作っていく様子は、ハリーポッターシリーズにも通ずるような爽快感があるなと感じた。
1投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログ長い小説だったが読後感は悪くなかった。 横須賀に住む人間としては横浜は身近であり、すこし遠い土地でもある。 そこが幾度もの大火に焼け野原にされ、大震災で大被害に会いとなんども更地になってきた歴史があったとは知らなかった。主人公の加奈子は大店の主人の妾の子供でありその妾が病死して引き取られた。唯一の味方である父は脳梗塞による不随の身、その父も死んでしまい孤立無援の存在となってしまった。ここからは連続テレビ小説の主人公そのままに、持ち前の負けん気と情報収集能力、行動力、交渉力を駆使して這い上がっていく。いくつかの謎が提供されるがそんなものは筋書きにはほとんど影響されない。時代の雰囲気とその中で生き抜く、したり顔の女の子の話だ。
3投稿日: 2025.02.07
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
このミスで選ばれてたということもあり、気になり購入。結論からいうと、思ってたミステリとは違ったけど、めちゃくちゃ面白かったので、大満足。 かな子が徐々に成長して、上に認められていくサクセスストーリーに、殺人事件がどう絡んでいくのか全然想像がつかなかったけど、後半の様々な伏線が回収で、綺麗に繋がりましたね。 にしてもスヱが凄すぎでしょ。。。最後まで手のひらの上だったとは。 本当は、かな子が成長して実力でスヱや花を凌ぐのを期待してたけど、時代背景など考えるとそこまでは難しいのかな。
8投稿日: 2025.02.02
powered by ブクログ横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは──。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。【解説=千街晶之】 とにかく面白かった。妾だった母が火事で亡くなり、本妻の家に引き取られたかな子が、どうこの家で生きていくのか、うまく立ち回っていくのか。すごく気になって、そしてかな子を応援しながら読んだ。もうかな子の行動や考え方がすごくて、読む手が止まらなかった。 とにかくかな子は、強かな女の子だった。ただ茫然といたら、山手の刀自のスヱに食われてしまう。絶対にそんなことはさせないし、この家を自分のものにするんだぐらいの考えで、とにかく行動をする。これが、本当にすごいんだよなぁ。私なら、ぼんやりしてどこかの成金のお坊ちゃんの嫁にやられて終わってしまうと思った。 大正時代のお金持ちのお嬢様のお話。けっこうこの時代って好きだから余計に面白かった。お金持ちのお嬢様方の言葉遣いだとか学校での話。そして、結局は家のために在学中に嫁入りが決まる運命。なんだか悲しいんだけど、すごくこの時代が好き。そして、その時代で本当にかな子は強かった。 かな子の強敵であるスヱ。このスヱはすごい。きっと彼女も若い頃は、かな子と同じ考えで、ここまでやってきたんだろうなと今になっては思う。だけど、私はかな子目線でみてるし、かな子を応援しているから、「このばばぁ…」となってしまう。だけど、かな子のことを読んで、意外にかな子のことを助けてくれる一面もあった。 そして、かな子と着せ替え人形のようにして遊んでいた雪江。三姉妹の末っ子で、妹ができたみたいで嬉しかったんだろうなぁ。あのときかな子は、雪江の機嫌を損ねないようにいろいろ考えていたけど、あとになって着物に合わせる小物を選んだりとかで役に立ってるのを見ると、雪江とのお遊びも勉強になったんだろうな。そして、雪江が結婚するときのかな子は、本当に寂しかったんだろうと思う。 かな子の前に時折現れる、西原さんの存在もまた良かったなぁ。謎なかんじがして、そして何かとかな子を助けてくれる。少しミステリアスな感じがして良かった。西原から送られてくるハガキの謎も本当に良かったし、なんだかきゅんきゅんしてしまった。正直な話、西原とくっついてほしいなとも思った。 大正時代の話ということは、あの関東大震災も起こるということは、薄々気がついていた。未来の私たちからは、これから檜垣澤家というか横浜の街に何が起こるのか想像するのは容易い。そして、思った通りに出てきた。もうなんだか悲しかった。あんなに欲しがっていたものを手に入れたのに、あまりにも突然で茫然としてしまったかな子を見て、これから頑張ってほしいとも思ったし、この困難を乗り切るかな子の姿も見たかったのが正直な話だ。 かなりの長編で、こんな長編読んだは久しぶりだったけど、本当にあっという間に読んでしまった。夢中になった。かな子の人生をこれからも見守りたいと切に思った作品だった。 2025.2.1 読了
4投稿日: 2025.02.01
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
激動の明治から昭和初期、歴史的な出来事を背景にして、檜垣澤家で自分の位置を確立していこうとするかな子を尊敬する。 この後のことについても知りたい。続編希望。
5投稿日: 2025.01.31
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白かった。 かな子は西原さんが好きだったのかな… 華麗なる一族や細雪とはくらぶるべくもないけれど。 かな子の一代記前半戦としたら、なかなか面白い。
0投稿日: 2025.01.30
powered by ブクログミステリーの要素はあまり感じなかったが、かな子が知略で大人たちと対等に渡り合い困難を打破していくのは小気味よかった。出来過ぎ感を否めなかったが、ラストで『経験もなければ書物で得た程度の知識しかない』と自分の無能さを思い知ることで、引き締まった終わり方になった。
1投稿日: 2025.01.28
powered by ブクログ横濱の富豪一族、檜垣澤家。 当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られることに。 家を取り仕切る大奥様、競い合う三姉妹と、檜垣澤は女系が治めていました。 婿養子が不審な死を遂げ、姉妹たちの政略結婚、陸軍との交渉、陰謀渦巻く館で、才を開花させるかな子。 長篇ミステリですが、大河小説のようです。 読ませます。
0投稿日: 2025.01.27
powered by ブクログ明治のの終わりから大正にかけての話。 横浜では有名な紡績問屋の檜垣澤商店。主役は妾腹のかな子。 母親が死んでしまい、父親(檜垣澤家)に引き取られ、脳卒中で倒れた父親の世話をしているところから話は始まる。 はじめにとか第1章で父親が死んでしまい、檜垣澤家でかな子がどのように立ち回るのか?「炎上」とは何を意味するのか? やたらと評価が高いが、それもそのはず文句なしに面白い。
1投稿日: 2025.01.27
powered by ブクログ文庫で770ページもある、非常に重厚な物語であった。大正時代の華族に焦点を当てており、むずかしい言葉が少し含まれてはいるが、読みやすく、淡々とストーリーを追っていける。帯には、「殺人事件」、「刊行前から絶賛の嵐」などと書いてあり、話がどこかで急展開し、手に汗握る状態になることを期待していたが、最後まで大きな盛り上がりはなく、大正時代の「ノリ」にもついていけずに終わった。
0投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログ【Amazon説明】 『細雪』×『華麗なる一族』×ミステリ! 「女であっても、私はすべてを手に入れたい」 富豪一家に拾われた娘のたったひとりの闘いが始まる。 横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは──。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。 【感想】 「解説」にある通り「華麗なる一族」×「細雪」×ミステリーで、横浜の富豪檜垣澤家を舞台にした日露戦争開戦の年に生まれた檜垣沢要吉の妾腹の子高木かな子のサバイバルストーリー。当時の富豪の風俗がきめ細かく描かれ、欧州大戦、戦後不況、スペイン風邪、関東大震災などの時代背景もうまく活かしており、まさに小説の醍醐味だと思った。
0投稿日: 2025.01.23
powered by ブクログミステリーであり、賢い野心家、かな子が上流社会でのし上がっていこうとする話。 当時の社会、世相、人間関係の難しさなど読み応えたっぷり。 ミステリーとしての要素も納得の結末。 ドラマ化したものを見てみたい。 目標であり、乗り越えるべき壁だけでなく自分を取り巻いていた全てのものを失ったかな子の、その後も見てみたい。
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
明治から大正にかけての上流社会、お家柄の血族モノでしかも、館が絡んでくると言ったらもうこれは横溝の世界感なのかとも思いきや、虐げられる少女モノでも、歴史的背景に彩られる横濱の地域的近代史とも女傑が暗躍する胸のすく家族小説とも、いろいろな方向から読み楽しめる大河的な一冊でした。 主人公のかな子は妾だった母に、周りの人の顔色声色、そして腹の色を見なさいと知恵を授けられ育ったということからもこの小説のある意味、暗さも伺える。 かな子が可哀想か少女ではなく、したたかで賢く立ち回って成長してゆくところが心地良く感じました。 愛読書のひとつ「細雪」を思い出した。
10投稿日: 2025.01.21
powered by ブクログ明治半ば。 横濱で絹物輸出商として財を成した檜垣澤商店の創業者要吉の、いわゆる妾の子として生まれたかな子は、母の死後、檜垣澤家に引き取られた。 やがて要吉も亡くなり、本妻のスヱを筆頭に女ばかりとなった檜垣澤家は、しかしますます事業に成功し富を手に入れていく。 かな子は持ち前の利発さで、創業者の娘である自分にも相応の権利が与えられてしかるべきだと考え、幼い頃からスヱら檜垣澤家の女たちの攻略法を錬る。 かな子の原動力が、はっきりとした怨恨や嫉妬ではなく、純粋な富への執着や権力欲でもなく、それらが絡み合った複雑なものからきているところが面白い。 物語の中で殺人や放火といった物騒な事件はあるが、ミステリーとも言い切れないし、初めて読むタイプの話だった。 いよいよここからかな子の人生が始まる、というところで終わっているのに続編はないものか。
1投稿日: 2025.01.16
powered by ブクログ裏表紙の紹介文にミステリとあるけど、ミステリ色は薄め。エンタメ系というより、純文学寄りだと思う。 明治から大正にかけての物語で、私はこの時代が好きなので楽しめた。
0投稿日: 2025.01.12
powered by ブクログAmazonの紹介より 横濱で知らぬ者なき富豪一族、檜垣澤家。当主の妾だった母を亡くし、高木かな子はこの家に引き取られる。商売の舵取りをする大奥様。互いに美を競い合う三姉妹。檜垣澤は女系が治めていた。そしてある夜、婿養子が不審な死を遂げる。政略結婚、軍との交渉、昏い秘密。陰謀渦巻く館でその才を開花させたかな子が辿り着いた真実とは──。小説の醍醐味、その全てが注ぎこまれた、傑作長篇ミステリ。 約770ページというかなりのボリュームがあって、読みごたえがありました。「このミステリーがすごい」で第3位ということで挑戦しましたが、とにかく長い「旅路」でした。 最初は、婿養子が不審な死を遂げたということで、「犬神家の一族」を彷彿させるような不穏さがあったものの、中盤は一族内での争いとまではいきませんが、頭脳戦での人間ドラマが濃密で、大正時代ならではの空気が漂っていました。巷では「細雪」に似ているそうです。(未読なのでわかりません。) そして、後半では、不審な死が再注目されていき、まさに「炎上」へと発展していくので、超長編ながらも濃い人間ドラマがあって面白かったです。 主人公はかな子で、当主の妾の子ということで、もうドロドロの展開が待ち受けているじゃんとか思ってしまいます。檜垣澤家に引き取られたかな子は、そこで「女系家族」として、様々な騒動に巻き込まれます。 表向きは控えめに対応していますが、裏では強かに計算しながら、対応していきます。 ドロドロした内容にはなっているものの、読んだ雰囲気はそんなに陰湿ではなく、控えめな感じはありました。 大正時代の出来事や習わしを交えながら、巻き起こる展開は読みごたえがありました。政略結婚や女同士の嫉妬などが渦巻いていて、面白かったです。 ミステリーとしてみると、不審な死の事件は置いてかれているので、これで終わりかなと後半まで思ったのですが、しっかりと浮き彫りになっていきます。 犯人は誰なのか?「犬神家の一族」を彷彿させるような女のイキっている描写が印象的で、恐かったです。そこから怒涛のように「炎上」していくのですが、大正時代に起こった背景を入れつつ、檜垣澤家の運命に驚いてしまいました。 檜垣澤家の秘密やまさかの展開に驚きましたし、まさに濃密の人間ドラマがあって、読了後は疲れがどっときました。 おそらく、1冊の本としては、一番ボリュームのある量を読みましたが、色んな謎があっただけでなく、それぞれの登場人物のキャラが引き立っていて、ドロドロの展開もあって楽しめました。 超長編ですが、ぜひ挑戦してみてください。
14投稿日: 2025.01.10
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
挫折。 物語の展開は気になるところだが、この主人公の、良く言えばしたたかさ(悪く言えば性格の悪さ…)に共感できる場面が少なく、没入できませんでした。 靴に自ら湯呑みの破片を入れて怪我をするところで耐えられず離脱です。 そうまでしないと生き残れない時代と背景があったことを考えると、最初からなりふり構わず生きる主人公と思って読み進めればよかったのかもしれません。 少なくとも、小公女ではないかなぁ…。
1投稿日: 2025.01.09
powered by ブクログこのレビューはネタバレを含みます。
面白いと評判だったので読んでみた。 確かに「細雪」✖️「華麗なる一族」✖️「犬神家の一族」といった感あり。 かな子の成り上がりぶりがとても魅力的でグイグイ読ませる。周りのお姉様方がみんななかなかの個性派揃い。 その頂点のスヱがまたすごいいいラスボス感がある。 ところどころのスヱの金言もいい味を出している。 「嘘をつくとき、人は同時に本当のことを思い浮かべるもの。うっかりそれが言葉に出るものもいるし、表情や仕草に出るものもいる。巧みに嘘をつくものはそれを表に出さないだけ。」「嘘をつく直前嘘をついている最中、何か不自然な言葉があれば、それは概ね真実であると考えて良い」 こう言う言葉に出会うと小説がより楽しくなる。 ただ、スヱをどんなふうに乗り越えていくのか、と期待して読んだので、最後が一瞬で解決していくのは、いかがなものかとは思った。そこは、粘り強く書いて楽しませてくれないと! 上下巻でも読める内容だと思うし。 厨房の荒川も生きていると思ったのにな。
27投稿日: 2025.01.07
