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中世荘園の様相
中世荘園の様相
網野善彦/岩波書店
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総合評価

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    1. 荘園の形成と背景 - 出羽刃共針の荘園について、裟厳の所領を預かったのは彼女である。 - 槃厳は師の栴師堂のために所領末武名を預ける形を採ったが、保の百姓たちは彼女よりも成正や凱広を名の持主と見なしていた。 2. 政治情勢の変化 - 平氏の独裁が揺らぎ、動乱が迫っていたため、裳厳は山を降りて自ら立つべき時が来ていた。 - 彼は夫経盛に請い、丹生氏の権利を再確認し、公文職の抽任状を受け取った。 3. 内乱と権力の再編 - 治承・ガ水の内乱が全国で発生し、頼朝や近江源氏の蜂起に呼応して土滸の領主たちが叛乱に加わった。 - 裳厳は鎌倉殿の御家人としての地位を確立し、内乱の中で彼の歩みが定まった。 4. 地域の権力構造 - 鎌倉殿御家人としての地位と太良保公文職の保証が彼に与えられ、彼の地位が高まった。 - しかし、彼は時国の所従となり、名声を失った。 5. 百姓たちの抵抗と新たな関係 - 百姓たちは地頭や預所に抵抗し、強力な支柱を見出した。 - 定宴が荘の整備に取り組む中で、百姓たちに強い影響を与えた。 6. 荘園の安定と変化 - 太良荘が正式に東寺に寄進され、供俯供科荘となることで、安定した経済的基盤が形成された。 - 行遍の成功は、新たな安定を迎えた京都の政局に依存していた。 7. 権力の変遷と百姓の地位 - 新たな代官が補任される中で、百姓たちの権利と立場が次第に変わってきた。 - 荘務権を巡る訴訟が起こり、百姓たちが独自の主張を持つようになった。 8. 南北朝の動乱と荘園の影響 - 南北朝の動乱が発生し、国人一揆や代官の変遷が起こった。 - 荘園の支配構造が変化し、百姓たちの力が強化される一方で、権力者たちの圧力も増した。 9. まとめと今後の展望 - 本書では、荘園の形成から南北朝の動乱に至るまでの歴史的な変遷とその影響を詳述している。 - 百姓たちの抵抗、権力者との関係、政治情勢の変化が重層的に描かれ、歴史的な理解が深まる内容となっている。

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    投稿日: 2025.02.18
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    歴史家の網野善彦が初めて出版した単著書を文庫化したもの。1966年刊行なので、まだ38歳だったはずである。今の福井県小浜市の一角に所在した荘園の支配を巡る闘争を、数百年にわたって追跡したもの。 自分のような門外漢には決して読みやすくはないが、網野の壮大な歴史観が綿密な実証に支えられたものであることが、よく分かる。また、職人や隷属民など、のちの網野の著作につながる話題が、既にいくつか登場しているのも興味深い。

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    投稿日: 2024.10.08