
総合評価
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powered by ブクログ人より酷い境遇(生まれや環境)じゃなかったとしても、こんなにも絶望してもいいんだと思った。弱くて脆くて狡い、カフカに共感する安心する。名著と呼ばれる作品は、物語の抽象度は高いのに、感情の解像度がいやに高い気がする。本書にも書かれてたけど、人は自分が言語化できない感情や境遇を代わりに物語にしてもらうことで、自分の境遇や感情を明らかにすることができて、整理、受け入れられるのかもしれない。人にとって混沌が1番苦しいから。
0投稿日: 2025.08.10
powered by ブクログ図書館本 ある朝、突然虫けらになったサラリーマンを描いた小説「変身」の解説本だが、著者は「作者の意図とかメッセージとかカフカはそこまで深く考えて変身を書いてないよね」と(正直私もそう感じた)「グレーゴルが何故虫になったか」より「何故変身を書いたか」という、カフカの育った環境や当時の社会情勢などを中心に解説している。 変身は不条理小説とだけではなく、介護文学とも読めるという視点も面白かった。 そしてカフカはユダヤ系とは知っていたが、彼の姉妹や叔父、元婚約者がホロコーストで犠牲になっていたという事実に衝撃をうけた。本書を読んだ後、また変身が読みたくなる良書だ。
1投稿日: 2025.01.22
powered by ブクログ第1章 しがらみから逃れたい(突然「虫けら」になったサラリーマン;意味と理由が存在しないストーリー;意外にも「いい人」だったカフカ;父親=巨大な存在;カフカが選べなかった救いの道;思うように身体が動かない状況) 第2章 前に進む勇気が出ない(引きこもりになったグレゴール;外の世界へつながる「窓」;フェリスという女性;フェリスとの文通と「地下室」願望;「あたりまえ」という巨大なハードル;「法律の門」の前でためらう男) 第3章 居場所がなくなるとき(家族関係からの解放;「居場所を失う」ことへの不安と期待;東方ユダヤ人への憧れ;『変身』と対極にある『城』;「時代の必然」として生まれたカフカの小説;存在のあやうさ) 第4章 弱さが教えてくれること(病気と死;エコロジカル・ライフ;「弱さ」という巨大な力;草の根運動のバイブルだったカフカ作品;ホームレスと「カフカの階段」;自分や世界と向き合うために;カフカの小説は、自分を知るための鏡である) ブックス特別章 ポスト・コロナの『変身』再読(コロナ禍で『変身』を訳す;孤立する家族;誰が「ケア」するのか;ラストシーンに隠された不協和音;『断食芸人』との比較)
0投稿日: 2024.09.25
powered by ブクログフランツ・カフカの名著「変身」を深掘りする。 NHKの名著を様々な側面から深掘りし読み解く教養番組「100分で名著」の書籍版。番組もわかりやすいが私には自分のペースでささっと読める書籍版がよかった。 カフカの変身は好きな作品だが、他のカフカ作品同様に暗く不条理。作者も暗く理解されない孤独の人生を歩んだのかと思いきやそうでもない。中島敦がクヨクヨ悩むタイプの作品を書きつつ自身はそういう人間と正反対の性格だったということに似ている。人間は傍目には恵まれていようと内面に人には理解できない闇を抱えているなんてことはよくあるものでそういった言語化できないやるせなさを作品として昇華しようとした時こういう読む人の解釈に任せる占いのような作品が生まれるのだろうか、と感じた。
1投稿日: 2024.08.22
