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こちら、終末停滞委員会。5
こちら、終末停滞委員会。5
逢縁奇演、荻pote/KADOKAWA
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総合評価

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    本巻のあらすじを最初に読んだ時は「今度は仮面心葉が居た次元とはまた別の近似次元が舞台なのかな?」なんて考えたものだけど、実態はそれを遥かに超越する事態が展開されていたね! 心葉が恋兎に告白するというこれまでの経緯を知っている者からすると信じられない描写から始まった今巻は改めて心葉がどうして戦い続けるのかを示すものとなったような 今巻の前半は二つの物語が同時進行していたね 書架曼荼羅を訪れた心葉一行の物語と平和な真鶴で双子の妹と日々を謳歌する心葉達の物語。両者は同時進行的に描かれたから、全く別の場所の物語なのだろうと最初は思ったのだけど、真鶴に居る心葉が記憶を取り戻してからの展開は驚愕の連続 それによって見えてくる物語構造には恐ろしさを抱いてしまったよ…… 後に『残響の残骸』が語るように、あの真鶴は心葉が願って止まない場所の具現であり、平和なんて全く手に入らなかった心葉が最も手にしたかったそのものなんだよね… しかも、あれがシミュレーション世界であるならば留まるなんて間違っていると言える余地は増えるけど、実態は『残響の残骸』が作ったもう一つの宇宙であり怪異の王が言及するように今は不安定な部分があってもいずれは恒常性が落ち着いて何とも無い世界に変わっていく筈 その意味でも心葉があの世界に留まる事って何の問題も無いっちゃ無いんだよね だから安寧を享受した心葉がそれでも元の世界へと戻る理由があるとするならば、それこそ戦うためで。その際にはどうして戦いたいのか?何故戦わなければならないのか?という点こそ問われてくる この答えは書き下ろしショートの中で示されていたね。最初は「普通」をこそ願っていた彼は手に入りそうな幸せや守れそうな笑顔を守る為に頑張り続けた結果、いつの間にか多くを抱えるようになった。それこそが心葉を「戦う人間」へと変えていたのだろうね だから『残響の残骸』が最も望んだ在り方をしている世界であろうと、心葉にとってそれが戦いからの逃げになってしまうならば心葉はそこに留まる自分を許せないのだろうね。それはとても哀しくてとても強い在り方だろうな… 『残響の残骸』の真鶴は平和という点だけでなく、人間関係においても心葉に癒しと安寧を与えるものとなっているね シャチイーターという普通から外れた同年代と仲良くしつつ、恋兎が主催するバンドで普通の青春を過ごしていたりもする。また特筆すべきはニャオとリンという妹達だね。家族に恵まれなかった心葉にとって、彼を慕ってくれて、適度に庇護できる対象と言える2人は様々な意味で心葉にとって良い意味で都合の良い存在 このように書くと心葉があの世界を捨てる理由なんて本当にこれっぽっちも無くて、あるとすれば元の世界から逃げたくない、元の世界で繋がりを手にした大切な皆と一緒に戦いたいという傲慢のような責任感のようなものだけ それはやはり哀しいのだけど、それだけに彼の決意の尊さも感じられてしまうね… それだけに『残響の残骸』から脱出した後にご褒美かのようにリンやニャオとの関係が持ち越されたシーンには微笑ましいような温かいような感情を抱いてしまったよ 妹以上恋人未満な関係性になりそうだけど、まるで安寧の残滓のよう。辛い戦いの日々から逃れられない心葉にとって一つの癒しとなるのではないかと思えたね この巻ではサブ的な立ち位置となったLunaだけど、彼女が陰ながらした貢献、そして銃痕に籠められた願いの重さには瞠目捺せられましたよ…… 前々から心葉に対して重さバリバリな発言を繰り返してきた彼女だけど、自称するようにメンヘラ要素だったり場を明るくする為に敢えてそのような発言をしているのだろうと思える面もあった けれど、心葉が『残響の残骸』へ突入する直前の遣り取り、何よりも彼女が授かった銃痕の能力が何よりも彼女の心を示すものだったよ…この人、めっちゃ本気じゃん… だってあの能力って考え方に拠っては死にそうな心葉を助けるみたいな方向性に使えそうなものなのに、現状の彼女が考えているのは心中なんだもんなぁ…。心葉が生きていない世界なんて意味が無いと魂から思っているんだ…… 後、驚きの邂逅を果たしながら記憶がない為に互いが探し人であると気付けない心葉とエリフの今後は気になるね。こうして出会えたのだから何か意味がある筈だと願ってしまうけれど、ニャオとリンの再会が『線の人』によって仕組まれた可能性がある以上、心葉とエリフの再会も『線の人』が関わっている可能性があるんだろうな… そう思うと、2人がこうして傍に居る状態って実は良いものではないのではないかと不安になってしまうけれど……

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    投稿日: 2026.01.08
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    このレビューはネタバレを含みます。

    シリーズが積み重ねてきた「日常と終末の境界」を、これまで以上に静かで、しかし確かな重みをもって描き切った一冊だと感じられる。 派手な展開や過剰な説明に頼ることなく、登場人物たちの選択や沈黙、そして揺れる感情そのものが物語を前へ押し出していく構成は、シリーズ中でもとりわけ成熟した印象を受ける。 本作では、何気ない日常の描写が丁寧に積み重ねられる一方で、その背後に常に「終末」という避けがたい現実が影を落としている。その対比が鮮やかであるがゆえに、登場人物たちが守ろうとするものの尊さが、読者の胸に静かに沁み込んでくる。 とりわけ主人公の内面描写は深く、迷い、立ち止まり、それでもなお選び取る覚悟が、言葉少なに描かれることで一層の説得力を持って迫ってくる。 また、シリーズを通して築かれてきた世界観は本巻でさらに厚みを増し、「終末停滞」という概念そのものが、単なる設定ではなく、人間の生き方や時間の在り方を問い返す装置として機能している点が印象的だ。SF的な要素と感情のドラマが無理なく融合し、物語に独特の静謐さと緊張感を与えている。 大きな声で語られる物語ではない。 しかしだからこそ、読み終えたあとに残る余韻は深く、確かだ。 世界が終わるかもしれない状況の中で、それでも「今」を生きることの意味を問い続ける本作は、シリーズの一里塚として、そして一つの物語として、強い完成度を誇る一冊である。

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    投稿日: 2026.01.06
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     うおっ、スケールでっか……ちょっと矛盾するけどワンチャンこの巻単体でも1冊の長編って扱いにできませんかね? スケールとかしれっとお出しされるタイプにしてはドデカすぎる情報量とかで頭ごちゃぐちゃになりそうだけどそれはそれとして意外なキャラの再登場があったりしたりと注目ポイントが多すぎる。  新キャラも皆さん個性派でしたしね。馴染みっぷりが凄い。メイン組とは別グループ多めのワチャワチャ感も楽しかった。今回イラスト無かった方含め是非とも再登場を期待したい。個人的には『書架曼荼羅』メンバーの皆様方を!

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    投稿日: 2025.12.10