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坑夫(新潮文庫)
坑夫(新潮文庫)
夏目漱石/新潮社
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総合評価

49件)
3.7
6
18
14
3
0
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    NHK『100分で名著』で、ある作家さんが「漱石作品のなかで好きな作品3つ」のなかに挙げていたので、読んでみました。 おもしろかったです! まったく知らない世界の話で、ぐいぐい引き込まれました。  人の品格とは職業(医者か坑夫か…)ではなく、「教育から生ずる、上品な感情」と主人公が感じるシーン、大好きです。

    10
    投稿日: 2025.10.18
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    瞬間的に、めまぐるしく移り変わる感情の、見逃してしまうような、小さな皺のようなものが、くどいぐらいに丁寧に描写されている。本気で生きたいと思うことも、本気で死にたいと思うことも、紙一重かもしれないと思った。

    12
    投稿日: 2024.12.28
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    授業で足尾銅山を扱ったばかりだからタイムリーで面白かった。坑夫の生活状況が学べてよかった。 人間の性格は1時間毎変わるという文にあるように主人公のダイナミックな心情の変化が豊富な語彙で語られてて面白かった。地獄に仏ありと言うが、安さんがかっこよかった。 漱石先生の話は後半の盛り上げがやはり面白い。

    2
    投稿日: 2024.11.24
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    著者、夏目漱石(1867~1916)の作品、ブクログ登録は、6冊目になります。 本作は、2009年1月に読んでいます。 15年前になりますか、早いものです。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 恋愛事件のために家を出奔した主人公は、周旋屋に誘われるまま坑夫になる決心をし、赤毛布や小僧の飛び入りする奇妙な道中を続けた末銅山に辿り着く。飯場にひとり放り出された彼は異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深く降りて行く……。 漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意識的に排して描いたルポルタージュ的異色作。明治41年、『虞美人草』に次いで「朝日新聞」に連載された。用語、時代背景などについての詳細な注解、解説を付す。 ---引用終了

    37
    投稿日: 2024.06.20
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    最初に読んだときは、…??? さっぱり意味がわかりませんでしたが、解説を読んでから読み直すとすらすらと読めるようになりました。 特別な事件が起こる訳ではありません。 いま流行りの伏線回収もありません。 何かの意味や、コスパを求めて読む人には向いていないかもしれません。 それでも本書を読み終えると何か〈文学〉を読んだという感じで満たされます。 主人公が〈地獄の三丁目〉で見たものとは?そこで下す決断とは? 華厳の滝で「立派」に死ぬことなのか、それとも現実社会で生きてゆくことなのか…。 漱石先生の隠れた名作だと思います。

    12
    投稿日: 2024.04.20
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    なーんにも起こらないんだけど、起きている。 漱石の描写の全てが好き。 時間をかけて、のんびり読みたい1作。

    2
    投稿日: 2023.12.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    前作の『虞美人草』とは打って変わって、生々しい現実が牙を剥くような、異様なおぞましさを放つ作品でした。 恋愛事件のために東京の家を出奔した主人公の19歳の青年は、周旋屋の長蔵に誘われるまま坑夫になる決心をし、栃木の足尾銅山に向かう。途中、周旋屋から勧誘された"赤毛布(あかげっと)"や"小僧"も加わり、奇妙な行程を経た末銅山にたどり着く。 飯場にひとり放り出された青年は、異様な風体の坑夫たちに嚇かされたり嘲弄されたりしながらも、地獄の坑内深くへ降りて行く…。 漱石の許を訪れた未知の青年の告白をもとに、小説らしい構成を意図的に排して描いたルポルタージュ的異色作。 『虞美人草』の直接的な続編ではないものの、恋愛事件がきっかけで出奔している点は『虞美人草』の小野を想起させます。 また、主人公が自らの育ちの良さを自嘲するあたり、『坊っちゃん』の変奏のようでもあります。 しかし、紋切り型だった前作の人物造形とは異なり、本作の主人公が血肉の通った、揺れ動く人物として描かれているのが印象的。 周到に用意された舞台のような『虞美人草』に対し、容赦のない現実をつきつける『坑夫』は、好対照をなしているように感じます。 むしろ、前作を批判的に描き、乗り越えようとした「続編」と呼ぶこともできそうです。

    1
    投稿日: 2023.12.17
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    これなんで読み始めたのかなぁと思い出せなかったけど、『海辺のカフカ』で僕と大島さんがこの本について語っていたのだった。 アンダーグラウンド。

    2
    投稿日: 2021.11.14
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    帯に「村上春樹の『海辺のカフカ』カフカ少年も読んだ名作!」とあるからそんな場面があったんだろうか、忘れたがなるほど相通じるものがある。最近読んだ桐野夏生の『メタボラ』をも思い起こさせる不思議な作品だ。 といって当然こちらが先。あるものからのがれる逃避行の物語。逃げるってちょっと魅力的。 だけど「坊ちゃん」がぽっと世の中に家出すれば、だまされてとんでもないところに連れて行かれる。連れて行かれたところが銅銀山の飯場。 坑道に案内されて地獄を見、抗夫仲間にばかにされ、粗悪な食事がのども通らず、寝れば虫に悩まされる。しかし、そこは教養のある「坊ちゃん」人生が見えてくるからよしよし、というかなあんだ。 いやいや、この筆の冴え。道理がわかってくる道順が漱石的でただごとではない。やはり一読二読の価値あり。

    5
    投稿日: 2021.08.30
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    海辺のカフカにつられて。 淡々と、最初から最後まで客観的で、どこかよそよそしくて、そこそこ残酷で、でも楽観的で。好き。

    2
    投稿日: 2020.10.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    (個人的)漱石再読月間の7。15作品の半ばまで来ました。 異色作。 地獄のような最底辺の話で、「それから」の高等遊民の世界が好きな私にとって、これは胸つき八丁。 後半の地底も辛いが、そこに到着するまでの山越えがキツい。主人公がまだ今までいた世界と別れる踏ん切りがつかないところがその要因かと。 この後は何回も読んだ作品群なので楽勝かと。

    0
    投稿日: 2020.05.08
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    学も富もある立場から一夜にして坑夫という最底辺に堕落した主人公を通し、人間の内面を描く。時代設定は100年以上も昔になるが、自らの置かれた環境の有り難みが感じられる。

    0
    投稿日: 2019.10.29
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    それなりの家に生まれて学問も修めていた青年が 言い寄ってくる女と、許嫁との三角関係に苦しんだあげく 死にたくなって、そこを逃げ出してしまう ところが死に場所を探すうちにだんだん死ぬ気も萎えてきた そんな折、ぽん引きのおっちゃんに引っ掛けられて 鉱山労働者になる決心をする 安易なわりにプライドの高い彼は 何度も引き返すチャンスを与えられながら その誘惑をことごとく跳ね返し ついには居直り者のふてぶてしさを手に入れる 「虞美人草」に続く、夏目漱石の新聞連載第二弾 ただしこれは、「春」の執筆が進まない島崎藤村の穴埋めとして 急遽書き下ろされたもの いちおう教養小説としての体裁をつけており また、前作「虞美人草」とのテーマ関連をにおわせてもいるが 基本的には、人に聞いた話をそのまま出したような形である 人間は時々で考えが変わるものだという無責任主義を掲げ むしろ反・教養小説としての完成を試みているが しかし最終的に主人公は 一個の刹那主義者として自己規定するに至った 自己規定があるからこそ、こんな告白を小説家相手にするわけで だからまあその点、失敗作と言うべきなんだろう 反・教養小説(つまり堕落だ)の試みは 芥川龍之介の「羅生門」へ受け継がれたように思う

    0
    投稿日: 2018.07.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    実在の人物の経験を基にした作品と聞いた。無知と無鉄砲さ、生死に対しての軽さが、この若さのリアルで、いつの時代も人間というものは変わらないのかもと思わされた。心は固形体じゃないと考えているところなんか、とても共感した。 暗い坑の中で1人考えるところが印象的だった。 周りにいくら教えられても、自ら経験していく順序を追わないと答えの出せない気持ちは分かる。この、東京に帰ったという事実だけ淡々と最後語られるところが、主人公が人間を知り社会を知り大人になったということを感じさせる。 サラッと終わったのに不思議な余韻がある。

    2
    投稿日: 2018.06.20
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    漱石ファンからは支持されていると帯にあった。特に余韻もなく、普通に起伏なく盛り上がらず終わるので、それがいいという向きにはいいのかもしれない。それが故にあまり後まで残らないと感じた。

    0
    投稿日: 2018.05.03
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    新潮文庫に使われているスピンを見ると本書を開けた風がなく、30数年来の積読本であった。『坊ちゃん』にも似た軽妙な文章で、落語に出てくるような大家の若旦那が女性関係でしくじって、当時最下層の仕事と目されていた鉱山労働者に身をやつした回想を心理的考察を交えて綴られたものと読み進めた。しかし解説を読むと、荒井という青年の持ち込み材料であったことを知り、「小説になる気づかいはあるまい」などと放り投げたような表現が妙に気になったことを改めて実感した。また『虞美人草』との構成の対比など夢想だに出来なかった。修行不足だ

    0
    投稿日: 2017.08.20
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    久しぶりに漱石を読もうと思い読み易そうなこれを買ってみた。あとがきに寄ると急遽執筆することになった作品とのことで、特にこれといった筋立てもなく追憶として語られる青い煩悶の反復が特徴的。個人としては斯様に悩む時期は専ら過ぎているので強い感心は惹かれず。 主人公の過去と符合するらしい虞美人草を読んでいたらもう少し他の感想もあったかも。

    0
    投稿日: 2017.08.15
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    夏目漱石は面白いと思うものと面白くないものが自分の中ではっきりしているのだけど、坑夫は何年か前に読んだ時はひどくつまらないと思って途中で読むのをやめてしまった作品だった。 しかし何年かぶりに再読してみて、とても面白かった。 ストーリーらしきストーリーがないという評判なのだけど、ストーリーらしいストーリーに食傷気味の自分にとっては、逆に興味深かった。 人間は矛盾に満ちている、という主人公の考え方は、現代のアイデンティティみたいな概念に対するアンチテーゼとして読めた。日記のように淡々と進んで行くが、出てくる登場人物たちがみな生き生きしているように感じた。 やっぱり、夏目漱石は読みを極めて行きたい作家のひとりだ。

    0
    投稿日: 2017.08.09
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    このレビューはネタバレを含みます。

    あらすじ[編集] 恋愛関係のもつれから着の身着のまま東京を飛び出した、相当な地位を有つ家の子である19歳の青年。行く宛なく松林をさまよううちにポン引きの長蔵と出会う。自暴自棄になっていた青年は誘われるまま、半ば自殺するつもりで鉱山で坑夫として働くことを承諾する。道すがら奇妙な赤毛布や小僧も加わって四人は鉱山町の飯場に到着する。異様な風体の坑夫たちに絡まれたり、青年を案ずる飯場頭や坑夫の安さんの、東京に帰った方がいいという忠告に感謝しつつも、青年は改めて坑夫になる決心をして、深い坑内へと降りてゆく。そして、物語の結末は唐突に訪れる。坑道に深く降りたった翌日、診療所で健康診断を受けた若者は気管支炎と診断され、坑夫として働けないことが判明する。結局、青年は飯場頭と相談して飯場の帳簿付の仕事を5か月間やり遂げた後、東京へ帰ることになる。 解説[編集] ある日突然[1]、漱石のもとに荒井某という若者が現れて「自分の身の上にこういう材料があるが小説に書いて下さらんか。その報酬を頂いて実は信州へ行きたいのです」という話を持ちかける出来事が起きる。漱石は当初、個人の事情を小説として書きたくないという思いから、むしろ君自身が小説化した方がいいと本人に勧める。しかし、時を同じくして、1908年(明治41年)の元日から『朝日新聞』に掲載予定だった島崎藤村の『春』の執筆がはかどらず、急遽漱石がその穴を埋めることとなる。そこで漱石は若者の申し出を受け入れ、漱石作品としては異色と言える実在の人物の経験を素材としたルポルタージュ的な作品が生まれる。漱石の代表作として名が上がることは稀だが、作品の研究論文は現在に至るまで多数存在する。

    0
    投稿日: 2017.07.24
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    題材もストーリーも漱石らしくない。面白くないかと言えばそんなこともないけど、シーンの一つ一つがやたら長くて冗長なので長さの割に飽きてくる。異色作ってのは確かにそのとおりだと思う。

    0
    投稿日: 2017.02.12
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    (心理的に)地下に潜っている身として、深く共感させられる語りが随所に出てきます。青年の外的体験と漱石の内的体験が重なり合って生まれた作品だと、私にはそう感じられます。

    0
    投稿日: 2016.11.29
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    「小説の様に拵えたものじゃないから、小説の様に面白くはない。」 しかしそんな欠陥を、漱石特有の精確な心理描写と飄々としたユーモアでねじ伏せてしまった異色作、いや意欲作と呼びたい。 「……壁へ頭を打けて割っちまいたくなった。どっちを割るんだと云えば無論頭を割るんだが、幾分か壁の方も割れるだろう位の疳癪が起った。」 こういう屁理屈っぽい笑いのセンスはさすが!

    0
    投稿日: 2016.09.21
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    家でのゴタゴタから逃げ出した十九の男が主人公。道で会ったおっさんに坑夫をすすめられそのまま山まで行っちゃう。 印象的なのは人間に性格みたいなものはなく、わりと流されるようなところがあると書いてるところ。人間はあてにならない。まあ、あんまり人を「こうだ!」と決めつけるのは難しいということかな…

    0
    投稿日: 2016.04.19
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    漱石が他人の体験談を小説化したルポルタージュのような作品。女性関係が原因で家出した青年がポン引きに誘われて、鉱山に連れて行かれ坑内に入るまでが長い。途中で出会う赤毛布の男や坑夫の安さんなどが、その後どうなったかが気になった。

    0
    投稿日: 2015.12.20
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    どうやら誰かの実体験にもとづいた作品のようだが、漱石らしい「社会問題化するネタ」がまったく存在しない。一人の青年が私生活で自滅し、場末の飯場に辿りついて、そのままなし崩し的に坑夫体験をしていく。ただそれだけ。青年の没落エピソードに時代背景を感じるところは読み物としては面白いが、漱石の作品として見ると残念感が否めない。

    0
    投稿日: 2015.08.12
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    虚栄心(みえをはりたがる心)というのがいたるところに現れる。自分はこんなところにとまるような人間ではない。こんなふとんで寝るような人間ではない。こんなおはしですくい取れないようなご飯を食べる人間ではない。死ぬつもりで家を出てきて、途中「坑夫」にならないかと誘われてついてきた。「そんな細い体でこの仕事がつとまるか」と皆にバカにされる。18歳。まだ世の中のことを何も知らない。そんな主人公が、虚栄心を捨てることができず、思い悩みながらも何とかこの生活になじんでいこうとする。そのひさんな世界にも、ちょっと都会風の考え方をした人もいる。罪を犯して、人目を忍んで山に入ってきた。出るに出られぬ事情がある。そこにひかれる主人公。夏目漱石の小説は本当にしんきくさい。現在のテレビドラマなどからすると考えられない。200ページくらいの間に、3日くらいしか進んでいない。そのかわり、その時どきの気分をていねいに描いている。ところで私にも虚栄心が捨てきれない時代があった。「何でお前らにそこまで言われなあかんねん」なんて思うこともあった。でも今はもう腹を立てることもなくなった。(興奮して怒っているように見えるのはお芝居なんだな・・・迫真の演技でしょう・・・)少しは大人になったのかなあ。夏目漱石は大好きな作家の一人です。(中学生の)皆さんも「三四郎」あたりから読んでみてくださいね。

    0
    投稿日: 2015.05.28
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    たとえば読書家のいたずら好きの友人から、 「ねえ知ってた?これはね、村上春樹(伊坂幸太郎)が試みに、旧字体で書いた物語なんだよ」 そういわれて本気で信じたくなるほど、不思議な抜け感のある物語。 なんだろ。なんか似てんだよなこれ。 そう思いながら読むのだけど、わかりそうでわからない。だってこのはなし、なかなか前に進まない。 要領を得ない人のはなしみたいに、 話の起点があやふやで、しかも情報が後ででてくる。かとおもうと大切な情報はあやふや。情報のでてくる時系列が明らかにおかしい。 なんせ、主人公の名前は徹頭徹尾、出てこない。 書き出しがいきなり、「さっきから松原を通ってるんだが、松原と云うものは絵で見たよりもよっぽど長いもんだ。いつまで行っても松ばかり生はえていていっこう要領を得ない。こっちがいくらあるいたって松の方で発展してくれなければ駄目な事だ。いっそ始めから突っ立ったまま松とにらめっこをしている方が増しだ」 って。要領えないのはあんただろ!である。 主人公が家を出た事情が明かされるのは中盤以降。(いや、これが序盤にあればもっと感情移入できたのに) しかも家を出た理由はどうも女性関係なのだが、それも最初はものすごく持って回った説明で煙に巻かれる。「事の起りを調べて見ると、中心には一人の少女がいる。そうしてその少女の傍そばにまた一人の少女がいる。この二人の少女の周囲まわりに親がある。親類がある。世間が万遍なく取り捲まいている。ところが第一の少女が自分に対して丸くなったり、四角になったりする。すると何かの因縁で自分も丸くなったり四角になったりしなくっちゃならなくなる。しかし自分はそう丸くなったり四角になったりしては、第二の少女に対して済まない約束をもって生れて来た人間である」て。わからんわからん。 そんなよくわからない青年が、東京から歩いてやってきて、どてらの男性に声をかけられるのだ。タイトルにあるんだから坑夫になるのね?と思っていると、まあ、延々とまんじゅうを食べるわ坑夫についてあれやこれやら考え込むわ、電車に乗るののらないの、どてらが他の人を誘うのをみては自分と扱いが変わらないのに拗ねるの、まあ、まどろっこしくも進まない。 これ、新聞に掲載されていたと言うけど、毎朝これを読まされたらもう、さっさと進んでー!と、叫んじゃいそうだ。 洒脱さのない、迂遠な、ベッドシーンのない、ひたすらぼわっと進む前半は、なるほど村上春樹。(と、思っていたんだってあたしってばかだなあ) 後半は、坑夫の生活?と、ついに炭鉱に入るシーンだが、これが意外にも(失礼)内情のくどい描写が暗くて臭そうで湿っぽそうな雰囲気とうまくあっていて、一気に読めた。 でも、あまりにも長い長い独白と、めんどくさいセンパイ坑夫?とのやりとりの平坦さにちょっと気を抜いたら、目の前のセンパイがいい人にすり替わってて(いやあたしが読み飛ばしすぎたんだけど)ついでに主人公は気管支炎と診断されて、あらっ!と言う間に終わってた。 なんか、人を食った話だなあ。という印象。まあでも、思えば村上春樹のエンディングだって、ちゃんちゃん大団円でもないからなあ、なんて、いつまで騙されているのかこのバカオロカ。ではある。 でも、感想まで印象を引きずって、こんな風にぼわっととりとめなく終わるのだ。ま、そんなのもいいではないか。だれも、やれやれなんて、言わないだろう。ね。 あ、今思ったけど、ギリギリ、安部公房でもいけるかも。

    0
    投稿日: 2014.03.25
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    このレビューはネタバレを含みます。

    ボンボンが色恋沙汰に疲れ、坑夫になろうとする話。 『虞美人草』を下地にしている、っていう背景があるらしいので、関連させて読むとさらに深まるかも。 結局主人公は坑夫にならずに帰ってくる。「ここまで引っ張っといてならないんかい!」と思わずつっこんでしまった。心理描写も他の漱石作品と比べたらあっさりに感じる。 けれど炭坑に向かう道のりの怪しさや、坑道内の息が詰まりそうな雰囲気が幻想的かつリアルに映像として迫ってくる文章なのは流石漱石。坑夫達が生きる世界が生々しく「こんな現実もあったんだ」と、なんだか『闇金ウシジマ君』を読んだ時のような気持ちになった。 社会の裏部分を覗きたい人にオススメ。

    0
    投稿日: 2013.03.19
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    お坊っちゃまの社会科見学シリーズ土方派遣編。 いつになっても始まらない小説だが、曰く「小説ですらない」のだから仕方ない。 道中も穴の中の出来事もきっとどうでもいいし、 結局どちらにしろ実りはなかったんだからどんなバランスだろうと構いやしないんだろう。 人に薦められるかっていうとかなり厳しいが、 程度は様々あれど同じような落ちかけ寸前の若者(?)は多くいるだろうから読んどけばいいんじゃないか。虚しさがしみる。

    0
    投稿日: 2013.02.03
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    漱石せんせ~の作品の中ではわりと異色?かも。 どうでもいいけれど、なんか、ハエのたかった饅頭を週巡行がムシャムシャ食べるシーンがみょうに印象的だったw

    0
    投稿日: 2012.12.18
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    読んでいてひたすら息苦しかったことを覚えています。 読み進めていくと本当に苦しくなってきます。 中編小説なのに、なかなか読み終わらなくて結構時間が掛かってしまいました。 この小説は、主人公が最後まで何も変わらないことが主題なのかなぁと思いました。

    0
    投稿日: 2012.11.20
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    このレビューはネタバレを含みます。

    肉体労働の仕事に就くか否かで迷ってて、少しでも参考になるかと思って読んだ。 坑夫になる前の心境、なってからの心境。 なってはみたが、辞めたくなる心境。 漱石も言っているが、人間の心とは変わりやすいものだ。

    0
    投稿日: 2012.10.08
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    崩れた石炭の欠片は人間の心情のよう。夏目の描く青年心理と非小説。働くことは神経症に近づくことか、もしくは金銭を稼ぐ人生の楽園か。

    0
    投稿日: 2012.01.01
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    うーん、19歳が経験した坑山に行き着くまでと、坑山での生活を描き出した作品。 なかなかスッキリとした感じて読み通せず、なんとか読了できたというかんじ。 修行がたりませんでした。

    0
    投稿日: 2011.10.28
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    このレビューはネタバレを含みます。

    坑夫になるために実際現場に出るまでがものすごく長くてバランス悪く感じた。そういう意味でも書き手は「小説ではない」と主張してるのだろうか。小説でないものを書きたかったのか。それとも別の狙い?かなり暗い話なのに、悲壮感はあまり感じなかった。過去の過ちには一切触れてないのに、いつの間にか関わった女性の名前が出てきて、何も書いていないのに、何があったかが想像できてしまう。主人公はひたすら愚かなのか。火焔の息を吐いた、という表現がすごく気に入った。

    0
    投稿日: 2011.09.28
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    同時のブルーワーカーに関する問題提起書かと思いきや、炭坑に行くまでがやたら長く、行ったら行ったで1日で帰ってくる。結局どーいうことなんだ? 村上春樹著「海辺のカフカ」でカフカ君が「坑夫」について、炭坑生活を通して主人公の成長がまったく示されてないから良いのだと論じてましたね。主人公の物語への関わり方という点で、たしかに新鮮でした。

    0
    投稿日: 2011.01.07
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    女がらみの問題で家を飛び出した青年が、ポン引き屋につかまって坑夫になろうと炭坑へ行き、そこで最下層の現実を見る…というお話。物語の筋として面白いかと言われると微妙だが、次々と変わる自分の心情に語り手としての自分が突っ込みを入れていく感じはちょっと面白かった。心情の克明な描写には漱石らしさがあると思う。「坊っちゃん」みたいな戯作風の語り口調も、まあ嫌ではないかな。

    0
    投稿日: 2010.09.10
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    昔よりは漱石が読めるようになってた。 でも、やっぱり、読みにくかった!うわー! 人間の性格が身体と同じようにまとまってると思ったら大間違いだぜ!って考え(無性格論)には同意できるけどね。

    0
    投稿日: 2010.01.19
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    自暴自棄になった青年の心理が 後になって回顧されたものとして描かれます。 実際こういう立場になったらたしかにこう感じるんだろうなと思いました。 もう死んでやると思ったり、どうせ死ぬなら華々しくとか考えて、じゃそれまで生きなきゃいけない・・ 変なとこに見栄が残るんだろうな

    0
    投稿日: 2010.01.11
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    漱石にしては読みやすい内容・語調。 逆に言うと、漱石らしからぬ一冊。 でも今の時代では偏った思想に使われそうで悲しい。

    0
    投稿日: 2008.09.01
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    自分を取り巻く環境がいやになった主人公が死を覚悟で日常から出奔するべく北へ向かう。途中、茶屋で出会った周旋屋に誘われるまま坑夫の道を選ぶことになる。それら一連の出来事を数年後の主人公が回想するという形で話は進められていく。人間の心理や人間の性質といったものへの漱石の深い洞察がよく盛り込まれている作品であり、明治時代の宿場町や鉱山に対する鋭い描写のあるルポ的作品である。人間の心理や性質に対する洞察にはなるほどなと思う部分が多く、漱石の得意とするところだと思う。

    0
    投稿日: 2007.09.16
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    決して天邪鬼で有名所を持ってこないわけじゃなしに、漱石の作品ではコレが一番好き。 まー実は漱石の本は数冊しか読んだことが無いってのも大きな理由なんだけどw そんなに有名な作品でもなさそうなんで題名すら知らない人も多いのかな? オススメです。

    0
    投稿日: 2007.09.16
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    だらだらだらだら長い小説。うーん淡々としすぎていて、文章は確かに漱石らしさであふれていてで面白いんだけど、他の作品に比べるとつまんなかったですねー……しかし安さんとのシーンはすごい感動しましたよ。あとしっとりホラーだったのがなんか意外……ジャンボーが葬式って解ったところはほんと怖かったです。あと南京虫とか微妙にグロ。いろいろいいたいことはあるけどもこういうのが漱石作品の中に紛れていてもいいと思う。

    0
    投稿日: 2007.09.10
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    鉱山で働く人は減ったけど、工場で働く人はたくさんいる。現場作業現場で見かける学生のような青年は、こういった心境と境遇で働いているのかもしれない。自暴自棄は聡明な年長さんに相談だ。

    0
    投稿日: 2007.05.11
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    「虞美人草」で人の義理を描いた夏目漱石が、その後何故か「人の心など移り変わるものだ」と翻意して書いた作品。富裕な家の青年が女性問題で失敗し、逃げた先で坑夫となる。地獄のような炭鉱で見た人間のはかなさを通して、人の世の流転を説く。

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    投稿日: 2007.02.03
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     主人公は比較的恵まれた境遇を捨て出奔し、行きがかりから坑夫になります。その道すがらを丁寧に描いています。 漱石は一貫して人の心にとても関心を持っていたのだろうと思います。ですからその描写はとても細かく、よくここまで見ているなあと感心させられます。例えば次のような一節がこの小説の中にでてきます。  「一體人間は、自分を四角張つた不變體の様に思ひ込み過ぎて困る様に思ふ。周圍の状況なんて事を眼中に置かないで、平押に他人を壓し附けたがる事が大分ある。他人なら理窟も立つが、自分で自分をきゆきゆ云ふ目に逢はせて嬉しがつてるのは聞こえない様だ。さう一本調子にしやうとすると、無暗に他人の不信とか不義とか變心とかを咎めて、萬事萬端向ふがわるい様に噪ぎ立てるのは、みんな平面國に籍を置いて、活版に印刷した心を睨んで、旗を揚げる人達である。」  どうでしょうか、古い漢字を使ってあったりして一見難しそうに感じるかもしれませんが、内容は非常に平易です。人の心は周りとの関係で変わるものだという当たり前のことを述べています。しかし、我々は日常生活においては意外とそのことを忘れています。特に人に対して怒ったときにこのことを思い出してみるとはっとすることがあります。少し手厳しい見方ですが、漱石は自省の念も込めてこのように書いているように思えます。  この小説には随所にこのような心理描写が出てきて、とても考えさせられます。そして、そこが邪魔になるのではなく、却って話に引き込まれていきます。とても面白い話ですので是非一読されることをお勧めします。  私が読んだのは岩波文庫版ですが、各社から文庫版が出ているようです。岩波文庫版は漢字や言葉遣いが古い表現を使ってあるのですが、現代の表記に置き換えているものもあるようです。できればそのままを味わったほうが良いとは思うのですが、どうしてもとっつきにくいという人はそういったものを手にとられるのも良いかもしれません。

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    投稿日: 2006.10.18
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    あまり有名ではない漱石の作品。異色ゆえに重要だ、なんていう人も居るみたいです。毛色は違いますが、普通に面白いです。近代人の高級な無知、無謀。

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    投稿日: 2006.06.23
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    近代的自我に目覚めたエリート予備軍が 恋愛のもつれから(これも十分に近代的)東京から 銅山へ坑夫として赴く。その落差に苦悩するお話。明治期を知る資料としてもいいんじゃないでしょうか。でもちょっと読みづらい。とはいえ、森鴎外とかと比べると断然読みやすいし、ま、それなりに古いからしょうがないか。

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    投稿日: 2006.06.11
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    村上春樹の「海辺のカフカ」に登場したので買って読んだんですが、漱石の作品の中ではあまり有名ではないだけあって、あまりピンとは来ませんでした。

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    投稿日: 2004.10.13