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邪悪なる大蛇
邪悪なる大蛇
ピエール・ルメートル、橘明美、荷見明子/文藝春秋
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総合評価

36件)
4.2
12
12
7
0
0
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    このレビューはネタバレを含みます。

    本書がピエール・ルメートルの最後のミステリーという売り文句で世に放たれていたのは知っていた。 だが、その後ルメートルの新作らしき本も見かけることがあり、どういうことだ?と思っていた。 なるほど「ミステリー」は最後ということらしい。 他に取り組んでいるという″歴史小説″の方を読んだことないので何とも言えないのだが、別にこれも「誰か分からない犯人が事件を起こして警察なり探偵なりが手掛かりを追い犯人を突き止める」といういわゆる王道なミステリーというわけではなく、ノワールとかサスペンスといった着想や展開の妙で魅せる類の作品。 わざわざ最後とか言う必要あるのかな。 着想はユニーク。 老齢を迎えた主人公というのは近年ちらほら見かけるような気がするけど、認知症の兆候ので始めた凄腕の殺し屋(女性)というのは、エッジ効かせてきたなと。 展開も面白い。 仕事の出来栄えをめぐる悶着や明後日の方向に突き進み完遂してしまう姿。 はちゃめちゃなんだけど、何故かドタバタ感はそうでもない。 ただ、本人も認めるようにとにかく登場人物達(犬含む)に容赦がない。 そこまで紡いできた物語に未練もなく、すぱっと引導を渡す。 現実世界ですら容赦ないのに、ましてや犯罪小説の中にしてなぜ手加減する必要がある?というのが本人の論のようだが、なんて言うかそこは意味とか、去ってなお残される物語性っていうのが欲しいところ。 決して容赦ない現実をトレースしたいだけで読んでいるわけではないので。 初めて書いた作品をわずかに手直ししてピリオドとしたそうだが、これでいいのかな。 ある意味″歴史小説″の方ではどんなテイストになっているのか読んでみたくなった。

    48
    投稿日: 2025.10.26
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    【あらすじ】 殺し屋のおばあさんが認知症を患って、人や犬をどんどん殺していく話。 【感想】 バイオレンス描写が結構あっさりしていて、あまり感覚に訴えかけてこなかった。武器や殺傷方法もありきたりで新味がない。 サクサク読めてそれなりに楽しめるが、ちょっとパンチ力が足りなかった。「認知症を患った殺し屋のおばあさん」というステキな設定に期待が膨らんで、ハードルを上げすぎてしまったかも…? もっと無茶苦茶で破天荒な物語を読みたいなぁ。

    9
    投稿日: 2025.09.29
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    海外作品は、人物の名前が頭に入ってこなくて、少し苦手。でも、この作品は読みやすい。(そういえば、この作家の「その女アレックス」もよかったな) 話は、認知症が進む凄腕の殺し屋が、次から次へと人を殺して行く。その理由が理不尽で面白い。ラストも予想外で、海外作品で久々のヒット作です。

    9
    投稿日: 2025.06.06
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじ  1985年。マティルダ63歳、殺し屋の女性。夫は普通の医者で、未亡人となってから活動し始めたが、彼女は戦時中から恐れ知らずの闘士として知られていた。しかし最近、認知症の症状が出て、物忘れが激しくなってきた。殺し屋としての手順を忘れてしまうのだ。マティルダの上司・司令官アンリは頭を悩ませていた。最近彼女の仕事が雑になってきたと思うからだ。  そして、彼女はとうとう自分の家に来てくれる予定だった家政婦を殺害してしまう。ポケットの中に入っていたメモを依頼書だと思ったのだ。また、別の案件で目撃者まで殺害してしまう。続いてマティルダに目をつけ始めた刑事と、彼の恩人の世話をしている介護士なども次々に殺害する。とうとうアンリはマチルダを抹殺しようとするが、返り討ちに遭い殺される。  結局マディルダは刑事の恩人である男性(彼も認知症の疑いあり)に車で衝突されるのだった。 《感想》作者ピエール・ルメートルは、これでミステリーを最後にすると言っているらしい。というか、この作品がそもそも一番初めに書いた小説らしい。ストーリーは初めから終わりまでぶっ飛んでいて、ひたすら認知症の女性が自分の思い込み(多分認知症だけではなく、元々の気質なんだと思う。何でもかんでも自分の都合の良いように解釈しているところとか。)で暴走している。そして周りが振り回されっぱなしの様子。  悪趣味で意地悪で登場人物に容赦ない。最後までピエール・ルメートル節であった。でも、これが最初の小説だと思うと、初めから彼の才能はずば抜けていたと思う。というか、あっという間に日本でも一大ブームを巻き起こし(「アレックス」)、あっという間にミステリーの世界から消えようとしている。まるで作者自身が1つのフィクションのような気がしてしまった。本当にピエール・ルメートルはいるんだろうか?なんてことまで思っていた。  最後まで彼の作品に心を大きく振り回され、これまでのミステリー作品とはだいぶ違う。何かに出くわしてしまったような感じを受けたのだった。  もしまたいつか、ピエール・ルメートルの気が向いて、ミステリーを発表してくれたら嬉しいな。怖いもの見たさで。

    3
    投稿日: 2025.05.29
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    ルメートルらしくない作品でしたが楽しめました。 この女最強だなと思いつつ病んでました。 前作まではやりきれない感じの作品でしたが今回は割と普通に読み終わりました。

    0
    投稿日: 2025.05.28
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    63歳の女殺し屋。抜群の腕前で、次々と指事をこなす。だが、少しずつ認知症の症状が出始める。冷徹で残酷な殺し屋は、どんどんエスカレートしていく。 なんだか、すごいストーリーだった。一気に読ませるものがある。次々と殺される登場人物に驚く。そして、ラストのシーンにも驚く。映像化されたら、私は途中でギブアップしそうだ。

    5
    投稿日: 2025.05.07
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    海外ミステリーは登場人物の名前を覚えるのに時間がかかる。 ルネとかアンリとか 何回頭の中で男性と言い聞かせても 女性だと思い込んでるからちんぷんかんぷんになる。 この物語は動物が何匹も犠牲になる。 人間はいいけど 無垢な動物が殺されるのは嫌だな。と嫌な気持ちになった。 あと40年の前の話だから 公衆電話とか防犯カメラとかなしとか 今では有り得なくて あと、63歳は老婆だったんだろうね。昔は… 40年前と今では10歳くらい若返ってるのかな? それともフランスでは今でも63は老婆なのか?

    1
    投稿日: 2025.02.07
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    設定が面白いですし、展開がスピーディーであっという間に読んでしまいました! よくよく考えてみると誰1人応援したくなる登場人物がいないのに、なぜだか惹き込まれる不思議な感覚。 でも、読んでいる最中は、次から次に誰かを応援したくなるのはこの作者の見事なところかなと。 少し古い設定に感じるのは書かれた時代によるものですし、荒唐無稽な点も含めて味だと思います。

    1
    投稿日: 2025.01.25
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    初期に書かれた作品ということも あるかもしれないが、 後刊されたものより あっという間の読書期間だった。

    0
    投稿日: 2025.01.20
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    面白かった〜 まさかこんなラストだなんて。⁠:゚⁠(⁠;⁠´⁠∩⁠`⁠;⁠)゚⁠:⁠。 そして何より、読みやすいのが嬉しい。 海外ミステリーって、初心者の私にはちょっとハードル高めだったりするの。 でもこれは全く問題なし! ブク友さん達のレビューから、絶対に読みたかった一冊。 もちろん私はピエール・ルメートル作品初読みです。 63歳の殺し屋マティルドは、体重78kgで厚化粧www そして、認知症… その症状に気付いたのは、マティルドに殺しを依頼しているアンリ、70歳。 二人は旧知の仲だ。 マティルドの暴走をなんとか止めようとするが… 作中何度も〝太った高齢女性〟の描写が出てくるが、いざ標的が現れると秒でマグナム弾を正確にぶち込む! それは美しく無駄のない動き。 冴えわたる五感。 こうした動きは身体が覚えているのだろう。 その場面は、若く美しい殺し屋の姿かと錯覚してしまう。 また、マティルドのアンリに対する少女のような恋心が滑稽で悲しい。 愛しいアンリのもとへ業務用バンを走らせるマティルドの頭の中は、走馬灯のように様々な思い出が巡る… あぁ、それにしてもいったい何人死んだのだろう。 人はこんなにもあっけなく、この世から消えていくのだ。 その直前まで抱いていた希望や何気ない日常は、パタンと終わりを告げる。 制御不能の殺し屋 恐ろしすぎる

    66
    投稿日: 2025.01.17
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    絶望感と理不尽がスピーディに繰り広げられます 認知症の殺し屋という設定の段階でもう優勝決定ですよね

    0
    投稿日: 2024.12.31
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    おもしろかった‼︎ 主人公と同世代の私…思い当たること続々。 やったこと次々忘れる、前のことが思い出せない、まあいいか、と次へいく。 私の忘れるのは洗濯機に洗剤入れたかな?とか、炊いたご飯冷凍したかな?とか、かわいいものだけど、主人公は殺人の武器を始末したかな?とか、死体を処理したかな?とかなので、恐ろしい! 笑えるし、身震いするほど恐ろしい。さらに別の認知症患者が絡んできて、予測不能、まさに奇想天外な方向へと終盤なだれこむ。 私のような高齢読者には思い当たるところありありだし、若い人は若い人で、えっ?こうなるの?と驚きの連続だと思うし、唯一無二のここにしかないルメートルワールドです‼︎

    1
    投稿日: 2024.12.26
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    63歳の現役凄腕の殺し屋マティルドに少しずつ認知症の兆しが見え始める。 覚えていないことが増え、殺しも必要以上に過激になっていく。 彼女に殺しを依頼しているアンリは危機感を抱くのだが、マティルドはかつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走は加速してゆく。 最初から最後までマティルドから目が離せない。 残酷すぎる殺しも躊躇わずに成し遂げるのは、やはり凄腕だからなのか… 冷酷さと殺しの技術を兼ね備えた彼女に誰も敵わないのか… 刑事すらものともせず、この暴走を止められる者はいるのか…と。 いた…死を恐れていない人間が、死の意味がわからない人間がいた。 ラストの惨劇は衝撃的であり喜劇ですらあった。 言葉を失くすとは…このことかと実感。

    59
    投稿日: 2024.12.10
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    大好き!もうとにかくこの人書籍が大好き、 最初のこの本に対して評価に鳥肌がたつことから始まるのでこれこれこれ!!!!!って一番なる。 中身も一人一人がすごく特徴的な魅力たっぷりの人物で、ピエールルメートル特有の情を持たせるのが上手いな〜とつくづく思う。この人後半にかけてのスピード感マッハレベルすぎて映画だと早さを決められてるけど本だとこれが調整できてもう最高!!!まだまだ描き続けてほしいな。

    1
    投稿日: 2024.11.06
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    えーっ!読み終わって絶叫してしまった。序文によれば今作は1番始めに書いた作品らしい。それが最後に出すなんて。 主人公は老いた殺し屋のマティルド。ミステリーでもなくマティルドがひたすら殺人を犯すストーリー。読んでて楽しかったが私は、以前のアレックスやイレーヌの様な作品を読みたい。

    11
    投稿日: 2024.10.30
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    これが最後のルメートルのミステリーか、と思うと寂しい。その女アレックスや、悲しみのイレーヌで出てきたパワー系女性の最たるや、という感じの65歳の女性が主役。狂気ってこういうことなのかと感じる。文章に深く入りすぎるとマティルドの歪んだ思考に取りつかれそう。 マティルドの過去?背景?をもう少し深掘りして欲しかったような、わからないからなお怖いという余韻も良いような。このおばさまに遭遇したら生きてられない。

    0
    投稿日: 2024.10.29
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    『その女アレックス』の巨匠、最後のミステリーとの触れ込みで手に取った。舞台は1985年、その頃に創られたストーリーを仕上げたものらしい。テイストや、作り込みがずいぶん違うと感じた。 主人公は夫を亡くして独りで暮らすマティルド、63歳。殺し屋。凄腕の戦士だが、彼女には認知症が少しずつ忍び寄りつつあった。それに気づいた戦中からの同志アンリが、彼女をどうやって止めようかと画策。一方のマティルドの中では、かつて抱いていたアンリへの恋心が甦り、暴走が加速。 しかし、63歳の主人公、体形の違いや動きの緩慢さ、細かいことが面倒になる、などは分かる気がするが、いわゆる認知症は、ここまで進むものなのか?

    6
    投稿日: 2024.10.26
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     最初に出会ったときの驚愕。物語の残酷さ、えげつなさ。その原点に回帰したかのようなピエール・ルメートルの新作は、実は未発表の処女作だったらしい。この作品の奇妙な点は、あまりに奇妙で歪んだ時間軸で生まれ出たいわくつきの作品であるというところだ。作者は、実は、ミステリーの道にはもう戻らないと決意したようなことが、我々の読んだ最後のミステリー『僕が死んだあの森』で書かれている旨、ぼくは当該作品のレビューで記している(https://w.atwiki.jp/fadv/pages/2396.html)。  過去に書き終えてはいたが自分では未完成と思っていたゆえに仕舞い込んでしまった処女作。それが本書である。なので、この作品を今一度修正して完成度を高めて、最初に書いたのに最後のミステリー、として完成させた上で出版しようと作者は考えたらしい。だが、いざ修正を試みると、今のルメートルにとっては、ほぼ修正すべきところがなく、このままで出版してもおかしくないように思えたらしい。過去に本書を、デビュー作としては未完成で使えないと判断し、お蔵入りさせてしまったのは、その当時の作家ではなかった自分である。だが今現在の売れっ子作家であるルメートルから見て、この作品に修正を加えるところはない、そのまま出版させて差し支えない。そう、判断した。  かような経緯を辿り、この作品は邦訳され、我々の手に渡ることになった。そして結果、やはりこれまでのルメートルを知る者にとっても、本書は凄玉と言っていい作品だった。序盤での殺人風景。キャラクターとしては極度に珍しい、まるまると肥った老女であり、大口径の銃を駆使するという腕利きの殺し屋の登場シーン。その異様な設定や衝撃の出だしだけでは、もちろん物語が走らないのだが、掴みは十分すぎるほど十分だ。彼女が、実は老化による認知症を患っているらしく、物忘れがひどくなりつつある状況下で、すべてが暴走を始める皮肉で不気味な展開はルメートルらしさ、そのものだ。  最初のうちは誰が主人公だかよくわかない。三人称群像形式で物語が始まるので、主役クラスと読者側で勝手に思い込んでしまうある人物が、いともあっさり殺されてしまうに至って、読者の理性は強く揺すられる。ぼく自身めまいがしそうな展開に、ルメートルという作家の本質をまた捕まえてゆけそうな感覚が戻り、そのことを懐かしく思い返したりする。この物語が本当に若書きで、作者自ら仕舞い込んでおいたものとは到底思えない目の前の光景に、ただただ面食らうしかないのだ。  多くの残酷さはルメートルお馴染みのもので、それは犯罪小説やミステリーのみならず、『天国でまた会おう』に始まる歴史冒険小説三部作の側でもとりわけセーブされるものではない。人間の残酷さや、運命の残酷さはルメートルが遠慮なしに書くべき要素なのだろう。  本書では、数人の注目すべきキャラクターがしっかりと描き分けられ、それぞれの思惑で動き、ぶつかり、あるいはすれ違いつつ、暴走する主人公とずれたり交錯したりしてゆく。何度も交錯したりすれば、それはいつか大口径の銃口によって進路を決定づけることになる。死という道への進路を。  愛と暴力。追憶と忘却。若さと老化。美貌と老醜。逃走と追跡。本書を通して理知的なようで、いずれ暴走してゆくしかない老いたる女主人公は、若い頃はとても魅力的な美女で殺し屋であったようだが、この物語ではスタートラインから、既に老い、肥り、陰惨さを増し、死地を切り抜ける経験をふんだんに積んで手に負えない悪夢の存在である。その一方、簡単な間違いもやらかす。主に熟慮を欠いた行為としての銃弾が、読者も予期せぬ方向に飛んでゆくこともあり、それは無残な光景を背後に遺す。  切り裂かれる空気が全編を満たし、その中でも、なぜかユーモラスで皮肉、という奇妙な時間を読者は共有させられる。多くの奇怪な人間たちの思いがけぬ運命と、邪魔なものを排除し、ひたすら逃走する老いた女殺し屋。こんな奇妙な地獄絵図を、天才じゃなくて誰が作れるだろうか。  ピエール・ルメートルの作品は読み尽くした。でももうミステリーを書かないと宣言した作者であれ、彼の書く作品は別のスタイルの小説で翻訳されるだろう。彼の書く独自さや奇妙さや、奇妙で魅力的な人物たちの、不可思議な魅力は、他の何ものにも代えがたいものがあるからだ。フレンチ・ノワールの系譜をどのジャンルでも継いでくれると信じられる作家であるからだ。  ともあれ、ミステリ作家のP・LにAdieu!

    9
    投稿日: 2024.10.21
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    続いてもワタクシの第二の故郷おフランスから フランスが産んだ鬼才ピエール・ルメートルの最後のミステリーと銘打たれた『邪悪なる大蛇』です 「最後の」って言っていますが、実はルメートルが最初に書いたクライムノベルということです 晩年歴史小説に軸足を移したルメートルがファンからもうクライムノベルは書かないの?ってしつこく言われて、そういえばタンスの中にひとつ仕舞ってあったなと思い出し、ちょっと直して出版したという代物 まぁ言わゆるタンス預金ですな(違うわ!) 物語を一言で言い表すなら、(解説にあった通り)「残酷な喜劇」ということになるんでしょうな 初期の認知症を患った凄腕の殺し屋のおばあちゃんが主人公 認知症と凄腕という相容れない状態が混乱を加速させる中、物語は進みます 途中、まだらな記憶の中に巻き込まれた関係ない人たちも殺しまくります ダメなのよー 「残酷」だめなのよ基本 そこを上回ってくれるぐらいの驚きのストーリーを展開してくれればそっちが勝つんだけど 「残酷」の時点で「喜劇」成立しないのよ 何がおもろいねんって思っちゃうのね 分かりますよ 仕立てとしてはね そこにおかしみを見出すっていう作りはね でもダメ「残酷」だけが残っちゃうの 悲しすぎて思わず笑っちゃうって感情は理解できるんだけど苦手なんよね ならクライムノベルなんて読まなきゃいいんだけどね 悪に憧れる気持ちもちょっとあるのよ

    68
    投稿日: 2024.10.14
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    まるで楽しむかのようにグロの限りを尽くしてきたマチルド、最後はついにやったな、という印象。読みやすかったけれどテンポ軽すぎで、これが最後のミステリかと思うと、ちょっと残念。

    2
    投稿日: 2024.10.12
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    主人公のマティルドは63歳の未亡人で田舎で犬と悠々自適な生活を送っている。 職業は殺し屋。 若い頃はレジスタンスの美貌の闘士で、当時の司令官アンリから指示を受ける形で殺しを請け負っている。 そんな彼女に認知症の症状が現れ、殺し方が不必要に残虐になったり、ターゲットを勘違いしたり、組織との連絡方法や銃の処理を忘れたりと、任務に支障が出始めた。 マティルドを昔から密かに慕っていたアンリはそんな彼女の異常に気づき手を打とうとする… 歳をとってボケ始めた暗殺者のおばあちゃんというとコミカルな雰囲気だけど、思い込みが激しく感情も制御できず、生来の残虐さをあらわに暴走する凄腕の殺し屋ってところが怖すぎる。 マティルドが考えていた事、やろうとしていた事を次のページではころっと忘れてしまって、結果最悪の事態が繰り返されていく様は読んでいてハラハラするのに面白くて止められない。 しかもボケてしまっていても殺しに関しての技術や集中力が衰えていないのが最悪に拍車をかけてしまっている。 ラストは皮肉だったなぁ…

    0
    投稿日: 2024.10.12
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    せっかくレビュー見てくれたのにごめんなさいねー 一度、このレビューを閉じて本の表紙を見てください …… …… …… ……、見てくれました? どーもm(_ _)m バアさんがいましたよね 彼女の名はマティルド、63歳 それなりの歳ですからシワは仕方ないです 体重もかつての倍になってしまったそうです それでも若かりし頃の美貌は凄かったそうです 美貌と冷酷で知られるレジスタンスの闘士だったそうです そんな彼女の殺しの腕前は今も昔も変わらず健在です マティルド、63歳は今も凄腕の殺し屋なのです しかも、ただの殺し屋ではないのです 凄腕の…、じゃなかった! いや、凄腕は凄腕なんだけど… 凄腕の殺し屋でも敵わないものが彼女に迫っているのです それは、認知症! マティルド、63歳は凄腕で認知症の殺し屋なのです ちぃーとボケ始めてる殺し屋なんてめちゃくちゃこぇーよ! だって、ターゲットを殺すときにマグナム弾をぶちこんじゃうんだよ! あそこに! 股間に! あぁー、こぇーこぇー! マティルド、こぇーこぇー! どこかの奥様よりこぇーこぇー! ( ゚∀゚)・∵. グハッ!!

    45
    投稿日: 2024.10.10
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    ピエール・ルメートルは「その女アレックス」以来で どんなスタイルの作家だったか忘れてしまっていたんだけど、まあ〜おもしろかった! ラストは痛快すぎて、声を出して笑ってしまったほど。 ありゃ、こんなこと書いたら不謹慎で物騒な人間だと思われるかも? 何せ全編通して残虐で残酷。だけど根底にはユーモアが漂っている。 認知症を発症した63歳の女殺し屋という設定が 最初は無茶過ぎない?と思ったけど、 その心配はいらなかった。 前に読んだ本のテーマがバイアスだったのだけど、 今回もまさしくそれと同じ。 老人だから何もわかってない、何も出来やしないだろうという偏見を、鼻で笑うかのごとく危機をかいくぐっていく主人公が 同年代である自分には頼もしく思えた。 最近ほんとにいろんな場面で衰えを感じ、 自分に自信をなくしていたところなので。。 そしてこの作品には もう1人の隠れた主人公がいる。 このお方にも拍手。 老いることが何? 深刻にならないで 今自分が出来ることをやろうよと言われてるようで ちょっと勇気をもらえた。

    30
    投稿日: 2024.10.10
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    このレビューはネタバレを含みます。

    いろんな目線で話が進んでいき、テンポも良いのであっという間に読んでしまった。感情移入したところで主要人物があっさりと死んでいくのもルメートルらしく面白い。最後どうなるのかと思ったらスッキリ、といったラスト。認知症の殺し屋が認知症の老人に制されるといった発想も面白い。

    0
    投稿日: 2024.10.08
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    すごいおばさん殺し屋。若い時にすごかったのはわかるけれど、60も過ぎて、誰が見ても太っている、という状態で、とんでもなくキレている殺し屋。 この前に読んだのが『怖い患者』 精神疾患の怖さを改めて突きつけられた感じ。 どうするのこんな人間…と思いながら、残り少ないページが気になり出したが あまりに呆気ない最後。 外国人著者の作品は、ほとんど読まないが、以前読んだこの著者の本がとても面白かったので。 裏切らない内容でした。めちゃ早く読み終え田。

    2
    投稿日: 2024.09.18
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    六十三歳にして現役の凄腕殺し屋マティルド。しかし老いは容赦なく忍び寄り、彼女は自覚しないうちに認知症の症状に侵されていた。少しずついろんなことを忘れ、忘れたことも忘れ、自分の異変に気付かないままに残酷な殺しをやり遂げるマティルド。彼女の行動に危惧を覚えた司令官のアンリは、やがて苦渋の決断をすることになる。スリリングでハードボイルド、さらにブラックなユーモアも魅力的な、これはまさに残酷な喜劇といいえて妙です。 部屋が片付かない。凶器の始末を忘れる。標的を間違える(この間違え方が酷い!)。いろいろやらかしながらも、殺しの腕自体はまったく鈍っていないがゆえに、マティルドの危険さがとんでもないです。彼女の暴走は傍目には楽しくも思えるのだけれど、まさかあの人もこの人も巻き込まれてしまうとは。そのあたりの物語は普通なら悲劇といえるのかもしれないけど、あまりに淡々として、読み口はまったくもって喜劇なんだよなあ。 マティルドとアンリの、お互いに愛情を持ちながらも決して結ばれることのない関係も絶妙。さて、彼らの対決はいったいどうなってしまうのか。どうなっても行きつく先は悲劇……になりそうなのですが。いやいや、このラストはやはり喜劇としか思えませんでした。そして認知症に陥ってしまった人の切なさが、少し尾を引く感じもします。

    4
    投稿日: 2024.09.15
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    訳は悪くないが、細部にミスがある。 銃の口径を三十二、シトロエン2CV を11CVと書いているのは、犯罪小説の訳者としては未熟すぎる。

    10
    投稿日: 2024.09.11
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    ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい!! ピエール·ルメートルは、やっぱりスゴい。11打数11本全てホームラン。 彼にとって最後のミステリ作品と言っても、感慨に浸っている隙さえ与えないハイスピードな展開。

    2
    投稿日: 2024.09.05
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    伝説の女性殺し屋が歳を取ったら… このキャラクターの設定がとても面白い。 そして主人公、マティルドは容赦ない。 マティルドのカオスな心模様に次々と巻き込まれていく人々… 初めて書いた犯罪小説で、既にこんな才能を秘めていたとは、やっぱりルメートルだ。 チラッとSPY×FAMILYを連想しながら楽しめた。 人が歳をとるという現実をこれでもかと書き綴っているけれど、63歳じゃまだここまでヨボヨボにはならないかなぁ。 現実にはプラス10歳くらいのイメージ。 この作品はデビュー前に初めて書いたものだというから、当時のルメートルはまだ若くて、60代がとんでもなく老いぼれて見えてたのかも知れない。

    4
    投稿日: 2024.09.01
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    ★5 認知症の症状が出始めた凄腕の女殺し屋… 純真無垢な彼女の恐ろしい犯罪小説 #邪悪なる大蛇 ■あらすじ 63歳の女殺し屋であるマティルドは、かつては冷酷非道の凄腕であったが認知症の症状が出始めていた。昔ながらの上司アンリから指示を受けながら仕事を続けるも、徐々に捜査の手が及び始める。アンリはマティルドを心配するが、肝心の本人はアンリへかつて抱いていた恋心が蘇ってしまい… ■きっと読みたくなるレビュー 人間だれしも元気で健康的な生活を続けたと思ってる。しかしながら時間というのは残酷で平等、着実に老化や寿命はやってくるんです。社会の裏側で生きていた殺し屋が、認知症を患うとどうなってしまうのでしょうか。 恐ろしくもユーモラスに、全ての読み手に救われない感情を突きつけてくるという… 残虐性の中にも悲しみが果てしなく押し寄せてくる犯罪小説です。いやー凄かった。 本作一番の読みどころは、主人公の女殺し屋マティルドの魅力。そう、表紙でこちらを睨んでいる彼女です。銃をむけないでよ、こわっ でも彼女は素直にまっすぐな性格で、ワンちゃんを愛する心根の優しいマダムなんです。(絶対に近寄りたくないけど) しかしそんな彼女は、認知症で既に短期記憶が曖昧になり始めている。殺し屋の仕事なんて、誰がターゲットなのか、凶器は処分したのか、仲間との連絡方法はどうするのかなどなど、理解していないと、殺しの仕事なんてこなせないよね… 何が怖いって、本人は何も問題ないと思っており、女学生のように天真爛漫にロマンスすら期待している。それでも殺気の嗅覚や殺戮のテクニックは超一流で、身体が覚えてるんです。こ、こわい… 物語だから面白く読めるけど、これ現実だったらマジでイヤなんだけど。確かに殺し屋に定年制度なんてないよなぁ。 そんな彼女が恋心を抱くのが、若かりし頃からの仕事仲間のアンリ。彼女に仕事を依頼する立場なんですが管理する側としては心配なはず。それでも彼は紳士的で優しいんすよ~、これがモテる中年ですね。メモしなきゃ ...〆(。_。*)メモメモ 彼女とこのナイスミドルがどう絡んでいくのか、本書一番の痺れポイントですよ! さて物語が進むにしたがって、それはもうハチャメチャになってきて、どんどん読んじゃうんです。怖くて悲しい、でもこんなにも面白いエンタメがあるのかってくらい。さすがはルメートル先生、読者を楽しませるプロですね。終盤の緊迫感と怒涛の展開もお見事で、読み応えも抜群でした。 ■ぜっさん推しポイント 誰しも年齢を重ねていくと、次第に衰えて弱っていく。この頃私も目が見えづらくなり、メガネの度数を変えました。いつまで読書を楽しめるか心配です。みなさん身体は大事にしましょうね。 三つ子の魂百までと言いますが、人間の本質ってのは変わらないし、変えられない。自分の知識や経験、学んできたことっていうのは、体の中に沁みついているものなんですね。一日一日を大切に生きたいと思わせてくれる一冊でした。

    105
    投稿日: 2024.08.24
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    果たしてこれはミステリーなのか?読んでいくうちに、ジャンル分け不可能な作品であるように感じた。 ある女性殺し屋のロードムービーというか。 認知症の初老の女性が、凄腕の殺し屋で現役である、という悪夢のような話。 巻き添えになった人たちがあまりに理不尽で不幸すぎる。

    11
    投稿日: 2024.08.24
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    「僕が死んだあの森」で、筆を折ったと言われていたルメートルが、最後のミステリーとして出版した「邪悪なる大蛇」。ルメートルファンにとっては、涙が出るほどに嬉しいサプライズ!! 「現実の人生では理不尽なことが次々と起こるのに、なぜ小説家は手加減しなければならない?」と言うルメートル。そんな手加減なぞ俺様がするわけがない、とばかりに、この作品はカバーにあるとおり「アタマからラストまで、ひたすら加速する最悪と最速のスパイラル」だ。酸鼻の極みのルメートルミステリーでありながら、彼らしい喜劇性も含まれる。 あー、これで本当にルメートルミステリーとはお別れなのだな。たまらなく寂しい。

    18
    投稿日: 2024.08.15
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    1985年のフランスを舞台にした犯罪小説。凄腕の女暗殺者マティルドは63歳になってもその腕前は衰えずいまだ現役だったが、知らぬ間に認知症を患っていた。レジスタンス以来の残酷な殺し方に疑問を持った同志アンリ。マティルドの加速する暴走行為を止めることが出来るのは誰だ?…凄腕の暗殺者の末路がこれでは恐ろし過ぎる。次々にマティルドによって落とされる生命は悪人だけとは限らない。アンリとの攻防にハラハラし、人死に何度も絶望感を味わった。でも、ラストが好き。

    2
    投稿日: 2024.08.08
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    「邪悪なる大蛇」(ピエール・ルメートル : 橘 明美・荷見明子 訳)を読んだ。 
あの「その女アレックス」のピエール・ルメートルである。 
認知症の暗殺者って設定が斬新ではあるが、ここまで暴走させるとは思いもしなかった。
どんだけ殺すんだか。
この先どうなって欲しいのか読んでいる自分にもわからなくなった。
笑っちゃいけないが笑うしかない『あ!』という展開だったよ。 
あー面白かった! 
ところで、翻訳者の荷見明子さんのお名前読めなかった。(はすみ明子)さんなんだ。

    6
    投稿日: 2024.08.07
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    このレビューはネタバレを含みます。

    奇しくもパリオリンピック開幕と同時に読むことになったのですが、フランス的底意地の悪さや捻くれ、一筋縄でいかない、わけわからない…などの要素を堪能できて気持ちよかったです。 そういうものが楽しめない方にはおすすめしません。

    1
    投稿日: 2024.07.28
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    【『その女アレックス』の巨匠、最後のミステリー】63歳の殺し屋マティルド。凄腕と恐れられた彼女を認知症が侵し始めた時、狂乱の幕が開く。黒い笑いに満ちた巨匠最後のミステリー。

    0
    投稿日: 2024.06.24